ホビットの家

2016/03/12(土)21:47

絵を見て感じた違和感

芸術(35)

この記事はあくまでも私の感想で一般的な美術論とかでは ありません。 イタリア文化館でやっていたバーチャルミュージアムという のを見てきました。ルネサンス期の有名な絵が本物ではない けど実物大のレプリカがあったり、スクリーンで作品の詳しい 解説を見たり、タッチパネルで絵の大きさを変えて細かい部分 まで見ることができたりとなかなか楽しめました。 中に2点カラヴァッジョの絵もありました。私はカラヴァッジョ はかなり好きな画家なのですが、そこにあった「バッカス」と 「メデューサ」と言う作品に妙な違和感というか気持ちの悪さを 感じてしまいました。まあ「メデューサ」は題材が題材だから 見て気分のいい絵ではありませんが、「バッカス」を見て感じる 不自然さはなんなのかと考えてみました。 もともと私がカラヴァッジョの絵に強い興味を持つようになった のはある昔の映画がきっかけでした。「指輪物語」のボロミア役 ショーン氏がモデル役で出ているというのをファン仲間から聞い てさっそくDVDを購入しました。本当に画面には若き日のボロミ アがたくさん出てくる、それも半裸で赤いマントつけてけだるい 表情で座っていたり、古代ギリシャかローマ風の盾や槍を持って ポーズを決めている、ファンにとってはたまらないシーンが次々 出てくるので食い入るように画面を見つめ(笑)繰り返し見ました。 そしてすっかりカラヴァッジョの絵イコール若き日のボロミアが モデルをしているというイメージが自分の頭のなかでインプット されてしまいました。 そして数年前、ボルゲーゼ美術館展で初めて本物のカラヴァッジョ の絵、「洗礼者ヨハネ」を見た時、「ええー、こんなに若いの? まだ少年じゃない!」とびっくりしてしまいました(笑)頭の中 に若き日のボロミアがいかに定着していたかということです。 それでも「洗礼者ヨハネ」はまだ少年時代のボロミアと無理やり こじつけることができそうな美少年だからいい、でも「バッカス」 はどんなに無理してもボロミアからはかけはなれています(笑) 一度自分の中でこの人の絵はこういうイメージという固定観念が できてしまうと、そこから違った同じ作者の絵を見た時になんと も言えない違和感や後味の悪さを感じてしまうのだなとつくづく 思いました。ボッティチェリやフィリッポリッピなどの絵はそう いうフィルターがかかってないから普通に見て美しいと感じるの ですけど。好きなものほど1度フィルターがかかってしまうとな かなかそれがはずれず、自分のイメージと実際の姿のギャップに 違和感を感じてしまうのかもしれません。 つくば万博 イタリア館ポスター ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ「バッコス」価格:10,800円(税込、送料込)

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