元・経営コンサルタントの投資日記

2010/02/14(日)18:39

コーポレートガバナンスの 「カイゼン」 を金融庁が後押し

コーポレートガバナンス(46)

  金融庁は「企業内容等の開示に関する内閣府令(案)等の公表について」を発表しました。 これによりますと、上場企業のコーポレートガバナンスの開示の充実について、では コーポレートガバナンス体制について役員報酬株式保有の状況議決権行使結果について などに「カイゼン」を求める内容となっています。1のガバナンス体制については、社外取締役の設置が焦点になるのでしょうか? 経済音痴の民主党が掲げる公開会社法案でも、社外取締役の設置義務化を唄っているようです。2の役員報酬については、1億円以上の役員報酬をもらう役員の開示を義務付ける可能性が新聞等でも取りざたされています。3の株式保有の状況は、要するに「持ち合い株式」の開示強化ということになりそうです。持ち株の上位30位までの有価証券の保有目的まで開示させる模様です。4は自社の株主総会での議決権の行使結果を開示させることを義務付ける模様です。得票数などを開示と書いてあります。 これらの目的は、結局は経営の透明性を高め、株主の意思を経営により強く反映させようとする流れから来ているものかもしれません。従来から株主の合理性と経営の合理性に対するギャップが激しく議論されているところです。日本の株主市場も、株主の4分の1が外国人で、日常取引の過半数以上が外国人投資家であり、外国人投資家の影響力なしでは成り立たなくなっています。今回の一連の増資騒ぎでも、彼ら(外国人投資家を一まとめに言い表すのもおかしなものですが)が相当数引き受けた模様です。 個人的には、仏より魂をこめて欲しい、という立場です。金融庁と法務省のタテ割り行政の限界からこのような出来上がりになるのかもしれませんが、そもそも取締役という地位の法的な存在を抜本的にはっきりさせないと、宙に浮いた議論にならないかと思います。究極的には 「会社は誰のもの議論」 をはっきりさせないと、議論の根幹を間違えても、わけのわからない「言い訳」が跋扈しそうな気がします。米国では取締役は株主代表訴訟の直接の請求先にもなります。一方、日本ではなぜか、会社という抽象的な存在がその責任を負うことになっています。 当然、コーポレートガバナンスは欧米でも必ずしもうまく運用されているわけでもなく、特に米国では、社外取締役にいくら独立性を持たせても「仲良しクラブ」と批判される場合もありますし、しっかり機能している場合もあります。役員報酬の個人別の金額開示にしても、CEOの報酬が高いのはそれなりにリスクも高いから、という言い分も成り立たないわけでもありません。(楽天で米国株を買っても議決権行使が出来ませんが)、多少報酬が高くとも会社を正しく成長させようと実行しているCEOであれば多少の金額は気にならない、というのが株主的見地からは言えそうです。 持ち合いについては、景気が悪くなると弊害論が巻き返し、景気が良くなるとその「正当性」が語られる不思議な現象を引き起こします。株主持合がもたらす効果から考えると、不況のときほど、その「強固な関係」が試されるのではないか? 景気が悪くなると、お金欲しさに売却するのか? と問いただしたくなります。仮に友達関係と株式持合い関係を同じような情緒的な存在だとするのなら、困ったときほど友人の存在はありがたくなる、というのが一般論であるように思いますもちろん、情緒的なものではなく、経済合理性をあの手この手で訴えておられますが、株式持合いに経済合理性があるとすれば、この株価の安い時期こそ持合を強化すべきだという議論になりませんかね?。結局のところ、株式持合いは、株主総会対策費用(21世紀風にいえば買収防衛対策)だったに過ぎないことを象徴しているといえそうです。 大企業の経営陣に都合のよい言い分を、マスコミや「識者」たちが擁護したに過ぎなかったのです(マスコミや識者の広告宣伝のために)。 役員報酬については、役員車や交際費の会社にツケ払いさせる費用などを個別役員の報酬とするべきか、これらを含めると結局結構な額にならないか、といった点に興味がありますね(米国でもコーポレートジェットの使用なども含めて開示している)。 金融庁の立場(東京がアジアの金融センターであるべき)と法務省の立場(会社法の立案など)が食い違っているような気がしますが、それを調整するのが国家戦略室だったように思いますが、機能してほしいものです。また、企業側も自らの製品ばかりでなく、経営も積極的に「カイゼン」して欲しいものです。モノづくりだけが会社の使命ではないはずです。応援よろしくお願いします。  

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