2009/12/01(火)11:34
菊池聡 『「自分だまし」の心理学』
[1] 読書日記
昨年初め頃から、
文芸書や漫画に関しては
「読書メーター」(http://book.akahoshitakuya.com/)
それ以外のジャンルのモノ(専門書や何や)については、
「メディアマーカー」(http://mediamarker.net/)にて、
管理、感想、覚書、読書メモ等しているので、
こちらのブログに、
読書の感想等を書くことが
めっきりと減ってしまったが、
久々に「読書日記」などを書いてみる。
この本が「特におすすめしたいから!」とかでは
別になく、
ホントになんとなく。
菊池聡 『「自分だまし」の心理学』(祥伝社新書)
<人の心から嘘やだましを排除してしまうことは、
現実的にも、また心理システムの面から考えても、
全く不可能なことなのです。
同様に「私は絶対にだまされない」というのも、
ありえないことです>(本書 P.6より)
内容をひと言で要約すると、
本書でも引用されている
ユリウス・カエサルの言葉、
<人は、自分の望んでいることを信じる>という、
まさにそれ。
そして、
結論をひと言で言うと、
心理学の知見を駆使し、
心理学的な態度から見た「おたく」肯定論。
心理学的な、
基礎的な知識や
ある程度の雑学的教養を
持っている人間ないし、
自身が「おたく」であったり、
岡田斗司夫の著作を読んだ事のある人間であれば、
特に目新しくもないし、
驚きや刺激もそれ程には無い内容。
でも上記のどちらか一方に、
該当しない人間にとっては
うってつけの入門書と言える本。
特に、
下記のような↓
抑うつ状態、スキーマ、うつの現実主義、
盲点、ポジティブ・イリュージョン、直感、
カクテルパーティ効果、メンタル・リソース、
ヒューリスティック、ステレオタイプ、
認知的一貫性の原理、血液型ステレオタイプ、
心の免疫システム、平均以上効果、所得効果、
イリュージョン・オブ・コントロール、
自己奉仕バイアス、スピン・ドクター、自己査定動機、
行為者―観察者効果、原因帰属、学習性無力感などなど、
この手の、
心理学を多少なりともかじっていれば
周知の心理学用語もわかりやすく、
そして詳しく説明されているので、
興味があったり知っておきたいと思ったり、
この手の言葉を
普段から使ってみたいと思ったり、
この手の言葉で
世界を解釈したいと
常々考えていたりするような、
そんな人にもおすすめ。
ただ「おたく」肯定論的な部分については、
他の「おたく」肯定論的な言説と同様、
この本にも似たような虚しさを感じてしまう。