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テーマ:お勧めの本(7892)
カテゴリ:大人の読書感想文
「嫌われ松子の一生」読了しました。かなり面白い小説で、 すっかりはまったのですが、ネタバレ無しで感想文を書く のは難しそうなので、一部ネタバレになることをお許し下さい。 文庫本読書家の宿命として、単行本や映画化された後の読書と なるので話題としては非常に遅くなってしまうのだが、この本は 昔話題になったという理由だけで読んでみた一冊でした。で、 今さらではあるが、読んで良かったなぁと思えた一冊でした。 上下巻に別れたこの小説の上巻は、主人公の川尻松子が九州の 田舎で小学校教員として生活しているところからスタート。 そして平行して、松子の甥、川尻笙の家に父がやってきて、 名前も存在することも聞いた事の無い、叔母の死を告げられる ところから二つの時代で物語がパラレルで語られて行く。 上巻では小学校教員だった松子が、いくつかの不幸な事件を切欠に 転がり落ちて行く人生が始まり、唾吐くような感じで故郷を跡に するまでを、そして笙のストーリーでは恋人とともに松子の部屋を 片付けることとなった笙が、叔母の松子がどんな人生を送ったのかを 知り始めるところが描かれている。 生真面目でプライドの高い性格が災いし、どんどん悪い方ばかりに 人生が傾いて行く松子。一般的な見方をすれば、教師という聖職 から風俗の世界に転がり落ちて行く松子の人生は、単なる落ちぶれ と映るかもしれない。だが、そんな単純な描き方ではなく、松子 自身にとっての幸福感がどこにあるのか、心が満たされるという ことがどういうことなのか、抑えるべき点をきっちり抑えながら、 流転の物語が綴られており、すっかりはまりながらどんどん読み 進んでしまう感じだった。 上巻ではある程度予想された展開をなぞりながら、松子の本当の姿 を少しずつ深く掘り下げて行く。軽く読んでいたら、ずるずると 面白さによって引き込まれてしまった感じでした。 下巻に続く。 GOLA お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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