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テーマ:お勧めの本(7892)
カテゴリ:大人の読書感想文
20年前、世の中にバブル景気という名前が知れ渡る前に、 ちょっと浮ついた時代があった。 ボディコン、ヤンエグ、マル金、花金、いろんな言葉が できては、死語となっていった。 この「東京物語」は主人公久雄が名古屋の田舎から東京に 出てきて、弱小企業のコピーライターとして青春時代を 過ごしていく物語。時代は1978年、キャンディーズの解散 から始まり、ジョン・レノン死亡、ベルリンの壁崩壊など、 1980年代を彩る出来事を織り交ぜながら、青春の終わりを 感じ始める20代最後までの物語である。ちなみに読めば わかりますが、この主人公は作者をモデルにしていて、 言ってみれば奥田英朗の私小説ということなのです。 僕は丁度小学生~高校時代の頃の物語なので、社会人の視点 というのはありませんが、それでも懐かしいなぁと思いながら 楽しく読めた一冊でした。 あの頃、世の中は結構画一的で、流行に乗ることがあまり 恥ずかしくない時代でしたね。僕はバブルの終焉の時期に、 ちょっとずつ遊ぶことを覚え始めたので、少し上の世代が 自由奔放に遊んで、人生を謳歌している姿を横目で見ながら 結構羨ましくて、大人になったら沢山遊んでやろうと思って いたりしたもんでした。 残念ながら大学在学中に見事にバブルは崩壊し、未曾有の 不景気の中で就職、20代を過ごしてきた「ロストジェネレー ション」になってしまいましたが、それでもあのバブルの 時代を肌で感じたのは、今思えば面白かったなぁと思います。 全く恩恵は受けてないですけどね。 人それぞれ、生きた時代や場所によって環境は違うでしょうが、 20代という多感な時期を過ごした日々は、誰にとっても深い 思い出になっていると思います。そんな昔を思い出させて くれるような、一冊。秋の夜長にはまる一冊です。 GOLA お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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