偉大な牛

2009/01/22(木)21:59

ニューディールでは景気は回復なんぞしない

偉そう(87)

昨日の話に引き続き。 昨今、オバマオバマと非常に巷間かまびすしいが、 なんでもオバマには21世紀のニューディール政策を期待しているらしい。 FDRのニューディールが実際に成功していたたのかどうか。 結論から言うと別に成功もしていないのである。 経済史では常識である。 たかが公共政策ぐらいで、大恐慌が回復するはずもなく、 実際にアメリカの株価指数等が同じ水準まで回復したのは、戦争開始から数年たった後の話。 要は軍需で回復したのであって、戦争景気である。 つまりニューディールでは景気は回復しない。 景気を回復させるのは戦争だったのだ。 今は凋落の象徴のように語られるGMがその絶大な地位を手にしたのも、WWIIのとき。 とてつもないスピードで大量に軍用車などを作ることによって、アメリカは世界を制覇した。 欧州戦線と太平洋の二方面で勝利するなど、アメリカ以外の国が全部集まってもできない所業である。 GMやフォードを単なる自動車メーカーと捕らえるのは本質を見誤ることになる。 BIG3は、ペンタゴンからの発注額も非常に大きい、巨大軍事企業なのであり、 加えて金融その他の産業をも営む、超巨大コングロマリットなのだ。 いってみればアメリカそのもの。 逆に、その地位にあぐらを欠いて自動車へのまともな投資なんざしちゃこなかったのが実情である。 急にあせってネオンだのモンデオだのを作ったって売れるわけがない。 結果的に彼らは、まっとうに日本車や欧州車と競うことをせずに、政治的圧力で解決する方法を選択した。 それが自滅への道だったのだ。アホである。 目先の利益にとらわれがちなアメリカの経営なんてのはそんなものだ。 わけのわからないM&Aとか繰り返して、数字の上では利益を出したりそんなことばっかりやり続けて、 結局、自分たちでは何一つモノをつくれない、情けない国に成り果てた。 そんなアメリカ型の経営を学ぼうなんていっているのが、われらが日本人である。 個人的には、トヨタ車なんてのは今後も買うことはないだろうし、 レクサスとかもちょっと苦笑するほかないとは思うのだが、 そういう意味でトヨタはえらい。 今でも創業者一族はいるは、終身雇用を守るとかいって、格付機関から文句いわれたりしても方針変えない。 巨大な内部留保をためこんで、コツコツ地道にやってきた。 アメリカ式経営とかでやってきてたら、世界一の企業になんてなれなかっただろう。 話はずれたが、シャハト博士の理論にうらづけられて、 公共政策その他で経済を回復させたのはナチス・ドイツだ。 オバマは経済復興政策を考えるのであれば、FDRではなくヒトラーに学ぶべきかもしれない。 どうもWWIIの勝者側の指導者は英雄視されがちだな。 チャーチルとかいって戦争には勝ったかもしれないが、 おかげで英国は二度と世界覇権国に戻れないようなひどい有様になった。 だから、戦争中でも選挙で負けちゃったのである。 チャーチルなんてのは、実は英国では人気がないらしい。 FDRも同様だ。 戦争に勝ったように見えたが、結局蒋介石は追われ、中国は共産化。 ソ連を異様に信頼していたが、脅威としかならずに冷戦を招いた。 ヨーロッパとアジアの非共産化のため、今日まで多大な人的物的コスト負担を余儀なくされた。 一方でフィリピンなどの植民地を失ったし、いったいWWIIで何を得たのかというと、何もないのである。 結局総力戦以降の戦争は、それまでのものと違って戦争に勝っても何も得られないのだということ。 湾岸戦争とイラク戦争の勝利でアメリカが得たものなんてあるか?ていうと多分ない。

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