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テーマ:お勧めの本(7400)
カテゴリ:大人の読書感想文
石田衣良の小説「うつくしい子ども」を読みました。 とあるニュータウンに住むジャガという渾名の14歳の少年。 進学校に通うジャガは植物が好きな普通の中学生。ある日彼の 住むニュータウンで起きた9歳の少女殺人事件で、穏やかな街は マスコミだらけの街に一変した。そして少女を惨殺した犯人と して補導されたのは一つ下の弟だった。弟が補導されて、彼の 家族と、とりまく環境があっという間に変化していく。犯罪者の 兄として生きていくことを決意した少年の物語。 「酒鬼薔薇事件」をモチーフに描かれたこの作品。少年犯罪が 物語の軸になっているのだが、犯罪とミステリーというような 単純な構成ではなく、犯罪者の兄として社会のつまはじき者と なってしまった少年が、社会で生き抜いて行く術を学んで行く。 なんとも辛く厳しいストーリーではあるのだが、この少年が、 厳しい現実に正面から向かって行く姿が救いにはなっている。 どうにもならない世の中で生きる術を身に付けること。自分 自身の心に問いかけながら真実を見抜くこと。暗くなりがちの こういったストーリーに、希望の欠片をみせてくれる。 世の中にはどうしようもなく厳しく辛い現実は、確かにある。 本当の強さは厳しさや辛さを受け入れながら、自らより良い 環境を作ることができることなのかもしれない。 いろいろと考えさせられる一冊だった。 もちろん、子どもを持つ親として。 GOLA お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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