カテゴリ:その他、芝居(ドラマ・映画・舞台)
片方だけが許しても、駄目なのだと。
諦観と哀しみと共に語る老人は、これまでどれだけの人の業を見つめてきたのだろう。 まだ『研修医純情物語』がHDDの中ですが、先にこちらを視聴させていただきました。 ……パスワードで封印された部屋でのシーンが全部ツボに入って、リピートが止まりません。助けてください。 主人公が医療関係者とか、英語の資料とか、ユートピアという分かり易くて反意語(ディストピア)が直ぐ浮かぶタイトルとか、人の感受性への尊厳とか、プラセボ(暗示の事ですね)効果とか、職業的な矜持が崩れて愕然としたりとか、世界が崩れる衝撃とどこまで私のツボを知ってるんですか(←偶然です)! ええ、草なぎ君に魅入ってるだけでは話が進みませんので、レビューに移行しましょう(汗)。
最後まで諦観と哀しみで揺るがない所長と、真実と現実と理想の間で苦しむ主人公。その間で交わされる会話こそ、主題なのでしょうね。 憎悪と言う負の感情が、倫理や愛情と言った感情とも深くつながっていること。 理性であれ、暗示であれ、無理に殺すことが不自然であることに変わらない事。 憎悪という感情が、一人だけで成り立つものでない以上、相手との関係もまた深くかかわる事。 ――それを『人間とは業が深い生き物だ』という一言で括って放り出すのは簡単ですが、それで良いのでしょうか。 ここで所長の様に諦めるのか、主人公の様に憎悪に飲まれてしまうのか。 更にその先に、許されない事を覚悟の上で、憎悪の中で、更にもがくのか。 視聴していた皆に、答えを委ねられた気がします。 どれを選んでも苦しく、それが『世にも~』らしい後味だと思いました。 自分も憎悪と隣り合わせに生きています。誤解から生まれた憎悪ですら、解く事が出来なければ止められない悲しみも、知っています。 だからこそ――せめて足掻こうと思えるのなら、その間は頑張りたいな、と思います。 キャスト・スタッフの皆様、お疲れ様でした。また次の作品も楽しみにしていますね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012/11/04 09:25:09 PM
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