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テーマ:株式投資日記(19309)
カテゴリ:経営コンサルタント
インドのタタ自動車、英国ジャガー&ランドローバー買収に王手か?
以下の情報源は日経新聞、フィナンシャルタイムズ、ウォールストリートジャーナルおよびブルームバーグです。 17日、日経新聞に「ジャガー売却先、タタが有力に」とアップされた。2300億円近い売却総額になる模様、と報道された。 ジャガーの親会社である米国フォードモーターズは現在経営再建中で、春にアストン・マーチンをクゥエートの投資家に売却、次の売却候補がジャガー、ランドローバーなどと見られていた。日本のマツダとスゥエーデンのボルボは売却しない模様である。 これを取り上げたい理由は、売却先(決定ではないが)がファンドから事業会社に回帰しつつあること、およびBRICS諸国の更なる台頭が顕著だからである。 前者の理由は、サブプライム・ローン問題によるクレジット・クランチ状態にあることが多いが、3月のアストン・マーチン、5月のクライスラー(サーベラスが買収)といずれも投資ファンドが主役であった。 【一台1500万程度のジャガーXKシリーズ2006】 現在、ビッドは最終段階にあるといわれ、現時点での候補者は、タタ自動車、同じくインドのマヒンドラ・アンド・マヒンドラおよびJPモルガンチェース系投資ファンド「ワン・エクイティ・パートナーズ」の3社といわれている。なお、ワン・エクイティのアドバイザーにあのナッサー元フォードCEOがいるという。 インドのタタ自動車はバス・トラック部門に強みがあり(世界6位)、2004年に韓国の大宇自動車のトラック部門を買収している。しかしながら、インド市場3位の乗用車部門を含めて、その市場の90%はインド国内のものであるという。 タタ自動車にとって今夏の買収は、こういった市場の多様性をもたらすことと、なんと言ってもその国際的地位の向上が狙いだという。 さらに同社には、決定権がなく、大きな影響がないといわれているが、労働組合の支持がある。ジャガー&ランドローバーの労働組合は、タタ自動車による買収を支持したという。 なんでも、労働組合の代表者達と上記3社の幹部がロンドンで会合を持ち、その結果の回答であるという。両社をうまく経営する「十分な資金・影響力・業界経験を持つのはタタだけだ」とコメントした。また。インドにアウトソーシングをしたりせず、幹部を含め希望するものの雇用の継続を約したという。 タタ自動車の所属するインドのタタ財閥はタタスチールが英国鉄鋼メーカーのコーラス・グループやティトリー・ティーを買収した実績があり大宇の買収インテグレーションの評価も高いとの報道だ。 ただし、買収に対して難関もいくつかある。この難関がそもそも同業他社が乗り気でない理由だからだ。日産-ルノー連合も入札を見送っている。 英国政府は、欧州の二酸化炭素に対する新環境規制が2012年ごろにスタートすれば2ブランドは今のままでは事業継続が危ういと警告しているという。2社とも高級車かつ、排ガス量の多い構成であり、同業からは敬遠されているというのが実態のようだ。 また、そもそもインド国内では08年に2500ドル(30万円程度)の新車販売を予定しているメーカーが、1台1000万円する車種もあるジャガーと何シナジーがあるのかというビッドに敗れたリップルウッドの幹部はコメントしている。 (タタの主力のトラック部門車) ジャガーはその高級感が売りだったのに、フォードとの部品共有化等を進めすぎたため、苦戦しているといい、ランドローバーならSUVなので、まだとっつきやすいが、ジャガーをインド企業が買収することに事業シナジーを疑う声が多い。 株価も下落気味だ。
07年初頭から見れば約20ドルから17ドル程度をうろついている状況。 しかし、高級車を廉価なインド企業に売却することに米国では「大丈夫か?」という声がある一方で、英国では雇用最優先の回答が出ている。なぜなら英国では過去10年間にBMWがロールスロイスとローバー・ミニを買収、フォルクスワーゲンはベントレーの買収に成功するなど、自動車業界も「ウインブルドン現象化」が進んでいるようだ。 しかし、ファンドだと雇用が危うい、というあたり、ファンドは世界中「雇用の敵」とみなされているのだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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