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マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

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2007年11月19日
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カテゴリ:2007年10~12月読書
[1] 読書日記

  
  最近、読み終わった本を片っ端からダンボールに放り込んでいるのだが、ごく稀に手元に
 残しておいて、時々読み返したくなるような本に出会う。
  そんな本はダンボール行きの変わりに、読後本ばかりを集めた本棚か、今こうしてパソコ
 ンを使っていても手の届く位置にあるカラーボックスのどちらかに、置かれることになる。
 言うまでも無く後者が、前者より一層の、自分のお気に入りの書架である。

  そこに新たな本が一冊加わることとなった。
  エッセイ本では、初である。

   米原万里 「魔女の1ダース」(新潮文庫)

   

  を読了。

   <同一の事象や現象が、視点を違えるだけで全く別なものに見えてきたり、同一の単語
    や語句が、文化的歴史的背景や身分階級時代など、置かれた文脈によって思いがけな
    い意味をおびたり


   <ある国や、ある文化圏で絶対的と思われてきた「正義」や「常識」が、異文化の発想
    法や価値観の光を当てられた途端に、あるいは時間的経過とともにその文化圏そのも
    のが変容を遂げたせいで、もろくも崩れさる現場に何度立ち会ってきたことだろう


  といった事を扱った、通訳を生業とする著者の手によるエッセイである。


   <「絶対絶対なんていうけど、物事に絶対なんてことは絶対にないんだからね」

  これは著者である米原女史が、通訳術の師として仰ぐ中川研一氏の発言を、本書の中で
 名言として取り上げているものであるが、まさしくこれが本書を貫くテーマである。   

  本書の内容については、彼女がもう一方の師と仰ぐ徳永晴美氏が、本書巻末で書いている
 解説に詳しい。

   <期待どおり本編でもシモネタが豊富。(中略)それらが哲学、言語学、心理学、文化
    人類学的な文脈で顔を出し、「常識」に冷や水を浴びせる。
    他方、通訳、異文化コミュニケーション論、IMF・ロシア・国際経済論、人類史、
    宗教、文学、読書、教育、ハンサム、恋愛論、アリストテレス以来の政治学など、目
    が回るほどのテーマ展開で、逆転の発想を披露する。宝石箱と汲み取り式便槽の中身
    を一挙にブチマケタような、おぞましい知の万華鏡の世界だが、恐れてはならない

   
   (※上記、「(中略)」は筆者による。このブログ上にて使用不可能な文字を含んでい
    た為に、徳永氏には失礼かとも思いますが、削らせていただきました。)


  本書の中で、<情報の送り手と受け手が相対峙するのではなく、同じ方向を向いていると
 いう関係
>という言葉が出てくる。これは、エッセイにしても当てはまることではないだろ
 うか。この<同じ方向を向いているという関係>的な、同じ感覚を共有していることの再確
 認みたいな内容よりも、やはり<相対峙する>内容であった方が読んでいて楽しい。そして
 本書は、まさにその好例ともいえる本である。

  更に、随所に散りばめられているエピソードは、日常会話の中で話のネタとして使えるこ
 とも、請け合いである。  





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最終更新日  2007年11月19日 09時51分59秒
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