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テーマ:お勧めの本(7395)
カテゴリ:大人の読書感想文
ロジカルモンスター登場。 『チーム・バチスタの栄光』下巻では調査に行き詰まりつつ あった田口医師の前に突然現れた男、白鳥圭輔。肩書きは 厚生労働省大臣官房秘書課付技官だという。つまり役人だ。 この白鳥、ただものではない。病院長への態度、元婦長への 態度、どれをとってもまともじゃない。通称『火喰い鳥』。 またの名を『ロジカルモンスター』。田口医師は病院長の 指示により白鳥と一緒に調査にあたることになり、物語は 急速に展開していく。まるでピアニッシモからフォルテシモ に転換するかのように。 映画では阿部ちゃん演ずる、白鳥という男が物語に加わること で、この小説の真髄が見えてくる。これはただの医療ミステリ ではない。病院内で繰り広げられる高度な心理戦を描き、さら に今たくさんの病院が抱えている、医師不足などの様々な問題 を裏のテーマにおいている社会派小説とも考えられる。そして 当然ながら上質のエンターテイメントである。たしかにこの ミステリーはすごい。 僕が特に面白いと感じたのが、聞き取り調査をするときの方法 で田口医師がやっていたのが「パッシヴ・フェーズ」そして、 白鳥が行う「アクティヴ・フェーズ」や「オフェンシブ・ヒア リング」など。これは確かにいろんなケースで使っていたり するなぁと思った。例えば採用の面接をするときは、最初は パッシヴにしつつも、誇張や嘘が見えてきたらオフェンシブに 切り替えたりもする。相手に合わせて使い分けることで、相手 の本当の人間性やキャラクターが見えてきたりもする。 チーム・バチスタの栄光、なかなか奥深く、でも普通に読んで いて面白い。完成度が高い小説でした。これは続編もあるよう なので、文庫化が待ち遠しくなりました。 GOLA お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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