2010/02/09(火)02:21
ザ・企業文化 キリン-サントリー統合取りやめ、その他雑感
キリン側の発表 加藤社長「統合比率を詰める以前に、上場企業として独立・透明性を維持する上で考え方が一致しなかった」 サントリー側の発表 佐治社長「断念の理由は統合比率。日本で大きなシェアを確保して海外に余力を振り向ける考えだったので、今後の事業に影響がないとは言えない」 あれれ??? これぞ「ザ・企業文化?」の違いか? それとも上場非上場の違い? 一方、ライバルアサヒビールは奇しくも、この日泉谷直木専務の新社長の就任会見だったが、キリン-サントリーの件についての感想攻めにあっていました。こちら側は、「(キリン-サントリーに関係なく)成長は海外戦略しかない」と言い切りました。昨年、中国の青島ビールに出資した際、先方のCEOから、アサヒを選んだ理由は?と聞かれて、「アサヒはグローバルじゃないから」といわれてしまいました。 この海外戦略はキリンもサントリーも両社長さんは口にしていました。 忘れかけていたもう1社。相変わらず株主さんとコミュニケーションが良くないようですね。米スティール、サッポロHDに取締役10人の選任を株主提案 (ロイター1月22日) 以下省略 4社4様で、どうなることやら。 私の保有する食品・生活必需品セクターの銘柄に、フィリップモリス・インターナショナル&アルトリアグループがあります(元々1つの会社でした。08年に分社化しただけです)。このフィリップモリスは元々タバコをメインにした一大食品コングロマリットを形成していました。ミラービール、ゼネラルフーズ、クラフトフーヅ、ナビスコを傘下に持っていました。1990年ごろ、より統一感を持たせるために、フィリップモリス社はゼネラルフーズ出身者をCEOに据えました。 米銀JPモルガンの現CEO、ジェイミー・ダイモン氏は元々保険会社トラベラーズグループ出身で、シティグループの次期CEOレースに破れ、地銀でCEOをやっていたところ、当該地銀をJPMが買収しました。その後、ダイモン氏は親会社JPMのCEOになって今日に至っています。 あのゴールドマンサックスも、ブランクファイン氏は買収先から発掘されています。 必ずしも、買収先の者が上り詰めるわけでなく、生え抜き主体の企業(GEやP&G)やCEO決定時に外部招聘する企業(業績不振で、変革を必要とする場合に多い)、買収先から抜擢する企業等、要は社長が次の社長を決めるのではなく、取締役会でその時点のベストチョイスを行っているのですね。 海外で互角に競争したいのなら、それなりの覚悟が必要に感じました。特に後追いの日本企業にははっきりした危機意識と変革が海外の先行企業以上に必要ではないでしょうか? 最近の日本からは、何かを変えなければいけないが、うまくいかない、そんな空回りが伝わってきます。政治でも経済でも。残念ですね。それとも、もうひと踏ん張りでしょうか。 もちろんアメリカの企業も初めからうまく行っていたわけではなく、フィリップモリスも1970年代は買収後の統合で結構苦労や失敗をしていましたし、今回もウォールストリート神話が崩壊する等、たくさん失敗しています。 しかし、何かをやって失敗して、次に学んでいる点と、何もやらずに何も学ばなかったのとでは、積み重ねが大きな差になっているように思います。何もやらないリスク。今のアメリカの経済政策は1929年の大恐慌と日本のデフレから学ぼうとし、実践していますね。 統合比率や人事など基本的な枠組みはトップ同士で(ある程度)握るなど、学べそうなものはありますね。「日本だから仕方ない」、ではさびしいな。そういうことを言う企業ほど、「グローバルに成長」と言ったりしますね。 個人的には、佐治社長のご発言が、スーパードライ以上に切れ味抜群だったというのが感想。サントリーはまだ何かやりそうな感じがしました。 応援よろしくお願いします。