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イクメンへの道 by 弁理士GolferPA

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2006.02.06
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前回の続きで、今日は「3」についてです。
これで最終になります。

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3 国外販売分の控訴人製品にインクを再充填するなどして製品化された被控訴人製品について本件特許権に基づく権利行使をすることの許否

(1) 物の発明に係る特許権について

ア 特許権に基づく権利行使の許否
我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲
渡した場合,特許権者は,譲受人に対しては,当該製品について販売先な
いし使用地域から我が国を除外する旨の合意をしたときを除き,譲受人か
ら特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては,譲受人と
の間でその旨の合意をした上で特許製品にこれを明確に表示したときを除
き,当該製品を我が国に輸入し,国内で使用,譲渡等する行為に対して特
許権に基づく権利行使をすることはできないというべきである(BBS事
件最高裁判決)。本件において,国外で販売された控訴人製品については,
譲受人との間で販売先又は使用地域から我が国を除外する旨の合意はされ
ていないし,その旨が控訴人製品に明示されてもいないことは,前記第2
の2(4)イのとおりである。したがって,国外で販売された控訴人製品を
使用前の状態で輸入し,これを国内で使用,譲渡等する行為は,本件特許
権の行使の対象となるものではない。

しかしながら,(ア) 当該特許製品が製品としての本来の耐用期間を経
過してその効用を終えた後に再使用又は再生利用がされた場合(第1類
型),又は,(イ) 当該特許製品につき第三者により特許製品中の特許発
明の本質的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換がされ
た場合(第2類型)には,特許権者は,当該特許製品について特許権に基
づく権利行使をすることが許されるものと解するのが相当である。その理
由は,国外での経済取引においても,譲受人が目的物につき自由に業とし
て使用し再譲渡等をすることができる権利を取得することを前提として,
市場における取引行為が行われ,国外での取引行為により特許製品を取得
した譲受人ないし転得者が,業として,これを我が国に輸入し,国内にお
いて,業として,これを使用し,又はこれを更に他者に譲渡することは,
当然に予想されるところであるが,1. 上記の使用ないし再譲渡等は,特
許製品がその作用効果を奏していることを前提とするものであり,年月の
経過に伴う部材の摩耗や成分の劣化等により作用効果を奏しなくなった場
合に譲受人ないし転得者が我が国の国内において当該製品を使用ないし再
譲渡することまでをも想定しているものではなく,また,2. 特許製品に
つき第三者により特許製品中の特許発明の本質的部分を構成する部材の全
部又は一部につき加工又は交換がされた場合に譲受人ないし転得者が我が
国の国内において当該製品を使用ないし再譲渡することまでをも想定して
いるものではないから,特許権者が留保を付さないまま特許製品を国外で
譲渡したとしても,譲受人ないし転得者に対して,上記の(ア),(イ)の場
合にまで,我が国において譲渡人の有する特許権の制限を受けないで当該
製品を支配する権利を黙示的に授与したと解することはできないからであ
る。

(2) 物を生産する方法の発明に係る特許権について

イ 物を生産する方法の発明の実施態様のうち,まず,当該方法により生産
された物(成果物)の使用,譲渡等(特許法2条3項3号)について,検
討する。

物を生産する方法の発明に係る方法により生産された物(成果物)につ
いては,我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において成果物
を譲渡した場合,特許権者は,譲受人に対しては,当該成果物について販
売先ないし使用地域から我が国を除外する旨の合意をしたときを除き,譲
受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては,譲
受人との間でその旨の合意をした上で成果物にこれを明確に表示したとき
を除き,当該成果物を我が国に輸入し,国内で使用,譲渡等する行為に対
して特許権を行使することはできないというべきである。なぜならば,こ
の場合には,国際取引における商品の自由な流通を尊重すべきことなど,
物の発明に係る特許権について判例(BBS事件最高裁判決)の挙げる理
由が,同様に当てはまるからである。本件において,国外で販売された控
訴人製品については,譲受人との間で販売先又は使用地域から我が国を除
外する旨の合意はされていないし,その旨が控訴人製品に明示されてもい
ないことは,前記(1)アのとおりである。

しかしながら,(ア) 当該成果物が製品としての本来の耐用期間を経過
してその効用を終えた後に再使用又は再生利用がされた場合(第1類型),
又は,(イ) 当該成果物中に特許発明の本質的部分に係る部材が物の構成
として存在する場合において,当該部材の全部又は一部につき,第三者に
より加工又は交換がされたとき(第2類型)には,特許権者は,当該成果
物について特許権に基づく権利行使をすることが許されるものと解するの
が相当である。この点については,物の発明に係る特許権について判示し
た理由(前記(1)ア参照)が,同様に当てはまるものである。

ウ 次に,物を生産する方法の発明の実施態様のうち,特許発明に係る方法
の使用をする行為(特許法2条3項2号)について判断する。

物を生産する方法の発明に係る方法により生産される物が,物の発明の
対象ともされており,かつ,物を生産する方法の発明が物の発明と別個の
技術的思想を含むものでない場合において,特許権者又はこれと同視し得
る者が国外において譲渡した特許製品について,物の発明に係る特許権に
基づく権利行使が許されないときは,物を生産する方法の発明に係る特許
権に基づく権利行使も許されないと解するのが相当である。本件発明10
は,本件発明1に係る液体収納容器を生産する方法の発明であって,イン
クを充填して使用することを当然の前提とする液体収納容器に,公知の方
法により液体を充填するというものであるから,本件発明1に新たな技術
的思想を付加するものではなく,これと別個の技術的思想を含むものでは
ないと解されるが,本件発明1に係る本件特許権に基づく権利行使が許さ
れる以上,控訴人が本件発明10に係る本件特許権に基づく権利行使をす
ることは,許されるというべきである。

一方,特許権者又はその許諾を受けた実施権者が,特許発明に係る方法
の使用にのみ用いる物(特許法101条3号)又はその方法の使用に用い
る物(我が国の国内において広く一般に流通しているものを除く。)であ
ってその発明による課題の解決に不可欠なもの(同条4号)を我が国の国
内において譲渡した場合においては,譲受人ないし転得者がその物を用い
て当該方法の発明に係る方法の使用をする行為,及び,その物を用いて特
許発明に係る方法により生産した物を使用,譲渡等する行為について,特
許権者は,特許権に基づく権利行使をすることは許されないというべきで
あるが(前記2(2)ウ(イ)参照),特許権者又はこれと同視し得る者がこ
れらの物を国外において譲渡した場合において,これらの物を我が国に輸
入し国内でこれらを用いて特許発明に係る方法の使用をする行為,及び,
国外でこれらの物を用いて特許発明に係る方法により生産した物を我が国
に輸入して国内で使用,譲渡等する行為について,特許権に基づく権利行
使をすることが許されるかどうかは,判例(BBS事件最高裁判決)とは,
問題状況を異にする。すなわち,この場合には,国外での取引行為により
これらの物を取得した譲受人ないし転得者が,国内でこれらの物を用いて
特許発明に係る方法の使用をし,あるいはこれらの物を用いて生産した物
を国内で使用,譲渡等することをも,特許権者が黙示的に許諾したと解す
ることができるかどうかは,なお,検討を要する課題というべきである。

しかし,本件においては,前記2(3)イ(ウ)のとおり,控訴人及び控訴人
の許諾を受けた者が本件発明10に係る方法を使用してのインクタンクの
製造のための製造機器ないし原材料等を販売したということはできず,前
記検討課題の前提を欠くものであるから,その結論のいかんにかかわらず,
控訴人は,被控訴人に対し,本件発明10に係る本件特許権に基づき,国
外販売分の控訴人製品に由来する被控訴人製品の輸入,販売等の差止め及
び廃棄を求めることができるというべきである。






Last updated  2006.02.06 10:12:26
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