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マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

2007年07月30日
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カテゴリ:2007年07月読書
[1] 読書日記


   <それは、僕の家だった。
    猫について歩いていたら、いつのまにか、家についていたのだ。
    はっとして、僕は振り返った。
    猫はにゃー、と一声鳴くと、
    くるりと方向転換してゆっくりとした足取りで去っていった。
    僕が猫のことを知っていたように、猫も僕のことを知っていたのかもしれない。
    僕が自分の後ろについてきているのは、道に迷ったのだと思い、
    僕を家まで案内してくれたのだ。
    僕はそう思った


   穂史賀雅也 「暗闇にヤギを探して」(MF文庫J)

   

  を読了。

  レーベル的にはライトノベル。
  ジャンルとしては、児童文学。

  主人公の草加合人は高校一年生。
  ある朝、学校の机の中に残しておいた数学のノートの記入したはずのページが無くなり、
 代わりに「ごめんなさい、おいしかったです」と書かれた便箋が残されているのに気づく。

   <「『ごめんなさい、おいしかったです』、か……」
    口に出すと、それはとても不思議な言葉だった。
    僕はこの手紙を書いたヤギの気持ちを想像してみた。
    「ごめんなさい」というからには、
    ヤギは僕のノートを食べるつもりじゃなかったんだろう。
    なんらかの不可抗力によって、僕のノートを食べてしまったのだ。
    だからヤギは「ごめんなさい」という言葉を書いた。
    そして僕のノートはヤギにとってとてもおいしかったのだろう。
    だから、「おいしかったです」とお礼を書いたのだ。
    こう考えると、ヤギはとても誠実で正直な性格のように思えた。
    もともと僕はヤギにノートを食べられてしまったことに対して怒っているわけでは
    なかったのだけれど、この手紙を書いたヤギの心境を思いやるに至って、
    ヤギに対して好意のようなものを抱きはじめていた


  少年の初恋と成長の物語。
  「ボーイ・ミーツ・ガール」イコール「ボーイ・ミーツ・ワールド」。  

  ただラストの2ページはテキストの解釈次第では、仮に児童文学としたときの対象には
 年齢的なハードルが高すぎるか。自分としては「そうとしか読めない」になるのだけれど
 も、「そうとは読まない」人も多数いるのだろう。これぞ小説の愉悦。

  センスの良い作品。






最終更新日  2007年07月30日 14時25分30秒
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