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元・経営コンサルタントの投資日記

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2008/03/24
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カテゴリ:M&A

世紀の救済劇から1週間たって、各方面から議論が沸き起こっている。

客観的立場 

ウォールストリートからの客観的な声は、金融秩序、システミックリスク回避のためには他に選択肢がなかったという感じで、FRBや政府はよくやった、できることは何でもやっているというメッセージが市場に伝わっている(日本の住専問題とは大違いですね)。ベアーはJPMとのディールの契約と同時並行でチャプターイレブン(連邦破産法、日本の会社更生法に近いもの)という破綻との2段構えで臨んでいたとも伝えられている。

ニューヨークタイムズのDealbookの解説でも同様の論調があり、ベアー・スターンズは Victim of the Gang of Wall Street (ウォールストリートに住むギャングへのいけにえ)だという表現を使っている。

金曜日の終値が30ドルだったものを2ドルで取引したことについては、財務状況が健康なことと流動性リスクは別の問題だと指摘する。「健康な人でも、枕で顔を抑えられたら窒息死しかねないだろう と表現している。

また、マーケット全体にモラルハザードが広がるのでは?との問いには、

ベアー・スターンズは利益優先主義のリスキーな経営の度が高く、そういった経営があだとなったため、今回の事態を招き、14000人近くの従業員のかなりが失業すること、株主もゼロは免れたがかなりの価値がなくなったため、それで解消できると指摘している。

連邦準備局も、ベアーに対し、破綻かJPMとの合併かの択一を迫ったとされている。

市場では、当面の危機を脱したことで金融機関の株価が回復傾向にあるが、多くのエコノミストが指摘するよう、住宅ローン債務者への差し押さえ、個人消費への影響、中古住宅相場の暴落、貸し渋りといった 「実体経済」 が回復したわけではないため、「深刻な病気にかかる」 可能性は払拭できていないという味方が大勢だ。単に 「当面の危機」 が回避されたに過ぎない。

 

JPMの動向

JPMはそれ自身が合併に継ぐ合併で形成された銀行で、母体行が旧ケミカルバンクだと聞くと少し意外だろう。ケミカルバンクが96年にチェースマンハッタン銀行を合併し、チェースマンハッタン銀行と改名、その後00年にJPモルガンと経営統合し、さらに04年シカゴ地盤のバンク・ワンを買収した。現在の頭取ジェームス・ダイモンはシティを経てバンク・ワンの出身者という(実力主義ということか?)。

米国では被買収企業でもそちらのほうがブランド力ありと考えれば、被買収企業名を新会社名にすることにこだわりがないそうだ(Citiもトラベラーズとの合併後、被買収企業であるCitiの名前が残っている)。

 

そのJPMダイモン頭取は早速、ベアー社に出向き、「クラウンジュエル」 の確保に躍起となっている。それは先日紹介したプライム・ブローカレッジ・セクションと優秀な証券マンの引き留めだ。

何でも、残ってくれた 「優秀な証券マン」 に対しては、特別ボーナスを支給を提示しているという。先ほどのプライム部門と営業マンで合計数百名程度しか対象とならない模様。

ボーナスの規模はうわさが飛び交っているが、年間200万ドルの証券売買手数料を稼ぐ「辣腕」には毎年50万ドルを3年という説(ブルームバーグ)や、ベアーの自社株を持つ営業マンに、2ドルと60ドル程度の差額を補填する金額を支給するという説(FT)などえげつない。

また、モルガン・スタンレーなどはそういった「辣腕」にVIP級のオファーを出したなどとも伝えられており、ダイモン頭取は「汚いやり方だ」と憤慨している。

しかし、「クラウンジュエル」 ではない 「その他大勢」 には極めて厳しい春が待っているといわれている。失業だ。2ドルで救済してそれはひどいんじゃない、と思うが、「株主価値の極大化」 の観点から多くのベアーマン&ウーマンがJoblessとなる模様だ。

FRBも今となってはJPMしか頼りになる米銀がなかったというのも事実だ(バンカメはサブプライムの貸し手であったカントリーワイドフィナンシャル社に出資しリスクをとっている。Citiは他人を支援する余裕すらない)。

 

銀行時価総額.gif

 

(3月20日終値ベースの時価総額を同日の為替レートで円転した。尚、筆者が思った商業銀行を主として比較しているに過ぎず、このまま世界ランキングにはならないと思う) 

昨年の日興コーディアルへのTOBをかけた時点では多分20兆円後半台でCitiが世界首位だったがこの状態である。余談だが邦銀の凋落が目に付く。

 

ベアー社の動向

トムソン・フィナンシャルによれば、従業員が発行済み株式の38.7%を所有するといわれている。また、英国の大金持ちジョセフ・ルイス氏は同社の第2位の大株主で9.4%近くも所有しているといわれている。ルイス氏は 「価値を回復するためにはいかなる可能性もあきらめない。ベアー社や第三者に他の戦略的代替案を考えることを強く要請する」と語った。ルイス氏はこの1年間で10億ドル以上の損失をこうむったことになる。

 

また、JPMのダイモン頭取の合併説明会に参加したベアー社の上級幹部の多くは(ほとんどが自社株を保有している)憤慨したり、落胆したり、もっといい条件の合併オファーを望んでいたと伝えられている。一人の幹部は「結局、JPMは全体として我々に何をしてくれるのだ」とやや語気を強めてダイモン頭取に質問した。

頭取は、「君たちは今日の結果を、我々(JPM)の責任だといいたがっているが、それは違う。我々とともに働けばきっと今よりもよくなる」、と励ましたが、「JPMは勝手に当社に来て、『これが合併だ』という、ふざけるな」と切り返され、頭取は沈黙してしまった。

ベアーのシュワルツCEOは、「我々が犠牲になったことは確かだ。君たちがやり場なく怒るのは無理もない。しかし、これを乗り越えなければならない」と従業員を諭した。多くのベアー社の重役は、株主でもある従業員にこのオファーを受け入れるよう、勧めた。

 

と生々しく描かれている。

 

しかし、一方では、すでに、マンハッタンのベアーズ社の前にはJPMの守衛がたち、JPMはベアー社の主要人事ファイルを要求したりするなど、本音と建前のような状況になっている。

 

ディールはどうなるのか

ライバルビットの可能性はあまり伝えられていない。FRBの特融がJPMにあるからだ。

仮にベアー社株主が合併に反対したらどうなるか、JPMはベアー社を見捨てる(つまり破産させる)選択を取るだろうといわれている(それまでに、「辣腕者」 を取り込みたい戦術。要するに人がすべてだから)。

ルイス氏他はJPMに合併条件を引き上げろ(つまり2ドル以上)、という要求が現実的だといわれている。

しかし、これとて、JPMのダイモン頭取いわく、「現在のベアー社の株価はスタンドアローンの評価ではなくなっている。すなわち、JPM・FRBの後ろ盾があるからベアー社の債務がJPMの債務並みの信用力に置き換わっているため株価が回復しているだけである。我々の評価は間違っていない」。

また、「その他大勢」 の従業員は一気に失業するのか。

 

BSC3日間.png

 

M&A提案価格2ドルを大きく上回る株価

 

山一證券との類似性・相違点

日本の専門家の方々が「山一のときに似ている」 とTVで盛んにおっしゃいました。そのときの状況を記憶ベースで思い起こすと、

 

確かに山一がカウンターパートにいる相手金融機関は決済に皆腰砕けになり、やはり流動性危機(山一の資金繰りが悪化した)に陥った。当時メインバンクの富士銀行が資金繰り支援するものだといわれていたが動かなかった。したがって富士銀行までも「余裕がない」とみなされ、2社そろって三途の川をさまよう状態となった。富士銀行株の急落はすごかった。

しかし、富士銀行は山一證券が粉飾決算(簿外債務という言葉が流行る)を行っていたことを察知。また旧大蔵省も2度目の特融は粉飾決算の事実を知って断念。また、虚偽の決算でもあり、裁判所も会社更生法の認可決定(要するに再生計画の策定するための時間的猶予を裁判所が許可する)を認めず(というか申し立て段階で断念したと思う)、廃業するより道がなくなってしまった。

その後、野沢社長の「社員は悪くありません」という涙の記者会見があり、メリルリンチが山一を営業譲受したものの大半は解雇されてしまった。メリルリンチも買収後数年でリテール店舗を閉鎖。現在では山一はほとんど形が残っていない。

したがって、資金繰りが悪化して破綻(または破綻同然)に追い込まれた点、従業員が突然の失業にあった点(ベアー社はこれからその試練が待ち受けているといわれる)は類似しているが、そもそも「健康体の人が枕で顔を覆われた」ベアー社と粉飾決算していた山一では、その経営陣の誠実性には大いに相違がある。

さらに 「金融システムの維持」 という大義名分は米国では今回は今後、さらに試されることになる。山一のときは、「金融システムが崩壊」してしまったが、山一以上に、政府の公的資金の注入決意の遅れ、不良債権の定義の不透明さ、公的資金の小出し戦術等、問題先送り体質が露呈したのが日本であることを覚えておこう。 

金融秩序のための措置としては、「危機のときに結束」するアメリカというものを賞賛するのはいいが、雇用を考えた措置はまったく考慮なされそうにない。この点は、「そもそも高給取りを救済する必要性があるのか」 という非難も集中するが、皮肉にも「辣腕者」は次の職がボーナス付で待っているというのが現状である。 「ふつうの職員」 は職の維持の検討もされない。

 

同じ2ドルでも本当に証券業務に進出したい先へも候補に入れるような策が連銀や政府にない点が残念だ(JPMが最少人数で済ませたいという考え方は彼らの経済合理性の話だから尊重せざるを得ない)。野村證券やオリックスが買収するとした場合、14000人のうちかなりの人数を必要とするはずではないか?

 

 






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Last updated  2008/03/24 03:13:10 AM
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