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カテゴリ:2007年05月読書
[1] 読書日記
<「草薙哲也という男だ。 草薙哲也という男が、飲料水を運ぶという約束を破り、恋人を見捨てて逃げた」 サングラスの男はクサナギテツヤという固有名詞を連呼した。 「自分だけが助かろうとして草薙哲也は恋人を見捨てた。 だから……女は死んだ。 殺したのは彼らではない。 佐久間加織を殺したのは草薙哲也という美容師だ」 電話の相手はテレビ局のワイドショーのディレクターだった。 その中年ディレクターに声を発するまも与えず、男は言葉を続けた。 「彼らは草薙哲也を車内に戻すように要求する。 草薙哲也が戻るまで、彼らはその身代わりとして、 断続的に乗客の処刑を繰り返す」> <部下の警察署員はくわえていた煙草を灰皿に押し込んだ。 そして、恋人を見捨てて逃げた男のことを思った。 恋人を見殺しにした男―― そしてこれから、おそらく何人もの間接的な殺人者にさせられる男―― 『草薙哲也』という男の、これからの人生を思った。> みたいな、エピソードが満載の、 大石圭 「処刑列車」(角川ホラー文庫) を読了。 700余名の乗客を乗せた快速電車が、謎の集団によって乗っ取られ、鉄橋上に停車させ られる。次々と殺されていく乗客たち、人質交渉、便乗犯、犯人グループからの提案など をスケッチ風に描いた群集劇。 ホラーというより「擬似ドキュメンタリー」。 人のもつ悪意を軸に、綺麗にまとめあげられている。 「もしかしたら?」と思っている解釈の、伏線を読み落としている可能性に気付きなが らも、読み返さずに、一気にラストまで突き進んでしまったので、現在、もう一度拾いな おすか否かを検討中。 そういう意味において、物語だけではなく、「読書」的興味もかきたてられる。 ただし、私の勝手な妄想である可能性大(web上のいくつかの書評に今、目を通してみた が、触れている人が全くといっていないので……)。 「是非、読め!」とまでは薦めないけども、面白い作品だった。 今回、他人の書評を見てみて、ああ人によって感じ方は様々なんだなぁ~、と改めて思っ たり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年05月29日 04時46分37秒
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