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マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

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2007年05月28日
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カテゴリ:2007年05月読書
[1] 読書日記


   <「草薙哲也という男だ。
     草薙哲也という男が、飲料水を運ぶという約束を破り、恋人を見捨てて逃げた」

     サングラスの男はクサナギテツヤという固有名詞を連呼した。

    「自分だけが助かろうとして草薙哲也は恋人を見捨てた。
     だから……女は死んだ。
     殺したのは彼らではない。
     佐久間加織を殺したのは草薙哲也という美容師だ」

     電話の相手はテレビ局のワイドショーのディレクターだった。
     その中年ディレクターに声を発するまも与えず、男は言葉を続けた。

    「彼らは草薙哲也を車内に戻すように要求する。
     草薙哲也が戻るまで、彼らはその身代わりとして、
     断続的に乗客の処刑を繰り返す」


   <部下の警察署員はくわえていた煙草を灰皿に押し込んだ。
    そして、恋人を見捨てて逃げた男のことを思った。
    恋人を見殺しにした男――
    そしてこれから、おそらく何人もの間接的な殺人者にさせられる男――
    『草薙哲也』という男の、これからの人生を思った。


  みたいな、エピソードが満載の、

   大石圭 「処刑列車」(角川ホラー文庫)

  を読了。

  700余名の乗客を乗せた快速電車が、謎の集団によって乗っ取られ、鉄橋上に停車させ
 られる。次々と殺されていく乗客たち、人質交渉、便乗犯、犯人グループからの提案など
 をスケッチ風に描いた群集劇。

  ホラーというより「擬似ドキュメンタリー」。
  人のもつ悪意を軸に、綺麗にまとめあげられている。

  「もしかしたら?」と思っている解釈の、伏線を読み落としている可能性に気付きなが
 らも、読み返さずに、一気にラストまで突き進んでしまったので、現在、もう一度拾いな
 おすか否かを検討中。

  そういう意味において、物語だけではなく、「読書」的興味もかきたてられる。
  ただし、私の勝手な妄想である可能性大(web上のいくつかの書評に今、目を通してみた
 が、触れている人が全くといっていないので……)。

  「是非、読め!」とまでは薦めないけども、面白い作品だった。
  今回、他人の書評を見てみて、ああ人によって感じ方は様々なんだなぁ~、と改めて思っ
 たり。





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最終更新日  2007年05月29日 04時46分37秒
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