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カテゴリ:2007年06月読書
[1] 読書日記
解説の三橋暁いわく、 <サーガ、クロニクル、大河ロマン><その系譜に属する作品> そして、訳者のあとがきによると、 <三つの小説が合わさって全体を作りあげているのだが、 それぞれが完結した物語であり、別個に楽しむことも可能だ。 また、三作の時代、土地、語り口、 さらにジャンルに至るまでがばらばらだというのがおもしろい> <作者のアンドリュー・テイラーは、自身のウェブサイトなどで、 さまざまな角度から人間を描くためにこういう形式を選んだと述べており、 さらには、 三作をどういう順序で読んでもかまわないとまで言いきっている> という趣向が凝らされているらしい、 アンドリュー・テイラー 「天使の遊戯」(講談社文庫) を読了。 三部作<The Roth Trilogy>シリーズの第一弾。 犯罪小説。 四歳の少女ルーシー誘拐事件。 その顛末を、加害者(共犯というよりは従犯)の無職の青年エディと、ルーシーの母親で あり教会の副牧師をしているサリーの視点を交互に描いて浮かび上がらせている作品。 ミステリ的な謎の部分含めて、宗教的モチーフに彩られている。 物語は、 <「“荒野の殺人鬼”の事件はどうだった? マイク・ヒンドリーのやったことは相棒のイアン・ブレイディに 引けをとらなかったんだぞ」> と作者が作中人物の口を使ってネタばらしをしているように、1960年代の英国で実際に あった未成年連続殺人事件に着想を得て作ったと思われる。 参考までに、イアン・ブレイディ&マイク・ヒンドリーについて詳しいサイトをば。 http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text/brady&hindley.html → 写真入りで、一番詳しい。独特の文章。 http://www8.ocn.ne.jp/~moonston/honeymoon.htm → 実在の殺人カップルを複数紹介。面白いエピソード多々。 http://www.ltokyo.com/yanasita/works/mags/bungei/09.html → イアン・ブレイディの著書『ヤヌスの門』を紹介している。 ただ、作中の登場人物の加害者であるエンジェル&エディや、事件そのものは作者の完全 なオリジナルであり、実際の彼らとは少しも似せられていない。 現に物語自体は、ミステリとしてはおとなしく、エディやサリーの内面描写が中心であり 読みどころになっている。 ラストの一行は見事。 残りの2作品を読まざるをえなくなる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年06月12日 05時12分58秒
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