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マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

2007年05月21日
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カテゴリ:2007年05月読書
[1] 読書日記


   <「(略)あの娘には、人にはわからない因果が読める。
     そういう無意識レベルの明晰さを兼ね備えている、とでも言いますか。
     布置、隠された文脈、コンステレーション」

    「は?」

    「コンステレーション――もとの意味は『星座』です。
     脈絡もなく、ランダムに散らばるばかりの星屑でも、
     見る人が見れば座位を見出す。
     同じように、一見因果でもないような事象の群れに、
     因果を見出す人もいる」
> 

  小粒ながらもピリリと辛い、

   中井拓志 「獣の夢」(角川ホラー文庫)

  を、読了。

  九年前の、深夜の小学校において六年生の児童たちが引き起こした死体(バラバラ)
 損壊事件を、模倣したかのような死体損壊事件が、同じ小学校で発生する。
  時前後して、九年前の事件で「獣がみんなに彼を襲わせた」と語り、今なお病院に
 収容されている少女が、当時の担当刑事に、「『獣』が戻ってきます」と告げる。
  またもや、獣の仕業なのか?
  果たして、獣の正体とは?

  「獣」の正体も、話の展開も、オカルトとは無縁のミステリ。
  日本社会に対するパロディーや予見性は、SFでありホラーとも言える。  

  和製「羊たちの沈黙」。
  レクター博士役が美少女で、スターリング役が妻子もちの中年刑事。

  FBI式プロファイリングは、日本には馴染まないとして、日本ならではのかたちで、
 プロファイリングを応用するのは新鮮。
  日本に存在もしないシリアルキラーをでっちあげる、数々の粗悪なサイコスリラーもの
 とは、一線を画する作品。

  余計なお世話ではあるが、世で読まれていないのであれば、勿体のない話。
  でも、この本のテーマを考えると、読まれないことこそ、本懐とも言えそう。






最終更新日  2007年05月22日 03時01分20秒
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