マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

2006/11/29(水)08:02

クリストファー・プリースト 「奇術師」

2006年11月読書(8)

[1] 読書日記   読み終わって、書店で掛けてくれたカバーを外すと、    <こんな面白い本     どうして見逃していたんだろうか!?>   との文字が帯に踊っていた、    クリストファー・プリースト 「奇術師」(ハヤカワ文庫)   を読了。   本棚の中で二年あまり積み、今まで見過ごして来ただけに、その惹句には同感。   小説として非常に面白かった。   少なくとも、ここ三ヶ月以内に読んだ長編の中ではベスト。   ミステリとして読み始めたが、ジャンルは超越的。   恐らく何の先入観も持たずに、読み始められる読者が一番幸せな読者。   次善は、多分私同様にミステリと思って読む読者。   要は、私は幸せな読者であったと言いたい。   その場合はなるべく事前情報をシャットアウトしておくのが大事。   読者によって、「ネタばれ」の閾値がまるで作品だと思うので、うっかり巻末の解説やら、  ネット上に氾濫するレビューを読もうものなら、簡単にミステリとしては「ネタばれ」に抵触  する文献にゴロゴロ出会ってしまう憂き目に会ってしまうかも。   裏表紙の概要が、過不足のないものだったので最後に引き写しておく。    <北イングランドに赴いたジャーナリストのアンドールは、     彼を呼び寄せた女性ケイトから思いがけない話を聞かされる。     お互いの祖先は、     それぞれに「瞬間移動」を得意演目としていた、     二十世紀初頭の天才奇術師。     そして、生涯ライバル関係にあった二人の確執は     子孫のアンドールにまで影響を与えているというのだが……!?     二人の奇術師がのこした手記によって、衝撃の事実が明らかになる!>   面白い海外文学を読みたい人には、是非ともお薦めしたい逸品。

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