カテゴリ:分類不能系
かつての同僚で、叶姉妹のような人がいた。と言っても一人だし、姉妹のように、なんじゃそりゃ的なチチの持ち主でもなかったが、ゴージャスなまきまき髪や、露出狂に近い衣服の選び方、周囲に色気を振りまく様子などが、今にして思えば、姉妹を思い起こさせるような方だった。
男性にも女性にも分け隔て無く、意味不明に色っぽい態度をとるという悪癖はあったものの、彼女は性格は悪い人ではなかった。が、如何せん、洋服の選び方がマズイ。カタイ恰好をしていて当然の職場に、いつもワンピースで登場していたのだ。 とは言っても、ワンピースって一応、正装とみなされたりするので、最初のうちは上の方の人から注意されることもなかった。それで増長してしまったのか、それともワンピースだけに、上を変えたり、下を変えたりのコーディネートによるバリエーションが無いためか、そのうち彼女のワンピースは、良くない方向へとバージョンアップしていった。 たとえば小花模様の、ちょっとフリフリなワンピース。上品と言えば上品だが、ビジネスにはそぐわない。また別の日のワンピースは、色こそ紺に細いホワイトのピンストライプ。お堅い感じだが、腰をおろしたらパンツ丸見え、みたいな長さ。そしてまたある日は、黒のカチッとしたワンピースでやれやれと思ったら、脇に足の付け根まで届こうかという、長いスリットが入っている…… そしてある日、ついに主任が彼女を呼びだし、厳重注意することになった。その日の服装は、ニットのワンピース。前はまあ、普通の丸襟なのだが、背中の方がかなり大きくV型に開いている。ブラジャーしてないってことだよな、おい、と、女同士でも目を剥くセクシーさである。 とは言っても、彼女はものすごくプロポーションの綺麗な人だったので、そういう恰好をしても、なかなか素敵ではあった。だからこそ、そこまでエスカレートしてようやく、イエローカードが出された、ということでもあると、私は睨んでいる。結構、毎日楽しかったと思うから>職場の男性陣 その日の帰り、彼女は「おこられちゃった~」と、主任のお小言を聞かせてくれた。それによれば、「スーツを着ろ」とは言われなかったらしく、「あまり露出度の高いもの、身体に密着しすぎるものは厳禁」と厳命されたそうだ。 「それにしても、今日のワンピースはちょっと、やりすぎだよねぇ」と私が言うと、彼女はペロッと舌を出した。「実はね、これ寝間着なのぉ~~~」 はっ?(・・)←目が点 「アメリカ製の寝間着なのよぅ。でね、ホントは前後が逆なの」 はっ?(@@)←目がぐるぐる 「だからぁ、今背中になっている方が、本当は前なのよぅ。ほらっ」 と彼女は言って、その時点で前身頃になっている丸襟を、べろんとめくって見せた。そこには普通エリのところについているタグがあった(そのくらい、取ってから着て来いよ)。 彼女には天然ボケの、少女のようなところがあって、私は結構好きだったが、寝間着を職場に着てくる感覚は、ついぞ理解ができなかった。 「で、もしやそれ、寝間着として使ったことあったりするの?」 「うん、この前、彼氏と旅行に行った時ね(はぁとっ)」 そ、それにしても、アメリカの寝間着(ネグリジェと言うんだろうか、ああいうニットのやつも?)恐るべし。前があんなに開いていたら、風邪ひいちゃうじゃん。腹巻きしないと、お腹こわすぞ、ってそういう問題ではなく。 彼女はそんな風な人だったが、何と驚く無かれ、正真正銘、アメリカの超一流大学を優秀な成績で卒業している。ただのバカっぽい、ナイスバディではないのだ(ま、仕事はできなかったけど)。 世間的には相当に変な人だろうと思うが、私テキにはかなーり、好きなタイプの女性である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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