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テーマ:お勧めの本(7884)
カテゴリ:大人の読書感想文
乙一の本、初めて読みました。この本を買うときにタイトルを 見て、ホラーとかサスペンス系の小説じゃないかと思ったん ですけど、これはミステリの部類だとは思いますけど、かなり 純愛系のエッセンスが入ってますね。うまく表現できませんが、 かなり面白かった。 父と娘、二人でくらしてきたミチルは視力を失い、父を亡くし、 独り静かに家に篭って暮らしてきた。人間関係に悩み、誰とも 打ち解けられずに生活してきた青年アキヒロ。二人がある事件を きっかけに、遭遇することとなる。一言も言葉を交わすことなく、 互いの存在を知らないふりをしながらの、奇妙な同棲生活が 始まっていく。 以前、伊坂幸太郎のチルドレンでも盲目の青年が出てくるという 設定の小説を読んだのですが、あちらの小説では盲目という設定 は、より沢山のものを感じることができるという感じだった。 この小説のミチルはどちらかというと、見えない事に対しての 恐怖、不安の方が強く、したがって滅多に外に出ることはない。 家の中こそが自分の唯一の世界であり、そこにはただ時間だけが 過ぎていくだけの世界で、不安もなければ、幸福もない。 世間から隔離された場所で出合った二人のコミュニケーションが 静かながらも繊細に描かれていて、読んでいて引き込まれた。 これ以上書くとネタバレになるので、書きませんが、この乙一と いう作家、表現力においては素晴らしい才能を持っていると感じる ことができました。ただ、ちょっとラストは微妙だったなぁ。 何か計算して物語を作ったような印象を受けてしまったので。 まぁ、ミステリであれば仕方がないのかもしれませんけどね。 かなり面白い小説だったので、これは舞台や映画だったら面白そう だなぁーと思っていたら、既に映画化されていたんですね。 田中麗奈主演ですね。そういえば、そんな映画あったような。 機会があれば観てみたいな。 乙一の作品もこれからもう少し読んでみたくなりました。 GOLA お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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