のらりくらりと行きたい

2009/11/03(火)15:43

小さな親切と大きなお世話。

雑談(60)

事の発端は先週木曜日である。 チビ学校が『キャリアウィーク』で、父兄ボランティアとして学校に行き『美容師とは何ぞ』というのをアツく語ってきたのだが、最後に回ったクラスが小3と幼稚園年長のコラボであった。 幼稚園児はまだまだ注意力散漫であり、うるさいチビは黙らせたものの後は放置プレーでもっぱら小3を相手に、髪の構造なんかについても黒板にヘタクソな絵を書きつつ説明していた。この日は小3が最高齢クラスだったので、メインイベントとして誰か一人選んで実際にカットをさせようと思っていた。マネキン持参で行ったのだが、いざ『んじゃ~、今日ゴンゾウのアシスタントがしたい人~?』と声を掛けると小3全員挙手。 よって公平を保つ為にクラッシックにあみだくじにして一人の女の子が選ばれた。 Alexa(アレクサ)という女の子だ。(アレクサを変換したら荒れ草になってちょっと吹き出す) Alexaにスタイルブックを開かせてみんなに見せたり、普段使っているドライヤーとかアイロンとかを出させたり、パシリAlexaがいい仕事した後、マネキンを立てたスタンドに付けて『んじゃ~、アシスタントよ、カットのデモをゴンゾウの代わりにやってみんなに見せてあげよ。』と言うと、えええぇぇぇ~~?!?!とビビるAlexa。 一応、カットの手順なんかはそのすぐ前にチビ達に説明していたので、『シンプルなボブにしてみよう。好きに切ってよし!』と権造は言い、権造のハサミは危ないし落っことされでもしたら大変だし、普通の工作用のハサミを渡してAlexaのフリースタイルのカットは始まった。 チビ達の大歓声を浴びながら次第にノリノリになって切りまくるAlexa。真剣な表情をしたりキャーキャー騒ぎながら切ったりと非常に嬉しそうである。 権造はそんな様子をカメラに収めた。終わってからも権造にまとわりついて離れないAlexa。よっぽど新鮮だったようだ。 帰宅後権造はその日のうちにネットでチョチョイと写真をコラージュにして『Alexa did an awesome haircut! Career Week 2009』と言葉を入れて大きめサイズに引き伸ばして最寄の場所でピックアップできるようにした。1時間ほどで出来上がったようなので取りに行き、額に入れてプレゼント用の袋に入れた。 そして金曜日。 うっかり朝出かけるときに持って出るのを忘れたんだが、どうしても週末までに渡したかったので仕事が始まってから抜け出して取りに帰り、そのまま学校に持っていった。 授業中なのでオフィスに持っていってAlexaに渡して欲しいというと、オフィスの人が見たがるので見せてみるとみんな『きっと喜ぶわよ~~。』なんて言ってくれるものだから、有頂天になっていた。 そして。 土曜日。ハーベストフェスティバルで学校に行った権造達。 チビ達が走り回っている中、他の親たちと喋っているとAlexaが権造に飛びついてきた。 『ゴンゾウ~~!サンキュ~~!』と大喜びなようで、早速金曜日の夜はベットの脇において寝てくれたそうだ。『Alexaが喜んでくれたのならゴンゾウも嬉しいよ~~。』としばらく話した後、Alexaはチビの輪の中に戻っていったのだが。 その後、あまり見かけたことの無い女の人が一人、権造のところへ。 誰、アナタ?と思っているとAlexaママだという。 『Alexaはものすごくグッドジョッブだったよ~。』と権造が言うと、その事なんだけど、、となんだか雲行きが怪しい様子。 え、アタクシ、何かしました?と聞いてみると。。 『私もマイハズバンドも弁護士で、Alexaにも将来は同じ道に進んで欲しいと思っている。アナタが木曜日に美容師の真似なんてさせるから、数日間ずっと美容師になりたいって言ってばかりで少々困っている。』 、、、、、。 この時点で心の中でバックドロップとウェスタンラリアットと延髄斬りとジャーマンスープレックスを数発ずつAlexaママにオミマイしていたのだが、一応オトナな権造は、 『アラ、困らなくてもいいんじゃない?子供の頃にいろんな事に興味を持つのは大切だし、大きくなって「もし」Alexaが弁護士になったら多くの職業を知っているのはきっと役立つと思うよ。立派な両親の事を見て育っていくんだから心配しなくても弁護士になるんじゃない?』 と、実は皮肉たっぷりなんだが非常ににこやかなオブラードに包んでAlexaママに返答した。 権造は正直ちょっぴり傷ついた。 ナニ?このオバハン、モンスターペアレンツどころかテロリストペアレンツじゃね??とふつふつ怒りが湧き起こってくると同時に、美容師を馬鹿にされたようで(ってか確実に馬鹿にしている)、更にきっとAlexaにあげた写真もこのオバハンと夫のオッサンには迷惑だったんだろうと思うと、イヤ~~な気分になった。 その後、バタバタと友人宅へハロウィーンに出かけたりして帰ってきた頃にはすっかりそんな気分も忘れていたのだが。 こうやって考え直してみると、こっちが良かれと思ってやった事が相手にとっては迷惑だったりする事ってよくあるものだ。まぁ、この場合は直接の相手のAlexaは大喜びしてくれたんだが、親にはいい迷惑だったので似たようなものだ。 権造は素直に『喜んでくれるといいな。』と思って写真をウキウキしながら作ったりしてたのだが、向こうにとってはいらぬ善意の押し売りって事なんだろう。 確かにオフィスの人や職場のみんなに『喜ばれるわよ~~。』なんて言われて有頂天になってた部分はあるとは言え、あの時点で『向こうにとっては迷惑かも。。。』なんて考える事ってまず難しい。 そもそも小学校3年である。 権造がその頃なりたかったものって『学校の先生』『歌手とかテレビに出る人』ってなもので、今の実際の職からはかけ離れてしまっている。大抵の人がそうだと思う。小学校低学年から○○になりたかったのでなりました、って人は少ないんじゃなかろうか? Alexa家の場合は親の希望であり、本人もまだチビだから、たまたま小3の学校の一イベントで体験した事をそんなキィキィ言って心配するよりは、あ~良かったね~で済ませてもいいんじゃないか? それよりも何よりも。オバハン、もうちょっと広い心を持っていいんじゃないか?と、正直思うのだが、各家庭によって諸事情も異なるであろうから、やっぱ自分と同じモノサシで事は測れないということなんだろう。 しかしながら心の中ではこの上ないご立腹であった権造。そして別に詫びをいれる筋合いもないと判断したので、Alexaママとは営業スマイルバリバリで談笑しながら心の中では引き続きボディスラムとエルボースマッシュとパイルドライバーをかましつつ、長くなっても益々気分が悪いので適当に切り上げてオサラバした。 善意というものが絡んでくる場合、もしかして悪意を持ってコミュニケーションするよりも自分に帰ってきうるダメージって大きいんじゃなかろうか。 悪意を持って人に接するときってある程度心の防御を行っているので相手がどんな予想外のヒドイ態度に出てきても、こっちがこんな態度なんだからあったりまえだよな~と比較的精神的ダメージは少ない。 が、こっちが善意を持って何か人に働きかける場合、心の防御策はゼロであり、そんな無防備な心に想定外の悪いリアクションが返って来ると、助けてぇぇぇ~~っと言いたくなるくらい傷ついたりするものだ。 しかしよく考えてみると、こっち側とあっち側で全く同じように物事を捉えることの方が確率的に少ないと思うので、まぁこんな事も多々あるんだろうな~と妙に納得したりもする。 ちなみに『善意』という言葉、得意の辞書検索してみると。 ぜんい【善意】 1 よい心。 2 他人のためを思う親切心。好意。「―の人々」⇔悪意。 3 好意的に相手の言動などをとらえること。よい意味。「―に解釈する」⇔悪意。 4 法律で、ある事情を知らないですること。私法上、原則として善意の行為は保護され、責任は軽減される。⇔悪意。 って事ですよ、みなさん。 4は関係ないので横に置いといて。 1の『よい心』ってのも中々抽象的だとおもうんだが、2と3の定義というのはズバリ『こちら側とあちら側』と言う風に対極であるのが面白い。 すなわち、権造の善意がAlexaママにとっては善意でなかった(コレは2の定義)と同時に、Alexaママの善意を期待してた権造(コレは3の定義)、というのもあるわけだ。 ゲームに例えていうならば。 権造がレベル3のアイテム『善意ビーム』を発したときに、Alexaママの持つアイテム『善意の受け皿』もまたレベル3であるとする。レベル3同士なら相殺してお互いのライフポイントには影響が無いように見えるが、ところがドッコイそうはいかない。 『善意ビーム』には表技と裏技があり、表技は『小さな親切ビーム』であり、コレは相手のライフポイントを復活させたりするヒーリングアイテムだ。そして裏技『大きなお世話ビーム』は相手にダメージを与える攻撃アイテムである。 同じように『善意の受け皿』アイテムにも、善意ビームを受け皿に吸収して自分のライフポイントアップ出来る表技の『ありがとうの受け皿』と、善意ビームを倍増して反射する攻撃アイテムの裏技『いらねぇよの受け皿』とがあることになる。 ビームを持つ側も受け皿を持つ側も、相手のアイテムが表技なのか裏技なのかを見極めるアイテム『賢者のメガネ』を持たないとうっかり攻撃を受けてしまうというわけだ。 ハァ。善意って悪意よりも難しい。 今日はオフデーでスーパーに買出しに行った時に、更なるツワモノに出会った。 カート一杯にブツを乗せた権造の後ろに、肉のパック1つを持ったおばさんが並んでいたので、すでにレジにカートからブツを乗せ始めていたのだが、権造はおばさんに『1つだけでしょ?先にどうぞ。』と順番を譲った。 おばさん、この手の親切に遭遇する機会がないとみえ、え?なんで?と聞き返してくるので、1個だけだったらそんなに時間掛からないしいいよ、と言うと、サンキューサンキューと嬉しそうに前に行った。 そのおばさんの後ろに居たおっさんが、『キミ、急いでないんだったら、オレも先に行かせてくれ。』だと。 おっさんのカートを見ると権造とほぼ変わらない量。。。一瞬悩んだ挙句、、、、断った。 おっさんは『ナンダヨ、だったら一人だけ前に行かせたりするなよ、、』とブツブツ言っていた。 このおっさんは『善意の横取りの剣』なるアイテムを持っている。このアイテムは必殺技は出せないが、ジワジワと周り中のライフポイントを奪っていく。 善意に関するアイテムはとっても使いこなすのが難しい。 このおっさんにライフポイント4Pほど奪われたおばさんと、ライフポイント8P奪われた権造に同情してくれる人、今日もクリックよろしくお願いします! ↓↓↓ にほんブログ村

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