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株式会社SEES.ii

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短編 05 『聖女のFと、姫君のD!』

2020.05.01
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       《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから
                         登場人物一覧は​​こちらから​​

―――――
注意!! こちらは最終話『後編』となります。前編・中編は短編05こちらからどうぞ。
―――――


 10月10日――午後17時。

「……随分と、落ち着いてるんですね? 意外でした」
 横目に私の顔を見つめながら川澄奈央人が言い、宮間有希が「確かにね……ビービー
泣いて取り乱すのかと思ったわ」と不思議そうに言った。
 伏見宮京子は『そんなことはありませんっ!』と怒鳴ろうとした。だが、口をパクパク
させただけで言葉にすることができなかった。
 ……本心であるはずなのに。本当に心の底から、ふたりの戦いを止めたいと願っている
はずなのに……どうしてだろう?
 たぶん……澤社長から岩渕さんに対する殺意、のようなものを感じないからだ。
 だから……かな? 《D》の面々も、似たような心境なのかもしれない……。
 ふたりを止めてはいけない、そんな不文律が、そんな暗黙の了解じみた空気が、その場
を支配していることに、京子は気がついた。
 そう――。
 その場にいる《D》と《F》の人々は、ふたりの男が決着を迎えようとするその瞬間を、
ただ、ただ黙って見つめていた。

「……なぜ、人は争うのか……なぜ、人は自分だけが正しいと信じるのか……」
 伏見宮京子は誰にともなく呟き、目を細めて辺りを見まわす。それから……彼らの交わ
す言葉に耳を澄ました。


「……ガキ、最終警告だ。拳を下ろして目を閉じろ……それで、お前への処分はナシにし
てやってもエエわ……」
「……俺は、アンタのガキ……じゃない……言ったろ? ……アンタは、間違っている」
 澤は沈黙した。
 ただ――激しい呼吸を繰り返し、血と汗とホコリまみれの顔を苦痛に歪める岩渕の顔を
……ただ――黙って見つめていた……。



 澤光太郎……やはり、一筋縄ではいかないな。 
 ふと、京子は、愛する男の頬に触れる感触を思い出した。頼りなげで、儚げで、それで
いてとても優しく……とても愛しい。どうしようもなく――……そう、どうしようもなく
愛おしい男の肌の感触を――。
 殴り合うふたりの男の顔を見つめ、指に嵌めた《カーバンクルの指輪》をいとおしむよ
うに撫でながら、京子はそっと唇をなめた。

 その時だった。
 その時、京子の心の中に、突然、例えようのない黒い霧がふつふつと昇り上がって来た。

 ああ。
 与えたい――。
 岩渕に対する無償の愛。富と名声も、もちろん私自身も含めて――彼になら私のすべて
を捧げても良いと思えた。……たとえ、その裏でいつ、どこで、誰が不幸になろうと構わ
ないとさえ思える。
 そう。
 私だけを愛してくれるのなら……後のことなどもう、後の世界のことなど……一切合切、
私の知ったことではないのだから……。

 そして――京子は、ついに心を決めた。
 欲しい。
 ああ……欲しい。
 すべてだ。こいつらのすべてが、欲しい……。
 そう……《D》を私のものにする。

 もう一度、京子は唇を舐めた。今、ルージュもグロスも塗っていないこの唇で、岩渕の
傷口を舐めたらどんな味がするのだろう? "伏見宮京子"がそんな破廉恥な考えを抱いて
いるなど、誰も想像すらしていないのだろう。そう思うと、そう思うだけで――……私は、
心の中でクスクスと笑っていた。

―――――

 既に、岩渕の肉体は限界を迎えようとしていた。殴られ蹴られ倒されて内出血を起こし
かけていた肺が酸素を求めて悶え、震えるように、折れた肋骨が暴れ狂った内臓は回復を
求めて激痛を走らせていた。『立て』という命令を1秒ごとに送り続けなければ、脚や腕
はその動きを止めてしまいそうだった。

「……もう限界なンやろ? 岩渕、無理すンなや」
 自分の激しい息遣いの向こうに、岩渕は澤の声を聞いた。
「"聖女"も宇津木も《F》も、お前にとっては他人やろ? いったい、なぜだ? 理由が
わからンな。俺様の行動が間違いだと言いたい気持ちも……今はなンとなくわかるが……
それでも、納得はしてやれねえな……正義感か? それとも、そこの"姫"にイイ顔でもし
たいだけか?」

 だが岩渕は、無言で立ち続け、なおも拳を握り続けた。まるで自分ではなく、自分の中
に住む、とてつもなく強い何かの意思が、岩渕の肉体を支配し、それに"動かされている"
かのようだった。
 岩渕は、いや、岩渕と彼の意志を支えている"何か"は――自分が本当に"助けなくては
ならない人物"のことを思い出していた。

 そいつは強かった。そして、その強さに、岩渕は憧れた。
 そいつは岩渕を便利な道具に仕立てるため、厳しく辛い教育を施そうとした。そいつに
はそいつの目的があったからだ。
 どんなに辛い仕事でも持ちこたえられるように、どんなに厳しい現実でも決して絶望し
ないように……そいつ自身も深い悲しみと過去を背負っているのにも関わらず、そいつは
数多くの若者を厳しく育てた。
 そいつは、たとえ、自分が憎まれていたとしても気にはしなかった。自分が他人になん
と思われようが構わなかった。結果――多くの若者が精神的な成長を遂げ、社会という闇
や光に順応できるようになっていた……。
 そう。
 岩渕が立ち、走り、歩き、考え、知り、生きているのは、澤光太郎のおかげだった。


「……俺は、アンタを救いたいだけなんだ……澤さん……」
 澤は何も言わなかった。岩渕はもはや口のきける状態ではなかった。ただ、岩渕の脚を
奮い立たせ、彼の願望を叶えさせたいと祈る"何か"は――ボロボロに果てた岩渕の体を、
半ば強引に維持させていた。――そのことは、岩渕自身、知る由もなかった。

「……見てられねえんだよ。アンタが……そうやって暴れ狂っている姿なんざ……《D》
の誰も、見たくはねえんだ……」

―――――

 永遠にも思われた戦いの果てで、男が「……目を覚まして……くれ」と呟き、静かに、
膝を崩して倒れる光景を――澤光太郎は見た。
「……バカ野郎が、目ならとうに覚めてンだよ……好き放題イイやがって、畜生が」

「岩渕さんっ!」
 離れた場所から若い女の悲鳴が上がった。……いや、それは悲鳴というより――何か、
新しい玩具を与えられた子供のような、狂喜じみた悲鳴だった。
 伏見宮京子……これがコイツの本性ってワケか。澤は心の中でそう思ったが、もちろん、
口に出すことはしなかった。

 "聖地"に響く岩渕の激しい息遣いをしばらく聞いてから、澤は岩渕の肩を抱いて芝生に
寝かせた。それから償いのつもりで、内ポケットに入っていたハンカチで岩渕の顔を拭っ
た。激しく喘いでいた男の呼吸が、少しずつ落ち着きを取り戻したのがわかった。

「……《F》の今後については、お前に一任する……もちろん、何もかもすべてってワケ
にはいかねえが……今回のケンカ……引き分けにしてやるわ」
 その言葉に岩渕は目を見開き、澤の目を強く見つめた。
「……申し訳、ありません」
 未だ荒々しい呼吸の合間に岩渕が言った。「……でも……どうして? ……倒れたのは
俺なのに……どうして……ですか?」
「……簡単なことや……負けていたのは、俺様だったから……やな」
「……?」
 岩渕は何も理解していないようだった。澤はただ、説明は難しいなと思い、背後に佇む
少女の姿をした"何か"の顔を、ただ静かに見つめ返すだけだった。

 本当は少女の姿をビデオに録画したり、写真にして残しておきたかった。もし聞こえる
のなら、少女の声を録音しておきたかった。だがそんなことには、今は何の意味もなかっ
た。たとえそれをしたとしても、他人には絶対に理解してはもらえないのだから。

 ――今回の件、お前にとっちゃあ不満かもしれねえが……俺と岩渕に免じて、勘弁して
やってくれねえか?
 少女の姿をした"何か"は――最初は怒ったような顔をして……困ったような顔をして…
…次に呆れたような顔をして……最後に――
 ――『……またね……サワのおじちゃん……』
 優しく微笑みながら……少しずつ、少しずつ、空気に溶け込むように、消えていった。


 ……どこからともなく湧いて出るクソ、《D》をハメようと画策するクズ、プライドば
かりが肥大する社員たち、団結しているようでしていない《D》のバカ共、自覚の薄いワ
ガママ姫、反抗ばかりするクソガキ、自分勝手で暴力的な社長――……。
 はぁ……難儀な会社になっちまったなあ……《D》は。

「……俺は、クビですか?」
 片腕で両目を覆い、涙ぐみながら岩渕が言うと、澤は笑った。「うるせえぞクソガキが、
お前らは"俺様のガキ"なンだから、いらンこと心配すンな……」
 岩渕はそれ以上何も言わなかった。ただ、ふたりで――大声を出しながら駆け寄ってく
る《D》の人々の姿を見つめるだけだった。
 
―――――

 10月20日――。

 《宗教法人団体フィラーハ》は同日付での解散を発表した。《宗教法人団体フィラーハ》
こと《F》に所属する人数は100名を超えていたが、そのすべての人間が解散に同意した。

 10月以降に発生した《D》と《F》の2組織間における金銭トラブル・暴力事件・児童
誘拐などの事件では、何人もの人々が犯行に関与した。

 愛知県豊田市茶臼岳の山腹にある《F》の本拠地では、《F》の信徒と《D》の社員によ
る大規模な乱闘事件が発生し、80名を超える者が重軽傷を負った。
 だが、《F》の代表である宇津木聖一と、《D》代表取締役である澤光太郎は、司法への
最低限の報告以外をすべて黙殺する方針を互いに決めた。
 
 宇津木聖一が《D》に求める条件として、
 1.《F》及び元構成員への接触を禁ずる。
 2.慰謝料・治療費・賠償金など、互いの金銭の要求・受領を禁ずる。
 3."見舞い金"としての金銭5000万円の要求。
 とのことだった。

 澤光太郎が《F》に求める条件として、
 1.《D》に関係するすべての人物への接触を禁ずる。
 2.《F》の構成員、及び元構成員の愛知県外への移住。
 3.特定の人物の身柄の譲渡。

 以上が提示された。
 茶臼岳の乱闘事件から3日後の13日には、代表者2名による最初で最後の会談が実現
し、合意に至る。ここで、《F》と《D》の示談が成立した。

《F》の人々にとって、《D》の襲撃は到底受け入れ難い行為ではあったものの、その後、
代表である宇津木とその娘であるヒカルによって、治療費の全額負担と、再就職、新たな
住居の手配、経費の負担などが約束された。幸い、後遺症の残るケガを負った者は皆無で
あり、何より、ヒカルの無事が約束されたことに、《F》の人々は喜んだ。

 一方で、多額の損害を被った《D》の代表である澤は、損害と経費の賠償に川澄奈央人
の隠し財産を宛てた。澤の「……お前が裏で宇津木とつるンでたのは知ってるンや」とい
う詰問に対して、自分が一部宇津木と結託してシナリオを作っていたことを認めた上で、
「そもそも僕がいなけりゃ、姫様だって何されてたかわかったもんじゃない。嘘でしょ?
勘弁してくださいよ、社長……」と言った。《F》に強奪された1億の半分近くを、《D》
に没収される形にはなったが、本人は涙を見せるようなことはなく、「まぁ、必要経費だ
と思えば安いものか」とうそぶいているという。

―――――

《D》代表取締役社長の男は、目を細めて田中陽次を見つめた。それから「澤だ」と名乗
って右手を突き出した。
 田中は男の小さな目を見つめ返し、その右手を握り締めようとした。だが、できなかっ
た。田中は会議室のような場所で、安っぽいパイプのイスに座らされ、両手を背後で縛ら
れていたのだ。空気にホコリが混じり、暗く、冷たい部屋だった。

「……気分はどうや?」
 アゴを手でさすりながら澤が言った。澤の後ろには黒いスーツを着た男女が3人いて、
敵意を剥き出しにした目で田中を見つめている。黒いスーツのうちのひとりは恰幅の良い
体形の中年男で、ひとりは腕を組んでいる。もうひとりは口元に白い大きなマスクをして
いた。間違いなかった。ひとりは宮間有希、あの女に間違いなかった。

「田中さん……今日は、アンタに質問したくてここに呼んだンだ」
 腕を引っ込めた後で、澤は上着のポケットから、A4の紙束を2冊取り出した。それは、
とある"動物"のイラストと、外国語らしき文字がびっしりと書き綴られていた。
「てめえ……宮間ぁ……どういうつもりだ? ああっ?」
 田中陽次は澤の背後に立つ宮間の顔を睨み、息を飲んだ。それから、恐る恐る視線を戻
し、澤の目を見つめた。

「ねえ、マグロとカニ、田中さんはどっちが好き?」
 宮間が言い、澤が言う。「お前がコケにした時計3本、"3億"返済の長い旅や。特別に、
選ばせてやるワ。ロシアでカニ捕るか、メキシコでマグロ釣るか……どっちがいい?」
 田中はうっすらと涙を浮かべ、強く唇を噛んだ。
「……許して……くれえ……お願い……です……家も車も売ります……貯金も、投資信託
も解約、します……株式も……何もかも売って……必ず……お支払い、しますからぁ……」
 呻きながら田中は言った。それから――、
 全身に戦慄が走り――凄まじい恐怖に顔を歪めた。

「……悪いな。"《D》の女たち"が、お前を『島流し』にしろってうるさいンだよ……お前
みたいな外道は、『この街に不要』なンだと……だからまぁ、海外行って、死ンでくれや」

―――――

 11月10日――。

 松葉杖を携えた宇津木とヒカルが、大ケガを負った岩渕誠の入院する名大病院の病室を訪
ねて来た。
「岩渕さん……ご無沙汰しています」
 そう言って男女はペコリと頭を下げた。
 ヒカルは今後、宇津木の経営する企業にOLとして就職するという報告を受けた。1週間
ほど前、宇津木と岩渕で協議した結果、《F》は名前と形を変え、長野県の福祉施設の経営
を始める予定だ。社員・従業員は元《F》の信徒たちをそのまま雇用するらしい。
 資本金は宇津木が用意していた。そのことを宇津木に再確認すると、彼は『私の資産も、
これで打ち止めですよ』と言って笑った。
 別に《F》全員の生活の面倒は見なくても良いのでは? とも思ったが、ヒカルのたって
の願いということもあり、結果――宇津木は全財産を《F》のために使った。かつて経営し
ていたファンド会社、資産運用の会社もすべて、自主廃業したらしい。


「本当に……何て、お礼を言ったらいいのか……」
 ヒカルはそう言って、岩渕の座るベッドの前で再び深く頭を下げた。「あの時、澤社長を
止めて下さらなければ……私たちは、死んでいたかもしれません……」
 岩渕は女の肩を抱き、頭を上げるよう促した。
「……見えないところで、社長も《D》のみんなも、《F》への暴力にはそれなりの手加減
をしていたみたいだし……宇津木さん、アンタと俺だけは別だけどな」
 岩渕は軽く笑いながら、苦笑いをする宇津木の顔を見つめた。
「本当ですね」
「体調は? もう退院したんだろ?」
「おかげ様で……完治はまだまだ先ですが、会社の整理は終わりそうです。岩渕様とツカサ
様、澤様には……本当にご迷惑をおかけして……これからは、娘とふたり、一生懸命生きて
みたいと思います……」
 宇津木の言葉にヒカルが嬉しそうに笑った。


 岩渕はヒカルの手をしっかりと握り締める。彼女の体温で胸が熱くなる。彼女の隣では、
宇津木聖一が目を細めてふたりの握手を見つめていた。

「……結局、フィラーハ様、ていうのは、何だったんだ?」
 岩渕がそう言い、宇津木が、「……日本の歴史上、この神の名が使われていた形跡は皆無
でした……おそらくは、権力者によって政治的に利用された密教のひとつ……利用されるだ
けされて捨てられた……そんなところでしょう……」と言ってヒカルのほうに顔を向ける。
「私は……母から娘への愛、死後も誰かを見守り続けたい、忘れないでいて欲しい、そんな
人々の願いの込められた教え、だと思います……いえ、信じたいです」

 目を潤ませてヒカルが言う。「母は最期に、あなたが助けに来てくれることを教えてくれ
ました……岩渕さん、私は、あなたのことを忘れません」

 岩渕は無言で首を振り、もう一度、ふたりと固い握手を交わした。
 心の中で、『こっちは忘れちまいそうだがな』とふたりに言う。

 そう。 
 澤社長の誕生日の件、宮間の俳句の優勝パーティの件、経団連の"噛む"レセプションパー
ティへの参加、新規オープンするハイブランド店への挨拶回り……。
 ……仕事と悩みが山積みだ。岩渕は思った。


 ふたりを見送り、病室の窓の外を眺める
 もし神様がいるとしたら……俺にとっては"女神様"になるのかな? 自分で考えておき
ながら、自分の考えが少しだけ恥ずかしくなり――岩渕は照れくさく微笑んだ。
 
 窓からの秋風が、病室のカーテンを微かに揺らす……。

―――――
 










 最終回オススメはもちろん? sees大好き『女王蜂』様……。


 女王蜂……。
 4人組バンド。それぞれが性別年齢非公開w
 ボーカルはアヴちゃん、こと薔薇園アヴ。ベースのやしちゃん。ドラムのルリちゃん。
ギターのひばりくん。
 ボーカルのアヴちゃん中心のディスコ風ロックの曲調。それにしても……メインのアヴ
ちゃんの声域の広さ・声量の凄さは特筆。幅が広く、丁寧、そしてどこか物悲しい……。
 歌詞は厨二的で切なく、セクシー、破滅的なものが多く、独特の世界観は腐女や腐男に
大うけ。海外でも全然イケると思うけどな……。
 それにしてもアヴちゃんは美しい……あの狂気じみたヴィジュアルとパフォーマンス、
すぐに好きになりました。




 いいねいいね……ゾクゾクするぅぅ。




 雑記

 お疲れ様です、seesです。
 最初に言い訳をいくつか。
 最終話、更新大幅に遅れてすみません。いやね、もうホント大変でした。
「さーて作るどー」のタイミングで志村けん師匠の急死……泣きながら過ごしているうちに
数日たち、なかなかダメージが深く、立ち直るのに苦労しました。

 seesの勤める会社でもコロナ騒ぎがあり、もう大変……。実際はインフルを患った若手
社員がいて、そやつが顧客に吹聴してしまってネットに情報漏洩……クレーム案件で社長
激オコ(# ゚Д゚)……とんでもなく社内が荒れた日々がありまして……。

 そして最終話、いかがでしたかね? 最終話は豪華版として4話ほどまとめ更新しようか
とも考えましたが、すまんです。結局我慢もできず、中途半端なタイミングで順次公開の
流れになりました( ;∀;)ア~ア

 今回の話の総括ですが、結局、seesは澤さん大好きってことでまとまりました💦💦💦
最終話『中』の話がすべてです。それまでの川澄氏の行動や、Fのなんちゃらかんちゃら
など、実際はどうでもいいことなのです。ただ物語の構成上、仮想敵、みたいなくくりで
のキャラ設定が欲しかっただけ(#^.^#)テヘヘ

 方向性としては、やはり京子様のひとりだち(キャラ立ち)を最優先として、キャラク
ターたちにバンバン個性を与えていきたいな~みたいなww
 今後は京子様の2面性と、Dの総務部長こと熊谷部長、生贄役として若手を何人か作ろ
うかと……ということで……次回は……。まあ、⇩見ればわかるかなww

 しばらくお休みしていたショートショートも何本か作ろうかなと考えていますので、
次のDはその後かな……。
 何にせよ、コロナ、早く終わらないかな……微力ですが、seesも世界平和を祈ります。


 私、seesに関しての情報はもっぱら​Twitter​を利用させてもらってますので、そちらでの
フォローもよろしくです。リプくれると嬉しいっすね。もちろんブログ内容での誹謗中傷、
辛辣なコメントも大大大歓迎で~す。リクエスト相談、ss無償提供、小説制作の雑談、いつ
でも何でも気軽に話しかけてくださいっス~。"イイネ"もよろしくぅ!!

 でわでわ、ご意見ご感想、コメント、待ってま~す。ブログでのコメントは必ず返信いた
します。何かご質問があれば、ぜひぜひ。ご拝読、ありがとうございました。

 seesより、愛を込めて💓





           適当ショートショート劇場 『コロパニック』

sees   「『ずっまよ』のコンサート……延期だった……』」
後輩   「えーーっ! seesさん、チケット取るんだ―って騒いでましたよねw」
sees   「うん……エメさんも、ポルカも、ヨルシカも、コンサート延期やら、中止って……」
後輩   「うわあ……最悪すね」
sees   「ホンマやで……好きな人に会いに行けないのは……つらひ( ;∀;)」
後輩   「……(きもいな)」

―――――

sees   「マスク、もうないアル……後輩ちゃんは?」
後輩   「昨日――アオキスーパーの開店並んで買いました。って言っても20枚ほどだけど」
sees   「……洗ってもいいのかな?」
後輩   「イイとは思いますけど、先輩、アルコール液とかは持ってます?」
sees   「ないけど……会社の備品、少しだけパクってもいいのかな?」
後輩   「……(ダメだコイツ)」

―――――

sees   「トイレ紙はまだ余裕あるけど……箱ティッシュが、もう残り少ない、どうしよう」
後輩   「(うぜえな)……うーん、子供用のポケットティッシュなら、まだ薬局にあったよ」
sees   「えー……できれば鼻セレブ使いたい……」
後輩   「はあ? 何を贅沢いってんすか? 来週には大量に入荷するって世間は言ってますよ?」
sees   「うう……もうダメだ……ワシは、もう、ダメだ……殺して……」
後輩   「う……(唐突にメンヘラ? マジでキモいな……)」

     (だいぶ前に作ったオマケ、今はもう大丈夫)(#^.^#)

―――――

sees   「いっそコロなりたい……コロなりたい……そしたら2週間の有給確定……ああコロ
      なりたいコロなりたいコロなりたい……ブツブツ」
後輩   「ww(壊れたww)。有給なんてダメに決まってんじゃないスか~(# ゚Д゚)」
sees   「そんなことないもんっ! ウチ、コロなって休むもんっ! 給料もらったまま、病院
      で隔離されるんだいっ! (そしたらいっぱいブログ更新するゾ(*´σー`)エヘヘ)」
後輩   「……これが、"疲れた現代人"のホンネか……」
    
     3月に作ったオマケ部分。現在では、心境も全然違います。
     これは国難です。早期の収束を願います……。


                                     🌬了🤧




こちらは今話がオモロければ…ぽちっと、気軽に、頼みますっ!!……できれば感想も……。

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―――――

 岩渕の病室を出たヒカルは、ナースセンターの前のラウンジに座る伏見宮京子の元へと
向かった。
 岩渕への別れの挨拶の際――別に彼女が同席していても良かったはずだった。けれど、
京子はここで待つと固辞した。何か気を使うことでもあったのだろうか?

「……私は少し、川澄様と会う予定がある。ヒカルも最後に、京子様と挨拶してきなさい。
終わったら……病院の入口で待ち合わせよう……」
 ヒカルの返事を待たずに、宇津木はエレベーターに乗って行ってしまった。
 ……お話があるなら、岩渕さんの病室ですれば良かったのに。
 そんなことを思いながら、ヒカルはナースセンターに向かった。そして、ひとり静かに
何かの本を読みふける京子の前に立った。

 伏見宮京子はとても上機嫌のように見えた。朗らかで、嬉しそうで、ヒカルの言葉ひと
つひとつに丁寧に対応し、眩しいくらいの笑顔を向けた。本当にキレイな人だ。ヒカルは
思った。真剣な顔は人形のように美しく、くだけた表情はアイドルのように可愛らしかっ
た。顔は小さく、瞳は大きかった。背は高いとは言えないが、上品な佇まいは存在感をよ
り大きく見せていた。後で聞いた話によれば、岩渕さんとは互いに想い合っているらしい。


「ねえ……ヒカルさん、ちょっと、いい?」
 しばらく世間話をしてから、京子はヒカルをナースセンターの奥へと誘った。
「えっ? ここは関係者以外の人は……」
「ああ……ちょっと"機械"を使わせてもらうだけだから……婦長さんにも許可はいただい
てますから……」
 京子はヒカルの手を取ってナースセンターの奥へと歩き、様々な医療器具や書類や本や
コピー用紙やコピー機が乱雑に置かれている一角へと入った。
「……京子様、いったい、ここで何を?」
「えーと……ヒカルさんにはお願いしたいことがあるんです」
 京子が屈託のない笑顔を向けて話すので、ヒカルもまた、ぎこちなく微笑んで彼女の顔
を見つめ返した。これまで彼女にしてきたことを考えると、申し訳ない気持ちで胸がいっ
ぱいになる。

 その時――
 京子が次の言葉を発した、その時――
 ヒカルは――
 凍りついた。

「この、"神託"――でしたかね? このノート、そこのシュレッダーで切り刻んで下さい」

 ジジジジジジジジジジジ……。

 その裁断機は、ヒカルのすぐ目の前で、無機質な音を規則的に流し続けた。
「な、何で……姫様が、それを?」
 そう。ヒカルが何年もの間書き綴った――母の愛と、母への愛が詰まった――そして、
京子がラウンジで読んでいて――今、まさにシュレッダーの入口へとセットされたものは
――紛れもなく、フィラーハ様の"神託"のノート、そのものだった。

「私がコレをどこでどう手に入れようと、別にどうでもいいことじゃあないですか……」
 京子は微笑んだ。

 ジジジジジジジジジジジ……。

「……澤社長や岩渕さんから処分を命じられたわけではないのでしょうけど……ヒカルさ
んにはもう、コレ、不要、なんですよね?」
「――ひっ」
 小さい悲鳴を上げてヒカルは後ずさった。その瞬間、京子の冷たい手がヒカルの華奢な
手首を掴んだ。
「《F》はもう終わったんですよね? 滅びたのですよね? フィラーハ、とかいう――
"神様もどき"は、死んでしまったんですよね? なら、最後の介錯は、"聖女"である楢本
ヒカルさん……あなたにしてもらった方が幸せじゃなくて?」

 ジジジジジジジジジジジ……。
 ジジジジジジジジジジジ……。
 ジジジジジジジジジジジ……。

「そんな……いやっ……いやです……許して……京子、様……」
 もはや悲鳴は出なかった。ただ、脚が震え、瞳から涙がポロポロと流れただけだった。

 ジジジジジジジジジジジ……。

「他の"神託"は既に燃やして灰にしました。ふふふ……お庭で"焼き芋"をしたなんて、
子供の頃以来でとっても楽しかったですよ……」

 ジジジジジジジジジジジ……。

「……ほら、後は、ノートを少しだけ機械の奥に押し込むだけですよ? それで、《F》
の消滅を認めます。それだけで、私は《F》のすべてを許します、よ?」
 京子がニッコリと微笑み、冷たく、湿った手でヒカルの手首をシュレッダーに近づけ
る。信じられないほどの強い力で腕が引かれ、"神託"の端に掌が触れる。

 ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ……。

 もう、逃れる方法はなかった……。
 あまりの恐怖に、ヒカルは息をするのも忘れた。

 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ……。

 かつて、私に、
『伏見宮京子を殺せ』
 と命じた声が――
『畜生っ! 貴様、絶対に殺してやるっ! 絶対にっ殺すっ!』
 と怨嗟を誓い――
『助けて……お願いだぁぁ……死にたくないぃ、死にたくないぃ……』
 と慈悲を媚び――
『やめてっ! やめてーっ! あああああああーっ……』
 と凄絶な悲鳴を上げ――
『ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ
 ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ
 ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ……』
 と、断末魔の悲鳴を上げるのを――ヒカルは聞いた、聞き続けた……。


 もはやヒカルは何も思わなかった。何も考えなかった。ただ、フィラーハ様という存在
は、死んだのではなく――伏見宮京子に殺された、ということだけはわかった。

 やがて……"神託"は紙1枚残らず切り刻まれ、やがて、糞尿の付いたオムツや髪の毛や、
生ゴミやお菓子の食べカスや、使用済みの検尿カップやボロボロになった雑巾や、破れた
手袋や靴下や下着と一緒になって1枚数円の廉価なポリ袋に放り込まれ、ヒカルが"聖女"
であった証も、かつて《F》の"神"であった歴史すらも――ゴミのように廃棄された。

 そして……"ただの人"となったヒカルの前から、永遠に消滅した……。


「宗教戦争における敗北は、"神の死"あるのみ……あぁ、おかげ様でスッキリしました。
……では、ヒカルさん、ごきげんよう」
 呆然自失するヒカルの前を通り過ぎ、京子は高らかに笑いながら、岩渕の病室へ向かっ
て歩きはじめた……。

―――――

 澤光太郎、岩渕誠、宮間有希、鮫島恭平に引き続き、宇津木聖一は"川澄奈央人"の素性
を調べるため、個人的に交友のあった探偵社に調査を依頼した。依頼を引き受けた調査員
の男は、その多額の報酬に驚いたものの、喜んで調査を開始した。

 数日後のことだった。宇津木がいつものように事務所で仕事をこなしていると、調査を
依頼した探偵社から小包が届いた。さらに探偵社から手紙と思われる封筒が一冊届いてい
た。小包と一緒に送ればいいだけのこと、にも関わらず、である。
 
 不審に思いつつも、宇津木は小包を開けた。

 瞬間、宇津木は震えあがった。
 小包に入っていたのは、調査を依頼した探偵社の社長の"名刺を握った手首"と、実際に
調査を行っていた若手社員の"名刺を握った手首"だったのだ。生身の、人間の、手首――
宇津木はすぐに探偵社に電話を入れたが、返答は要領を得なかった。
『社長と彼とは、ここ数日、連絡が一切取れない』
『あなたはどこの誰ですか?』

"川澄奈央人"のことを話したのはふたりだけ、そのふたりが行方不明となり、そのふたり
のものらしき手首が宇津木の目の前に届けられたこと――。わけがわからなかった。その
"川澄"がここまでの危険人物だとは想像だにしていなかった。

 宇津木は恐怖にうち震えながら、届けられたもうひとつの封筒に手を伸ばした。封筒の
中身は便箋が1枚だけ入っていた。
『電話を待つ』
 それだけだった。手紙の中身は短い文章と、携帯電話と思われる数字の列だけだった。
 無意識に宇津木は顔を強ばらせた。
 無意識。そう。無意識に、宇津木は自身の防衛本能が「電話しなければ死ぬ」と信号を
発したのを感じた。このメッセージを無視すれば、自分は死ぬ――。必ず、死ぬ。必ず、
殺される。
 しばらくためらったあとで、宇津木はデスクの上の携帯電話に手を伸ばした。指が猛烈
に震えていた。


「……あなたは、誰ですか?」
 小さな電話を握り締めて言う。
 数秒の沈黙があった。それから……耳に無機質で機械的な声が届いた。
『……なぜ、"川澄奈央人"を調べる?』
 相手は、何らかの機械で声質を変えているらしかった。
「なぜって……あなたは"川澄奈央人"本人ではないのですか?」
 痛いほど強く電話を握り締めて言う。心臓が痛いくらいに高鳴っている。
 電話の向こうの相手は、少しだけ困ったような声を出した。
『……"川澄奈央人"は死んでいる……私が殺した……20年以上の、昔だ……』
 その声には抑揚がなく、ひどく聞き取りにくかった。
「殺した? 私の知る川澄とは……別人、ということですか?」
 宇津木が聞き、電話の相手が『川澄家……3流ジャーナリストのくせに……もう……
あの赤子が……奈央人……殺した……一家全員……始末したはずなのに……』
「……川澄奈央人さんなら、生きていますよ?」
 電話の相手が、『それはありえない』と応えた。
「それじゃあ……どういう……」
『そうか……戸籍売買か……そうかそうか……子供の名前だけでも残したか……』
「わけがわからないっ! 私は関係ないぞっ!」
 ついに宇津木は叫び声を上げ、自分でも驚くぐらいに体を震わせた。
『……"川澄"は偽名だ……カネで買った戸籍だ……うかつだった……まさか、"その後"の
ことで私の平穏が乱されるとは……杞憂で……良かったな? 宇津木……』
 電話の向こうで相手が笑った。確かに、笑った。
「……私を、どうする気だ?」
『別に……名だけを名乗るだけなら問題ない……ただ――私のことを知ろうとするな……
知ろうとするのなら……殺す……お前も、娘も……誰ひとり残さず……死んでもらう』
 相手はどことなく、安堵した口調だった。

「……わ、わかった」
 助かったと思いながらも、宇津木の声は震えたままだった。

『"川澄奈央人"に伝えろ……"空中庭園"は私のモノだ……庭園も、財宝も、何もかも、
すべて……お前も、川澄ハヤト……川澄ナナ……川澄ハルカ……そして、川澄ナオト、
アイツら家族のように……"庭園の肥やし"になりたくはないだろう? とな』

 電話が切れた。

―――――

「……以上だ。だから――私は計画を極端に早めた。ここには……この名古屋の地には、
もう1秒だって居たくはない……いや、居られないのだ」
 宇津木の報告を聞き終わり、呆然と宙を見つめる。……なるほどね。
「……川澄様も、いや――偽名でしたね……できるなら、あなたたち《D》とは金輪際、
関わり合いたくはない……私も、娘を守りたいのだ……」
 川澄の反応を待たず、宇津木は松葉杖を脇に回し、振り向かずに歩き出した。呼び止め
る気は起きなかった。聞きたいこと、確認したいことは聞き終えた。

 そう。川澄は知りたかった、ただそれだけのことだった。
 宇津木がカネにモノを言わせて"僕"を調査できる限界――。
 僕個人の情報の漏洩具合――。
 "川澄奈央人"の戸籍(父親からは浮浪者から買い取ったと聞いていた)のルーツ。

 まさか、僕の父親に戸籍を売った後、一家皆殺しにされていたとはね……。

 おそらく――川澄の父親は自分以外の家族が殺害された後、しばらくは名古屋の浮浪者
として身を隠すが発見され――何らかの情報の秘匿を口実に始末されたってところか……
怖いねえ……あー怖い怖い。

 怖かった。
 怖かったし、恐ろしかった。何より、相手の正体が何も掴めず、性別すらも不明だった。
 でも……。
 でも……。

《空中庭園》と、その財宝か……イイねえ。最高にワクワクするよ……あはは……。
 興味深かった。
 そして何より、カネの匂いがした。
 莫大で――数えるのもバカバカしくなるくらいのカネの匂い……。
 かぐわしく、芳醇で、妖艶で、悪魔的な魅力のある香り……。
 
「これは、ぜひともご相伴にあずかりたいですねえ……当然、アンタもそう思うだろ?」
 興奮に顔を歪めながら、川澄は岩渕の待つ病室へ歩く。
「……僕たち、友達でしょ? なら、手伝ってもらいましょうか……岩渕さん……」
 川澄は舌で唇をなめ、静かに微笑む。

 どこからか吹く秋風が、川澄のスーツと髪を微かに揺らす……。

          
                                   了










Last updated  2020.05.02 21:28:45
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2020.04.23
​​ss一覧   短編01  短編02  短編03​  短編04  短編05
​​
       《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから
                         登場人物一覧は​こちらから

―――――
注意! これは《中編》です。《前編》含むあらすじは短編05からどうぞ。
―――――

 10月10日――午後16時。

 楢本ヒカルは"聖地"の入口に佇んで、その向こうに広がる景色を眺めていた。
 ……ああっ、そんなっ……信じられない。こんなこと……信じられない。
 広大な芝生の中央では、何十人もの人々が倒れて地に伏せている。男も女も年齢も関係
ない。泣き叫ぶ子供もいれば、ピクリとも動かない老婆もいる。そのさらに中心には、鉄
の棒を持ち、黒いスーツを着た集団がいた。

 ヒカルが駆け寄ろうとする直前に、それを察知したかのように――隣に立つ男が彼女の
腕を掴んだ。腕から背、背から脳へ、冷たい戦慄が走り抜けた。
「……忠告はする。ヤメておけ」
 確か――鮫島とか呼ばれていた男は、振り向いた女の目を見て力を強めた。「あそこに
行けば、お前は死ぬ。お前の周りも死ぬ……諦めろ」
「そんな……それじゃあ……誰も……」
 ヒカルは既に泣いていた。温かい涙がとめどなく流れ落ち、頬や首筋を伝って肌を濡ら
し、激しい吐き気が胸を襲った。
 見られたくはなかった。鮫島にも、川澄にも、宮間とかいう女にも、京子様に対しても
さえ――見られたくはなかった。見られたくはなかったのに、涙が止まらなくなっていた。

「……別にいいんじゃないスか? 死ぬワケじゃあないんでしょ?」
 まるで私に"生贄"になれと言わんばかりの口調で川澄が言う。この男の考えていること
だけは本当にわからないことばかりだ。
「お前は黙っていろ……川澄。……アンタも、変な気は起こさないほうがいい。"アレ"は
……危険だ」
 鮫島が繰り返した。
「でもっ……でもっ……」
 恐怖に震えながらヒカルは身をよじり、男の腕を振り払おうとした。田中にロープで縛
られた痕がヒリヒリと痛んだ。

「あーあっ、早く助けに行かないとー……宇津木さんが死んじゃうなあーっ」
 わざとらしく発せられた川澄の声に、ヒカルの心臓が激しく高鳴った。
 宇津木さんっ!
 いてもたってもいられなかった。ヒカルは制止する鮫島の腕を振りほどいた。一瞬だけ
息が止まり、一瞬だけ躊躇する。だが、次の瞬間にはもう、呼吸を再開させ、肺に思いっ
きり空気を吸うと同時に――走り出した。
「ああっ……今、行くわ……宇津木さん、宇津木さぁん……父さん」
 どんな理由や理屈があったとしても……ずっと傍にいてくれた。ずっと助けてくれてい
た。ヒカルが走る理由は、それだけで十分だった。そう思うと、また涙が滲んだ。

「……ッ、知らねえぞ」
 背後から鮫島の声が聞こえ、直後に川澄が笑った。「さあ、みんなで見に行きましょう
か……この物語の決着を……」

―――――

 澤光太郎の記憶の中の母はいつも疲れたような顔をしていた。そう。目を閉じると今も、
疲れて溜め息をつく母の姿が浮かんでくる。
「母ちゃん、疲れているの?」
 ずっとずっと昔――澤は母にそう聞いたことがあった。すると母は、「あのね……うち、
父ちゃんも母ちゃんもね……」と言ってしばらく何かを考えていた後で、「……騙されて、
お金を取られて、貧乏して、悲しいの……イヤだね、貧乏って……アハハ……」と言って、
疲れたような笑みを浮かべた。

 その瞬間からだ。
 その瞬間から、澤は幼心に決めたことができた。
 ……人生とは、バレなければ何をしてもいい。強盗でも、放火でも、殺人さえも、世間
に発覚しなければ何をしてもいい、と思った。
 だが、許せないこともある。
 それは――……

「……ようやく来やがったか、クソったれ野郎が……」
 弱者を嘲り、自分が強者と勘違いする者―― 
 弱者をいたぶり、ほくそ笑む者――
 弱者を騙し、カネを得る者――
 それだけは、絶対にっ、許せなかった。

―――――

 手の甲で頬に伝わる涙を拭い、足をフラつかせながらヒカルは駆けた。そして、宇津木
のそばに――顔じゅうに青アザができ、口からおびただしい量の血を吐き、逆方向に骨が
曲がった手足や指を大の字に広げた格好で地面に倒れた宇津木のそばに歩み寄った。
「……ヒカル、様」
 "聖女"を見上げ、宇津木が呻いた。
「"様"はもういらないっ! いらないんだよっ! だからっ!」
 膝を崩しながらヒカルは叫んだ。「死なないでっ! 父さんっ!」
 涙と鼻水で顔をグチャグチャにしながら、ヒカルは叫び続けた。「何で言ってくれなか
ったのっ? 何で私なんかのためにっ! どうしてっ?」

「……お前の母さんとの約束なんだ……楢本家は代々、"そういうもの"らしい……だから、
済まなかった……」
 囁くように言って宇津木は目を閉じた。そして、ヒカルは宇津木の首に腕を伸ばし、しっ
かりと抱き締めた。



「俺様を無視するなンざ、エエ度胸しとるなあ? クソ女……」
 中年の男の野太い声がし、辺りを見回すと、そこには大勢の人々がいた。時間は夕暮れ、
景色はオレンジ色に染まり、人々の顔には影が差し、誰が誰かはわからなかった。
 ヒカルは影の差す人々の顔をのぞき込んだ。そこには――同じような黒いスーツを着て、
彼女と宇津木を取り囲むように立ち並び――怒りと軽蔑の眼差しを向ける男女の顔が無数
にあるように見えた。

 怖い。
 信じ難い恐怖に、ヒカルの体は硬直した。

 人と人との間に見える向こうに、倒れて動かない別の人々が見えた。芝生の上に倒れて
いるのは大人だけではなく、老人や子供もいる。学生らしき制服を着た若い少年や、妊婦
らしきお腹の大きな女性もいた。
 ヒカルは神の名を叫ぼうとした。"神はいない"と信じかけていたはずなのに、"神も神託
も嘘っぱち"だと思いかけていたのにも関わらず、ヒカルは神の名を叫ぼうとした。
 
 ……フィラーハ様。
 だが、まるで金縛りにでもあったように、口はおろか、体もまったく動かせなかった。

 ……助けてください、フィラーハ様。私を……どうか……私たちをお救いください。
 ヒカルは祈った。祈り続けた。
 次の瞬間、ヒカルの周囲から、豪雨のような罵声が浴びせられた。

「下劣な詐欺師女っ、死ねっ!」
「イカれた犯罪集団めっ、消えろっ!」
 全身を戦慄が走り抜ける。
 恐怖に目を見開いて両手を握り、天を仰いだ。

「死ねっ!」
 黒いスーツを着た大勢の人々が自分をなじり、けなし、罵声を浴びせ続ける。
「死ねっ!」
 スーツを着た人々はジリジリと歩みを進め、少しずつヒカルを包囲していく。
「死ねっ!」
 ヒカルは恐怖に凍りつきながら、目を閉じた宇津木を抱き締め続けた。
「……助けて……フィラーハ様……誰でもいい……誰でもいい、から……」

 ヒカルがすべてを諦め、絶望し、腕に抱く宇津木と同じように目を閉じようとした――
その瞬間、その時――風が止み、夕凪が訪れた。


 空気の振動が止まり、溢れていたヒカルへの罵声が止まる。
 "聖地"に静寂が訪れたその瞬間――再び罵声を続けようとしていた男女の壁の隙間から、
ひとりの男が姿を見せた。

「……うんざりだっ!」

 ヒカルの目の前に立った男が叫んだ瞬間、全身に痺れるような電気が流れた。
「もう、たくさんだっ!」
 ああっ……本当に? 
 本当にっ? 
 ヒカルはまた涙を流した。
「こんなことをして何になるっ?」
 助けに来てくれた……私を……こんなどうでもいい女のために、こんなどうしようもな
い人間のために……。

「俺たちはっ、何も変わらねえじゃねえかっ!」
 それは……投げやりで、乱暴で、とても……とても力強い声だった……。

 そうだ。間違いはなかった。フィラーハ様の名を道具のように使い、世間を欺き、大勢
の人々を操り、騙し、結果としてカネを搾取していたような私を――この、この岩渕誠と
いう男は助けに来てくれた。助けに来てくれたのだ。

 助かる? 
   いや、そんなことはどうでもいい。どうでもいいのだ……。
 助けに来てくれたこと。彼が来て、私の前に立ってくれたこと……。それだけが大切な
ことなのだ。
 そう。ヒカルは"神託"の最後の言葉を思い出した。最後に切り抜いて胸にしまった"神託"
の最後のページの文章を思い浮かべた。自分で書いた、自分の運命を思い返した。

『もしこれが夢でなく現実となるならば、私は母の死を受け入れ、"神託"を捨てる』

 ありえる話ではなかった。私を助けてくれる者など、生涯現れるはずがなかった。何も
ない、何の"力"もない私を助けてくれる者などいるはずがないのだから……でも。
「ヒカルさん……無事か? 宇津木は……ヤバいな、意識がないのか?」
  呼吸を荒げて岩渕が言い、ヒカルはまた涙を浮かべ、強く唇を噛んだ。

「ムシのいい話だけど……助けて……助けて、岩渕さん、岩渕さあん……私と、父さんを
……助けて……お願い……」
 呻きながらヒカルは言った。それから、服の袖で涙と鼻水を拭った……。

 夕凪は止み、また小さな風が吹きはじめ……岩渕もまた――小さな笑みを浮かべた。

―――――

 腕を組んで仁王立ちする澤社長を、岩渕はじっと見つめた。夕日の加減か、澤の顔は鬼
のようにも見えた。
「……茶番は終わりか? 小僧……」
 組んでいた腕を解いて澤は、倒れた宇津木とそれにすがりつくヒカルではなく、岩渕を
睨みつけた。……どうやら、俺を助けに来てくれた、というワケではなさそうだ。

「社長……もうヤめてくれないか?」
 岩渕は目に力を込め、澤の目と視線を合わせた。「こんなことは間違っている……こん
な……暴力で何かを解決するなんて……バカげている」
 そうだ。間違っているのだ。その気になれば、平和的に解決することなど容易にできる
のだ。方法などいくらでもあったのに……。

「……岩渕、俺様はなぁ、これまでお前にいくらのゼニを使ったのか、わからないのか?」
 岩渕のほうに一歩踏み出し、澤が言った。その言葉は、まったく自分の予想していたも
のとは違っていたので、岩渕は思わず顔を歪めた。
「……わからないのか? 本当に? お前はここまでバカなのか?」
 何人もの人を殴り血の付いた特殊警棒を片手に握り締めたまま、まるで九官鳥のように
澤が繰り返した。「わからないか? 本当に? 本当にわからないのか?」
「……仕事への報酬、だとは思っています」
 込み上げる恐怖を堪えながら、岩渕は言った。「感謝はしています……ですが、やはり、
あなたは間違っている……」
「……間違っている? だと? なあ、単純計算で5000万だ……5000万だぞ? ……そ
れだけの価値と報酬をお前に与えた……お前は、そンな俺様の"情け"と"恩"をアダで返す
のか?」
 澤がまた一歩踏み出し、60センチほど岩渕に近づく。周囲に並ぶ《D》の社員たちの
顔が緊張に強ばむ。
「……何と言われても、何度でも言います……アンタは間違っているっ!」
 凄まじい恐怖を堪えて、岩渕は言う。間違ってなどいない……間違っているものか……。
「社長、引いてください。そして、《F》のための治療と慈悲を……頼みます」
 澤がまた一歩踏み出し、さらに60センチほど岩渕に近づく。そんな澤の顔を岩渕は、
まじまじと見つめた。

 ……鬼、か。
 岩渕にとって、今の澤は正真正銘の"鬼"に見えた。
 この雰囲気――まるで悪霊が憑りついたような、怒りと憎しみに支配された者が宿す姿。
そして――あの目……不安げで、悲しげで……孤独に泣いてしまいそうな人間の目。様々
な情念が複雑に交わったような……そんな姿と目をして……どうしてこんなことに?   

 次の瞬間、"鬼"は岩渕に襲いかかった。
「――たわけがっ!」
 血まみれの警棒を捨て、一足で岩渕の懐へと移動し、そのままスーツの襟を掴まれる。
凄まじい力で首を引き寄せ、澤は岩渕の顔面に拳を叩き込み殴り倒した。
「があっ!」
 奥歯が一撃で破壊され、瞬く間に口内で血が溢れ――眩暈がするほどの強烈な鉄の匂い
を嗅ぎながらも……岩渕の意識は失うことを許さなかった。

「岩渕よ……お前、本当――変わっちまったなぁ。原因は、やはりアレか?」
 澤が拳に付着した血をスーツの裾で拭いながら言った。「……あの姫は、やはり俺様に
とっては疫病神……甘く見てたがや……追い出すか? 岩渕……」

 "鬼"――。
 岩渕は怯んだ。決闘での勝ち目があるとは思えなかった。
 けれど……岩渕の中にある何かは怯まなかった。
「……それ以上のことは言うな。例えアンタでも……それだけは許さない……」
「はあっ? 調子に乗ンなやっ! クソガキッがっ!」
 澤が絶叫し、岩渕は立ち上がって拳を固めた。

―――――

 ようやく辿り着いた"聖地"の中心で、彼と澤社長が殴り合っている光景が見えた。
 私はすぐにでもふたりの間に割って入り、この戦いを終わらせようとした。意味がわか
らなかった……ううん、そもそも意味なんてものがあるとは思えなかったから。
 でも……できなかった。
 急いでふたりの前まで駆けようとした私の肩を、川澄奈央人が掴んだのだ。
「……行かないほうがいいですよ? ……いや、行くな」
「なぜですかっ?」
「おそらく――今の社長にとって姫様は……潜在的な"敵"ですからね」
 私は川澄の目を見つめた。普段とは違う、とても冷静で、とても真剣で、とても自然で
……それでいて優しげで、まるで岩渕さんのような目――私は川澄の隣に子犬のようにう
ずくまった。

 澤社長の拳が岩渕さんの顔や胸やお腹に叩き込まれる。その度に彼は立ち上がり、低い
呻き声と共に澤社長へと殴りかかる。
「岩渕さん……」
 目を閉じ、彼のために祈る。祈り続ける。

「……まるで親子ゲンカね」
 後から来た宮間有希が言う。何を言っているのか理解できなかった。
「宮間さんは……知っていたんですか? こうなることを……」
「うーん……」
 腕を組んでふたりの戦いを見守りながら宮間が言う。
「状況を見なさい。周りの《D》の社員たちはただ呆けているワケじゃあないわ。きっと
こうなることを"誰か"に示唆された可能性があるわね。たぶん……熊谷部長だと思うケド」
 そうだ。澤社長と岩渕さんが殴り合っているのにも関わらず、周りの《D》の人たちは
静観を貫いている……でも……でも……どうして? どうして止めてくれないの?
「……《F》が《D》を利用したように、澤のダンナもまた――この騒動で"変わりたい"
と思ってんじゃあないのか? 言葉には出さねえが……」
 煙草の煙を空に向けて吐きながら鮫島恭平が言う。「不器用なんだよダンナは、だから、
周りが察しなきゃならねえ……《F》の連中が許せねえっ、てのも本音だがな」
「……じゃあ、私はどうすればいいの? どうすれば、ふたりを止められるの?」
「さぁね」
「そのうち終わるんじゃない?」
「死にはしねえよ」
 無力感が襲い、京子の顔はみるみる紅潮し……やがて、涙が出てきた。涙は次から次へ
と溢れ出て、芝生の上にポタポタと滴り落ちた。
「……今度は泣いても終わりませんよ?」
 私の涙を見て川澄は笑った。そっと私の顔をのぞき込み、私の顔を見てさらに笑った。
それが悔しくて……憎らしくて……強い怒りさえ込み上げ――私は怒鳴った。

「あなたたちはっ! そこに立っている《D》もっ! 武器を捨ててっ、《F》の人々を
介抱しなさいっ! 《F》の全員が無事でなければ、私はあなたたちを許さないっ!」
 怒鳴った。
 怒鳴り続けた。
 伏見宮京子は、声を枯らして怒鳴り続けた……。

―――――

 岩渕誠と澤光太郎の戦い――。
 それは壮絶な戦いだった。

「――こいつらはクズだっ! 社会に巣食う虫ケラだっ! 気でも狂いやがったンかっ? 
クソガキィッ!」
「だとしてもっ、狂っているのはアンタも同じだっ!」
 澤は岩渕の顔面へ拳を放ち、岩渕は澤の拳を頭頂部で受け止めた。拳を痛めて一歩引い
た澤の顔面に、岩渕はそのまま頭突きを食らわせた。
「――チィッ! しゃらくせえンじゃっ、ボケェ!」
 獣のような咆哮を吐き、澤はなおも岩渕に突進する。

「あの女が原因かっ? あの女と出会ったからっ、お前は俺に逆らうのかっ?」
「黙れっ! 京子は関係ないっ!」
 澤が岩渕の下腹部めがけて前蹴りを見舞い、岩渕は悶絶しながらも澤の脚を掴んで芝生
へと放り投げた。

「出会わなけりゃあ良かったンだっ、あの女の出現で、お前はお前じゃあなくなったっ!」
「俺は俺だっ! ただアンタの間違いを正そうとする、ただの人間だっ!」
 岩渕の拳が澤の顔面にめり込み、今度は澤の奥歯を破壊した。澤は折れた奥歯を出血と
共に岩渕の目へと吐き、怯んだ岩渕の脇腹へ蹴りを入れた。
「ぐぅぅ……」
 血ヘドを吐いて芝生の上を転げ回っても……未だ岩渕の意識は明瞭のままだ。……イラ
イラする。野郎……さっさと諦めやがれってンだ。

「俺様の命令だけに従ってりゃあ良かったンだ……それだけで、お前には何もかも与えて
やれたのにっ……」
「うるせえ……だったら俺はもう……何もいらないっ!」
 へし折れた肋骨に片手を当てながら、岩渕はなおも拳を澤の顔めがけて飛ばした。澤は
向かってきた拳を掌で受け止め、内臓が破裂するほどの力を込めて腹を殴った。
 
 そう。膂力の差は歴然だった。歴然であるハズなのに……。
 澤は感じていた。
 岩渕の、この、不屈の精神力はどこから来るものなのだろうか?

「バカがっ! 知らねえだろうなっ! お前はっ、俺様のっ、何も知らねえっ、何もわかっ
ちゃあいねえっ! 俺様の夢がっ、お前にわかるかっ?」
 激痛に身をよじって倒れ込み、苦悶する岩渕の頭上で澤が叫んだ。


「――いずれ、俺はお前と丸山佳奈を結婚させて、《D》を退く……その後、俺は築いた
財産を土産に故郷へと凱旋し――そしてっ、いつかっ、俺の両親をハメたクズ共とっ、俺
の親を裏切って見殺したゴミ共とその家族をっ……俺の故郷から永遠に追放するっ! そ
れが、俺の人生の目的だったっ! それをっ、てめえとあの女が邪魔をしたっ!」


 …………っ!
 それは――その場にいる《D》の誰も知らない、誰も聞いたことのない、誰にも話した
ことのない"澤の願い"だった。
「……出会わなけりゃ良かったンだ……俺たちは……"あのまま"で良かったンだ……そう
すれば……佳奈に……アイツに《D》をくれてやれたのにっ!」

「……それ以上は……言っては、ならない……"禁句"だぜ? 社長……」
 ――立ち上がる。
 岩渕は、それでも立ち上がった。
 肋骨が何本も折れ、内臓をすべて吐いてしまいたいほどの苦痛を堪え、真っ赤に腫れた
両足を震わせながら……それでも立ち上がった。そして、再び澤へと殴りかかった。もち
ろん、澤は先程までと同じように、膂力の差を見せつけるように避け、何の苦もなく岩渕
の顔面を殴って地に叩き伏せた。

 それでも――……岩渕は諦めなかった。
 切れた頭部から鮮血を滴らせ、歯の折れた口内から泡のような血を吐きながらも、岩渕
はまた立ち上がった。

「……それで? 今はアンタの過去の話じゃあない……ただ、アンタのその考えは間違っ
ていると言いたいだけだ……」
「さっさと倒れやがれっ! 小僧っ!」
 岩渕は激昂する澤に投げ飛ばされるたびに立ち上がり、低いうなり声を上げて澤に飛び
かかっていった。そして、そのたびに痛々しいほど激しく殴られ、蹴られ、激しくぶちの
めされた。
 それでも――岩渕は立ち上がった……。
 
「しつこいぞっ! クソガキィッ!」
 ……俺は……俺は……、間違ってなどいない……そのハズだ………。
 そのハズなのにっ! 
 まさか……いや……。
 その、まさか、だった。澤は、かつて自分が死ぬほど嫌悪していた存在に"堕ちてしまっ
ていた"ことに、ようやく気づきはじめた。
 嘘だ。
 嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ……そんなハズがねえ。

 俺は……いつのまにか、"俺自身が最も憎むべき人間"に……なって、いたのか?
 なら……負けるのは、俺? 
 "負けるべき悪は"、俺か?

 目の前の男は、再び拳を固め――澤へ殴りかかった……。

―――――

 僕は、その様子を、近くでじっと見つめていた。
 既視感だね。川澄奈央人は思った。
 つまり……このままヤり合えば……敗北するは澤社長。
 どうします? まぁ……僕としてはそのほうが都合が良いのだけど……。

 気になることは、ある。
 あの見た目からは想像し難いが、澤社長はワリと冷静な性格だ。それがどうして、こん
な無茶な襲撃を? しかも突然に? 
 何か……あるのか?
 それとも……まさか……いや……僕も"カン"が鈍ったかな……。
 川澄奈央人は考えていた"カン"をすぐに頭の中から打ち消した。認めたくはない現象、
認めたくはない言葉――……。説明が不可能な事象――……。

「……『オカルト』は嫌いじゃあないんだけどね……」
 次第に顔から余裕の消えつつある澤を見つめ、川澄は小さく呟いた。


「"あの女"って、私のこと?」
 背後で女の声が僕に聞いたが、面倒なので無視をする。

―――――

 あっ。
 それは本当に一瞬のことで、何が起きたのか、澤自身にもわからなかった。その瞬間、
澤の顔が奇妙に歪み、膝から下の感覚が消失した。
 意識ははっきりとしているのに、澤は膝から崩れ落ちた。
 そう。岩渕の拳が澤のアゴを捉えたのだ。肉体的ダメージは軽微なものの、三半規管に
何らかの障害が起きたのは明白だった。

 ……いつか、鮫島が言ってやがったな……岩渕は『神様に愛されている』……か。
 その"神"が伏見宮京子に関係しているのかは知らねえが……ツイてやがるな、岩渕。

『天は自ら助くる者を助く』……か。さしずめ、こいつの根性に運が味方した、こいつの
考えに神が理解を示した……て、ところか……畜生。
 ……ここまでか。
 ここまで、なのか?

「……アンタは間違っている……俺の話を、聞いて、くれ……社長……」
 岩渕は激しく息を喘がせ、満身創痍になりながらも――未だ澤を説得しようと言葉を紡
いだ。その後で、思い出したかのように手の甲で唇の血を拭った。

 ……俺の味方は?
 ……いないのか?
 
 周りの《D》の社員たちは皆――《F》のヤツらの介抱に走り、抱き起したり、謝った
り、救急車に連絡したりしていた。武器を携えている者は皆無だった。
 ああ、そうか。
 何となく、わかってはいた。
 こうなることは、わかっていた。
 連れて来た20名の社員たちはすべて営業部と総務部の人間だ。しかし、その内訳には
偏りもあった。そう。彼らの所属は営業部と総務――だが……それだけではなかった。

「……岡崎派、か」
 そうだ。彼らは、澤自身が岡崎の児童養護施設から引き取って雇用した者たち、つまり、
岩渕と比較的親しい関係性を持つ後輩や同期。普段から岩渕に対して好意的な意見や意思
を持つ者たち――。

 ――結局、総務の熊谷にしてやられたのだ。……あの野郎。
 しかたがない。これも……運命か。

「……脚がフラフラだ。ほら、岩渕、もう一発、俺を殴れ……それで、俺は倒れる」
 澤は震える両足で立ち上がると、掌をクイッと揺らし、岩渕の拳を待った。

「……俺はアンタを止める……だから……だからっ!」
 真っすぐに飛ぶ岩渕の拳を見つめ、澤は敗北する覚悟を決めた。

 その――つもりだった。
 敗北して"やる"、そのつもりだった。

 岩渕の拳を頬で受け、
 顔が歪み、
 痛みが走り、
 重心が背後へ向き、
 倒れ、
 そして、
 敗北を喫する、
 その――つもりだった。
 
 そのつもりだった、その瞬間――
 その時――
 感触があった。
 

 小さい、
 とても小さい、
 子供のような手。
 小さくて、可愛らしい、女の手。
 ああ……ああ……そうか。そうなのか?
 瞳の奥から涙が込み上げ、澤は奥歯を噛み締めた。
 そうだ。これは――……
 かつて、深く愛していた女の手。
 かつて、失ったはずの女の手が――
 
 澤の背を支えていた。

 決して澤が倒れぬよう、女の手は、力いっぱいに澤の背を押してくれている。

 堪えていた涙が、溢れた。
 とめどなく、ただ、とめどなく、涙が流れ、頬の血を洗い流していく……。
 
 ああ……。
 そうだ。
 味方は、いた。いてくれた。
 こんなヤツに、こんな……身勝手な男の……。
 今も、ずっと、そばにいた。いてくれた。
 俺の味方でいてくれた……。

 愛されていた。
 生きている時も、死んだ後でさえも、
 俺を愛してくれていた。
 この世界で、
 こんなクソみたいな世界で……
 こいつは、この女だけは――
 俺の味方でいてくれた……。


 自分の体から何か消え去るような感覚に、澤は驚いた。それまで心に纏っていた悪意や
憎しみや怒りが、まるで水に流れて溶けて消えるような感覚……。
 ……そうか。これが――鮫島の言う、"転成"ってヤツか……。
 大きく息をひとつ吸い、ネクタイを緩めてシャツのボタンをひとつ外す。
 変質した澤の雰囲気に困惑したのか、岩渕の目がパチパチと瞬いた。

「岩渕?」
「……はい」
「どうやら、俺様もお前と同格に至ったらしい。……お前とは違う"何か"に愛されて、な」
「……?」
「わからンか? まぁいい……何にせよ、次の一合で決着だ。お前の"神"と俺様の"女"――
どちらが正しいのか? 確かめてみるか? まあ、どちらも正しいのかもしれないが……
ぼちぼち、終わろうか……」
 

 背後に目をやる。
 黒いスーツを着た少女が、澤の背を抱き締めて微笑んだ……。

 そして――……。

―――――

『聖女のFと、姫君のD!』 k3(後編 最終回)へ続きます。










 また少し休憩……。sees大好きさんたちの新曲アラカルト。


Guianoさん……ヨルシカ氏……みかんせい様……みんな大好き……。





 
 次回の"後""最終話"更新は……2020/04/25~26の未明です。イケます。たぶん💦


 こちらは今話がオモロければ…ぽちっと、気軽に、頼みますっ!!……できれば感想も……。

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Last updated  2020.04.25 23:25:42
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2020.04.22

​​ss一覧   短編01  短編02  短編03​  短編04  短編05
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       《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから
                         登場人物一覧は​こちらから


 10月10日――午後14時。

《F》の人々はただ呆然と、ただ緩慢に、その音を聞いていた。

 人々は互いに目を合わせ、何事かと確認し合い、外に出て、敷地に入り、わけもわから
ず集合し、また目を合わせ、ヒソヒソと囁き合い――天空に浮かび、轟音を響かせる鉄の
箱を凝視していた。
 ヘリコプター。それが10人前後の人間を運べる大型のヘリコプターだということは誰
もが理解していた。が、それを口に出す者はいなかった。いや、口に出すことができなかっ
た。なぜなら――そこから"何"が出て来るのか、それが知りたかった。
 混乱する人々を無視するかのように、ヘリは芝生の上に降り立った。
 高速回転するローターの真下にある出入口のハッチが開こうとする。
「誰だあ?」
 あっけらかんとした老人のひとりが呟く。危機感はないように思えた。
 やがて――ヘリの中から、黒いスーツを着た男女の集団が躍り出る……1人、2人、3
人、4人、5人、6人……そして……。

 この時、彼らは――今まで予期すらしていなかった危機感が、まるで風船のように膨れ
あがり――代わりに、これまで当然の権利かのように手にしていた"安心と平和"の風船は、
まるで針を刺した風船のように破裂して消えた。そんな感覚だった。
 恐ろしい。
 怖い。
 そう思った人々が一歩、また一歩と後ずさりした時――7人目にして、最後に"聖地"へ
と降り立った男が、周囲を見まわして言う。「……落後者どもの楽園、負け犬の聖地……
はっ! ヘドが出るわ」
 空にはまだ2機ものヘリが浮かび、"聖地"への着陸を待っている……。


 大型のヘリ3機が黒いスーツの集団総勢20名を降ろし、帰路のため再び離陸した直後、
リーダーらしき中年の男は立ち並ぶ《F》の人々を睨みつけ、舌を打った。
「ジジイにババアにメスにガキが大半か……気色悪ぃな……」
「……すみません、あなた方は……どちら様、ですか?」
 込み上げる不安と恐怖が人々を惑わす中、ひとりの老人が男に尋ねた。他の人々はその
様子をじっと見つめ、事態の解決と安心を求めて祈った。もちろん、"聖女"にだ。
 中年の男は、歩み寄って話しかける老人に気づいて視線を向けた。そして――いつから
用意していたのかわからない、金属の棒を地面に向けて振った。キンと乾いた音が耳の奥
に響く。鉄の棒――特殊警棒だ。《F》の女のひとりが小さな悲鳴を上げる。女は手を繋い
でいた子供を守るかのように抱き寄せた。

「――っ! それは何だっ? バカなことをするなっ!」
 両手を上げ、老人は叫ぶように言った。痰が喉に絡み、声がかすれた。
 男は特殊警棒の先端を老人の額めがけて指し示し、「聖女と宇津木を出せ」と静かに、
そして平然と言い放った。ツヤのある黒い上下のスーツ。50代半ばだろうか。男はどこ
にでもいそうな中年の男だった。
 だが、男は……怒りと憎しみに支配された凶悪な風貌を隠そうともしていなかった。両目
が赤く血走り、頬が細かく痙攣を続け、口の奥からはギリギリと歯を噛み締める音がした。
「俺様は今、機嫌が悪い……ナメたことヌかすヤツは、殺す」
「待ってくれ。話を聞いてくれ。まず……アンタたちは、《D》、だよな?」
 自分の額をとらえた特殊警棒を見つめ、喘ぐように老人は言った。彼ら《D》が何をし
にこの地へ来たか、何が目的で武器を手に取って構えているのか、老人は瞬時に理解した。
理解した次の瞬間――今度は恐怖に胃がヒクヒクと痙攣し、吐き気が喉まで込み上げる。
「だったら、なンや? ジジイ、楢本ヒカルはどこや?」
 抑揚のない声で男が聞き返した。
「ヒカル様は……今、ここにはいない。もうすぐ帰って来られる、予定だ。だが……頼む。
わたしはどうなってもいい。彼女には、何もしないでくれ……」
「……?」
 男は首を傾げた。「理解できンな。その女は単なるイカれ詐欺師やろ? なぜ庇う?」
「……違う。救われたからだ。彼女は、"聖女"なんだ」

 突然現れた中年男の怒りに満ちた顔と、その手に握られた特殊警棒とを交互に見つめて
老人は言った。「あの方は……ワシと、ワシらの生きる希望なんだ……だから、あの子が
無事に生きてくれるのなら、ワシの命なんてどうなってもいい。……ワシはもう、充分に
生きた」

 老人の言葉を聞いた時、ほんの一瞬、中年の男の顔が泣き出しそうに歪んだ。――少な
くとも老人だけ――いや、周りの《F》の人々にはそう見えた。

 男は何かを考えるかのように顔を伏せた。警棒を持たないほうの手をだらりと下げ、ま
るで"誰かの手"を握るかのような動きをした。
《F》の人々は男をじっと見つめ、彼の答えを待った。不安と緊張のためか、口を挟む者
は皆無だった。
 ――やがて男は顔を上げ、《F》の人々を真っすぐに見つめた。

「却下だ。お前らを徹底的に潰さないと――俺……"俺たち"の気が済まない」
 どこまでも低く、重い口調だった。「宇津木の成金はいるンやろ? そいつから血祭り
にしてやるわ……」
「……アンタらは……ああ……そんな……ヤメッ………」
 老人は言葉に詰まった。いや、詰まったのではなかった。詰まされたのだ。
 男は素早い動きで姿勢を整え、老人の脇腹に警棒を叩き込んだ。これまで経験したこと
のない激痛が脳に届き、一瞬で意識が遠のく。口の中いっぱいに胃液が込み上げ、悶絶し
ながら芝生に倒れ込む老人の体に……男は、容赦なく蹴りを入れ続けた。
「――ぎゃああっ!」
 あまりの痛みに老人は呻いた。《F》で暮らすうちに忘れかけていた"痛み"と"現実"を、
老人は思い知った。激痛に意識を失いかけながら……ドバドバと血ヘドを吐きながら……
ここは"聖地"ではなく、"ただの田舎"であることを思い出した。


「中島、南、有吉は配電盤を探して潰せ。通信用のアンテナ、ネット回線も見つけしだい
破壊しろ。清水、坂口、長谷川はここらの出入口の封鎖、車両類の確保を優先――残りの
半数は岩渕とツカサを探し、残りの半数と高瀬は、俺様の背後を守りつつ――」
 老人の腹を蹴り上げながら男は叫んだ。「《F》を一匹残らず、ここにっ、集めろっ!」
 
 いくつもの悲鳴が上がった。周囲の《F》の人々が一斉に後ずさった。誰も彼もが逃げ
ようと脚を動かしかけたその時――男がまた叫ぶ。
「お前らっ! 仲間なンじゃあねえのかっ! お前らがあの"聖女"を大事に思うのならっ!
全員っ、かかって来いっ! 俺様と戦えっ!」
 戦え――。
 男の声は、ついさっきまでの様子からは考えられないほどはっきりと、《F》の人々の
心に響いた。

 守る――。
 "聖地"を守る――。
 "聖女"を守る――。
 そう。《F》は覚悟を決めた。老人も女も子供も関係なかった。
 ある者は石やコンクリートの破片を拾い、ある者は園芸用の小さなスコップを拾い、ある
者は野球のバットを拾い、ある者は拳を握り締めた。
「うおおおおおっ!」
 狂乱じみた叫びが次々に上がり、広がり、そして21名の《D》を包囲した。

「そう……それでいいンだ」
 動かなくなった老人から視線を外し、《D》の男は呟いた。
 
―――――

「澤社長は……《F》の家で何をするつもりなんですか?」
 伏見宮京子は茶臼山の景色から目を逸らし、ただ黙々とフィアットを運転する宮間有希
の顔を見つめて聞いた。
「……殲滅、ね」
 京子にはその意味がわからなかった。
「老若男女問わず……二度と《D》の前に現れることがないように……」
 中途半端な妥協は遺恨を残し、近い将来――必ず《D》に災いをもたらす。そんな意味
のことなのだろう。信じられない……。
 動揺する京子に宮間は、「このまま引き返す?」と聞いた。
「心配はいりません。……私と、ヒカルさんが、澤社長を説得します」

 フィアットの後部座席に座る楢本ヒカルが、両手を固く握り合わせて顔を伏せているの
が見える。
「ヒカルさん、岩渕さんとツカサ君は無事なんですよね?」
 岩渕とツカサさえ無事ならば、最低限――示談の交渉はできると京子は考えていた。澤
にとっても岩渕は大事な部下のはずだった。
「……無理ね」
 ハンドルを切る宮間がぶっきらぼうに答えた。「カネで解決できる段階じゃあないって
こと。社長は、ああ見えて……とても純粋な人だから。説得できるとしたら……」
「できるとしたら……?」
「家族だけ」
 宮間は断言した。
「家族って……それじゃいったい、どうすればいいんですか?」
 澤社長に"家族"はいるのだろうか? 結婚しているとか、子供がいるとか、両親は健在
だとか、そんな話は聞いたことがない。……もしいたとしても、ここまで連れて来るまで
に膨大な時間がかかることは明白だった。
「……説得は不可能、ということでしょうか?」
「わからないわ……もし、可能性があるとしたら……」
 宮間はまた断言した。「"岡崎派"、だけね」
 宮間の言葉に京子は困惑げに頷いた。

―――――

 鮫島恭平と川澄奈央人が乗車するハイエースは、ビニール紐で手足を縛った田中を載せ
て"聖地"への山道を走っていた。
「そういえば、例のあのコ、丸山佳奈ちゃんも"岡崎派"、でしたっけ?」
 唐突な川澄の問いに、鮫島は困ったように口を開いた。「……ああ、社長の一番のお気
に入りだった。……入社試験も、歴代トップの成績だったらしいしな。……ん? てこと
は、お前よりも上だったってことか?」
 鮫島の問いかけに、川澄は「興味深いですけどね」と言った。「でも、死んでしまった
のなら、しかたありません」

「同じ"岡崎派"として――岩渕さんなら、この状況、どうするつもりなんでしょうかねえ
……できれば、僕の思う通りに行動してくれると助かるんですけど」
 川澄が言った。
「鮫島さん、もし――ツカサ君がケガひとつないような状態であるならば、宇津木さんに
対する攻撃は慎んでいただけますか?」
 真意の不明な頼みに鮫島は戸惑って顔をしかめた。だが、わからないでもない。鮫島は
思い出そうとした。あの"聖女"の願いをすべて叶えようと奔走し、己のすべてをひとりの
女に捧げた宇津木という男の話を。――そういうヤツは、嫌いではなかった。

「正直、萎えたわ。あの"聖女"の態度から察するに、その宇津木って男は、やっぱりアレ、
なのか? 隠してた、本当の関係、みたいなヤツか?」
 しどろもどろになって鮫島は答えた。
 川澄の話を聞いて驚く楢本ヒカルの表情を思い出しながら、鮫島は彼らに隠された関係
性と境遇の不幸を考えた。ある意味で、自分と宇津木は似ていると思った。
 
 ――だが、川澄の価値観はまた"別のところ"にあるようだった。

「別にそんなものはどうでもいいんですよ」
 朗らかに、薄ら笑いながら川澄は言った。
「宇津木さんには確認したいことがあるんですよ。……どうしてもね」

―――――

 ……もしもし、聞こえるか? 今、本館のトイレにいる。……ああ、《D》のヤツらが
来た。あいつら、棒を振り回して《F》のバカ共を片っ端から殴り倒して……いいからっ、
早くカネを用意して持って来いっ! ここももうすぐ見つかるし、あのクズ共じゃあ時間
稼ぎにもならない……クソッ! 最悪だ。……警察? バカ言うなっ、法に介入されたら
これまでの私の努力が泡になって消えるだけだっ! ……いいか? 《F》も私の会社も、
社会の毒を食らって成長しただけの存在だ。それを一瞬で失うわけには……。おいっ、い
いから早くカネを持って来いっ! ……クソッ、クソッ、クソッ! ……何ぃ? 今ぁ?
《D》の熊谷が来て? 大人数で? 社の玄関に? 畜生っ! 畜生っ! ……いいから、
とにかくカネの用意はしろ……最悪、熊谷にもカネを掴ませて見逃してもらえっ! はあ?
ヒカルを? ふざけるなっ! それだけは絶対にしないっ……ヒカルは、私のすべてだっ、
……あの子を渡すくらいなら、死んだほうがマシだっ! 約束したんだ……約束したんだっ
……あの子の母親と、あの子のために生きると……だから……頼む。ああ、ヒカル、《F》
のゴミ共なんかどうでもいい……私は、お前さえ"幸せ"なら……どうなってもいい……だ
から……生きて、生きて、生きてくれさえすればいいだけなのに……畜生っ。ああっ……
誰か来た……トイレに誰か入って来た。ああっ……やめてくれっ、やめろっ! やめろっ!

 電話の向こうから、木製のドアがガンガンと叩かれるような音がした。床に落ちたらし
い携帯電話から、『やめろっ!』『入って来るなっ!』という男の悲鳴が聞こえた。ドア
が蹴破られるような音がした。
『やめろっ!』『許してくれっ!』『やめろーっ!』
 何かを引きずるような音が響き、男の声が途切れた。そして……電話が切れた。

―――――

 最悪だ――。
 芝生に倒れた女の顔は、べっとりと血にまみれていた。額が縦にぱっくりと割れ、唇が
膨れはじめ、充血した目で瞬きをしたいた。それは、ほんの数分前、自分に襲いかかって
来た女と同じ人間だとは思えなかった。いや、思いたくもなかった。
「……許してくれ」
《D》営業部社員の三谷信也は誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟いた。心臓が痛い
くらいに高鳴り、腕がガクガクと震えるのがわかった。
「……お前らが悪いんだ……お前らが悪いんだ……ウチの社長をバカにして、詐欺でカネ
を儲けて、《D》を陥れて……岩渕先輩まで……」
 呻くように三谷は呻いた。
 次の瞬間、視界の隅から中学校らしき制服を着た少年が、鉄パイプらしき棒を振りかざ
して三谷に襲い掛かろうとしているのが見えた。どこをどう見ても、子供。子供だ。
「来るな……頼む……来ないでくれ……」
 少年を凝視したまま、三谷は呻いた。そして、緩慢な動きで三谷を攻撃しようとしたそ
の少年の頭部めがけて――警棒を降り落とした。そして無我夢中でその少年を押し倒し、
動かなくなるまで殴り続けた。

「……最悪だ。最悪だ。これは……"戦い"なんかじゃあない……一方的な蹂躙だ……」
 畜生、それもこれも全部、あの楢本とかいう女が悪いんだ。芝生にツバを吐き、乱闘を
続ける《D》と《F》を見つめたまま彼は思った。
 

 澤に連れて来られた《D》は皆、三谷と同じか似た感情で動いていた。
 そのことを――彼も同僚も知らなかった。
 もちろん――澤自身も……。

―――――

 高瀬瑠美はその一部始終をじっと見つめ、無言で、ただ立ち尽くし、考え、思い、貸し
与えられた特殊警棒を強く握り直した。

 警察に連行される犯人のように体を引きずられ、悲鳴を上げ、助けを懇願する初老の男
を見た。この男が……宇津木?
 思っていたよりは"マトモ"そうにも見える。瑠美は思った。澤社長の眼下で土下座させ
られ、芝生に顔面を擦りつけられているこの男――宇津木聖一は今にも泣きそうなほどに
顔を歪め、陸に上がった魚のように苦しげな呼吸を繰り返していた。

「…………っ」
 無言のまま仁王立ちする澤社長に対し、宇津木は「……暴力はやめてくれ」と懇願し、
額を地面に擦り続けた。何度も、何度も。息を飲みながら、瑠美はそれを眺めている。
 ふと辺りを見回す。すでに《F》の大半の人間が《D》に倒され、死んだようになって
芝生に転んでいた。……非戦闘員であろう彼らに、ここまでやる必要があるのだろうか?
 理解不能だ。
 いや、そもそも社長以外に理解できているの? 

「やってらんないわ――……」
 フーッと長い息を吐いた。"仕事"を終えて一段落する同僚たちと目を合わせると、深い
共感めいた感情に包まれたからだ。「そりゃあ、そうよね」
 これは《D》の仕事ではない……少なくとも……そう、例えば――もし仮に、あの人が
この場所にいたのなら……澤社長を全力で止めてくれるのだろう……岩渕さん……。

 大きくひとつ深呼吸をしてから、瑠美はカラカラになった口を必死で開いた。そして、
努めて冷静さを装いながら一歩進み、「……社長、岩渕マネージャーの件ですが」と、目
の前で宇津木の髪を強引に掴む社長へ声をかけた。
「あぁっ? なンや? 高瀬」
 社長が鬼のような形相で振り向く。
「ねえ、宇津木さん……岩渕……さんは、どこにいますか?」
 震える声で言い、瑠美は宇津木の目を見た。
 やがて……男は震える手で自身の胸をまさぐり、小さな鍵を社長の前に差し出した。
同時に、「岩渕様とツカサ様は屋敷の地下の倉庫にいる。だから――」と喋りかけた男の
腕を――鍵を手渡そうとした宇津木の腕に――社長は警棒を降り落とした。
「あああああーっ!」
 骨が折れたであろう、絶叫する宇津木の悲鳴を無視するかのように、社長がまた振り向
いた。

「高瀬、岩渕とツカサを迎えに行ってやれ」
 鼻で笑ったような社長の声が、瑠美の耳にはっきりと届いた。

 最悪だ。最悪の仕事だ。もしこれが熊谷部長の"頼み"でないのなら、アタシは今日中に
荷物をまとめて《D》を辞めているところだ。
 早く来いよ……クソ兄貴が……。

―――――

 鍵を解き、倉庫の扉を開いた黒いスーツ姿の高瀬瑠美の顔を見て、岩渕誠は思わず息を
飲んだ。
「……お待たせ……岩渕さん、ツカサ君……待たせて、ゴメンね」
 消え入りそうな声で言った瑠美の顔は、まるで悪夢を見続けた子供のように、憔悴し、
恐怖と不安にひきつっていた。だが岩渕は、そんな彼女の顔を一瞥すると同時に、ツカサ
の手を取り、倉庫の中から飛び出した。

「ありがとう……瑠美……状況は?」
「……社長を止めて」
 早足で地下からの階段を昇る岩渕の背に、瑠美の声が微かに届く。川澄との連絡が途絶
えて1時間強、瑠美が鍵を持って現れたこと――……状況は最悪、なのだろう。

「宇津木さんは――どうなっている?」
「……殺されるかも」
 力ない瑠美の声が背に届く。彼女の声を聞くのは数日ぶりだが、こんなにも疲労感を滲
ませた声を聞くのは初めてだった。
「……《F》の連中は?」
 そう言って岩渕は、瑠美と並んで屋敷の玄関の前で立ち止まった。
「……芝生の中央に集められて、半強制的に《D》の20人と戦わされて……もうほとん
どが死に体ね……妊婦さんや、子供も含めて、ね……」
 無理に平静を装った口調で瑠美が言う。
「営業と総務の連中か……"自主的"に、じゃあないよな?」
「臨時ボーナス100万だって……正直、誰も社長には逆らえない雰囲気だった」
「キミは? なぜ社長について来た?」
「……熊谷部長に耳打ちされたの……"行け"って。それで――『できることなら、社長よ
り先に、岩渕君か川澄君に接触しろ』って……」
「……?」
 熊谷部長は聡明な人だ。意味のない言動はしない……つまりは、そういうことなのかも
しれない……。

「『この襲撃は《D》全員の総意ではない』ってトコロか……」

「ついさっき兄さんから『もう着いた』ってメッセージが来たけど……ねえ、岩渕さん、
これからどうするの?」
「……ツカサを頼む……鮫島さんの姿が見えるまでは。俺は……社長を止める」
「……できるの? "アレ"は鬼よ? まるで……何かに憑りつかれているみたい」
「なら――そいつから社長を解放してやればいい」
 ツカサの手を瑠美に手渡し、岩渕は館の玄関の扉を開こうとした。……この先に待つは
"鬼"……さしずめ、狂気に憑りつかれた強欲社長か……クソったれが。

 岩渕はスーツの裾に付いたホコリを払い、ネクタイを締め直した。ドアの取っ手に手を
置き――思う。またスーツがボロボロになりそうだ……そうだな、今度は京子と一緒に、
『テーラーチクサ』へ遊びに行くか……。

 ドアを開けたその瞬間――
 岩渕の目に――あの、"神託"で見た光景が広がった……。



―――――

『聖女のFと、姫君のD!』 k2(中編)へ続きます。

―――――









 少し休憩……。
 最近ハマっているZOC(大森靖子氏プロデュースの異色アイドルグループ)


 ……戦慄かなのちゃん……エエで。





 次回の"中""更新は……2020/04/23!の未明です。すぐです。はい。

こちらは今話がオモロければ…ぽちっと、気軽に、頼みますっ!!……できれば感想も……。

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Last updated  2020.04.22 22:00:24
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2020.02.18
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       《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから
                         登場人物一覧は​こちらから


 10月10日――午後12時。

 46号線の山道を走るフィアットの中、伏見宮京子は胸の上に手を当てる。ゆっくりと
視線を横に移し、宮間の様子を注視する。車内のスピーカーから流れるジャズ・ピアノの
音色に交じる、宮間たちの会話を聞く。 
 ケンカ? ……いや、これは戦いなんだ。誇りを取り戻すための……。
「……宮間、本当にヤるのか? 手ぇ、貸さなくてもイイのか?」
 ハンドルを切りながら鮫島が言う。……助手席の川澄さんはニタニタしているだけだし、
まったく……この人たちは……。
「いらないわ……田中を――始末するのは私よ」
 宮間が低い声で言う。京子には何も言えなかった。
「……お前が失敗したら? 尻ぬぐいは俺らがしろと?」
「知るか。だけど……あなたはツカサ君のことだけ考えれていればいいわ。その方が……
"鮫島先輩"らしいから」
「そうか。まあ……骨くらいは拾ってやるよ」
 そう。宮間は戦うつもりなのだ。私と同じ女性の身でありながら。"誇り"という抽象的
で、曖昧で、不確定なモノのために。泣いて、泣いて、泣き続け――でも、立ち上がって、
立ち向かって……もしかしたら――宮間有希の姿がこんなにも美しいと思えるのは、彼女
の……大切な何かを守りたいという志の高さに、私が惹かれているからなのかもしれない。

「……とはいえ、アンタには手伝ってもらうわよ? 川澄……」
「――はぁ? イヤです」
 川澄の淡白な返事を聞くと、私はいてもたってもいられなくなった。「どうしてそんな
ことを言うんですかっ?」
 そうだ。この男はそういう人間だった。私を澤社長をおびき寄せるためのエサ、としか
思っていないような……岩渕さんをエサに私をここまで連れて来るような……そういう、
自分のことしか考えていないような――そんな人だったことを思い出す。
「ケガする可能性が1%でもあるのなら、僕は車内で姫様と待機します。正直言って――
宮間先輩が失敗しても、その後で警察に連絡すれば簡単にヤツは取り押さえられますし、
それで岩渕さんの"お願い"は完了です。……さらに、僕の"個人的な目的"に、聖女様はあ
んまり関係ないんですよねえ……」
 ……この男は。

「加勢の報酬は……そうね、アンタの好きな駅弁を、現地に行って直接買って、日帰りで
アンタに届ける……てのはどうかしら? どんな田舎でもいいわ。……私をパシりに使え
るなんて、こんな贅沢な男はいないわよ?」
 次の瞬間――
 ルームミラーの中で川澄の目の色が変わり、邪悪な笑みが浮かぶのを――京子は見た。
見てしまった……。

―――――

 ハイエースの薄暗い後部座席の上で、楢本ヒカルは思った。
 ……私は、やっぱり、死ぬんだ。
 捕らえられ、カゴの中に閉じ込められた野鳥が、狭いカゴの中で必死に助けを乞い、や
がてはエサも食べなくなり、疲れきり、衰弱しきって死んでしまうように――ヒカルもま
た、恐怖と絶望の中にいた。
 ……私は、"聖女"でも何でもないんだ。
 ……私は、ただの人間で、バカな女で、どうしようもなく弱いだけ……。
 1時間近くもそんなことを考え、泣き続けた。薄暗く、薄汚れた車内の中で横に倒され、
これからの運命を思い、また泣き続けた。
 ……やっぱり、私は、"聖女"ではなかった。
 何となく、察しはついていた。いや、とうの昔に気がついていて、私はその考えを無視
し続けていたのだ。すべては宇津木からの潤沢な資金があれば可能な"神託"で、私はそれ
を訴えるだけの人形で――。そう。私には予知の力などないのだ……天変地異どころか、
明日の天気すらもわからない……何の価値もない、ただの人間なんだ……。

 ハイエースが山道を下っていることはわかっていた。その気になれば、自力でドアの鍵
に触れ、車外に飛び降りることも可能なようにも思われた。けれど、ヒカルには――抵抗
する気力が残っていなかった。それぐらいに、そう感じてしまうぐらいに、ヒカルの心の
中には絶望と恐怖しかなかった。

「……岐阜に入ったら、適当なホテルに入ろうな? ……ヒカル、これから長い旅になる
んだ……仲良くしようぜ……」
 座席に寝転ばされ、体中を拘束され、涙を流し、汗まみれになって――ヒカルは田中の
ドス黒い、悪意に満ちた声を聞いた。
「《F》なんざすぐに忘れさせてやる……これからは、俺のためだけに"神託"を使え……」
 神様なんていないのだ……いたとしても、私の元には現れなかった。結局――母さんは、
母さんのまま死んだだけ……なの?
「フィラーハ様っ! 万歳っ! 万歳っ!」
 田中が大声で叫ぶ。叫び続ける……。

 私に神の力など、ない。神様など、いない。じゃあ……あの人には?
 ああ、そうだ。そう、なんだ……そういうことなんだ。
 私は……私は、ただ……あの人に、あの方に……。
 自分がなぜ《F》を立ち上げ、《D》に敵意を向けたのか?
 その理由に――ヒカルはようやく気がついた。

 そう思った次の瞬間――鋭いブレーキ音が鳴り響き、田中とヒカルの乗るハイエースは
動きを止めた。
「川澄ぃっ!」
 凄まじい怒りと憎しみを込めて、田中が叫んだ……。

―――――

 ハイエースから降りた男を、宮間有希はじっと見つめた。日の光の加減か、田中陽次の
顔は人ではなく、鬼のようにも見えた。
「川澄ぃっ!」
 ハイエースの脇に立って田中は、私ではなく、フィアットの助手席から降りた川澄を睨
みつけて叫んだ。どうやら、私のことなど眼中にないらしい。
「外道が……。お前の相手は、私だ」
 川澄がおかしそうに微笑んだ。「……そういうことなんです。すいませんね、田中さん」
 そう。田中と決着をつけるのは私だ。この役は、誰にも譲る気はない。

「へえ? お前、宮間か?」
 私のほうに一歩踏み出し、田中が言った。その言葉が、あんまり私の予想した通りだっ
たので、私は思わず笑ってしまった。
「何だあ? お前、俺にヤられに来たのか?」
 どこまでも下品で、知性の欠片もない口調とセリフだった。
「それは貴様のことだ、外道……拉致った女を解放し、土下座して詫びろ」
 背中に隠し持っていた伸縮性の特殊警棒を"左手"で握り、宮間は言った。「土下座した
としても、私は許さないがな」
「……許さない、だとっ? お前がっ? 俺をっ?」
 田中がまた一歩、また一歩と踏み出し、宮間との距離を数メートルにまで縮めた。私は
握った警棒を地面に向けて振る。瞬間、キンと乾いた金属音がし、警棒が本来の姿にまで
伸びきった。
「ええ。私は貴様のような外道を許さない。殺す、と言ったのを覚えていないのかしら?
本当、猿以下の知能ね」
「……なん、だとっ? このクソアマ……」
 田中の頬がピクピクと痙攣し、額にはいくつもの血管が筋を立てて浮かぶ。私は"突撃"
するために身を構えた。
「安心してください。相手をするのは私だけです。横にいる川澄も、運転席にいる男も、
あなたに手を出すつもりはありませんから」
 深呼吸を一度し、冷静な口調と意識を体に戻す。戻す……そう。《D》の、兵士の誇り
を取り戻す。そうだ。取り戻すだけのことなのだ。
「私はあなたと違うので、正面から、正々堂々と、行くわ……心の準備は、いい?」
 自分に言い聞かせるように、
 自分に命令するように、
 自分を奮いたたせるように、
 宮間は、意を決し――決断したっ!

「行くぞっ!」
 次の瞬間――宮間は警棒を強く握り直し、今度は自分から――田中に向かって一歩、ま
た一歩と歩を進めた。数メートルほどあった距離はグングンと縮まり、田中の表情の細部
まで見える。そこには――とてつもなく醜くく、とてつもなく汚らわしい、欲に狂った、
ケダモノの顔がニタニタと笑っている。負けるわけにはいかなかった。そう。何があって
も、何をしても、"どんな手"を使ってでも、負けるわけにはいかなかった。

 田中との距離は残り7メートル――。
 田中は下卑た笑みを浮かべている。宮間は歯をギリリと噛み締めた。
 残り6メートル――。
 田中は相変わらずニタニタと笑う。宮間は歩きながら、右手で自身の太腿をまさぐった。
 残り5メートル――。
 田中が、「んな棒きれで俺に敵うワケねえだろうが……」と呆れたように呟く。宮間は歩
きながら、"予め切断"したシャネルのスーツの切れ込みに右手を突っ込んだ。
 残り4メートル――。
 田中が笑いながら、「お前も、俺のペットにしてやろうか?」と宮間に問う。宮間は歩く
脚をピタリと止めた――
 次の瞬間だった。
 宮間が脚の動きを止めた刹那――……
 彼女の背後から、嬉々とした男の声が響いた。

―――――

「澤社長ーーーっ! こっちですっ!」

「何だとっ!」
 両手を力いっぱいに振る川澄の動向に仰天し、田中陽次は思わず背後を振り向いた。

 だが、誰もいない。誰もいるはずがない。そこにあるのはただの道で、補整されたコンク
リートで、山林や雑草だけなのだから。
 ――しまった!
 瞬間、田中はそれを知った。宮間が『正々堂々と戦う』など本気で言うわけがないのだ。
田中は、急いで宮間の姿を視認しようと顔の向きを戻そうした。ゴトリと何かの金属が地面
に落下する音がする。同時に――強烈な悪寒がし、田中の背筋を貫いた。
 だが当然、間に合わなかった――。
 ――次の瞬間、田中は見てしまった。宮間が"両手"に握り締めているのは、特殊警棒など
ではなく――8オンスのネイルハンマーだったっ!

「くたばれっ!」
 宮間の叫び声の直後――田中の体はコンクリートに叩きつけられるように沈んでいった。
こめかみを中心に猛烈な頭痛を感じ、アゴが痺れたように動かなくなった。
「思い知れっ!」
 次に背中。『助けて』、『許して』と言う間もなく――

「二度と《D》のっ、名古屋の街に来るんじゃねえぞっ!」
 今度は右膝に激痛が走り、そして左膝……。そこで、闇が訪れた。

―――――

 何度目かの発信の後、ようやく川澄との電話が繋がった。携帯電話のバッテリーも残り
少なく、こちらの状況もできるだけ伝えておきたかった。
『……こちらは無事です。"聖女"も、確保しました』
 岩渕誠は安堵した。しかし安堵はしたものの、未だ状況は改善されていない。「そちら
はどうです? 何かありましたか?」
「……《F》はパニックだな。宇津木もかなり混乱している……俺から携帯電話を没収す
るのも忘れて、ついさっきツカサと一緒に倉庫へ放り込まれた……簡易トイレだけ渡され
てな、まぁ……監禁状態だな」
『あははっ、最高ですね』
 川澄の笑い声が電話越しに倉庫に響く。……相当に上機嫌だな、コイツ。「笑うな、こ
ちらはお前と聖女様待ちだ。早く来てくれ」
『了解です。今――ノビてる田中さんを縛り上げてる最中ですので、終わったらすぐにそ
ちらに向かいますよ……』
 急に川澄の声が小さくなり、電話の向こうでガサガサと物音がした。
「田中か……どうやってヤツを止めた?」
『いや~……あのですね……ははは……』
 しばらく沈黙があった。何か言いたくない事情でもあるのだろうか? 思いあたること
はひとつだけ、ある。
「川澄――お前、誰か連れて来たろ? 鮫島さんは確定だとして……ひょっとして、宮間
も一緒か?」
『三分の二、正解』
「……やはり、京子も……一緒か」
 今回の件に関し――岩渕が最も関わって欲しくなかった女の顔を思い浮かべる。クソッ、
川澄の野郎、ふざけやがって……。
 だが、鮫島を連れて来てくれたことは僥倖だ。岩渕は視線を倉庫の隅に移し、木箱の上
で静かに座るツカサの顔を見つめた。少年は疲れたように微笑んでから、心配そうに岩渕
の顔を見つめ返した。……こんな状況で、よく泣きもせず耐えていると思う。岩渕は小声
でツカサに「もうすぐ鮫島さんが来てくれる、安心しろ」と軽く手を振った。

『……ところで、アレの件なんですが……』
 電話から川澄の、歯切れの悪い声が聞こえた。
「アレって何だっ?」
『ほら、"澤社長を煽るな"って話ですよ……』
「ああ、頼みごとばかりして悪いが、頼む。ヘタに挑発すると、ここの《F》の家や敷地
も全部、火の海になるのがオチだからな……」
『ごめん。それ、ムリっぽいか――』
 川澄が言葉を言い終わるか、終わらないかの間際、突如――電話の向こうで激しく風を
切る音が鳴り響いた。非常に独特で、モーターとエンジンを足して割ったような、機械的
で、強く、規則正しい……考えるまでもない、これは……まさか……。

「ヘリかっ? 川澄っ! 社長はエアロスを呼んだのかっ? アイツらは大型ヘリも複数
もってるはずだ。何機だっ? 何機飛んでいるっ?」
『あ――……3機、ですね。そちらに向かって低空飛行中みたいです。ヤバイなぁ……』
 そこで、電話の充電が切れた。
「畜生――っ!」
 窓のない狭い倉庫の中で、岩渕は呻いた。自分の想像する最悪の結末が脳裏に映り、胸
が押し潰されてしまいそうだった。

「岩渕さん……ここの人たち、どうなっちゃうの? ヒカルさんや、家政婦のおばちゃん
や、おじいちゃんたち……みんな、本当は優しそうな人たちだよ?」
 ツカサの目に、大粒の涙が溢れて流れる。
 岩渕は強く奥歯を噛み締め、「……何とかする。何とかしてみせる」と言うことしかで
きなかった。それしか言葉が思い浮かばなかった……。

―――――

 鮫島恭平に付き添う形で、京子がハイエースの車内を覗き込むと――そこには、両手と
両足をビニールの紐で縛られた"聖女"の姿を発見した。彼女は声を震わせて泣いていた。
 ああ……なんてことを……。 
 彼女を見た時、私はショックを受けた。言いたいことがあったはずだった。なぜ、岩渕
と《D》を騒動に巻き込んだのか? それを問いたい気持ちもあった。けれど、今、京子
の口から出たのは、"聖女"を責める言葉ではなかった。
「ああっ、大丈夫ですか? ケガはありませんか? どこか痛むところはありますかっ?」
 そう言って彼女に駆け寄り、紐を解き、ギュッと強く抱き締めながら、京子は自分自身
の言葉に驚いた。
「……私は……あなたを……」
 京子の腕の中で、ヒカルは泣きながらそう繰り返した。「私は……あなたを……」
「何か理由があるのでしょう? だからもう、泣かないで……」
 ヒカルを抱き締めて私は言った。「岩渕さんとツカサ君さえ返してくれるのなら、私は
あなたのしたことをすべて許します。話も聞きます。だから、ね? もう泣かないで……」
 そう。京子は気づいたのだ。感覚的に、直感的に、理解したのだ。
 "聖女"は自分と同じ人間で、誰もと同じ弱い心を持ち、だからこそ、誤った選択肢を選
ぶこともある。善悪の問題ではないのだ。彼女は、ただ"聖女"であろうとしただけなのだ。

 ヒカルは目に涙をいっぱいに浮かべて京子を見つめた。そして、「私は……伏見宮様、
あなたに憧れていた……あなたのようになりたかった……あなたと同じように……誰かに
必要とされたかった……恵まれない誰かのために、役に立ちたかった……」と言った。
 私はもう一度、ヒカルを強く抱き締めた。京子の瞳にも涙が溢れ、彼女の顔が、たちま
ち涙で見えなくなった。


―――――

 三人に隠れるようにして行っていた岩渕との通話を切り、川澄奈央人は長い息を吐いた。
目の前には、涙を流す姫君の腕の中で、同じように泣きじゃくる聖女の姿があった。

 憧れが嫉妬に変わり、尊敬が敵対に変わる。よくある話ですね。
 川澄は思った。
 《D》の姫君と同じになりたいと願った聖女は、不相応かつ不可思議な神通力をでっち
上げ、《F》を創設。何らかの形で、いつかは《D》を超えたいと願った。いつかは姫君
を超えたいと願った。意味のない努力……滑稽な話だ。
 
 川澄は思った。
 その聖女を手助けした男もまた、聖女と同じく、実に愚かな男だ。
 宇津木聖一――。
 幸か不幸か、彼の人生こそ、"フィラーハに翻弄された人生"といえる。僕の価値観では
到底理解できる生き方ではないですが。

 さて、もういいでしょう。この物語にも飽きてきました。残るハードルはひとつだけ。
高い高いハードルがひとつだけ……。ですがその前に、聖女には伝えておかなくてはなら
ないこともひとつだけ……。

 姫君の腕の中で泣きじゃくる聖女の耳に、僕はそっと囁く。
「あなたの支持者である宇津木聖一さんは、名前を一度を変えているようですね。わざわ
ざ家庭裁判所に行って手続きした彼の旧名は、宇野俊夫。ウノ・トシオさん。聖女様、こ
の名前に聞き覚えはないですか?」
「……本当、なの?」
 その返事に僕は満足し、ゆっくり深く頷く。
「本当です。さあ、僕らを《F》の場所に案内してくれますね?」
 そう言って僕は、傷ついた女性を優しく慰めるように、楢本ヒカルに――本来なら宇野
ヒカルと名乗るべき女性に、優しく微笑みかける。

―――――

 『聖女のFと、姫君のD!』 k(最終回)に続きます。
















 今回オススメはもちろん? sees大好きaiko様……。


 aiko様。seesの青春を共に過ごした憧れの人。
 未だに歌唱力もスタンスも体力も衰えがなく……やはり少し地味ながらもすごい人です。
 
 何年かに一度アルバム出してはいますが、もちろんツアー公演も大切でしょうが、やは
り曲作りは積極的にしてほしい……。


 
 名曲多いわ。ホント。



 雑記

 お疲れ様です、seesです。
 最近はいろんな他業種の方とお話したり、仲良くさせてもらってますが…やっぱり世間は
増税とかの話や不景気の話ばかりですね……。
 とりま今話題なのは……やはり「健康増進法」ですね……。
 4月からどうすんのかなウチの会社。……工事決まるのなら早く決めてくれ……旅行にで
も行きたいしww

 さてさて、まあ―田中氏との話に決着がつき、いよいよ次回に最終話を持ってこようかと
考えている次第です。そう。澤様との最終決着の話です。変わった者と変わらない者、それ
ぞれの意識と理想、善悪の区別のない、純粋な想いのぶつかり……。実を言うと、次回の話
が作りたくて、この「聖女D」をはじめた次第です。最終話、青いかもww

 宇津木氏の名前のくだりは​aパートからすでに「トシオ」として登場していたのですが、
まあ思い出せる人はいないかもですね……。ここら辺は某感動系短編マンガからヒントを
得て作成……ていうか、こういう作り込み個人的に大好き。​

 最終話のエンド後のパートには……ズバリ、『今回の騒動に便乗しての、川澄氏の隠して
いた"個人的"目的』です。ままま、『よくある映画のオチ』みたいな話を用意していますの
で……seesの小話に興味のある方はぜひぜひ…ご賞味くださいませww
 

 私、seesに関しての情報はもっぱら​Twitter​を利用させてもらってますので、そちらでの
フォローもよろしくです。リプくれると嬉しいっすね。もちろんブログ内容での誹謗中傷、
辛辣なコメントも大大大歓迎で~す。リクエスト相談、ss無償提供、小説制作の雑談、いつ
でも何でも気軽に話しかけてくださいっス~。"イイネ"もよろしくぅ!!

 でわでわ、ご意見ご感想、コメント、待ってま~す。ブログでのコメントは必ず返信いた
します。何かご質問があれば、ぜひぜひ。ご拝読、ありがとうございました。

 seesより、愛を込めて💓






           適当ショートショート劇場 『ホラー映画診断』


先輩A    「sees君てさ、ホラー映画だと……20分は生き残れるね」
      ???
sees    「いやいやいや、何で20分?」
先輩A    「sees君てちょっとコスいし、主人公タイプでも、ヒロインタイプでもないし」
      失礼なやっちゃな……。
sees      「ちなみに、A先輩は何分すか?」
先輩A    「アタシは~5分かなwwカップルで~、イチャイチャ中にヤられる奴www」
sees    「……幸せな最後すね」

  ―――――

sees   「……B先輩は……90分、生き残れそうですよね?」
Bパイ    「……?」
sees   「実は……コレコレこういう話でして……」
Bパイ    「いや、スプラッタ系なら10分やけど……パニック系なら、ラストまで生きるで」
      ???――あっ、これダメなヤツだ。

  ―――――   

sees   「お前さんは……エンドロールまで死ななそうやな……」
同僚c    「ダメダメ~俺なんか、最後の最後で裏切られて死ぬか、裏切って死ぬかの2択ww
      一番最悪なヤツ」
sees   「ww」
      確かに……マジメで優等生でイケメンでも、最後まで生き残れる条件て、難しい
      もんやな……。

同僚c    「でも安心しろsees、お前がゾンビになったら、俺がすぐに殺してやる」
sees   「――何が安心っ? そっち系の話の映画っ? ワシ、同僚にヤられるのっ?」

      しかし――……
      上映開始から20分で死んで、その後はゾンビになって同僚に殺される――みたいな
      評価のまま――世間話が終わるワシって、いったい(´;ω;`)ウゥゥ

                                😢了😿


こちらは今話がオモロければ…ぽちっと、気軽に、頼みますっ!!……できれば感想も……。

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Last updated  2020.03.06 19:33:55
コメント(4) | コメントを書く
2020.02.07
​​ss一覧   短編01   短編02   ​短編03​   ​短編04
       《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから
                         登場人物一覧は​こちらから


 10月10日――午前10時。

 田中陽次は《F》の敷地の端にあるベンチにうずくまっていた。広大な芝生の中心では、
ちょうど彼の息子くらいの歳の子供たちが楽しそうな歓声を上げて遊んでいた。洋館のと
ころでは使用人らしき中年の夫婦が洗濯物を干し、居住区の隣にある小さな畑では老人た
ちが土をいじって談笑していた。
 田中はそんな人々の姿をぼんやりと、力なく眺めた。

 ここ数日、田中は自分が何をしていたのかよく覚えていなかった。もちろん、職場には
一度も行っていなかった。何度も電話が鳴ったが、それにも出なかった。田中は数日前、
《F》の代表である宇津木から『このカネを持って他県へ行き、しばらく身を隠せ』とい
う命令を受けた。胸のポケットの中には300万ほどの現金が入っていた。

《D》の川澄からカネを奪い、宮間を痛めつけ、時計を破壊したことの影響だと宇津木か
らは説明を受けたが、納得はしていなかった。その命令を下したのは"聖女"であり、協力
してくれたのが宇津木本人だったからだ。……畜生、ふざけやがって。
 宇津木と"あの"川澄が裏で糸を引き、この《F》を解散させようとしているのは何とな
く知っていた。川澄が『岩渕に会える』とでもして伏見の……よくわからない女を連れて
《F》に来て、それを《D》の社長に知らせ、奪い返しに来るように仕向ける……そうい
う計画を立てているのは知っていた。
 確かに、俺は《D》の連中にとっちゃ目の仇だろうし、それぐらいのことをした。だが、
そんな程度のことで、そんな300万ぽっちのカネで《F》を退場させられることに納得
できるワケがなかった。
 岩渕とかいう男の待遇が良いのも、いずれ来る《D》との示談を円滑に進めるためだと
か何とか……俺がせっかく川澄から奪ったカネも、そのままヤツに返すだとか……ふざけ
やがって……。
《F》がなきゃ、俺の人生は終わりだ。名古屋に帰れば、待っているのは警察の手錠しか
ない。このまま《F》に寄生しつつカネを稼ぎ、ほとぼりが冷めたころに戻るしかない。
「……畜生っ ……いったいいくら貢いできたと思ってやがる……」
 田中は歯軋りした。ベンチの前を通りかかった幼い子供を連れた若い母親が、怪訝そう
に振り返って田中を見た。
「見るんじゃねえっ! 殺すぞっ!」
 田中が怒鳴ると、子供を連れた女は小さな悲鳴を上げて逃げるように走り去った。
 こうなってしまったのはすべて、宇津木のせいだった。いや、宇津木と、"聖女ヒカル"
――そのふたりのせいだった。
 そうだ。"聖女"だ。
 宇津木からはカネをもらった。なら……ヒカルからも……。
 そう。次はヒカルからも何か褒美をもらわなくてはならない。いや、宇津木以上の褒美
を、この"聖女"から――自分は祈りだけ捧げて命令するだけして、汚れ仕事のほとんどは
俺や若手の男どもに押し付け――さらに、一方的に《F》を解散するからと微々たるカネ
で縁を切ろうとする女には――相応の奉仕をしてもらわなければならない。
「……一生、俺の奴隷として使ってやる……覚悟しろよ? ……ヒカル、お前は俺のモノ
として……一生、俺のために"神託"を使え……」

 小さく呟くと、田中は拳を握り締めてベンチから立ち上がった。怒りと興奮に顔がプル
プルと震えた……。

―――――

 過去のものから遡ると、"神託"には実に様々な事象がこと細かく丁寧に書かれていた。
それはまるで――学生に物事を教える学校の教科書のような作りで、稚拙だがイラストま
で添えてあった。いや……少し違うな。これは……オーディションだ。
 宇津木が"聖女"に紹介した信徒の選抜。選ばれた社会不適合者たちの情報……。
 岩渕誠は思った。
 本当に救いたい女ひとりのために集められた生贄……か。


『●月✕日。妊娠中らしき女性が夫、夫の義父、夫の義母から激しい暴力と罵倒を受けて
いた。女性は顔に青アザができ、泣いて許しを懇願しているように見えた。夫たちの話を
聞いていると、どうやら女性の不貞行為を疑われているようだった……』

『●月✕日。初老の男がスーツ姿の女性に激しく詰問している様子が見えた……。女性は
薄ら笑いを浮かべ、男は顔を真っ赤にして怒っていた。話を聞いていると、スーツの女性
は生命保険の外交員で、男性は「話が違うっ!」とまくし立てていた。やがて制服姿の警
察官が到着し、男性は連れていかれてしまった……』

『●月✕日。家族らしき男女4人がひとつのテーブルを囲んで座っていた。母親は泣き、
父親は沈黙し、兄妹は顔を真っ青にしていた。テーブルの中心には、手紙らしき紙切れが
複数枚置かれていた。手紙には……"もういじめにたえられない、ごめん、さようなら"と
だけ書かれていた……』

『●月✕日。漫画喫茶の個室の中で、ソファに寝転ぶ若い男が見えた。男は体をエビのよ
うに折り曲げて、目を閉じ、ひたすらブツブツと何かを呟いていた。聞いてみると「……
なぜ……なんで、俺がこんなメに……どうして……どうして……どうしてなんだよお……
俺が何をした? ……俺は何もしていないのに……俺は何もしちゃあいないのに……何も
していないのが、罪なのかよお……」男はただ、呟きながら涙を流し続けていた……』

 おそらく、ヒカルはこの"神託"によって《F》の信徒を増やし、利用し、勢力を高めて
いったのだろう、とは思う。彼らを救いたいと願う気持ちに、嘘がないのであれば。

 ――《D》。
 これか……。
 岩渕の視線はそこにあった《D》という文字に釘付けになった。
 罫線の引かれたノートのページには、いたるところに《D》という文字、もしくは《伏
見宮》の文字が躍っていた。

『《D》の川澄が《F》の田中からカネを脅し取られていた。悔しい。このカネは貧しい
人々に分け与えるべきものだと、《D》に理解させる必要がある』

『《D》の連中がコメダ珈琲店の葵店で談笑していた……コイツらは何もわかっていない。
社会には、正さなければならない惨状が数多く存在している事実をっ!』

『なぜ、そこに伏見の姫様がいるのかはわからない。わからないけれど、《D》の連中と
同罪なのは変わりない……』

『川澄の隠れ家らしき倉庫に本人が入り、多額の現金を掴み取る……このカネが、本来、
田中を経由して《F》に運ばれるカネであることに間違いはない……』

『《D》の宮間有希が取引先の会社のビルから出て、近くのパーキングに停めた車に乗り
込み発進する。……汚れたカネを握り、汚れたヤツらに配り、汚れた《D》のために使う、
汚れた《D》の女……こいつには多少の痛いメを見せる必要がある……もちろん、伏見の
姫も同罪だ。同罪だ。同罪だ……』

『《D》の鮫島恭平の息子と、《D》の岩渕誠が病院を出て、《D》名駅前店へと移動す
る……。鮫島の息子は楽しそうに笑い、岩渕も笑っていた……。世間に溢れる悪意と絶望
の量すら知らず、貧しさから医療も受けられない人々を嘲笑するような笑いだ……。当然、
許されるはずがない……。息子のツカサはともかく、父親の鮫島には、それなりの恐怖を、
身を以って体験してもらうことにする……もちろん……伏見の姫、いいや、伏見宮京子に
も、"大切な人を奪われる苦しみ"を少しだけ体験してもらうことにする……』

「わざとらしいくらいの"煽り"だな……」
 そう呟いて岩渕は、また次のページをめくろうとして――手を止めた。
 ……なぜ、ここまで《D》への敵愾心を煽るような書き方をする? まるで故意に《F》
と《D》を対決させようとする宇津木の真意がわからない……。考えられることが、ない
ワケじゃあないが……推測としては少し、現実味がなさすぎる……。

 少考してから、岩渕は次のページをめくった。似たような文言が続き、《D》社員たち
の個人情報らしき詳細、《F》のヤツらがした行為の根拠や状況の"予測"が記されていた。
いつくかのページをめくり続け、その時――。
 不自然な、まるで整合性のとれない、曖昧で、あやふやな――まるで人の夢の中をその
まま文章化したような――そんな"神託"を見つけた。見つけてしまった。
「……嘘、だろ?」
 明らかに宇津木の差し金でない内容に、岩渕は戦慄した――。


『辺りを見回すと、そこには大勢の人々がいた。時間は夕暮れ、景色はオレンジ色に染ま
り、人々の顔には影が差し、誰が誰かはわからない。

 私は影の差す人々の顔をのぞき込んだ。そこには……同じような黒いスーツを着て、私
を取り囲むように立ち並び――怒りと軽蔑の眼差しを向ける男や女の顔が無数にあった。


 怖い。本当に怖かった。……本当に。


 人と人との間に見える向こうに、倒れて動かない別の人々が見えた。芝生の上に倒れて

いるのは大人だけではなく、老人や子供もいる。学生らしき制服を着た若い少年や、妊婦
らしきお腹の大きな女性もいた。
 私は神の名を叫ぼうとした。だが、まるで金縛りにでもあったように、口はおろか、体
もまったく動かせなかった。


 ……助けてください、フィラーハ様。私を……どうか……どうかお救いください。

 私は祈った。祈り続けた。
 次の瞬間、私の周囲から、豪雨のような罵声が浴びせられた。


『下劣な詐欺師女っ、死ねっ!』

『イカれた犯罪集団めっ、消えろっ!』

 全身を戦慄が走り抜ける。恐怖に目を見開いて両手を握り、天を仰いだ。


『死ねっ』

 黒いスーツを着た大勢の人々が自分をなじり、けなし、罵声を浴びせ続けた。

『死ねっ』

 スーツを着た人々はジリジリと歩みを進め、少しずつヒカルを包囲していく。

『死ねっ!』


 恐怖に凍りつきながら、うわ言のように繰り返す。夢であるはずなのに胃が痛む。

「……助けて……フィラーハ様……誰でもいい……誰でもいい、から……」


 その時――罵声を続ける男女の壁の隙間から、ひとりの男が姿を見せる。

『……うんざりだっ! もう、たくさんだっ! こんなことをして何になるっ? 
俺たちはっ、何も変わらねえじゃねえかっ!』
 それは……投げやりで、乱暴で、とても……とても力強い声だった……。

 黒いスーツを着た男女……? 倒れている人々……?
 岩渕には、そのスーツの集団や、その集団に倒された人々の正体がわかりかけていた。
そう。それは……。
 けれど、岩渕は認めたくなかった。それが現実に起こるのなら……俺は……澤社長と…
…敵対する行為に他ならなかったからだ……そんな野望を抱いていたことがないと言えば
嘘になる……でも、こんな形で……でも、そうしなければヒカルや、《F》の連中は……。

 震える手で、そっとページをめくる。
 そこには――何も書かれてはいない、白紙のページだけがあった。しかし――最後の文
章はヒカル自身が作った妄想か、宇津木の作った計画かはわからない……。

 カラカラになった唇を嘗めながら、最後のページを見直し、目を凝らすと――ノートの
中心に紙の切れ端が見える。一枚、ノートは破られ、持ち去られていたようだった。持ち
去ったのはもちろん――"聖女"だろう。
「……破いて持っていきやがったか」
 もう一度、唇を嘗めてから、「"聖女"は……いったい、何が望みなんだ?」と呟いた。

 そこに――。
 そこに、女の悲鳴が鳴り響いた。

―――――

「エアロスを呼べ……大型ヘリ3機や」
 社長室に入った総務部長である熊谷に、澤光太郎は自分の考えを伝えた。
 直立不動で顔を青くし、目を丸くして熊谷が澤を見つめる。その優しげな顔には、不安
と困惑が浮かんでいる。

「……総務と営業で20人連れて行く。お前は総務の残りと後で来い。……営業車は全部
使ってエエぞ」
 そう。宮間の報告にあったこと――。
 川澄が宇津木とかいう成り金と"勝手に示談の交渉"をしたこと。
 楢本とかいうクソ聖女の精神治療のために《D》を利用しようと計画したこと。
 ……そもそもだ。そもそもカネの力だけで《D》を利用しようとしやがったこと。
 許せるハズがねえ。そンなくだらねえ理由で、こちらの仕事を停滞させやがって……。

「社長……川澄君は穏便に事を済ませようとしていただけ、なのかもしれないですし……」
 熊谷は今にも泣き出してしまいそうだ。「なにとぞ、冷静に、落ち着いて……」
 澤は無言で唇を噛んだ。戦うことを恐れているわけではなかった。自分にとって、《D》
は人生のすべてだった。それを汚されたような気がした。
 ナメられるワケにはいかなかった。周りの嘲笑や愚弄は、力で制してきた。そうだ……
守らなければならない……どんなことをしても……どんなに汚いことをしても……どんな
に卑劣な行為をしてでも、《D》だけは守らなければならない……。

『――やっつけて。《D》の敵は、すべて、やっつけて……おじちゃん……』

 澤はさらに強く唇を噛んだ。
「社長……話し合いの場を持たれてはいかがですか? 岩渕君も鮫島の息子さんも無事な
ようですし……」
 直立する脚を震わせ、両の掌を広げながら熊谷が言った。「……慰謝料の請求も青天井
らしいですし……ここは、ひとつ一考してみては……」

『……お願い、だよ? ……やっつけて……やっつけて……サワの、おじちゃん……』

 
デスクの椅子の上で腕組みをし、澤は自身の肩に触れる少女の――かつて、本当の娘の
ように愛した少女の手を見つめた。そして、それが幻覚であることも、それが幻聴である
ことも、すべて理解した上で――話を続けた。
「……重量制限もあるからな……"盾"は諦めるが、"棒"は人数分持って行く」
「社長っ!」
 叫ぶ熊谷の顔を見る。頬が上気し、鼻息も荒いが、それでも、熊谷の顔は優しげだった。
「……宇津木の計画に乗ってやるだけの話や。ただ、ヤツの考えている以上のダメージを
《F》にくれてやるだけ……何も《F》全員を皆殺しにするわけやない……」
「……わかりました……ただ、くれぐれも……過剰な報復は……私は……もう、あなたが、
誰かと争い、奪い合う姿は……見たくはない……」
「……この稼業、ナメられたら終わりだ。そんなことぐらい、知っているやろ?」
「……はい。そうして、私とあなたは、名古屋の水を飲み続けた……だが……」
 澤は立ち上がると、共に《D》を創業した戦友の脇に行った。そして、歯を噛み締めて
震える男の背をポンと叩いた。
 
 ……岩渕は変わった……あの姫と出会ったことで。ヤツだけではない、宮間も、鮫島も、
この熊谷も……だが、俺様だけは変わらねえ。……変わってたまるかっ!

 総務と営業の部署が入るフロアに入ると、澤は大声で叫んだ。
「――先着20人だっ! 臨時ボーナスをくれてやるぞっ!」
 歓喜の悲鳴が、
 覚悟の叫びが、
 闘志の咆哮が、
 戦いを告げる鬨の声が、《D》に響く……。


 守る。守り続ける。そうやって、守ってきた。なにもかもだっ!
 ……お前も、そう思うだろ? ……佳奈?
 心の中で名前を呼んだ少女は――澤の目の前でニコニコと笑っていた……。

―――――

 礼拝堂の清掃を終えた時、入り口の扉が閉まる音がした。誰か来たらしかった。
「誰ですかー?」
 掃除道具を片付けながらヒカルは言った。返事はない。
 片付けが終わり、入口に向かって「もうお祈りの時間は終わりましたよ?」と問いかけ
る。腰をさすりながら、「よいしょ」と掛け声をかけて礼拝堂の入口に向かう。
 そこには、田中陽次が立っている。
「あっ、田中さん……」
「ヒカル様、ちょっと、いいですか?」
 田中の声はひどく低く、かすれていて、とても聞き取りづらかった。「宇津木さんは、
ここにいますか?」
「今は、館におられると思いますけど……あの……大丈夫、ですか?」
「……こい」
「え? ……田中、さん?」
「俺と来てもらう、こんなシケた場所とはおさらばだ」
 そう言うと田中は後ろ手で礼拝堂の扉を閉め、ドアに鍵を掛けた。そして、ポケットか
らビニール製の縄のようなものを取り出した。
「私に何の用ですっ! ふざけないでくださいっ!」
 思わず後ずさる。「宇津木さんに連絡しますよっ!」
 田中がバックから出した物を見て、ヒカルは悲鳴を上げた。男はゴツゴツとしたその手
に、鋭利な出刃包丁を握っていたのだ。

「聖女様……いや、ヒカル……俺のものになれ。逆らうのなら……」
 田中は充血した目でヒカルの胸や下半身を見つめてそう言うと、脂ぎった顔を不自然に
歪めて笑った……。

―――――

 電話の向こうで、岩渕は取り乱していた。
「どうかしましたか?」
『大変だ。ヒカルが……"聖女"が連れ去られた』
「へえ……それは、おもしろそうですね」
 心臓が高鳴り始めるのを感じながら、川澄奈央人は友人とじゃれあうかのように言った。
『犯人は田中陽次だ。こっちは大変な騒ぎになってる』
「田中さんねえ……そうですかそうですか……」
 瞬間、時が止まり、脳が勢いよく回転した。
 岩渕の声は震え、話を理解するのに苦労した。礼拝堂の掃除を終えた"聖女"は、突如現れ
た田中陽次に体を拘束され、用意された車に連れ込まれ、《F》の敷地から出て行った。
 田中は先日、宇津木から《F》の離脱を宣告され、心身ともに錯乱していた可能性があり、
しかも、ヤツは前々から"聖女"に対し不敬な欲望を抱いていたことも発覚――このままでは
彼女の身が危険と宇津木が判断し、岩渕さんに相談、僕に電話が回ってきた、みたいなこと
ですか? まったく、客人待遇に気を緩めすぎでしょ? 相変わらずですね、岩渕さん……。

「でー……どうします? 放っておきますか?」
 わざとらしく僕は言う。彼がそんな人間でないことは、僕が一番よく知っている。そう。
知っていて、きく。これから彼が僕に提案する内容も、察していて、僕はきく。
『……ヤツは車で、茶臼山の国道46号線を北上するルート、らしい……46号線は岐阜
県や名古屋に繋がる一本の山道だ。だから――』
「奇遇ですねえ……僕も今、46号線に入ったところですよ」
『宇津木からきいた……お前も、もうすぐここに来るんだろ?』
 まさか京子様と一緒だとは夢にも思っていないのだろう男の声に、僕は得意げに言う。
「……僕にヤツを止めろ、と? タダで? 無料奉仕しろと?」
『当たり前だろっ! できることなら、助けてやれっ!』
 岩渕が怒鳴った。……ああ、しかたがないかな、と思う。
 それに――……。

 フィアットの後部座席から、伏見宮京子が詰め寄った。「その電話の相手――岩渕さん
じゃないですか?」
 とりあえず彼女のことは無視し、電話を切る。電話を切る瞬間に、岩渕から『京子?』
という声を聞いたような気もするが、まぁ……どうでもいいか。
「ちょっとっ、川澄さんっ、人の話を聞いてますかっ?」
 今度は姫様が怒り出したので、僕は慌てて電話の電源を切り、スーツの胸ポケットに押
し込む。怪しむ視線を向ける姫様を無視し続け、僕は――彼女の隣に座る女に、今日最高
の笑顔を向けた。
「どうやら……見せ場が向こうから来るみたいですよ? ……宮間先輩?」
 
 宮間と呼ばれた女は、携帯電話をいじる手を止め、嬉しそうに微笑んだ……。

―――――

 『聖女のFと、姫君のD!』 i に続きます。
















 今回オススメはもちろん? sees大好きSALU様……。


 SALU……。
 あまりヒップホップの音楽の嗜みのないseesですが、この方の曲のみはよく聴く。ダウ
ンロードばかりで申し訳ないけれど( ;∀;)
『ヒップホップのカリスマ』と呼ばれて数年ですが、やはり存在感は群を抜いて素晴らし
い……。曲のテンポ、流れるような歌詞、比較的覚えやすいリズム……完璧す。甘えたよ
うな歌唱も、見た目も、ホント……非の打ちどころのないラッパーです。
 皆様も一度くらいは聞いてみて下さい。惚れてしまいます……。 KREVAさん以来だわ、
この感動……。



 
車の中で聞くと最高。



 雑記

 お疲れ様です。今回もお話も少し長めです。いろいろとFの事情を語っていくのはいいん
ですが、その度に説明する展開をどうしようか模索中……結局、なんだか読者様がたおいて
けぼりな感があって……正直、ごめんなさい。 

 近況報告も特にないなあ……寂しいけど、平和が一番、なのかなあ(*^。^*)
 ていうか、次回のDの話の妄想が膨らみすぎてヤバイ……どうせなら、映画風に告知して
しまおうかと画策中…具体的には、「聖女D」の最終話にて公開いたしますww

 さーて次回のお話ですが、ようやっと澤社長の再登場と、田中氏のくだりの終わりが見え
てまいりました。どう決着をけるのか、見ものですよ~。まぁ、たいしたことは何もないの
ですが(^_^;)(^_^;)

 最終話……果たして、岩渕氏はどうーなってしまうのか?? いや~seesも楽しみですっ!!



 私、seesに関しての情報はもっぱら​Twitter​を利用させてもらってますので、そちらでの
フォローもよろしくです。リプくれると嬉しいっすね。もちろんブログ内容での誹謗中傷、
辛辣なコメントも大大大歓迎で~す。リクエスト相談、ss無償提供、小説制作の雑談、いつ
でも何でも気軽に話しかけてくださいっス~。"イイネ"もよろしくぅ!!

 でわでわ、ご意見ご感想、コメント、待ってま~す。ブログでのコメントは必ず返信いた
します。何かご質問があれば、ぜひぜひ。ご拝読、ありがとうございました。

 seesより、愛を込めて💓




           適当ショートショート劇場 『思い出し泣き』

sees   「う……ううぅ」
      最近……思い出し泣きをよくするseesです……。
      昔見た映画や漫画やアニメを思い出しては泣いています。そう。
      今日もまた……。

後輩   「せっ、先輩っ? どうしたんスか? 急に泣きだして、何かあったんスか?」
sees   「いやね……実は、かくかくしかじか」
後輩   「……あの~……今、運転中ですよ💦」
      そうだった(-_-;)テヘヘ
      そうやった。今は岐阜に向かう車の中で高速移動中やったっけww

後輩   「……こういうこと、よくあるんスか?」
sees   「いや……最近」
後輩   「ビックリしましたよ……いきなり号泣するもんだから……」
sees   「すまねえ……」
後輩   「……しっかりしてください。次のPAで運転交代しますから……」
sees   「アイツラ(会社の人)には黙っといてちょーだい」
後輩   「……ムリすね」
      なんでやねんっ!!

      しゃーないやん。こんな退屈な運転……。それに……思い出してまうんやから」

後輩   「……何を思い出し"泣き"してたんすか? ていうか、聞いてもいいですか?」
sees   「引くなよ? 笑うなよ? 楽しい話じゃあないぞ?」
後輩   「はぁ」

      たぶん、後輩はseesの過去の失恋やら別れやらの話を想像している様子だが、
      違うんだよなぁ……。

sees   「……ロボコップ3、ルイス巡査との別れのシーン。それに……ロミオと青い空
      でアルフレドとの死別のシーン……後、ローガンでウルヴァリンの最後の――」
後輩   「アニメとアメコミかよっ!!」
sees   「うう……思い出しただけで……うう、泣けるぅぅ……」
後輩   「……(昔のアニメの最終回で泣く人?みたいな? はじめて見たわ……)」

      後日、このネタを同僚に話したところ、返ってきた答えは……。
     「知らない」もしくは、「覚えていない」のふたつのみ。マジきゃ?


                                号泣号泣


こちらは今話がオモロければ…ぽちっと、気軽に、頼みますっ!!……できれば感想も……。

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Last updated  2020.02.09 21:04:39
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2020.01.21
​​ss一覧   短編01   短編02   ​短編03​   ​短編04
       《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから
                         登場人物一覧は​こちらから


 10月10日――午前8時。

《F》から与えられた朝食を食べ終えるまで、給仕係であろう初老の女は一言も口をきか
なかった。
 きっと……何も喋るな、とでも命令されているのだろうか?
 無表情で立ち尽くす給仕女の口元を見つめて岩渕誠は思った。
 隣に座ったツカサも、元々は快活な性格だ。それが今は、給仕女の沈黙が感染したかの
ように、黙々と朝食を食べていた。
 ……息が詰まりそうだ。
 ダイニングの窓から流れる《F》の人々の声を聞きながら、岩渕は膝の上の両手を握り
合わせた。
 ……わからないことだらけだ。
 この館に来てから何度も繰り返し思ったことを、また思わずにはいられない。
 広大な敷地で集団生活する《F》の人々と――彼らが"聖女"と奉るヒカルという女。そ
れがこの《F》という組織の第一印象だった。それは、情報としては少なすぎた。


「……外に出られますか?」
 朝食の皿を下げながら、給仕係の女が口を開く。優しげな声音だった。
「いいのか?」
 意外な提案に、岩渕も少しだけ警戒心を緩めて言った。「ずっと館に監禁されているも
のだと思っていたが、本当にいいのか?」
「大丈夫ですよ、敷地内でしたら」
 銀色の盆に食べ終えた皿を重ねながら、岩渕の顔は見ずに給仕女が言った。「もうすぐ
ラジオ体操の時間ですし、それが終わると、次は"お祈り"の時間です。岩渕様、鮫島様、
よろしければ、見学されますか? ご案内いたしますよ?」
「ラジオ体操? そういえば……」
 岩渕は窓の外に意識を向け、耳を澄ませた。懐かしい、あの音楽が微かに聞こえる……。


 公園を思わせる芝生の上では、たくさんの人々が楽しそうにラジオ体操を行っていた。
音楽とのタイミングが合わない者、うまく体を動かせない者も大勢いるために雑然とした
雰囲気だったが、人々の顔には笑顔が溢れ、サボるような人間は皆無だった。芝生はよく
整備され、ゴミはひとつなく清掃も完璧だ。
 たぶん、楢本ヒカルは綺麗好きなのだろう。敷地の端には花壇が設けられ、白やピンク
のダリア、バラ、パンジーなどの花々が乱れるように咲いていた。その周りには園芸用の
レンガやブロックが整然と並び、背後には黄色い花を咲かせたキンモクセイが植えられて
いた。

「……彼らは皆、聖女様に救われたんです」
 給仕女がラジオ体操を続ける人々の群れを指さした。「聖女様との出会いがなければ、
彼らの未来は絶望しか残っていなかったのだろうと思います……」
「……アンタもか?」
「ええ。実は私、長い間、腰に重い病気を患っておりましたが、聖女様に紹介いただいた
病院で治療を受けたところ……半月で完治しました」
 岩渕は息を飲んだ。
「後で聞いた話なのですが、かつて私が通っていた総合病院はロクな診察や施術もせず、
長期間患者を拘束するだけの悪質な経営方針だったようです」
「……それは、聖女の"神託"とは関係ないんじゃないか?」
「……疑惑や不信の目があることは存じています。ですが、聖女様は"見ず知らずの私を
無償で、何の見返りも求めず、助けてくれた"、それだけで……私は嬉しかった」
 岩渕は頷いた。そして、もしも、この給仕女の言うことがすべて真実なのだとしたら、
"フィラーハの神託"と《F》は無関係なのだろうか、と思った。

「……《F》の連中にとって、”神託”の真偽はどうでもいい? ……まさかな」
 囁くような小声で呟く岩渕の言葉を、聞いているのかいないのかはわからないが、給仕
係の初老の女は優しく微笑んだ。


 案内された”礼拝堂”は敷地内にある居住区に隣接した、一般的な平屋住宅のような建物
であった。屋根がなく、窓もない、遠目に見るとまるで”箱”のようなデザインをしている。
 礼拝堂の外壁にはモダンな感じの白いタイルが張り巡らされている。洒落たようにも見
えるが、コンクリート製の安普請であるようにも見える。
 扉の脇には金属製のプレートが掲げてあり『礼拝堂』とだけ書かれている。
 ……ここで、ヒカルは何をしているのだろうか?
 何げなさを装いながら、礼拝堂の扉の前に立つ。給仕女に「中に入っても?」と問うと、
女は静かに目礼した。女が言う。「正面奥にフィラーハ様の肖像がございます……現在は
”お祈り”の最中ですので、岩渕様もお静かに……」

 あっ。
 瞬間、心臓が飛び上がった。
 両手を固く握る人々の座るベンチの向こうに――天窓から陽光の射す祭壇の中央に鎮座す
る楢本ヒカル。そして――彼女の頭上に掲げられているモノ――それは……。
 ……本人の肖像画? それにしては鮮明すぎる……写真か?  
 ……似ているが、本人の写真ではない……ようにも思える。
 まさか――母親、か?
 
 心臓を激しく高鳴らせながら、祭壇上の写真に目を奪われ続ける。思考がうまくまとまら
ず、原因不明の汗が流れ落ちる。背後にいた給仕女が再び口をひらく。
「ヒカル様は先祖代々続く祖先崇拝の一族の末裔です。……処女受胎によって後継の”聖女”
を出産した後、絶対神フィラーハ様へと転生され、我ら《F》を導く、とされています」
「……」
 岩渕は無言のまま扉を締め、礼拝堂の外へ出た。


 わかったことはいくつか、ある。けれど、岩渕にとって重要な懸念はひとつだけだった。
 ……似ている。
 天照大御神を祖先とする伏見宮家。皇族における神道と――代々を祖霊、神として崇める
絶対神フィラーハの教え――……。
 いや……違う。やはり……違う。なぜなら……。
「”フィラーハ”は神様じゃあない。ただの人間で、ただの母親だ……そのはずだ」
 そう。”聖女”の予知、未来を変える力にも、何らかのカラクリがあるはずだった。

 給仕女が岩渕の横に立ち、ひとりごとのように、「……そんなことは、別にどうでもいい
ことです。ヒカル様がフィラーハ様の”聖女”であろうとなかろうと……《F》の”聖女”であ
ればいいんです……大切なのは、それだけです」と言う。
「……?」
 何と言っていいのかわからず逡巡する岩渕の顔を見つめ、女が続けた。「もし、あなた方
《D》が大挙して《F》に乗り込んで来たとしても……我々は、ヒカル様を全身全霊を賭け
てお守りするだけです……」
 ありえない……ありえないのだ。そんな結論に至る者の思考そのものが、ありえない。
 だけど、だけど……ありえるのだっ!
 瞬間、岩渕は女の思いを痛切に感じた。
 そう。自分がこの女で、ヒカルがもし、もしも……京子であったのならば……。
 無意識のうちに拳を握り締めた。
 その時、中年の男の声が岩渕に声をかけた。
「……岩渕様、少し、よろしいですか?」
 岩渕は振り向いた。そして、”すべて”を教えてくれるだろう、男の顔を凝視した。

―――――

 午前9時――。

「失礼します」
 宇津木聖一が館の執務室に戻るとすぐに、部屋をノックする音と共に声をかけられた。
相手が誰かはわかっているので、「どうぞ」とだけ声をかける。
 入ってきたのはグレーのスーツを着た男がひとりだけだ。腕には書類らしき冊子が数冊
抱えられている。彼は私が個人的に運営する企業の社員で、名前は……忘れてしまった。
 緊張しているのか、それとも室内の”違和感”が気になるのか、若い男は困惑げに表情を
歪めながら「……宇津木様……これは?」とだけ言葉を発した。
「気にしなくていいい」
 掌をパーにして男の動向を制止し、穏やかな口調で宇津木はきいた。「……ところで、
例のモノは?」
「……はい。無事、完成いたしました。これが……新しい、”神託”です」
 しっかりとした口調で男が答えた。おそらくは、何も問題がないのだろう。”不可能な
事象”や”天変地異”、”過度な願望”を極限にまで削った――人間の限界を示す書、が。
「デバック作業や、必要経費の計算は?」
 宇津木は男に確認しつつ、それとなく”違和感”のほうにも目を向ける。
「……問題はありません。どれも予算値内です。イレギュラーについては段階的に予算値
を再計算してあります……ご安心を」
「《D》に関しての慰謝料は?」
 私の言葉に”違和感”が目を丸くする。男のほうは身じろぎもしない。報告を続けるう
ちに緊張も解けたようだ。
「なるべくなら示談の成立が最良ですが……そうもいかないのでしょうね」
「……すみません。そちらの計算はまだ……あの……自分ごときが口を出すことではな
いのですが……」
 男が心配そうな……いや、理解できないというような顔をして言う。当然だ。それが
当然の反応だ。
「……何です?」
 当然、”違和感”は何も言わない。当然、男が話を続ける。
「……あんな、あんな《D》のような企業に億単位の慰謝料が必要ですか? 条件次第
では、せいぜい1千万程度の賠償と謝罪で済む話だと思いますが……」
「そうですか? 詳しいことは精査してみますけれど……彼ら《D》を甘く見てはいけ
ませんよ? その気があれば、彼らはこの地を焼き滅ぼすこともするでしょう……」
 宇津木はもう一度、”違和感”に向けて視線を向ける。だがもちろん、”違和感”は何も
答えない。今度は男も答えない。ただ、困ったように私と”違和感”を交互に見つめるだ
けだ。
 宇津木も困った顔をして、少しだけ微笑んでみせる。
「それでは”神託”は預かります。ご苦労様、社に帰ってゆっくり休むといい……」


 社員の男が執務室から出て行くと、それまで沈黙を守っていた”違和感”の顔に表情が
宿った。それは強い驚きと疑念、そして深い憐憫――哀れみの顔だった。
「……宇津木。ヒカル、さんのことだが……」
「岩渕様。……本当に、本当に申し訳ありませんでした」
 私が腰を曲げて謝罪すると、岩渕はまた驚いた顔をした。本当に、彼ら《D》には申
し訳ないことばかりした。しかし、しかたがないのだ……それもこれもすべて――
”聖女”を現実に連れ戻すためなのだから。

「すべては、アンタの持つカネの力で成し得た事象だった、てところか?」
「……はい。楢本ヒカル――彼女の不遇や貧困を、私は……黙って見過ごすことができな
かった……」
「なぜ、”聖女”に奉る必要が?」
「”フィラーハ”は彼女の一族の……”呪い”だからです」
「……呪い、だと?」
「非科学的だと否定されるでしょうが……彼女の血筋が女系一族であることは事実です。
彼女の祖先が何を企てていたのかまでは不明でしたが、先祖崇拝によって”予知”のような
能力を行使していたのも判明しています……」
「”神託”はアンタお手製の”企画書”だった……なら、ヒカルは何を見ているんだ?」
「……彼女は夢を見ているだけなのです」
「夢?」
「はい……彼女は自分が理想とする世界に浸り、私が与えた”神託”を自分が受けた啓示と
思い込み、自分が”聖女”であると誤認しているだけに過ぎません……」
「……ヒカルは、そのことを知っているのか?」
「いいえ……”神託”は毎日私が更新し、すべて完璧に実行してまいりました……。彼女は
ただ、”自分がフィラーハに神託を与えられ、それをノートに書き写すという夢”を見てい
るだけに過ぎません……精神に何らかの異常――疾患があるのでしょう……」

 岩渕はフーッと長い息を吐き、目を伏せた。
「なぜ、《D》を巻き込んだ?」
「……彼女の、数少ない願望のひとつだったからです……」
「……?」
「伏見宮京子様――経緯は知りませんが、ヒカルは彼女に対して、何か強い対抗心、強い
嫉妬心のようなものを口にしたからです……」
「……その関係で、俺とツカサを? 京子を困らせるのが目的で? いったい、ヒカルは
《D》に対して何を求めてやがる?」
「……わかりません。最初は身代金か、《F》への勧誘・改宗かとも思いましたが……」
 32歳の男の顔に、道に迷った子供のような表情が浮かんだ。


「……これからのことですが」
 私が言い、窓の外を見つめる岩渕が小さな声で「……ああ」と答える。
 偽造の”神託”をパラパラとめくり、最終的な状況を探し、ゆっくりと口を開いて読む。
「……《D》に《F》を潰してもらい、私は個人的に澤社長へ示談として数億のカネを
譲渡し……その後、私はヒカルと共に消えます……手荒なショック療法にはなりますが、
《F》が消えれば、彼女の精神にも何らかの改善があるでしょう……それが、医師から
の診断結果です」
 言い終えた直後――窓の外を見つめる岩渕の目が険しくなる。
「……《F》の人々は、どうなる?」
「どうでもいいことです。彼らは元々――社会不適合者の集まり。雲散霧消するだけの
存在です……」
「どうでもいい?」
 岩渕は挑むような視線で宇津木を見つめ返した。「アンタ……やっぱり洞察力はゼロ
だな。澤社長のこともそうだが……”人間”をナメすぎだ」

 私は岩渕の顔を見つめ、落ち着いて言った。
「……準備は整いつつあります。あなたの同僚――川澄様にも、既に連絡と報告は済ん
でおりますので、まもなくここに到着することでしょう――計画に変更はありません」
 一瞬、岩渕はまた驚いたように目を見開いた。それから――岩渕の顔に、さっきまで
とは別の困ったような苦笑いが広がった。

「……悪いが、俺の携帯電話、一瞬だけ、返してもらっても……いいか?」
 目の前の男は苦笑いを続けている……。

―――――

 午前9時30分――。

 楢本ヒカルは礼拝堂にて祈りを捧げ続けていた。
 フィラーハ様、どうか……どうか……私に”神託”を……。
 祈り続けた。困っている人を助けたい。病で苦しむ人を助けたい。私のような境遇の者
をひとりでも多く助けてあげたい……偽善かもしれない……打算もあるかもしれない……
でも、助けてあげたいという気持ちに嘘はない。嘘はないと信じたい……。
「……ねえ……お母さん……いつか、私を……」
 祈り続けた。神である母に、私は祈り続けた。

「……お願いだ……私を……」
 その日、ヒカルはついに、心の中で言ってしまった。
 決して口にしてはならない、心からの願いを、言ってしまった……。

―――――

 午前9時30分――。

 フィアットの車内にて――川澄と《F》が共謀した計画とやらを聞いた後、ヤツの携帯
電話が鳴る。どうやら岩渕クンからのメッセージらしい。内容は『無事だ。早く会いたい』
という旨らしいが、嘘だろう。何せ誰もその文面を見せてもらえないのだから。
 川澄奈央人、本当にムカつく男だ。やはり――男という生き物は少し呆けたところがあ
るほうが可愛らしい……岩渕クンのように。
 宮間有希は思った。
 そして、スーツの胸のポケットから携帯電話を取り出し、自身もメッセージを飛ばす。
相手はもちろん、澤社長だ。
 脳内で素早く文面を構成し、打ち込み――送信する。
 内容は《F》の情報、代表である宇津木聖一の情報、宇津木と川澄とのやりとりと計画、
川澄の携帯へ岩渕クンから何かしらのメッセージが来たこと。その他、《F》や《D》に
関することのすべて。
 
 川澄、悪いわね。私は、私の意思だけでこの車に同乗しているワケじゃあないの。岩渕
クンがどうしてアンタみたいな盗賊と仲良しなのかは知らないけれど……私は別にアンタ
の友達でもなんでもないわ……。
 そう。宮間有希は守り続けていただけだった。今朝、澤社長から下された命令はたった
ふたつだけ。『川澄から目を離すな。ヤツの行動を逐一報告しろ』このふたつだけだ。

 国道153号線――私を乗せたフィアットは走り続ける……。

―――――

 午前9時30分――。

 鮫島恭平はフィアットの運転を続けていた。
 助手席に座る川澄が何かを喋っている。おそらくは《F》と《D》のことなのだろう。
 だが、そんなことはどうでもよかった。
 鮫島にとって最も優先すべきは《D》の未来でも、岩渕の安否でもなかった。
 ……どんな理由があるにせよ、どんな理屈を吐かれようとも、ツカサを危険に巻き込み
やがった野郎だけは、許せねえ……。女だろうが、ジジィだろうが関係ねえ。半殺しにし
てやらなきゃ気がすまねえ……。
 そう。ただ、それだけのことだった……。

―――――

 午前9時30分――。

社長を煽るな

 岩渕からの短いメッセージを見つめ、川澄奈央人は慌ただしく考えを巡らせた。
 心の中で岩渕の姿を想像し、彼の状況を推察する。
 ……僕が最も得をする展開に持ち込むには?
 心の中で僕はそっと呟く。
 そう。今回の騒動による――僕の個人的勝利の条件とは? 
 ひとつ、田中に奪われたカネの奪還。これが最低条件だ。
 つまり、最低の条件さえクリアできれば、後は……好きにさせてもらうことにする。

 岩渕さん、ネタばらしは済みましたか?
 ”聖女”のネタを聞いて、あなたはどうしますか?
 まぁ、あなたがどの道を選択しても、僕は別に構いませんよ?
 ……僕の邪魔さえしなければ、ね。
 
 しかし……この”お願い”はどうしようかな……。
 まるで他人事のように、川澄は薄く微笑んだ。
 
―――――
 
 更新を終えた”神託”のノートを手に取り、岩渕はツカサの待つ部屋へと戻った。
 ”神託”は年365冊偽造され、そのどれもが同一人物の女の筆跡を再現し、古くなって
変色した紙の色を再現し、パッと見ただけでは本人にも判別できない精巧な出来……らし
い。岩渕が宇津木から借りたのは本日の日付けで不要になった”神託”――10月10日の
ものだった。
 ……何か方法があるはずだ。《F》の連中も、ヒカルも……そして《D》も、どうにか
して穏便に解決する手段が……。岩渕は思った。ヒントが欲しかった。
 宇津木によると、ヒカルが自ら”神託”に何かを記入した痕跡は皆無であったこと、だが、
365冊すべてのノートのすべてのページを確認したワケでもないということは聞いてい
た。ならばと、岩渕は”神託”の一冊を手に取り、拝読の許可を得た。

 ……悪いな、読ませてもらう。
 他人の、しかも女の、日記のようなものを読むのはためらわれた。長い間ヒカルの傍に
いて、彼女の生活を支えてきた宇津木に見つけられなかったものを、他人の自分が見つけ
られるとも思えなかった。彼女が直接ペンを手に取り書いたわけでもないこともわかって
いた。ヒカルと《F》がかつてどんな善行と悪行を繰り返してきたのか、など知りたくも
なかった。けれど――やはり、読まずに済ますわけにはいかなかった。

 岩渕はそっと息を吐いた。そして、ベッドで横になって眠るツカサの髪をそっと撫でた
後でソファに座り、無造作に”神託”を開いた……。


―――――

 『聖女のFと、姫君のD!』 i に続きます。
















 今回オススメはもちろん? sees大好きコレサワ様……。


 コレサワ……。
 着ぐるみが素顔?という異色シンガー。イロモノかと思いきや、歌唱・歌詞・メロディ、
どれも素晴らしい……。恋愛テーマがメインだけれども、そのポップさで重さを感じない。
MVも丁寧な作りで共感大。
 今後のことについてseesから言うことはひとつ……ちょっと曲調パターンを増やしては
どうでしょうか……? 例えば編曲を誰かに任せるとか……。いやね、それくらい、この
方には売れてもらいたい。それぐらいの将来性と実力があるとseesは思います。




 
感動。




 雑記

 お久しぶりです。seesです。
 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

 えー今回はクライマックスに向けての助走回、ですね。フィラーハ様の正体はヒカルの
母(´д`)!!エ~!! 
 次回は宇津木様の真の正体とは? そして田中の反逆っ……? いけるのか?
 問題としては……エンドロールw後のオマケ話をどうしようかと考え中。ままま、とり
あえずは整理しつつ、皆様が納得できる結末にはしたいものです( ̄∇ ̄;)

 てことで――残りはクライマックス&結末編として、3話ぐらいの予定。

 ちなみに次作予定のDの話も既にほぼ構想済み。タイトルは決めてます。
『空中庭園の聖域と、D!』
 ……まぁ、仮ですがw
 しかし今回は長いっ!!!
 そして「””」多いっ!!!
 sees 反省……(-_-;)💦

 私、seesに関しての情報はもっぱら​Twitter​を利用させてもらってますので、そちらでの
フォローもよろしくです。リプくれると嬉しいっすね。もちろんブログ内容での誹謗中傷、
辛辣なコメントも大大大歓迎で~す。リクエスト相談、ss無償提供、小説制作の雑談、いつ
でも何でも気軽に話しかけてくださいっス~。"イイネ"もよろしくぅ!!

 でわでわ、ご意見ご感想、コメント、待ってま~す。ブログでのコメントは必ず返信いた
します。何かご質問があれば、ぜひぜひ。ご拝読、ありがとうございました。

 seesより、愛を込めて💓





             適当ショートショート劇場 『詐欺師』

sees    ……とある日、seesは三重県のコメダ珈琲店でPCの作業中でした……。

女性A   「すごいですね~……さすがですね~……ご立派ですね~……」
女性B   「こんなの初めてですぅ~……知らなかったですぅ~……」
標的?   「いやいや~……そんなことないですよ~(*´σー`)デヘヘ」

      ……詐欺師か。

女性A   「あなたなら、絶対大丈夫ですよ~」
女性B   「私、もう、感激ですぅ(?)~」

      ……チッ、うぜえな。見たところは証券系の詐欺師か、それとも投資系?
      いや、シンプルに銀行かも……。

女性A   「つきましては~……こちらのプランですと――」
女性B   「お得で~お値打ちで~限定で~……」
標的?   「え~('ω')どうしようかなぁ(*^。^*)デレデレ」

      ブサイクなオタク男に、女2人がかりで……堕としにかかるとは……。
      南無。

      そして――……

女性A   「ありがとうございます(´▽`)!」

      オタク男は……ハンコを……押してしまった……。クソォ。

女性B   「今後ともよろしくお願いいたしますね~~っ!!」
標的?     「はははは~…こちらこそですよ~」

      残念だ。
      そう。
      影ながら、隣の客席から、seesは密かにオタク男を応援していたのだ。
      しかし、男は女2人の褒め殺し攻撃に耐えきれず、バックできるのか不明な
      料金設定の儲け話にハンコを押してしまった……。

      あーー気分悪い。

      冬は詐欺師も多いので、seesのページの訪問者方も、気を付けて。
      すみません。オチも何もない注意喚起小話です……。


                                  涙ぽろり涙ぽろり


こちらは今話がオモロければ…ぽちっと、気軽に、頼みますっ!!……できれば感想も……。

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Last updated  2020.01.27 21:46:54
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2019.12.24
​​ss一覧   短編01   短編02   ​短編03​   ​短編04
        《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから。


 10月9日――午前9時。

 昨晩からのことを思い出す。

「……いったい、何が目的なんだ?」
 岩渕誠がそう聞くと、目の前の女は楽しそうに微笑み、フフッと短い息を漏らした。
「……岩渕さんとツカサ君は、お客様として丁重に扱い致します。もちろん、お答えでき
ない疑問も少しはありますけど……」
 女の仕草が自然すぎて、岩渕は顔をしかめた。

 わけがわからなかった。
 岩渕と鮫島ツカサは前夜――この"聖地"の洋館に連れ込まれ、特に説明もなく、簡単な
食事を与えられ、簡素な客室へ案内され、質素な着替えを貸し与えられ、「お話はまた、
明朝に――」と宇津木聖一に言われ、最初に案内された洋室に閉じ込められた。
 用意されたベッドに寝たツカサが言った。「あの人たちは、誰?」「これから、僕たち
はどうなるの?」「パパは来てくれるのかな?」
 岩渕は苦笑して「……すまない」としか言えなかった。言うしかなかった。

 閉じ込められた洋室の窓をのぞくと、月夜の光に浮かぶ茶臼岳の輪郭と、周辺に建てら
れた居住区の明かりが点々と瞬いていた。腕のタグホイヤーに目をやると、岩渕とツカサ
が拉致されてから、既に8時間が経過していた。……心配、させてるんだろうな。

「……僕のことは気にしないで。岩渕さんは、その窓から飛び降りて、逃げてもいいよ? 
僕はここに残るから……」
 目を閉じてツカサが言う。
「ふざけんな。……そんなことは二度と言うな」
「パパは……岩渕さんは『神様に愛されてやがる』って言ってたよ……。だから、別に僕を、
見捨てても……」
 ツカサの言葉を途中で遮り、岩渕は低く言う。「もう一度言う。ふざけんな」
「……ごめんなさい。足をひっぱって……僕……」
「気にしなくていい。お前は何も悪くない」
「うん……ううぅ……」
 ツカサはベッドの中にもぐり込むと、声を殺して泣いていた。その少年の父親もまた、今
ごろ泣いて叫んでいるのだろうな、と思う。


 何がきっかけで、何が理由で、何が原因で、何が目的なのか? 
 聖女とは? フィラーハとは? なぜ、《D》を狙うのか?
「わからないな……カネが目的じゃあないみたいだが……」
 思い当たることはまったくなかった。


 朝になり、客室の前から声がした。
「遅くなりましたが、朝食の準備が整いました。岩渕様、鮫島様、よろしければ部屋から
出ていただけませんか?」
 慇懃な口調で宇津木が言う。岩渕は「…少し待て」と言って舌を打った。ナメやがって
……クソが。この野郎、俺がツカサを見捨てないと"確信"してやがる……。

 作務衣のような黒い和服に着替えたふたりが案内されたのは、洋館の1階にあるダイニ
ングらしき広間であった。アンティーク調の燭台が置かれたダイニングテーブルの上には、
ホテルでの朝食を思わせる清潔な食器とグラスが丁寧に並べられていた。

「……結構なおもてなし、だな? 聖女様……」
 目の前に堂々と座る女と目を合わせ、岩渕は口を歪ませた。
「……昨日からのことは本当にすみません。……すみません」
 女は本当に申し訳なさそう動作で顔を下に向けた。

―――――

 たぶん……この男の人は、悪い人じゃあないんだろうな……。
 楢本ヒカルは思った。この岩渕誠という男も、不安げに視線を泳がせる鮫島ツカサとい
う少年も、決して悪い人間ではないのだろうなと考えていた。
 32歳のサラリーマンと10歳の少年は社会の一員として、懸命に働き、懸命に生きて
いるのだろうなとも思う。そしてヒカルも、今でこそ《F》の聖女として信徒の人々から
畏敬の念を抱かれているものの、かつて木造のアパートで病気の母を亡くし、ひとりきり
で懸命に働き、懸命に生き、社会の底辺でもがき、苦しんでいた。少なくとも自分と――
自分を拾い上げてくれた宇津木聖一だけは、そう思ってくれるのだろう。

 岩渕は、ここ数日間における、《F》と《D》のいざこざの原因を、川澄奈央人と田中
陽次の金銭トラブルが発端かと怪しんだ。岩渕の質問は、ヒカルの生い立ちからその後の
経歴、宇津木との関係や、フィラーハ様のことまで多岐に及んだ。

「……アンタの話がすべて真実だとして、そこの……宇津木聖一、アンタは何者だ?」
 感情を押し殺したような低い声で岩渕がきいた。同席していた宇津木が微笑む。
「私は元々――錦で投資ファンドを経営しておりまして……まぁ、成り金です」
「それがどうしてヒカル――聖女様と?」
「……恥ずかしながら当時、会社の経営に行き詰まりましてね……そこで、巷で噂になっ
ていた占い師、『フィラーハの聖女』の元を訪れた次第です」
「占い? それが……アンタの言う"神託"か?」
「そんな低俗な商売とは一線を画す――ヒカル様の"神託"は本物です」
「……具体的に、"神託"って何だ?」
「具体的? 意味はそれ、そのものですよ?」
「だから……こう、人生相談とか、占星術とか、手相とか? そういう意味か?」
「そんなものではありません。理解しやすく申しますと……ヒカル様は"未来を予知"し、
"未来を変える"力をフィラーハ様より賜ったのです……」

「……失礼だとは思うが――……ペテンだろ?」
「最初は皆様、同じことを言いますよ。別に気にしないでください……」
 ダイニングの室内は清潔な空気で満ちていて、暖かい陽光が射していた。テーブルの上
では朝食としてパンとスープとサラダとゆで卵とオレンジジュースが置かれていた。岩渕
はアンティーク調の椅子に座り、時折隣に座るツカサ少年の様子を伺いながら、宇津木と
"聖女"の、"ありえない奇跡"の話の数々を、冷静な態度で聞き続けていた……。


「なぜ、宮間を――いや、《D》を狙った? ……恨みでもあるのか?」
「恨みはありませんが、そういう命令をフィラーハ様から受けたので」
 不信感を隠さずに岩渕が質問を続ける。「……理由は?」
「わかりません」
 ヒカルは首を振る。御身の真意は、本当にわからないのだから。
 どういう態度を取っていいのかわからないのだろう、岩渕が沈黙した。
「でも……今は、少し、ほんの少しだけ……理解できます」
「――? どういうことだ?」
「最終的な目的は、今は秘密です。ですが、あなたとツカサ君は解放すると約束します。
それだけは信じてください。私たちも、この土地から離れます……」
「はぁっ? これだけの騒ぎを起こしといて、消えるだと? そんなこと……許される
ワケがねえだろっ?」
 岩渕が語気を強めるが、関係はない。
「"神託"さえあれば、可能です。……私たち《F》は既に、そうやって何件もの新興宗教
や教会を潰して回っておりましたし……」
 岩渕の目が丸くなる。相当に驚いたようだ。

「……結局は、犯罪集団って認識でいいのか?」
 そう言って岩渕は、ヒカルの目を睨むように見つめた。
「……誤解なきよう補足しますが、フィラーハ様は"絶対神"なのです。他の神々や象徴な
ど、まがい物でしかありません。淘汰されるのが自然のことかと」
 宇津木がそう言って微笑み、ヒカルも笑みを浮かべたが、岩渕とツカサは笑わなかった。



 彼と少年がダイニングを出ていった後で、私は今朝のことを思い出した。
 昨日の夜に見た"神託"では、《D》の名駅前店の3階で会議をする澤社長と幹部連中の
姿が見えた。……どうやら《F》の、この地に踏み込むべきか、否か、の協議中らしい。

 ……時間はまだある。まだまだ、ある。
 彼ら《D》が我ら《F》と邂逅し、対決する未来などない。永遠に、ない。
 例え彼らがここに踏み込んだとしても、《F》は既に消え去った後なのだから。

 でも……何でだろう?
 ヒカルにもわからないことがいくつか残っている。
 ……川澄奈央人、宮間有希、鮫島恭平の姿が見えない。それに――いつも、いつも、
相変わらず、あの女――……伏見宮京子の姿は見えない。
 
 ……どうしてだろう?

―――――

 10月10日――早朝。

 川澄奈央人は名大病院のロビーのベンチで自身が書き留めたメモを読み返していた。
 
 防犯カメラの映像。女の名前は楢本ヒカル。ヒカルは光? どうでもいい。
 住所は豊田市茶臼岳の奥地の集落。《F》。信者たちと暮らしている? 30代前半。
ていうか、若く見えるね。
 名大病院の駐車場の監視カメラの映像。宇津木聖一。オッサン。顔を隠す気はない?
逃亡? 失踪に自信アリ? 僕より? うざいね
。ちなみに、コイツの正体も調査済み。

ただの成金オヤジだと思ったけど、驚いたね。

 "聖女"の監視の目は大丈夫? まあまあまあ、いざとなれば、"川澄"を捨てれば、何
とかなるのかな?    


 早朝の病院のロビーには100人以上の患者とその家族が医師の診察を待ち、看護師や
医療事務の人々が右往左往している。木を隠すなら森、とはよく言ったもんだね。川澄の
顔に微かな笑みが浮かぶ。

 グーグルマップから見た衛星写真。規模。広いね。建物。居住人数。資産。まずまず。
イイね。屋敷。洋館。気に入らないデザイン。岩渕とツカサ少年がいそうな部屋の推測。
正味、助ける気は微妙。岩渕に危害を加えそうなのは? 田中だけかな? まあまあ、
臨機応変に対応予定。いつものように。

 
川澄は病院の売店で購入したカルピスのペットボトルの蓋を開けた。中身を少しだけ口
に含み舌に乗せて味わいながら――すいませんね、澤社長。ほら、僕って優秀で、天才で、
嘘つき野郎でしょ? 下調べに2日もかかるワケないじゃないすか。それにさ……もしか
したら僕、人に頼まれたら断れない性格かもしれないです……と考えた。

 最終確認のため、現地調査が必要。先行。めんどくさい。しかたない。
 足。借りよう。怒られたら謝ろう。


 メモを閉じ、川澄は腕のHublot Big Bangに視線を移した。そろそろ時間だね。ベンチ
から立ち上がり首を回す。ここ数日、寝不足やらPC作業やらが続いたせいで、今朝は肩
と首が凝っていた。
 片手に飲みかけのペットボトル、もう片方の手にカーボンのアタッシュケースを持ち、
川澄は歩いた。駐車場に置き去られていた"足"の前で立ち止まり、長い息を吐いた。

「……先輩、"彼女"、借りますね。無傷で返せるかは、わかりませんけど」

 川澄はニッと笑いながら、同僚の家から拝借したスペアのスマートキーを起動させ、"足"
であるフィアットのドアを開ける。すると、サイドミラーにスーツを着た男女と、ジーンズ
とセーターを着た若い女の姿が映っていた。3人の男女は無言のままフィアットに近づくと、
運転席に腰を下ろした川澄をじっと見下ろした。
「……そういやてめえ、免許持ってんのか?」
 苛立ちを隠そうともしない、野太い男の声がし、川澄は思わず苦笑いした。「いやー……
持ってないすよ……本物は」

「ねえ、この車……狭すぎない? 4人乗れるの?」
 黒いパンツスーツを着た女が、冷淡な口調で川澄にきく。
「一応、4人乗り車両の……ハズです……はい」
 女の想定外な質問にうろたえながら、川澄は微笑んだ。

「……では運転は鮫島さん、助手席に川澄さん。後部座席に私と宮間さんで乗ります。
いいですよね? 川澄、さん?」
 伏見宮京子が川澄を見下ろしてまた言う。「……いいですよね?」
「わかりましたよ……姫様」
 京子の顔は見ずに、川澄は運転席を飛び出した。

「……どうでもいいけどよ。川澄、お前の腕時計、派手すぎだ。もっと地味なヤツに
しやがれ」
 鮫島恭介が運転席にドカリと座り、「左ハンドルかよ」と呟いて舌打ちする。
「本当に狭い車ね。岩渕クンも、この車のどこがイイのかしら?」
 宮間有希が後部座席で足を上げ、「姫様の膝の上に足、のせてもいい?」と聞く。
「……しかたないですね。シートベルトはしてくださいよ」
 伏見宮京子は膝の上で宮間の足を持ち抱え、「出発してください」と小さく言う。

 
 まあ……囮役は多いほうがいいからね。お前もそう思うだろ?
 彼氏が消えた"彼女"に、川澄は心の中でそっと呟いた。
 フィアットの2気筒ツインエア・エンジンの排気音が、低く悲しげに響き渡る……。

―――――

 『聖女の《F》と姫君の《D》!』 hに続きます。
















 今回オススメはもちろん? sees大好きBANDMAID様……。


 BANDMAID……。
 コスプレハードロックバンド……。見た目のカワイさとのギャップに歌詞・曲調・演奏、
すべてがハードで重厚。ビジュアルはメイド調。イベントやライブを「給仕」と銘打つな
どパフォーマンス精神も旺盛。seesもすぐに好きになりました。
 ツインボーカルの曲が多く、seesはボーカル/ギターのミクちゃん推しw
 海外でも評判良く、女性ファンも多数とか……そりゃあそうだわな。だってカッコイイ
もんw
 コンサートメインの仕事でアニメタイアップなどの媚びた仕事あんまないのも好印象。
売れるとアイドルぶった仕事するヤツはちょっと苦手(別にアニメやドラマのタイアップ
仕事を嫌悪するわけじゃないが、節操ないヤツはね……)。そういう意味だと、岸田教団
なんかは……ちょっと別次元、かなwwあの人たちは書きおろしなんかにも力入れている
し、仕事は仕事としてキチンとしてそう……。



 ミクちゃん風に言うと「おかえりなさいませ、ご主人様」






 雑記

 お久しぶりです。seesです。
 東京で開催されるとあるフェスに行くために休み申請したけど、あっさり却下された。

 さて、今回も抑揚のない、説明&スルー回ですね。
 安定の岩渕氏を中心に、続々とDが集まる豊田市の山奥。ヒカル様の目的、取り巻きの
真意。川澄氏の本音。京子様の心配。そして、田中の動向……。
 まだまだ書き足りないこと多すぎですが、すんまへん。年内の更新は最後になるかも。
新年は挨拶程度の更新はしますが、物語自体はちょっと待って( ゚∀゚)アハ

 次回は澤社長の動きと、エフの人々との交流(今回ではできんかった)。
 到着した京子様と川澄、田中を探す宮間、…できればツカサ君パートも作りたい。
 でわ。
 しかし……この話、思ったよりも長くなりそう。たぶん、​「激昂」​よりも長くなるかも💦


 私、seesに関しての情報はもっぱら​Twitter​を利用させてもらってますので、そちらでの
フォローもよろしくです。リプくれると嬉しいっすね。もちろんブログ内容での誹謗中傷、
辛辣なコメントも大大大歓迎で~す。リクエスト相談、ss無償提供、小説制作の雑談、いつ
でも何でも気軽に話しかけてくださいっス~。"イイネ"もよろしくぅ!!

 でわでわ、ご意見ご感想、コメント、待ってま~す。ブログでのコメントは必ず返信いた
します。何かご質問があれば、ぜひぜひ。ご拝読、ありがとうございました。

 seesより、愛を込めて💓





             適当ショートショート劇場 『船酔い』

 sees    ……久しぶりの船と電車移動だし。良いよね💓

       そう。
       今日は津からセントレア、セントレアから名駅へと移動する予定の日。
       seesは朝からテンション爆上がりで津港に入る……前にちょっとコンビニ。

 sees   「良いよね。仕事前だけど、バレないよね……」
       ブォーーーー……。
       朝、10時、港を出発~フェリーで1時間かけてセントレアへゴー~🚢

       そして。プシュ。
 sees   「うめえ」
       銀色のヤツを開けましたw
       うめうめうめ……グビグビ😋
 sees   「そして……昨日買って食った残りのエイヒレ……をひとつまみ……」
       うめえ。

       仕事の前に飲酒。本来であれば始末書ものだが……今日は別に運転する
       予定もないし、仕事も簡単なものだ(言い訳)。というか、皆、ヤって
       るやろ? 当然やろ? そう思いたい。

       フェリーの中では誰もが静まり返り、放送されているニュース番組を見た
       り、新聞を読んだり、携帯をイジったりしていて……静かだ。その静かな
       場にひとり、seesのグビグビ音が響く……。
       大丈夫さ。大丈夫。別に1~2本ビール煽ったところで酔いはしない。
アナウンス 「……本日は波の影響もあり~~多少の揺れもございますぅ~安全には~
       問題ありまへへへへ~……」

       何か言ってやがるけど……聞こえねえな……プシッ。
       ああ゛……うめえわ。仕事前の酒……。

       ―――――
       ―――――
       ―――――

       案の定――……。
       顔真っ赤のフラフラで集合場所へ赴くseesであった……。

 女子社員 「……seesさん、ま・さ・かショック……」
 sees   「……いや……それがさぁ……二日酔いで……へへへしょんぼり……」
 女子社員 「……はぁ(白い目)」

       天罰か、自業自得か、ただのバカか、それとも全部か、猛省。
       海をナメてました。いや、自分を過信していました。
       はい。
       すみません。
       以後、気をつけます。この場を借りて、謝罪いたします(誰に???)。


                                  🍺了🍺


こちらは今話がオモロければ…ぽちっと、気軽に、頼みますっ!!……できれば感想も……。

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Last updated  2019.12.29 01:32:34
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2019.12.12

​​ss一覧   短編01   短編02   ​短編03​   ​短編04
        《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから。



《F》の聖地とやらの場所は、岩渕誠が想像していたより、ずっと近い、名古屋市から車
で2~3時間の距離にあった。
 目隠しはされておらず、岩渕は車の窓から外の景色を眺め続けた。名古屋市から出て、
瀬戸市を抜け、豊田市の幹線道路から茶臼岳のルートを走る。……本拠地を知られる、と
いう考えはないのか? ……つまりは、俺たちを生きて帰す気は……ない?
 岩渕の膝の上で眠るツカサの手を握りながら、岩渕は思った。目の奥が熱くなり、涙が
込み上げそうになる。

 連れ去られた車の車内では、岩渕が何を言っても反応は無かった。何かを質問しても、
何か世間話をしようとしても、返ってくるのは沈黙した男たちの吐息だけ。しだいに岩渕
の口数も減り、ツカサも疲れて眠ってしまった。……取り乱さず、悲鳴もあげずに、よく
堪えていると思う。

 車の外には山々の紅葉と日本の田園風景が広がっていた。季節のせいか、その風景はと
ても美しいものではあるが、どこか物悲しく、どこか寂しげに見えた。
 田畑と果樹、小川と岩々、木々と土に覆われた斜面……どれほど見つめていても、歩い
ている人の姿は見つけられなかった。民家も数えるほどしかなく、整然とビルが立ち並ん
だ名駅周辺に比べると、ここはまるで別の世界のようにも思える。

 午後遅く、岩渕たちを乗せたバンがスピードを落とした。タグホイヤーに目をやると、
午後6時を回っている。豊田市茶臼岳の深い樹海の中にある集落……てところか。辺りは
暗く、街灯すらない集落であった。

 やがて、瓦の乗った大きな門の前でバンが停車する。岩渕の席のドアをコンコンと叩く
音がし、振り向くと、あの男――宇津木聖一が、「岩渕様、着きましたよ」と微笑みなが
ら言う。「……こちらです」
 ツカサを背におぶり、宇津木の言われるがままに門を抜ける。逃走防止のためなのだろ
うが、岩渕の両脇に並んで歩く男たちの視線が鬱陶しい。
 門を抜けた先には100m四方はあろうかという公園のような広い空間があった。青々と
した芝生が一面に敷かれており、足元には御影石を使った小道が続いていた。広場の隅に
は大多数の人間が暮らせるであろうマンションのような建物が3棟ほど建てられているの
が見えた。

 迎賓館を思わせる巨大な洋館の玄関まで歩くと、宇津木が呼び鈴らしきボタンを押す。
しばらく待つと、木製の立派なドアの曇りガラスから、30代前半に見える綺麗でスタ
イルのいい女性が、岩渕とツカサの前に歩いて来るのが見える。
 女はきちんと化粧をし、流れるようなストレートの長い栗色の髪をしていた。耳元では
リングの形をしたピアスをし、ブラウスの胸元ではピアスとお揃いのリング系のペンダン
トが光っていた。ブランドは不明だが、紺色のカーディガン、花柄のスカート、細い足首
と、華奢な腕。爪にはベースコートが塗られ、ターコイズの指輪をひとつ嵌めている……。

 ……何だ、この女。
 女を見つめて、岩渕は首を傾げた。「誰だ?」と岩渕が口を開きかけた時、宇津木が、
「岩渕様、こちらが"聖女"楢本ヒカル様です」と言って女を紹介した。
 岩渕は思わず「えっ? アンタが? "聖女"?」と呻いた。それから慌てて、「岩渕
だ」と言って顔をしかめた。

《F》という組織の構成と"聖女"という役職について、岩渕は何も知らされていなかった
し、宇津木から何か説明があった訳ではなかった。しかし、彼女の姿は岩渕のイメージと
はあまりにもかけ離れていた。
 ……《D》を脅してカネをせしめようとする中年女を想像していたんだが……マジかよ
……こいつが? こいつが"聖女"?

「……はじめまして、岩渕さん……」
 目の前に立つ女は、ゆっくりと頭を下げ、照れたように微笑んだ……。
 
―――――

 10月9日――。
 
 午前9時――《D》社内に『岩渕』の姿はない。朝のコーヒーと会議用の資料を運んで
来た宮間有希が「岩渕マネージャーとツカサ君、やはり連絡はないようです……」と澤に
言う。
「……そうか」
《D》代表取締役社長、澤光太郎は心の中で舌を打つ。
 岩渕の情けない顔と、可愛げのあるツカサの顔を思い浮かべる。
「鮫島支店長は……今は落ち着いていますが、かなりのショックを受けたようです……」
 資料の束を胸に抱えたまま、宮間は喋り続ける。自身も何者かに襲われ、昨日退院した
ばかりの彼女の顔半分には、大きな白いマスクが覆っている。
「……出社して良かったンか? 別に休ンでも良かったンやぞ?」
 宮間の顔は見ず、笑わずに言う。
「……平気です」
 宮間が一礼して社長室を出て行く。澤はコーヒーを啜り、手元に置かれた資料を眺める。
《D》の経営に関する資料ではない。川澄のカネを奪い、宮間をケガを負わせ、おそらく
は岩渕と鮫島の息子を拉致し……そして《D》、つまりは俺様のエクスカリバーをブチ壊
したクズ野郎に関する情報だ。――田中陽次。身体的特徴から考えて(宮間にも確認させ
たが)、コイツが実行犯なのは確定だろう……。

 川澄からの報告によると、コイツは市庁に勤める公務員で、45歳で、既婚で、市庁の
カネを横領するようなゴミクズ……だが。
「……自宅は既にカラ。金庫の中身もカラ。家族は別居。市庁は欠勤。行方知れず……か」
 奥歯をギリリと噛みながら澤は呟く。「……"あの"時計はひとつで1000万以上だ……タ
ダじゃあ済ませねえぞ……」

 宮間が襲われ、エクスカリバーが破壊されてから数日――澤はできる限りの対応策を実施
した。《D》名駅前店の警備の強化、アルソックに依頼しての社内調査、社員たちの連絡網、
集団出勤と集団帰宅の徹底、護身用の武器の支給、警察とのコネを利用し、水面下で公安と
の接触と交渉……だが、それでも岩渕は連れ去られた。
 岩渕の野郎の性格……いや、性質を理解してりゃあ簡単だろうがな。
 そう。おそらくは――"ツカサは岩渕にとっての人質"ってところか? 
 人質の"人質"――穏健派の岩渕らしい、ハメられ方だ。……畜生が。

 ……決断を迫られている。
 すべてを警察や世間に公表し、犯人のグループを追い詰め、適当な慰謝料を奪い、法的
な処罰を求めて裁判する――もしくは……自分たちで犯人グループを追い詰め、二度と
《D》に攻撃してこないよう、徹底的に攻撃し、略奪し、圧倒的な恐怖を植え付ける……。
 ……前者にも後者にもリスクとメリットがある。
 時間だ。時間の猶予と使い道――。
 俺にとって、岩渕の命なンぞ知ったことじゃあねえ……が……。


 宮間が襲われたとの報告を受けた時、澤は事件を警察に任せようと思っていた。だが、
宮間有希本人の意見は違った。
『公的機関の介入は不要です……あの男だけは、私が殺します』
 田中陽次に賠償責任を要求し、必要なら指名手配もできる。彼女が何もしなくても事件
は解決できるのだろう。だが――兵士の誇りは取り戻せない。だからこそ……宮間は対決
を希望した。

 岩渕と鮫島ツカサが拉致されたとの報告を受けた時、澤は事件をまた、警察に任せよう
と思っていた。だが、鮫島恭平本人の意見は違った。
『……岩渕を迎えに行かせたのも、宮間を使いに走らせたのも……すべて俺の責任です。
……命を捨ててでも、二人を取り戻します』
 警察組織は優秀だ。ヤツらの組織とアジトを探り当て、ツカサを安全に取り戻すことは
可能なのだろう。だが――親の誇りは取り戻せない。だからこそ……鮫島は覚悟を決めた。

 そんなふたりに対し澤は――……
『たわけたことヌかすンじゃあねえっ! お前らの希望なンぞ知ったことかっ!』
 叫びに近い声で怒鳴った。ふたりは、下を向いて黙り込んだ……。
 畜生が……お前らだけの問題じゃねえンだぞ。部下たちの気持ちが痛いほどわかってい
るのにもかかわらず、澤は思った。
 

 ――午前10時。総務部長の熊谷が入る。
「……社長、整いました。会議室へ」 
 ……決断しなきゃあならねえな。そう思い、澤は黙って頷いた。

―――――

 午前9時――東区のコメダ珈琲店葵店に秋の朝の薄い光が差し込み、指に嵌めたルビー
の宝石が淡い紅の光を放つ。この指輪を贈ってくれた人は今、どこで、何を思っているの
だろうか?
「……手詰まり、ですか?」
 伏見宮京子は顔を上げず、テーブルの正面で頬杖をつく高瀬瑠美に言った。言ってしまっ
たあとで、自分は何故、こんなにも冷静でいられるのだろう、と思った。
「ええ……田中陽次とその仲間の目的は不明だし、追跡も困難。岩渕さんも……」
 正面から瑠美の細い声が聞こえる。
「大丈夫。岩渕さんなら大丈夫……」
 ミルクティーを一口飲み終えてから言う。「……心配はしていますが、どうしてか……
無事だという予感はします……」
「ええ……? でも……」
 いつものように美しく化粧をした瑠美が、京子を見つめて困ったように微笑む。
「……もしかしたら、岩渕さんは、もう二度と帰って来ないのかも……」
「……はあ? えっ?」
「瑠美さん、あなた、岩渕さんのこと……好き?」
 京子が言い、愛する男の同僚が――いや、愛する男に好意を向けているらしい女性が―
―不思議そうな顔で京子を見つめた。
「……でも、私のカン違いだったみたい。ごめんなさい」
「ちょっ、ちょっと……京子様?」
「いいの、本当に、いいの。岩渕さんは戻って来ないのかもしれないから……どこか別の
場所で、別の女性と……幸せになってくれれば……」
「――バカじゃないのっ?」
 困惑げに歪んだ瑠美の顔を見て、京子はハッと我に返った。
「ごめんなさい……瑠美さん……ごめん、なさい……そんなつもりじゃないのに……そん
なことあるわけないって思っているのに……私、バカなことばかり考えちゃって……ごめ
んなさい、ごめんなさい……」
 京子はそう言って、右手に嵌めた《カーバンクルの指輪》に触れた。
 もっと前向きにならなければならないということは、京子にだってわかっている。だが、
宮間が襲われ、ツカサと岩渕が拉致されてから1日、京子の口からは後ろ向きなセリフば
かりだった。……たった1日だけだと言うのに。

 連絡はすぐに来た――『一緒にいないのか?』と鮫島から電話が来て、《D》に連絡し、
名駅前店での今日の会議の後に澤社長と面会する予定だった。けれど……もし……本当に
岩渕さんが拉致、誘拐されたのだとしたら……ツカサ君も一緒に、ずっと、ずっと帰って
来ないとしたら? ……ケガを負わされていたら? ……ツカサ君の病状が悪化でもした
ら? ……もし、それが1週間、2週間、続いたら……もう、ずっと、会えないのだとし
たら? ……私は……私はどうなってしまうのだろう?
「京子様?」
「ううん。ごめんなさい……本当に、バカなことばかり考えてしまって……私、本当に、
本当に心配で……」
 そう言って京子は顔を上げ、瞳に溜まった涙をぬぐった。

「……兄さんのことだから、犯人のグループはすぐに見つかると思う……だからさ、少し
は安心して……あの、岩渕さんも、きっと帰ってくるから……」
「ええ。ありがとう……瑠美さん」

 葵店の店内に目をやる。店内はサラリーマンのひとり客や、話し込む老人たち、勉強す
る学生らしき人々で賑わっている。つい数日前に、ここで6人が揃って談笑していたこと
を思い出す。あの時、悪い予感が無かったワケではなかった。今思えば、そこで何か手を
打つべきだったのかもしれなかった。

「瑠美さん……犯人たちに繋がる手掛かりが少ないってこと?」
「ええ。そうなんです」
「……"あの"川澄さんが? よっぽど難しいのね……」
「兄さんは……いろいろと社会の裏側に詳しいけれど……それでも日数はかかるみたい。
私にも何か秘密にしているみたいだし……兄さんには、兄さんだけの目的があるのかも」
 高瀬瑠美がそう言って、寂しそうに微笑む。

「姫様、これからどうするの?」
「……実はまだ、何も考えてなくて……わからなくて……」
 そう答えた京子の五感が、甘く刺激的な香りと、鼓膜をくすぐる炭酸の音を拾った。
 ……これは、メロンソーダ?
 そう。それは隣の席の男の子が注文した、メロンソーダの香りと炭酸音だった。

 あっ。
 はっきりと思い出す。同時に――自分がすべきこと、川澄に調べさせること、澤社長に
報告すべきこと、それらをはっきりと理解する。

「……あの時、隣の席にいた女を調べます。店内の防犯カメラの映像を見せてもらえるよ
う、ここの店長さんに相談してみましょう。瑠美さんは、川澄さんに連絡を。『新しい手
掛かりがあります』って伝えて下さい……」
「へっ? なにっ?」
 瑠美の呆けた声を無視し、京子は椅子から腰を上げた。

―――――

 川澄奈央人は鏡の前に立っていた。

 携帯電話が鳴り、瑠美からのメッセージを確認する。すぐに返信する。
『2日くれ。ヤツらのアジトを特定する』
 オカルトに対抗するにはオカルト? ……困った姫様だね。僕は笑う。
 
 澤社長にもメッセージを飛ばす。
『あと2日ください。ヤツらのアジトを特定します』
 それまでに、決断してくださいよ? 頼みますよ? 僕のためにも……。
 僕のため? そうだ。僕のためにも《D》には動いてもらわないと。
 川澄奈央人は思った。
 そう。
 せっかく僕がヤル気を出しているのだから……報酬はしっかりと貰わないとね……。
 
 鏡の中の男は、本心を隠すかのように、ぎこちなく微笑んだ……。

―――――

 『聖女の《F》と姫君の《D》!』 gに続きます。















 今回オススメはもちろん? sees大好き『ポルカドットスティングレイ』様……。


 ポルカドットスティングレイ……。
 メジャーでもアルバム出し、今、最も勢いのあるバンドのひとつ。
 前回のオススメでも述べたが、彼らの曲の動画・撮影・演奏・ボーカルの雫氏のカリスマ
性などなど……魅力的。
 椎名林檎などの影響強く、雫氏の歌い方にはクセもあるがそれも個性かな。
 しかし……ラジオ聞いていると面白い。特に雫氏の女王様キャラというか……S気強いと
いうか……容姿の可憐さとは違うギャップにちょっと戸惑うww




 雫氏風に言うと……「お前ら、買えや」






 雑記

 お久しぶりです。seesです。
 身辺に変化なしよ。つまんない毎日を送っているしだいであります……。

 今回のお話はそんなに抑揚のない回、ひさしぶり京子様パートに少し脱線ぎみに話を展開、
ややこしい性格になってまったなあ……みたいな。川澄氏は登場させる予定なかったけど、
いないならいないで少しさみしかったのでオチに雑談。岩渕氏……今回めっちゃ疲れた。変な
描写多いし、添削多いし、短くもとめるのも一苦労す。

 次回は岩渕氏のバカンス編として、エフの方々との交流と心の変化、ディーの連中は2日後、
どうするのか?どうなってしまうのか? みたいな話。活躍はしないけれど、固有名詞を少し
増やす予定。モブ扱いだと使いづらい気配の人多数……。がんばれ……わし。



 私、seesに関しての情報はもっぱら​Twitter​を利用させてもらってますので、そちらでの
フォローもよろしくです。リプくれると嬉しいっすね。もちろんブログ内容での誹謗中傷、
辛辣なコメントも大大大歓迎で~す。リクエスト相談、ss無償提供、小説制作の雑談、いつ
でも何でも気軽に話しかけてくださいっス~。"イイネ"もよろしくぅ!!

 でわでわ、ご意見ご感想、コメント、待ってま~す。ブログでのコメントは必ず返信いた
します。何かご質問があれば、ぜひぜひ。ご拝読、ありがとうございました。

 seesより、愛を込めて💓




         適当ショートショート劇場 『続・魔除け』

sees    あーたりぃな。仕事。辛い。眠い。上司うぜえ。客しばきてえ……。
                それはいつもの、いつもの、営業帰りの車の運転中でのできごとだった……。

      信号待ち。
      seesは左折。ウインカー点灯。ブレーキ踏みながらぼんやりうとうと(=_=)💤

      すると……後続車が左に逸れてセブンへGO。
      別にそれはいい。そんなことはどうでもいい。
      しかし。やはり、
      ヤリやがった。
sees   「……ショートカットかよ。まったく近頃のバカは……」

      危険かつマナーの悪い車を見て、seesはイラっとした。そう……この時はw
      信号――青にチェインッ! (古いネタwウィングマン、知らない?)

sees   「……煽るか(あれ?既視感?)」
      決断、即行動、理性ゼロ、アクセル踏む、AT(オートマチック)フィールド
      全開ぃぃ!! (あれ?既視感?)
      許せん、この国の平和は、ワシが守るぅ!!

      そう思い、大いなる決意と正義の鉄槌を下し――かけた時……《敵》のバリア
      が発動した。(あれ?既視感?……)

      そう。
      すぐに追いついた車両には(エスクァイア?)のリアガラスに、とんでない
      『魔除け』のデカールが施されていたのだっ!! 

      ​💓嵐💓 
​     嵐​
​         びっくりウィンクぺろりぽっスマイルびっくりウィンクぺろりぽっスマイルびっくりウィンクぺろりぽっスマイルびっくりウィンクぺろりスマイル

      どぎついハートマーク。色分けされた漢字の列・列・烈っ!!
      そして例の5人組それぞれの顔をデフォルメしたと思われるキャラクターの
      顔・顔・顔面んんっ!!
 
sees   「うわーーーっ!!」
      急ブレーキ、開ける車間距離、高鳴る心臓……。
      それは禁断のデカール、危険を知らせるサイン、絶対に関わってはいけない、
      そんな気にさせる……まさに『魔除け』でした……(あれ?既視感?……)。

 sees  「……はぁはぁ(;´Д`)💦💦、マジで勘弁してくれ。ていうか、デカイ車に
      ひとりで乗るなや……地球環境にも少しは配慮せえや……」
      九死に一生を得たseesでした……。
      皆さんも、交通ルールは大切ですが、それよりも大切な、守るべきルールっ
      てありますよね?(意味不明)そう考えさせるくらい、seesにとっては脅威
      かつ戦慄のデカールでした。(あれ?既視感?……)
       

  (ちなみにこれはノンフィクションではありますが、seesの偏見と独断のみの文章です)

                                 了🚙=333


こちらは今話がオモロければ…ぽちっと、気軽に、頼みますっ!!……できれば感想も……。

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Last updated  2019.12.29 01:32:04
コメント(3) | コメントを書く
2019.11.25
ss一覧   短編01   短編02   ​短編03​   ​短編04
        《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから。

 10月8日――。

 ――白昼夢を見ている。
 楢本ヒカルが絶対神フィラーハから授かった"奇跡"の力ではない。そう。とてもおぼろげで、
とても曖昧で、メモを残さなければすぐに忘れてしまうような、ただの夢……。


 ふと気づくと、楢本ヒカルは《F》の敷地内にある芝生に座り込んでいた。ひとりで――
いや……ひとりではなかった。
 辺りを見回すと、そこには大勢の人々がいた。時間は夕暮れ、景色はオレンジ色に染ま
り、人々の顔には影が差し、誰が誰かはわからない。
 ……私は、何をしているの?
 困惑しながら、ヒカルは影の差す人々の顔をのぞき込んだ。そこには……同じような黒い
スーツを着て、ヒカルを取り囲むように立ち並び――怒りと軽蔑の眼差しを向ける男や女の
顔が無数にあった。
「ひっ」
 思わず息を飲み、身を震わせた。

 人と人との間に見える向こうに、倒れて動かない別の人々が見える。芝生の上に倒れて
いるのは大人だけではなく、老人や子供もいる。学生らしき制服を着た若い少年や、妊婦
らしきお腹の大きな女性もいる。
 ヒカルは神の名を叫ぼうとした。だが、まるで金縛りにでもあったように、口はおろか、
体もまったく動かせなかった。
 ……助けてください、フィラーハ様。私を……どうか……どうかお救いください。
 次の瞬間、ヒカルの周囲から、豪雨のような罵声が浴びせられた。
『下劣な詐欺師女っ、死ねっ!』
『イカれた犯罪集団めっ、消えろっ!』
 全身を戦慄が走り抜ける。恐怖に目を見開いて両手を握り、天を仰いだ。
『死ねっ』
 黒いスーツを着た大勢の人々が自分をなじり、けなし、罵声を浴びせ続ける。
『死ねっ』
 スーツを着た人々はジリジリと歩みを進め、少しずつヒカルを包囲していく。
『死ねっ!』
「いやっ……いやっ……いやっ……」
 恐怖に凍りつきながら、うわ言のように繰り返す。夢であるはずなのに胃が痛む。
「……助けて……フィラーハ様……誰でもいい……誰でもいい、から……」

 その時――罵声を続ける男女の壁の隙間から、ひとりの男が姿を見せる。

『……うんざりだっ! もう、たくさんだっ!』

 それは……投げやりで、乱暴で、とても……とても力強い声だった。

『こんなことをして何になるっ? 俺たちはっ、何も変わらねえじゃねえかっ!』

 男の力強い言葉が心に響く。それは……投げやりで、乱暴で、とても、とても優しく、
すごく……暖かい声だった。そして、次の瞬間、聞き覚えのある電子音が脳に響いた。

 
予めセットしていたアラーム音に、ヒカルは目を覚ました。
 ソファから体を起こし、部屋の中を見回す。心臓が喉から飛び出しそうに高鳴り、全身に
びっしょりと汗をかいている。
「……そんなはずはない。フィラーハ様以外で、私を助けてくれるヤツなんて、いるわけが
ない……ありえない……ありえないんだ……」
 ヒカルはそう呟くと、汗で濡れた下着やシャツを着替えるために立ち上がった。

 時計の針は午後14時を指している。陽光の中でシャツを脱ぎ捨て、下着を脱ぎ捨てる。
ベッドの脇にあるサイドテーブルの上で、携帯電話が瞬く。ふと液晶を見ると、『次の準備
が整った 宇津木』とメッセージが入っている。
「……宇津木さん」
 そうだ。
 私を助けてくれる人は他にもいる。それが宇津木さん。《F》代表、宇津木聖一さん……。

 ヒカルは自身の"奇跡"を最初に信じてくれて、自身に莫大な資金援助をし、自身を《F》
の"聖女"にしてくれた恩人の顔を思い浮かべながら、クローゼットから新しい下着とシャツ
を取り出した。

―――――

 岩渕誠が《D》名駅前店の入口を抜けると、そこで《D》名駅前店支店長である鮫島恭介
に呼び止められた。
「岩渕、悪い、頼みがあるんだ」
「……先輩? どうかしましたか?」
 鮫島は申し訳なさそうに「すまん」と言い、アゴを指でかいた。
「お前、今から宮間んとこに見舞いに行くだろ? 帰りに、名大病院に寄ってくれないか?」
 鮫島とは上司と部下の関係だが、いつものように敬語は使用せず岩渕にきく。
「名大病院って……息子さんのいるところ? えっツカサ君、どうかしたんですか?」
「いやよぉ……アイツ、今日一時退院の日でさ……迎えに行く約束してたんだわ」
「あー……今夜は幹部会議の予定でしたね……いつ終わるかわからないし……」
「……俺のデスクで大人しく待たせるからよ、連れて来てくんねえか?」
 いつも粗野で豪快な鮫島が、叱られた子供のような顔をする。
「了解です。パパと違って"おとなしい"ツカサ君なら社員も歓迎しますしね。それに、《D》
の社内なら安全でしょうし……」
 岩渕がそう言って笑った時、背後から、「お疲れ様ですっ、岩渕さんと鮫島先輩っ」とい
う声がした。

 振り返ると、とても大金を盗まれたばかりとは思えない、何を考えているのか全くわから
ない《D》大須店支店長の川澄奈央人がにこやかに笑いながら立っていた。
「……お疲れ」
「名駅前に何の用だ?」
 わざとらしく威嚇するような声で鮫島がきくと、川澄は「ちょっと人事部長と社長に相談
事です」と言い、前髪を指でいじった。
「……宮間の件、か?」
「はい」
 川澄が鼻先で笑う。「ちょっと思いついたことがあるので」
「俺たちに内容は教えられない、か?」
「……岩渕さん。正直、僕は今ね、"声を出す"のも遠慮したい気分なんですよ」
「……?」
「ヤツらの情報網が何なのか不明な以上――その網をくぐり抜ける方法があるのなら、僕は
何でも試してみるつもりです」
 笑みを消し、岩渕を挑むような目をして睨みつけて川澄が言う。
「……それが、来社の理由か?」
 興味をそそられた鮫島がきく。だが、川澄が鮫島に答える前に、岩渕が、「ムチャはする
なよ」と言って微笑んだ。
「アンタに言われたくないよ」
 川澄が言い、鮫島が「同意だな」と呆れたように答える。


「……例えば、『女子サッカーの三浦成美選手』をネットで検索したい場合、『サッカー』と
『三浦』だけで足りると思いますか?」
 聞き取れるギリギリの声量で、川澄が岩渕と鮫島を交互に見てきく。
「無理だろ。それじゃあ、キング……三浦知良選手が先頭だ」
 そう川澄に言って、鮫島は腕を組む。

「……つまり、情報を検索・把握したいのなら、多少でも個人情報が必要ってことです。
逆に考えるのなら……僕らに共通している《D》を肩書から一瞬間だけでも外せれば…? 
ヤツらは僕たちの行動を把握できなくなる……かもしれない」

「……ちょっとワケわかんねえな」
 鮫島が半ば本気で悩む。それを見た川澄は急に腕のHublotに目をやり、「あーっ、やばい
やばい。遅刻したら社長に殺されるっ」と言って、名駅前店の自動ドアを抜けて行った。
 視界から消えゆく川澄を見つめながら鮫島が、「……ツカサの件、頼むな。岩渕」と告げ
て店内へと戻る。それらを見て岩渕は、なぜ澤社長が川澄の現場復帰を認めたのか、少しだ
けわかったような気がした。

―――――

 僕はB型肝炎ウィルスに感染している。母親からの母子感染だ(パパから聞いた話だと、
母親は何か危険な薬物の中毒者で、それを注射する針の使い回しが原因と言っていた)。
 B型肝炎はすごく怖い病気だ。僕の場合――肝機能が低下し、将来は肝硬変、肝細胞ガン
を発症するらしい。インターフェロンや抗ウィルス療法の薬がなければ、明日にでもガンを
発症し、遅かれ早かれ死んでしまうのだろうと思う。
 でも、怖くはない。
 そう。鮫島ツカサは、死ぬことが別に怖いとも思わなかった。確かにインターフェロンの
注射はすごく痛いし、検査は苦痛で泣いてしまうほど怖かったけれど……それでも……死ぬ
のが怖いわけじゃあない。
 そう。ツカサが本当に怖いと思うことは……僕が死んでパパがひとりぼっちになってしま
うのが怖かった。パパが悲しんで泣いてしまうのが怖かった。


 今――僕の手を握って、一緒に歩いている人。岩渕さん。たまにだけど、岩渕さんは恋人
の?京子さんと一緒に病院へお見舞いに来てくれる。岩渕さんたちだけじゃない。パパは僕が
寂しくならないように、《D》のいろんな人を連れて来てくれた。宮間さん、ていうすごく
キレイな人もいたし、坂口さん、岩清水さん、それに……スタンボー・花さんていうハーフ
の人もいたし……パパには内緒だけど、月に一度、澤社長も来てくれている。

《D》の人たちは僕に勉強を教えてくれたし、貴金属のことも教えてくれた。だから、僕は
将来大人になったら《D》の鑑定士になると決めていた。パパやみんなと一緒に仕事をする
のが、僕の夢で目標だ。


 岩渕さんの車が見える。「フィアット500だ。世界で一番カッコイイ車だぞ」と岩渕さん
は僕に言うけれど……ごめんね。僕はやっぱりパパの乗るシーマが一番カッコイイと思う。
「……いいか? フィアットは100年ほぼデザインが変わらなくてな……地球環境にも優し
いエコな車で……あの大怪盗も……」
 岩渕さんはニコニコと優しく笑い、僕も笑っていた。


 でも……
 ――"それ"は
 ――突然、来た。
 ――唐突に、僕たちの前に現れた。


 フィアットの倍以上もあろうかという大型の黒いバンが4台……5台?猛スピードで名大
病院の駐車場に侵入し、僕と岩渕さんとフィアットを包囲するように停車する。
 一瞬、呼吸が止まった。尿意を感じ、下腹部が痺れる。……怖くない。……怖くなんて、
あるものか。大きくひとつ深呼吸をしてから、ツカサは岩渕の手を握り直す。そして震える
声で、「ねえ、岩渕さん……この車は? ……誰?」と、きいた。

「……ツカサ、俺から離れるな」
 岩渕は奥歯を噛み締め、僕の小さな体を背から抱くように覆った……。瞬間、岩渕さんの
心臓の音が聞こえる……。同時に、僕は自分の心臓の音を聞く……。気が狂ってしまったの
かと思うくらいに、少年の脈は激しく鼓動する。
 ……吐き気がする……痛い……胸が痛いよ……。
 でも――……
 怖くはない。
 怖くなんてあるものか。
 本当だよ? 怖くは……ないんだよ? ……パパ。

―――――

「お迎えにあがりました。《D》の岩渕誠様、と、鮫島ツカサ様、でよろしいですか?」
 自分でも思うが、かなり慇懃な口調だ。これはクセだな、と思い苦笑する。

「……アンタらは誰だ?」
 岩渕は落ち着いている"風"に言い、質問を重ねる。「宮間を襲ったのはアンタらか?」
 質問に答えている暇はないので、話を進める。
「……我々と一緒に来ていただけませんか? 聖女様がお待ちです」
「……?」
 予想はできていたが、会話は成立しそうにない。問答は無用と判断し、私はバンの中で
待機していた部下の信者たちに合図を送り――それぞれの車から男たちが次々と降りる。
「……抵抗すれば、その男の子――ツカサ君はケガをします。これは警告です」

「……嘘を言うな」
 私を睨みつけ、吐くように岩渕が言う。これには少し――驚いた。

「……アンタはこの子にケガをさせるようなヤツじゃあない」
「……なぜ、そう思うんです?」
 こんな会話は時間の浪費だ。そう思うが、少し興味もある。……彼とは初対面なんですが、
まったく、不思議な男です。
「俺は鑑定士だ。専門は貴金属だが……人を見る目には……洞察力にはそれなりの自信がある。
アンタは……他人をキズつけて喜ぶようなゲス野郎に見えない……」
 なるほど。
 感心する。
 素直に感心する。
「……しかし、抵抗されればやむなし、ということもありますよ? 個人的には無抵抗での
招致を期待しますが……御二方、いかがされますか? 岩渕様、鮫島様?」


「この子は関係ない、と言いたいが……ダメなのか?」
 信者たちに腕をガッチリと掴まれた岩渕が弱々しく言う。鮫島少年はただ沈黙し、静かに
状況を伺っている。……賢い子だ。

「……申し訳ありません。では、御二方、我らが《F》の聖地へご招待いたします」

 ――ここで、ここまで来て、私は、ようやく、大切なことを岩渕に伝えていなかったこと
を思い出した。「……自己紹介が遅れて申し訳ありません。私、《宗教法人団体フィラーハ》
の代表、宇津木聖一と申します。以後、お見知りおきを……」
 バンに乗り込む岩渕の顔が、訝しげに歪む……。

―――――

 『聖女の《F》と姫君の《D》!』 fに続きます。















 今回オススメはもちろん? seesが愛する『カンザキイオリ』様……。


 カンザキイオリ様。
 圧倒的な歌詞力のボカロP。その一言に尽きます。
 喜怒哀楽のある歌詞は世の中に吐いて捨てるほどあるけれど、これほどまでに感情豊か
に悲哀を表現できる方はおられません。この方の動画で何度泣いたことか( ;∀;)
 もっと評価されるべき方のひとりです。……最近ではその通りになりつつありますが。





 雑記

 お久しぶりです。seesです。
 ようやく寒くなってきましたw seesはスーツの上にユニクロのパーカー着て、安物の
マフラー巻いて、顔にマスクして外に出かけます。買い物はマックスバリューばかり行き、
他のスーパーには行きません。WAONのポイントがたまるけど、使いどころがわからない。
 外食は行くけど牛丼やラーメンばかり、贅沢する時はうなぎ屋に行きます。自炊する時
はシチューやカレーなどの汁、鍋物ばかり作ります。単身赴任だから寂しいけど、友達も
少しはできました。それだけです。
 仕事はデキるほうだと思いますが、それを周りにアピールしてはいません。目立つのは
キライです。褒められるのも……ほどほどが一番です。
 ちなみに、ブログで物書きのマネしていることは、秘密です。

 今話はまずまずのデキ。seesの考え方とマッチしているし、想像がうまく形になってく
れたのかな、と思います。惜しむらくは今後の展開のムラや不整合な部分をうまく調節で
きるか、否か、みたいな感じw
 多少のストーリーの変更はございましたが、大筋はこれで完成。後はseesの脳内の話と
うまく近衛がとれれば……。ラストにまつわるネタバレ部分もあったけど、まぁまぁご愛敬
すね。

 お子様視点の描写は《ゴーレム》以来久しぶり。興奮するぅぅ。​
 
 ……しかし、《d》パートが思った以上に閲覧数伸びてたな……何で?

seesに関しての情報はもっぱら​Twitter​を利用させてもらってますので、そちらでの
フォローもよろしくです。リプくれると嬉しいっすね。もちろんブログ内容での誹謗中傷、
辛辣なコメントも大大大歓迎で~す。リクエスト相談、ss無償提供、小説制作の雑談、いつ
でも何でも気軽に話しかけてくださいっス~。"イイネ"もよろしくぅ!!

 でわでわ、ご意見ご感想、コメント、待ってま~す。ブログでのコメントは必ず返信いたし
ます。何かご質問があれば、ぜひぜひ。ご拝読、ありがとうございました。
 seesより、愛を込めて💓



         適当ショートショート劇場 『キャッシュレスの穴』

 sees   「最近近所にできたアレ――『海へ』、食いにいかね?」
 同僚   「あっイイね~」

       そう。最近、職場の近くにできた回転寿司(ちょい高めの回転寿司)に同僚
       と行くことになりました……。

 sees   「ヒラメ。……しかし、どこもかしこもキャッシュレスの宣伝ばっかやね」
 同僚   「中とろ。……ホンマそれ。……まぁアタシも使うけど」
       カウンターの職人さんに直接注文するスタイルの回転寿司?で、seesは同僚
       の女子社員とパクパクと寿司を食らう……。

 sees   「サンマ。ワシは楽天カードとエネオスカード、WAON、nanaco、楽天Edy、
       ID……それと、電車通勤の時のスイカ……くらいかな?持っているの」
 同僚   「アタシも似たようなもんだけど……やっぱり今はペイペイとか、メルペイ?
       クイックペイも使うけど……」
       カタカナ語ばかりが流行る昨今の事情には疲れます。

 sees   「ウニ。クレジットもそんなにポチポチ使えんしなぁ……」
 同僚   「ホタテ。それそれ~……来月の支払い怖くないんかな?って思うww」
       チャージもワンクリックで可能とか……正気か?とは思う。

 sees   「……タマゴ。そろそろお腹いっぱいやね。帰るか?」
 同僚   「メロン。そうね。今日はおごるね。こないだご馳走になっちゃったし」
       
       さて、聡明なseesの読者様であれば、本日のオチも容易に想像できること
       かと存じます……。
       そう。ソレが本当に、現実として、あってしまったのであります……。

       ブブゥーー……。
 同僚   「あれ? 残高不足? じゃあ、クイックペイで」
       ブピィーー(無理)……。
 同僚   「……あれれ。これは?」
       ピピピー(悲)……。
 同僚   「……seesさん( ノД`)」
 sees   「……クレジットは?  (鬼)」
 同僚   「……実は財布、会社に忘れたみたいで……今は電子マネーしかなくて……
       後で返すから……お願い……ゴメンなさい……こんなハズじゃあなかった
       のに……ゴメンね……本当に……許して……ゴメンね……」

       メンヘラぽく言うてはいるが、直訳すると『お前がおごれ』だ。

 sees   「……お待たせしました」
       seesはしかたなく、お気に入りのアズールの財布に指を突っ込み、
   sees   「なんぼです?」ときいた。
 店員   「……7940円です」

       よう食うたなっ!!!! ワレッ!!! (# ゚Д゚)……とワシw

       いや……ワシもか……凹凹凹
       電子マネーも便利やけど……管理もしっかりせなあかんな……。


                                    🍣了



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Last updated  2019.12.29 01:33:23
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2019.11.07

ss一覧   短編01   短編02   ​短編03​   ​短編04
        《D》については短編の02と03を参照。番外としては​こちらから。


―――――

 名古屋市中区名城病院。
 クリーム色の壁に囲まれた狭い病室のベッドの上で、宮間有希は膝を抱えて座っていた。
その傍らで、岩渕誠は同僚の顔を見つめている。
 宮間の長い睫毛が震えている。大きなマスクの裏では、奥歯を強く噛み締めているのが
わかる。悔しい、情けない、怒り……様々な感情が彼女の中で渦を巻いている。岩渕には
それがはっきりとわかった。痛いほど、わかった。
 ……いったい、何が?

 宮間の真剣な顔は同僚の岩渕には見慣れたものではあった。だが、今はいつもとは違う
のだ。宮間は今、仕事をしているわけではないのだ。その重苦しい雰囲気が、岩渕を息苦
しくさせていた。

 午後14時過ぎ――宮間と連絡が取れないと鮫島から聞いた。岩渕も宮間に電話を入れた
が繋がらない。鮫島は心配のあまり、出先の顧客にも宮間の行方を尋ねたのだが、相手先
からは『午後1時には帰った』とされた。午後15時になって、警察から《D》に連絡が
入った。そして、警察署員の口から、『東区のコインパーキングで宮間有希が強盗に襲わ
れケガを負わされ、救急で名城病院に運ばれた』という経緯を聞いた。
 ……宮間は用心深い女だ。
 ……それがどうして?
 岩渕はそう思いながら、壁の一点を鋭く凝視する宮間有希を見つめた。

 雑務を切り上げ、病院の住所を調べ、出張中の社長へ報告し、渋滞を抜けたり、といろ
いろあって、岩渕が駆けつけたのは、もう夕方が近かった。ナースステーションに詰めて
いた看護師に話を聞くと、宮間のケガは軽度の捻挫と打撲、スリ傷や切り傷を全身に……
さらには顔面にいくつものキズを負っていたらしい。たぶん……犯人との格闘の末、という
より――拘束から逃れようと無理に暴れて駐車場のアスファルトやコンクリートに顔や体を
打ったためのケガらしかった。

 畜生っ……聞きづれえな。やはり岩清水や坂口を連れてくるべきだったか? 《D》の
女子社員たちの顔を思い出しかけた時――宮間の視線が岩渕に向いた。
「……死んじゃあいないみたいだな」
 岩渕は同僚をからかうかのように言った。情や労いの言葉を宮間が好かない性格という
ことは知っている。
「……ええ、生きてるわ。だからこそ……本当――イラつくわ」
 鋭い目つきで岩渕を見つめ、小さな声で宮間が言った。「……来てくれてありがとう、
あなたが一番乗りだわ」
 岩渕を見つめる宮間の目は怒気で満ちていた。
「……当たり前だろ? ……社長は明日だが、もうすぐ部長も来る予定だ」
 何を奪われた? ブツは無事か? 犯人に心あたりは? 原因はお前じゃないのか? そう
問いたい気持ちを岩渕は飲み込んだ。そんなことで宮間を責めても何の解決にもならなか
った。

「……骨の検査と治療で今日と明日は入院しろってよ。……《D》のことは心配するな、
少し休め」
 鼻で深呼吸をしながら岩渕は言った。ティファニーのピアスが揺れる宮間の長い髪から
は、今もほんのりと香水の匂いが漂っていた。
「……心配をおかけして申し訳ありません」
 その時ようやく――宮間の目から力が抜け、彼女は力なく頷いた。
「警察からはまだ何の話も聞いていない。……もし、警察には話したくないことがあるの
なら……今、教えてくれないか? ……いろいろと《D》で調べておく」
「……わたし……わたしは……岩渕クン……」
 岩渕から目を逸らし、宮間がうつむいた。同僚のその様子を見て岩渕は、自分が彼女に
思い出したくないことを思い出させてしまったことに気づいた。


「……奪われたわけじゃあないの……ただ、壊されて……私の仕事が……私の、誇りが…
…私の……私の秘密も……ただ……汚されて……汚されたの……」


 宮間は両腕で顔を覆い――ポツリ、ポツリと話を始めた。時折、彼女がむせび泣いて声を
詰まらせるのを見つめながら――……
 ――岩渕は黙って、ただ、黙って――それを聞き続けた……。

―――――

 肉が食道を流れ胃に落ちる感覚を楽しみながら、田中陽次は瑞穂区にある高級ステーキ
レストランである『キッチンハウス・リボン』で早めの夕食を食べていた。
 うめぇ。
 鉄板の上に盛られた松阪牛のステーキを咀嚼しながら、田中は心の中で歓喜した。
最上級の肉の塊を行儀悪く噛みちぎる。芳醇な甘い香りが鼻腔を刺激する。
 最高だ。田中は心の中で呟くと、脇に添えてあるフォアグラの塊にフォークを突き刺し
た。まるで原始人のように肉を食いちぎり、乱暴に噛み砕く。今度は注がれた赤ワインを
水のようにゴクゴクと飲み込む。ひたすらに呼吸と咀嚼を繰り返し、繰り返し――まるで
肉食獣のような声で唸った。
 
 胃が膨れ多幸感で満たされるのを感じながら、田中は胸のポケットに入った財布を手で
まさぐり、その厚みを確かめた。財布には、"スズキイチロー"こと川澄奈央人の倉庫から
盗んだ現金の一部が入っていた。

 それにしても……。
「……あの女、イイ女だったなぁ……。どうせならヤっちまえば良かったぜ……」
 誰にともなく呟くと、田中は宮間有希の顔を思い出し――思い出して、想像する……。


「……午後13時5分に、宮間有希が東区のコインパーキングに駐車していた《D》の車に
乗り込むわ。タイミングは13時15分まで10分間――その間だけ、人や車の通行はない
みたい……監視カメラもダミーばかりで本物は精算機の上だけみたいだし――そこを襲って」


 ソファに腰を下ろし、田中の顔を見つめてヒカルが言った。「……川澄の倉庫に続いて、
これも田中さんにお願いするわ」
「わかりました。……ついでですしね」
 そう答えながら、田中はヒカルの唇や胸を――いつかは自分のものにしようと、いつかは
自分だけのモノにしようと考えている聖女の体を見つめる。初対面の時は貧相で貧弱だった
聖女の体は、今ではすっかり健康を取り戻し――女らしい……悪くないスタイルだ。

「……川澄からはカネを奪うだけでいいのだけど、宮間有希に関しては……どこかの企業
から買い取った高級時計を……〇〇〇で〇〇して頂戴……」
 そう言ってヒカルは脇に置いてあった"神託"を手に取ってパラパラとめくる。「俳句を
趣味にしているらしいから、それも適当にバカにして……顔にキズでもつけてあげて」
「へえ、俳句ですか? ……顔にキズも?」
 田中は唇を舌で舐める。「何か、意味が?」
「よくわからないけど、俳句のコンテストで優勝したみたいなの。顔にキズでもつければ、
授賞式には出られないでしょ?」
「……いやいや、今時――そんなにプライドが高い女って……います?」
 田中が言い、ヒカルは「女のことは女が一番よくわかるの」と言って笑う。田中も笑う。
気がつくと――涎が口の中で激しく分泌されていた。


《F》の屋敷の食堂で聖女様からもらって来た地図を広げ、東区にあるコインパーキング
詳細と、大須にある川澄の倉庫について計画を練る……。
 大須の倉庫には1億近くの現金がゴミのように捨て置かれているらしい――考えるまで
もないが、犯罪行為によって集められたカネだろう。……ここに俺から奪ったカネもある
に違いない。あのチンピラ野郎……。
《D》総務課長の宮間有希。川澄に関しては私怨も強いが、この女に関しては何の恨みも
ない。――が、川澄と同組織である《D》に所属し、かつ聖女様の命令であるならば……
俺は何も考えない。何も考えちゃあいないが……少しばかり遊んでやってもいいかもな。


 川澄の倉庫から現金を盗んだ後は……想像以上に簡単に物事が進んだ。
 監視カメラ対策にマスクとゴーグルをし、宮間有希がやって来るのを待つ。女がやって
来たところを――男3人で囲む。膝を下ろさせ、両腕を背に回す。女は猛烈に抵抗し、カン
高い叫び声を上げるが、誰も来ない。当然だ。近くに人や車がいないことは"知っている"。
しかし少々面倒くさくなったので――俺が宮間の腹に拳をめり込ませると、女は嗚咽を漏ら
して呻いた。背筋がぞくぞくと震え、我慢できずに女の胸を揉みしだく。
 宮間有希、この女はとても美しい顔と髪をした女だったが、身動きひとつできない状況で、
俺に向かって、「殺すっ! 絶対に殺してやるっ!」と凄まじい形相で叫んだ。

《F》の後輩信者のひとりに命じ、《D》の車の助手席に置かれていたアタッシュケースを
外に運び、開ける。鍵は宮間のスーツのポケットに入っていた。「それに……触るなっ」と
宮間がほざいたので、俺は女の首を片手で掴み、また胸をまさぐった。「……この、外道っ」
女の悲痛な呻きを聞くのは楽しいが、口から飛ぶ唾液や血が服に付いてしまうのが困る。

 首を締め、腹にもう2~3発拳を叩き込むと、宮間はようやく静かになった。女は狂った
かのように目を血走らせ、血が滲むほどに拳を握り締めていた。「お前ら……何者だ?」
と弱々しく喋るが、別に答える義務はないので無視をする。
 アタッシュケースを開くと、そこには高級そうなスケルトンの自動巻き腕時計が3本も
収納されていた。スポンジ素材で包まれた腕時計の上にはそれぞれメモ書きが置いてある。

『ロジェ・デュブイ エクスカリバーシリーズ 本物 備考――スケルトンタイプ』

 素人でも理解できる。こいつらは俺のような一般の地方公務員では生涯触れることもで
ない一流品で、100万200万では到底買えるものではないということ。
 宮間は土下座させられたような恰好で、必死の形相でもがいている。それらを見た後輩
信者たちも「お前らのような富裕層のクズがいるから……我らの聖女様は……」と興奮した
様子で宮間の
頬を――まるでハンドジューサーでレモンを絞るかのように、ゴリゴリとアス
ファルトに
擦り当てた。それでも、女は呻き、声を張った。
「……それは《D》のエクスカリバーだ……シリアルナンバーも控えてある……現金化でき
ると
思うなよ……お前らは……全員、殺してやるっ……」
 ……腕時計を奪われるとでも思っているのか? その口調には本物の殺意や敵意が込め
られているのはわかる。どうでもいいがな。


 ――だが、違う。
 俺たちの目的は、聖女様の命令は、それとは違う。

 自分たちが持参したバックの中から8オンスのネイルハンマーを取り出す。アタッシュ
ケースの中からエクスカリバーを引っ張り出し、コンクリートの上に置く。何かを察した
のか、宮間が絶叫する。
「……やめて、やめてっ! 殴るのなら私を殴れっ! やめてえっ!」
 ……女の叫び声は最高だな。背筋がまた――ぞくぞくと嬉しそうに震え……ハンマーを
降り落とす。リューズが歪み、ガラスに亀裂が入る。
「いやーっ!」
 自分のことでもないのに不思議だな、と思いながら2発目を落とす。
「やめてっ! 許してっ! お願いっ、壊さないでっ!」
 土下座のような姿勢のまま、宮間はまるでカエルのようになって猛烈に身悶えする。
「しかし、理解できねえな」3発目。
「こんなもん、ただの腕時計だろ?」4発目。
「ただの道具じゃねえか」5発目。ここで、エクスカリバーの1本は完全に砕け散った。
 2本目を手に取って地面に放る。チラりと横を見ると、宮間は涙を流している。
「……いやだ……やめて……私の仕事が……私の、すべてが……」
 宮間は大粒の涙を流してアスファルトを濡らしている。……まぁ、そんなに心配するな。
残りの時計をブッ壊したら解放してやるからよ。

「エクスカリバーなんて大仰な名前つけやがって……壊しちまえばゴミじゃねえか」
 泣き崩れる宮間に俺は言う。「アンタ、俳句ヤるんだろ? 『山田山子』さん。そっち
名前はクソみたいでよ……俺は好きだぜ」言いながら、ゲラゲラと笑う。
 笑いながら、ハンマーを降り落とし続ける……。



 目を閉じて、思い出す。絶望に歪んだ女の顔と、恐怖、怯え、羞恥、屈辱。宮間有希の
目にはそれらがないまぜになって混在し――楽しませてもらった。
 しかし……本当はもっと、もっともっと楽しめたはずだった。聖女様の"神託"さえあれば、
宮間有希を拉致して犯すなど実に簡単なようにも思われた。川澄奈央人を待ち伏せ、捕え、
殴り殺すことなど実に簡単なようにも思われた……それができなかったのは……。
 そう。
 それを自分だけの判断で実行すれば、"あの男"の機嫌を確実に損ねるからだ。それは今の
段階では避けたい……。

 まぁ、いい。
 今は、な。

―――――

 10月7日午前0時――。

「……宮間の話は聞いたか?」
『ええ。大体の経緯は』
「社内の様子はどうなンや?」
『平穏ですね。取り乱したヤツはいないですが……静かすぎるくらいです。まあ、みんな、
考えるところがあるんでしょう』
「岩渕の小僧は?」
『岩渕さんなら、警察の取り調べ、エクスカリバーの修理依頼、宮間さんの心のケア、いろ
いろ動いてくれてるみたいですね」
「おめぇは? 今まで何してやがったンだよ?」
『あははっ、ちょっと今は秘密、ですねえ』
「川澄……俺様がてめえを飼ってやってンのは、なぜだと思う?」
『社長……わかってますってば……』
「……てめえを飼ってンのは、てめえが"緊急時"に役に立つ男だからだ……カン違いすン
じゃあねえぞ?」
『……そうすね』
「犯人グループの正体とアジトが判明次第即報告しろ……当然、どんな些細なことでもだ」
『了解です……ボス』
「姫様には適当に言っておけ……教えるのは最後でいい……」
『アジトを発見したとして……どうします? 焼き討ちでもします?』
「……そんな野蛮なことはしねえ。だが、このツケは支払ってもらう……死ンでもな」
『……一応、ヤツらのメンバーに心あたりがあるので、探ってみますね……それと……』
「ゼニなら用立ててやる。交渉役が必要なら岩渕を使え、用心棒なら鮫島を使え。命令や」
『んー……かしこまりました。ただ……』
「ただ? なンや?」
『……社長や役員や社員も全員――気をつけてくださいね……ヤツら、《D》の関係者を
狙って襲って来る可能性――"特大"ですから……』


 通話を切る。
《D》代表取締役社長――澤光太郎は、出張先で宿泊していた東京のセンチュリーサザン
ホテルの上層階で、首都圏の夜景を眺めていた。明日、朝一の新幹線で名古屋に帰社し、
社内の陣頭指揮を執るつもりだった。
 

 最悪――戦争の用意も必要か?
 ふと、《D》名駅前店の倉庫に眠る、ジェラルミンの盾のことを思い出す……。
 
―――――


   『聖女の《F》と姫君の《D》!』 eに続きます。













 今回オススメはもちろん? seesが最も愛する『Aime』様……。


 Aimer様……。
 説明不要のスーパーシンガーwハスキーな歌声に伸びのある声質……。難しいとされる
英語歌詞や難解なメロディをしっとりと歌い上げる技量……天才かつ最高。
 惜しむらくはメディア露出が極端に少ないことと、アニメやドラマのタイアップが非常
に多い事(そんなことしなくても売れるのに……)。
 やはり見た目が少し地味なのが影響か? ……穿った意見でスイマセン。
 ……ホント、クソみたいなドラマやアニメで使われて欲しくない。てのが本音かな。
 安売りはしないでくれ……。




 アルバム各種。買うべし聞くべしw





 雑記

 お久しぶりです。seesです。

 更新頻度鈍いなw自分でもイライラする。
 さて、近況ですが……特に何もないw今回は本当に何もないw
 しいて述べるのならば、私、松阪に赴任してから1年が経過したということぐらいか。
sees的には2ヵ月で帰る予定だったのだが、昨今はどこも人材不足ということで説きふせ
られ……今に至る……むむむ、さいですか……。はいはい。ああ、ういろう、食いてえ。

 久しぶりの澤社長の登場パートにseesも気合注入💉ドピュー!! 
 後はまぁ、惰性ですねw岩渕氏は相変わらず主人公属性らしく地味な立ち居振る舞いの
徹底化。セリフの強弱を考え、比較的おとなしめ……。まぁ、制作時間に関しては今回短
かかったですしね……。
 キャラクターの性格と言動がテンプレ気味なのが少々違和感。まぁ……あまりに細かく
設定してもね……それに、それがseesの才能の限界だとも思う。まじで。
 田中氏鬼畜すぎーーwwwでもseesは好き♪ 

 次回は――ある方とある方がある方によってあることをされて、それによって京子サマ
とある方が激おこ😡みたいなwもう少しヒント出すと、岩渕さんと○○(京子様でも川澄
でもない方)が大ピンチになりますw

 ああ……ああ……もっとホラーな話をつくりたい……ドロドロで、もふもふで、にちゃ
にちゃな……いやいや、我慢我慢(´・ω・)💦

 seesに関しての情報はもっぱら​Twitter​を利用させてもらってますので、そちらでの
フォローもよろしくです。リプくれると嬉しいっすね。もちろんブログ内容での誹謗中傷、
辛辣なコメントも大大大歓迎で~す。リクエスト相談、ss無償提供、小説制作の雑談、いつ
でも何でも気軽に話しかけてくださいっス~。"イイネ"もよろしくぅ!!

 でわでわ、ご意見ご感想、コメント、待ってま~す。ブログでのコメントは必ず返信いたし
ます。何かご質問があれば、ぜひぜひ。ご拝読、ありがとうございました。
 seesより、愛を込めて💓





 適当ショートショート劇場 『会食と価値観(つまらない話)』

 sees    本日は会社関係での会食。ツイにも呟きましたが、ちょっとばかり有名な
       隠れ家的フランス料理店に来ました。会員制です。とても期待しています。
       ……え? 何でそんなに丁寧な口調ですって? いやいやこれが私ですよ?

 局長   「sees君、今日は存分に食べてくれたまえよっ! ガハハッ!」
       うるせえな。
       だったらマルゴーとかシャブリとかの高級ワイン飲ませろや。
 局長   「sees君、これは○○産の○○を使ったソースで、○○が○○で○○な……」
       うるせえなジイジ(暴言?)……ワシをナメてんのか?

       しかし……ウマイな(〃▽〃)
       前菜はアンチョビの甘酢あんかけ?みたいな。
       サラダは海藻と水菜と香草?と玉ねぎと白髪ネギと……いろいろな野菜に
       サラサラのオリーブオイルと何やらポン酢ゼリー? ジュレ? 頭が……。
 
 局長   「ほらほら、飲み物も好きなモノ頼んでいいからね💓」
       ……うぜえな――しかし……。
 sees   「……ペリエ(水)で」
 局長   「あれれ~(コナン君調)、遠慮しなくてイイんだよ~」

       アホな上司は置いといて……。
       スープは何と……鳴門金時(さつまいも)のポタージュ! これがまた
       美味かった……。甘いようで優しくて……正直、おかわりしたかったw

 局長   「いや~美味しいねえ美味しいねえ、また来週にでも来ようかな~」
       ……無視無視。
       メインは豚・鳥・牛・魚から選択。seesは迷わず魚。
       ……美しい。
       皿に盛られたのはカレイのムニエル?に南蛮風味のソース、カイワレやら
       ネギやらの野菜盛……(料理系の表現は難しい……)すげ。
       ウマイ、美味すぎる、十万石饅頭……(埼玉県ネタ)。

 局長   「sees君、どうだね? 予約していくかい?」
       プライベートでの次回来店を進める局長……うるせいなぁ……。

 sees   「……しかし本当に美味しかったですね……(本当に定期的に来たいな)」

       そして……seesは見た。
       離れた席に置いてあったメニューをそっと手に取り、価格を確かめた……。
       結論から思うに――見なきゃ良かったw
       ランチコース
        3000~6000円
       ディナーコース
        5000~15000円
       ペリエ 600円、ワイン、グラスで1500~??? どんだけ~っ!!

  sees   「……今日はありがとうございました<(_ _)>」  
        庶民にゃ無理か……。思い知ったわ、いや、思い出したわ。
        ワシには……日高屋のラーメンがお似合いやな……。


                                   🍜了



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