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テーマ:お勧めの本(7399)
カテゴリ:大人の読書感想文
サウスバウンド、下巻は沖縄の離島に移住して生活を始めた 主人公二郎と家族の物語。元過激派の父はその昔在日米軍の 戦闘機を炎上させたことがあるとか、八重山の伝説の戦士、 アカハチの子孫であるとか、とにかく眉唾のような、本当の ような逸話がたくさんある。東京では毎日ゴロゴロしていた 父は、沖縄の離島ではいきいきと農作業や漁業に精を出し、 マジメになったように見えた。但し船の免許も無ければ、 漁業権もないけど。 上巻では東京で子供の世界と大人の世界を体験した主人公。 下巻では、上巻のラストで垣間見えた父の本質と母の気質が だんだんと見えてくる。ついでに姉もついてくる。おまけに ヤギまでついてくる。 奥田英朗の真骨頂とも思える、このキャラクター作りは本当に 秀逸で、僕はフィクションとは思いながらもこの父親の発する 言葉の数々や、母の強さと優しさに惹かれてしまった。 国も警察も公安も企業も右翼も左翼も環境保護団体も学校も 全て信用せず、個人として信じた道をひたすら歩む父親。 ラストの父から息子へのメッセージ、母から家族への言葉が とても心に染み渡る。親が子に教えたのは「世間」で生きる 術ではなくて、「自分」を信じて生きるという信念だった。 今、親として意識しているのは、息子にとって映る自分の姿が みっともなくないか、カッコイイ親でいられているか。姿見では なくて、男親のあるべき姿をきちんと見せていきたいと思う。 うーん。上原一郎の次の物語を読んで見たい。続編に期待を持った 一作でした。 GOLA お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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