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カテゴリ:2007年10~12月読書
[1] 読書日記
お酒で例えるならばカクテルのような、本であり、作家がいる。 書かれている内容は、アルコール度数としてヘビーなのに、飲み口が良いからついつい 飲んでしまう、そんな本であり、作家のことである。 大石圭 「殺人勤務医」(角川ホラー文庫) 大石圭 「復讐執行人」(角川ホラー文庫) を読了。 この作家の作品は、まさにそれ。 本屋や古本屋で見つけると買ってしまい、他の本を読んでいる時でもつい気分転換に手 を出してしまう。今回は「殺人勤務医」を読みながら、「復讐執行人」に手を出し、更に 同作者の「水底から君を呼ぶ」、「人を殺す、という仕事」(共に光文社文庫)を併読し てしまい、とりあえず上記2冊をほぼ同時に読み終わったというような状態。 ただ大石圭の登場人物たちは皆、ナイーヴで似たような性格設定であることが多いため、 各人の過去のエピソードを混同してしまう恐れがあり、作者に対して大変申し訳ないので、 あまり推奨される読み方ではないと思う。注意されたし。 それはさておき一冊ずつ感想など。 【「殺人勤務医」感想】 要約するとタイトル通りの内容なのだが、このセンスの欠片もないタイトルのおかげ で、かなり損をしている感は否めない。例えば(未読ながら)「世界の中心で愛を叫ぶ」 に「白血病で死んだあの娘が忘れられないんだ!」というタイトルが付けられているよ うなものである。 同じようなタイトルのつけられたB級ホラー映画は巷に溢れているが(例えば、アルバ トロス社の「殺戮職人芝刈男」や「女子高生チェーンソー」)、そんなものの何倍もこち らが面白い。というか、そもそも同じ土俵で論じることすらおかしいのだが、これまたタ イトルによる弊害である。 作者のあとがきの、 <人に与えられた時間は100年にも満たない。僕たちはすぐに、いなくなる。 ことあるごとに僕はそう書いてきた。だが、この100年という時間がどれだけの ものなのかを、実際に感じることは難しい。 そういうときは『年』を『円』に置き換えてみると少しは実感しやすくなる。 地球ができてから46億円。最初の生命が誕生してから40億円。恐竜が絶滅してから 7000万円。ヒトがチンパンジーと別れてから500万円。文字が発明されてから6000 円。イエス・キリストが生まれてから2000円。そして――僕たちに与えられたのが 80円か90円。多くてもせいぜい100円だ> という表現も、是非パクって自分のオリジナルアイデアとして流用したいほど。 【「復讐執行人」感想】 作者自身があとがきで、 <凶悪事件の加害者の主観で、読者が凶悪事件の加害者に感情移入できるように 描かれた作品というものがほとんどなかったということもあって、僕のように 凡庸な男が作家として生き残ってこられたのではあるけれど……この作品では 僕はほかの作家たちと同じように、犯罪の被害者の絶望や苦しみについて書い てみようと考えた> と語っているように、これまで加害者側の視点での作品を多く発表してきた作者が (上記「殺人勤務医」も、連続殺人鬼である中絶専門医の視点で語られている)、 加害者と被害者の主観をカットバックを使い交互に描き出す手法をとった珍しい作品 である。 折原一の諸サスペンス作品を彷彿とさせるものも読みながら感じたが、エンターテ イメント性と最後のどんでん返しに重きが置かれる折原作品と違い、あくまで登場人 物たちの内面を描き出すことが第一とされており、読み終わった後に何も残らない折 原作品と違い、ラストまで良い感じの余韻が残る。 被害者側からの「ミッシングリンク」もの、あるいは加害者の「ホワイダニット( 加害者の動機は何か?)」もののミステリとしても読め、そのための伏線もなかなか 秀逸である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年10月31日 03時29分10秒
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