2004/12/16(木)18:58
ふく方と私
大富豪の知人がいる。知人と言っても、本当にちょっと知っているというだけ。奥様は「お金を使うのが趣味」と豪語する美人で、しょっちゅうスイスの超高級滞在型エステみたいなところに行っているから、娘さんと姉妹みたいに若い。
そのご夫婦と、これまた知人の画商さんの会話。
画商(以下が)「昨年お買い求め頂いた○○(美術の本とかに出てくる、有名な画家)の作品は、結局どこに飾られることになったんですか?」
奥様(以下お)「ダイニングですわ。でも、ねぇ(と意味ありげに旦那を見る)」
大富豪もしくは旦那(以下だ)「うむ(それっきり黙る)」
お「実はあれ、額縁が重いでしょう? 日本の家屋には馴染まないのよ。ねぇ、あなた」
だ「うむ」
が「それでどうなさいました? まさかあの名作まで、お蔵入りですか?」
お「それも何ですから、ダイニングの壁をね、工事しましたのよ。ね、あなた」
だ「うむ」
お「あの額に耐えられるようにって改装したら、壁もこーんなに厚くなってしまって」
が「○○様のお宅でしたら、壁を1メートルの厚みにしても、お部屋の広さには大して影響はございませんでしょう」
だ「(積極的に)うむ」
お「まあ、それは良いんですけれどもね」
が「では、あの絵は今、ダイニングでご鑑賞されているのですね?」
お「それがねーえ、ねぇ、あなた」
だ「うむ」
お「ほとんど見ていないんですのよ」
が「ええっ、それはまた、どういう訳で」
お「キッチンからダイニングまで遠すぎて、お食事がさめてしまいますの。だから最近、あのお部屋は使っていないんですの。ねぇ、あなた」
だ「うむ」
作り話じゃなく、ほんとーの話である。その画商さんは後で私に吐き捨てるように、「豪邸だって自慢したいのは分かるけど、キッチンとダイニングの距離を考えてないんじゃ、設計ミスじゃねぇか。それに大体、昨日、今日建てた家じゃないんだから、遠くて使ってないダイニングに、そもそも、飾ろうとするなよ。ばかかっ。それにどこでメシ喰ってんだよ」と言ったのだった。私もその意見には大賛成。
バブルがはじけてその大富豪の成金さん、今頃どうしているのかなぁ。