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gomagoma0205

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2004年06月07日
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カテゴリ:妄想系
 コックリさんなんて、もう続けてもしょうがない。みんながそう思ったその時、10円玉は突然、猛スピードで動き始めた。それも、こちらの質問に答えるのではなく、勝手に言葉をつづり始めたのだ。Aもビックリ仰天した顔で、自分の指先を見つめていた。

 誰かが「指を離さないで!」と叫んだ。そして、とにかく、手の空いている全員で、10円玉が告げる言葉を書き写すことにした。分担はしていたものの、それは難しい作業だった。スピードが速いのもあったし、例えば「お」で止まったのか、「く」で止まったのか、判然としないうちに身を翻し(10円が)、次の文字に行ってしまうことが多かったからだ。

 それに文字盤には、濁点のつく音などは表示していなかった。その結果、書き留めていく言葉が意味不明の、暗号のような状態だったので、なおさら作業は難航した。

 その当時、どんな言葉を書き留めたのだったか、何故かほとんど覚えていない(あの時のメモが残っていたら、面白かったろうにと思う)。ただ、日本語ではあるものの、何を言っているのか良く分からなかったり、繰り返し繰り返し、同じ言葉がつづられたり、Xが操作している時のように「てにをは」のついた、きちんとした文章ではなかったことなどは記憶にある。

 たいていのコックリさんは、例えば「たろうはらいしゅうあめりかにいくだろう」のように、キチンとした日本語を話す(ち、ちょっと英文和訳っぽいけど)。が、そのときは「あめりか」「らいしゅう」「たろう」というように、ぶつぶつ細切れの上に順番もめちゃくちゃに(しかも、10円の動きは一瞬も途切れることなく)示される。しかも、もっと正確に言えば、「たろう」が「たろ」であったりと省略も多く、なおのこと意味を把握しづらかった。

 私たちはだいぶ、怖くなった。10円はとどまることを知らぬげに動き回るし、どうも、本物のコックリさんっぽかったから…… それでもめげずに、私は訊いてみた。「10円から指、離しちゃだめですか」と。コックリさんのお答えは、「いいえ」だった。ばかなことゆーな、というようなことも、言われたんだったかもしれない(だってだって~、離しても動くとこ、みたいじゃん)。

 運動量の激しいコックリさんにお帰り頂くのに、その後、私たちは大変な苦労をした。好き勝手にびゅんびゅん飛び回るだけで、質問には答えてくれないし、たまに問答が成立しても、帰ってくれというお願いには、「まだや~だよ~ん」みたいなことを言う。

 それでも何とかコックリさんにお帰り頂いたあと、私たちは三々五々、帰宅した。AとBと私は玄関に立てば、お互いの姿が見え、手を振って合図ができるほどの距離に住んでいたので、当然、帰りも一緒。10円に指を置いていたAは、ちょっと気分が悪そうだった。

 彼女が言うには、学校でコックリさんをやっている時には、Xが押したり引いたりしているのを、感じることができたそうだ。「だから時々、ふんって力入れて、動かないようにしてやったんだ。そうすると、アイツの顔が真っ赤になんのよ(笑)」

 ところが、今日の後半のぐーりぐりの最中には、10円から指がすっぽ抜けないようにするのが精一杯。ふとしたチャンスに、力を入れて止めてやろうとするのだけれど、それでもぐいぐい引っ張られる。しかも、どの方向から引っ張られているのか、よく分からなかった、とAは言った。Aの胸元の方にある文字の場合でも、「誰かが押してくる」感じがするのではなく、引っ張られる感じなのだという。Aに向かって「引っ張る」ことができる人など、A以外にはいないにも関わらず、だ。

 もしかして、本当のコックリさんだったのかも。私たちはそう結論づけた。そして、もう二度とやりたくないね、と言い合った。だって、本物は全然、私たちの問いに答えてくれないんだから、インチキばかり言うニセモノと、情報量という観点から見ると、大差ない。

 私たちはそんな結論に到達して終わったのだが、翌日から、Xが霊能者気取りになったのには驚いた。私たち以外の参加者が噂を広め、何故か、Xには本物のコックリさんを呼び寄せる力がある、という話になってしまったのだ。確かに、Xの作為を暴くために開催したコックリさんだったから、Xを擁護するために本物が現れた、という風に、解釈できないこともない。

 その後、Xの周りには常に、心霊好きの取り巻きが付き従った。Xも日増しに、巫女さんのような態度を取り始め、友達の相談事に、お告げのようなものを与えるようになった。それと同時に「私はアンタたちとは違う」と言わんばかりの、相手を見下すような雰囲気を漂わせるようにもなった。それは特に、私たちグループに対して、露骨に示されたから、気の強いAは尋常でなく悔しがった。

 その結果、しばらくたって学内に「仲間はずれ」が流行ったとき、Xは真っ先に、Aのターゲットにされた。偉そうにトンチンカンなお告げをすることが多いから、一部の「信者」をのぞいて、そろそろ彼女の存在が鼻についてきた頃だっただけに、タイミングはピッタリ。Xに対する無視作戦は、即日即決で開始された。

 Xはそのうち、登校拒否状態に陥ったのだが、原因となったAに対して、Xは(みんながそこはかとなく期待していたように)呪いをかけることはできなかったらしく、最終的には、熱狂的な一部のおとり巻きにも、見捨てられてしまった。

 3年生になる頃には、Xは(可愛いだけに)同学年女子全員の嫌われ者になっていた。お稲荷さんをまつっているBと、臆病なCは、コックリさんを騙ったバチがあたったのだ、と言っていた。あの日のコックリさんが、本物だったのかどうか、真相は分からない。が、遊びであんなことをするべきではないことだけは、確かだと思う。

 と言いつつ、高校の時もコックリさんをやって、本物が来たらしき状態になったことがある。が、それはまあ、別の話だ。






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最終更新日  2004年06月07日 21時01分37秒
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