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カテゴリ:読書
『電子の星』
著者 石田衣良 発行 文春文庫 たまたま息子と遊んでいて、相棒が読み終えて居間に置きっぱなしにしていた文庫本を手に取ったのがこれ。 恥ずかしながら、この超有名な著者の作品、未読でございました。 しか~も、ドラマも見てないんだなぁ。相棒は深夜の再放送を必死で見てたけども。 ドラマやってた6年前といえば、私はまだ関西在住でして東京の地名は聞いたことがあるだけ、ふーん池袋って怖いところなのね~というイメージしか持たなかったです。 というわけで先入観も無いまま読み始めたが、ほお、文章は読みやすくてわかりやすいし面白い。 内容は、池袋の街の裏表を知り尽くしている主人公のマコトが探偵役となり、さまざまな人々のトラブルを解決していく短編を4話収録。 どの話にも、ささやかに人生を生きている人々が、何とか自分の抱える苦しみを乗り越えようとする姿が描かれている。 けれども厳しくつらい意地悪な現実の前に、心が押しつぶされかけているところで、マコトの出番である。 マコトはいつも、彼らの背中を少しだけ押して前に進ませる、「運命の輪」のような役割を演じている。 一方的に助けてやるのではなく、あくまでも先に進もうとする意思のある者だけに作用する、幸運の妖精の助力。 全ての登場人物が、ひたむきで一生懸命。ひがんで世をすねてしまったり、卑怯な世渡りをしていこうとする輩は出てこない。 どの話も、結構苦い味付けがされているけれど、読後感が爽やかなのはそのせいだろう。 安心して楽しめる小説だったです。 一番好きだったのは、 『ワルツ・フォー・ベビー』 一人息子の不審な死の真相を探る、初老のタクシー運転手の強さと哀しさに胸打たれました。 もうね、真実が明かされた後の彼の胸中を思うと・・・(涙)。 相棒に聞くと、この作家の本は結構持っているらしい。 おお、ますます我が家の書籍の大整理を敢行せねば!(一体どこにあんねんー?) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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