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カテゴリ:2007年06月読書
[1] 読書日記
久々に人に自信をもって「面白い」と薦められる小説、 ダン・ローズ 「ティモレオン センチメンタル・ジャーニー」(中公文庫) を読み終える。 翻訳の金原瑞人いわく、 <飼いならされた猫のような、 センチメンタルな癒し系の作品を読みたい人には、 用のない作品だが、 野生の虎のような、 力にあふれた激しい作品を激しい作品を読みたい人には格好の一冊だろう> 解説の江國香織いわく、 <この先百回引越しをしても、 この先百年生きたとしても、 私の本棚には「ティモレオン」が入っていると思う。 毎日本ばかり読んで暮らしていても、 そんなふうに思える本には滅多に出会えない> そして本の帯、ダン・ローズの単行本「小さな白い車」の宣伝文が、 <「マジ? あたしプリンセス殺しちゃった」 失恋したヴェロニクは、酔った勢いでパリのトンネルを車でとばす。 翌朝目覚めると、ガレージに停めた車には接触の跡、 テレビではダイアナ妃の訃報が流れて……。 英国の異端児がタブーに挑んだ、 キュートで不条理な証拠隠滅物語> 現代小説。 二部構成。 <ティモレオン・ヴィエッタは犬の中で最高の種、雑種犬だ> そのティモレオンが、犬か同居人(♂)かの二者択一を迫られた飼い主(♂)によって ローマのコロシアム前に捨てられるまでを描いた第一部。 ティモレオンが、我が家を目指す旅路で係わった人々のエピソードと、飼い主と同居人 の過去が明かされていく第二部。 第二部は、さながら様々な愛とエゴを描いた連作短編集の趣き。 どのエピソードも濃密。 世界残酷物語。 とにかく、こちら(読者)の期待感や思惑を、あっさりと裏切り、そして軽々と超えて 来る展開であり、結末は「冷徹」の一言。 「動物が主役の物語はちょっと……」という人にも、ティモレオンが主役、主観の物語 ではなく、あくまでも、いち登場人物としての扱いなので、自信を持ってお薦めしたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年06月14日 03時02分23秒
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