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マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

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2007年05月読書

2007年05月29日
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カテゴリ:2007年05月読書
[1] 読書日記


  「長門有希の100冊」に入っている未読のミステリでも読んでみるかと、

   小峰元 「パスカルの鼻は長かった」(講談社文庫)

  を読了。

  青春推理小説(というジャンルらしい)。
  ピカレスク小説。
  
  主人公・小峰元の高校三年の一年間を、片思いの同級生のブルーフィルム騙し撮り事件を
 軸に、友情、恋愛、受験、殺人、スター誕生などを盛り込んでまとめた作品。
  小見出しも、<四月は立志どき>に始まり、<三月は大願成就>で終わっている。

  全く余談ではあるが、「○月は~」というと、どうしても霧舎巧の私立霧舎学園ミステリ
 白書シリーズを思い出してしまう。来月久々に、新刊が出るとか……。

  閑話休題、同作者の作品を読むのは、「アルキメデスは手を汚さない」「ピタゴラス豆畑
 に死す」「パンドラの恋愛能力共通一次テスト」以来で、その間10年近い。
  「長門有希の100冊」とか、そういう切っ掛けでもないかぎり、永遠に読むことがなかっ
 たと思われる。

  内容としては、
  レストランで、お互いがおごってくれると勘違いして仲間で散々飲み食いした後に、誰も
 金の持ち合わせが無いことに気付く。さてどうする?
  といった部分の解決策や、ブルーフィルム奪還時の窮地の脱出方法は、ミステリとしての
 面白みがあったが、殺人事件うんぬんについては、かなり薄口。

  どちらかというと、物語やトリックではなく、語り口を楽しむべき小説。
  その言い回しや、語り口は、「青春」、「ピカレスク小説」にピタリとあっている。

  「高3コース」での連載だったらしく、要所要所に、

   <Now,let's come to the point.
    わからんやつは、国公立受験は諦めるんだな。
    マメタンじゃ、全部が中学必修語だぜ


   <とにかく見事な、おシリの行列である。
    どれもこれも、貧弱なおれのに比べると、
    面積にして二倍、体積にして四倍はあるね。
    いずれがアヤメ、カキツバタ、じゃなくて、
    いずれがスイカか、トウガンか、という絶景だ。
    おれはマーク・シート方式の国立大学共通テストを連想したね。
    「つぎの(イ)から(ヘ)までのシリのうち、志津子のシリに印をつけよ


   <家へ着くやいなや、電話が鳴った。
    受話器を取りながら、~するやいなや~した、はas soon asなんだっけ、と考えた


   <十二月八日午前十時、絹を裂くような声で、おれは瞑想を破られた。
    読者諸君も知っているとおり、十二月八日といえば、
    われわれ高三生にとって重大な日である。
    “戦争にイクヨーイ(一九四一)”の太平洋戦争勃発の日だなどと、
    とぼけたこといっちゃ困るぜ


  他にも、数学、化学、物理に古典などのネタが詰め込まれているのも、特徴的で面白い。






最終更新日  2007年05月30日 04時37分52秒
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2007年05月28日
カテゴリ:2007年05月読書
[1] 読書日記


   <「草薙哲也という男だ。
     草薙哲也という男が、飲料水を運ぶという約束を破り、恋人を見捨てて逃げた」

     サングラスの男はクサナギテツヤという固有名詞を連呼した。

    「自分だけが助かろうとして草薙哲也は恋人を見捨てた。
     だから……女は死んだ。
     殺したのは彼らではない。
     佐久間加織を殺したのは草薙哲也という美容師だ」

     電話の相手はテレビ局のワイドショーのディレクターだった。
     その中年ディレクターに声を発するまも与えず、男は言葉を続けた。

    「彼らは草薙哲也を車内に戻すように要求する。
     草薙哲也が戻るまで、彼らはその身代わりとして、
     断続的に乗客の処刑を繰り返す」


   <部下の警察署員はくわえていた煙草を灰皿に押し込んだ。
    そして、恋人を見捨てて逃げた男のことを思った。
    恋人を見殺しにした男――
    そしてこれから、おそらく何人もの間接的な殺人者にさせられる男――
    『草薙哲也』という男の、これからの人生を思った。


  みたいな、エピソードが満載の、

   大石圭 「処刑列車」(角川ホラー文庫)

  を読了。

  700余名の乗客を乗せた快速電車が、謎の集団によって乗っ取られ、鉄橋上に停車させ
 られる。次々と殺されていく乗客たち、人質交渉、便乗犯、犯人グループからの提案など
 をスケッチ風に描いた群集劇。

  ホラーというより「擬似ドキュメンタリー」。
  人のもつ悪意を軸に、綺麗にまとめあげられている。

  「もしかしたら?」と思っている解釈の、伏線を読み落としている可能性に気付きなが
 らも、読み返さずに、一気にラストまで突き進んでしまったので、現在、もう一度拾いな
 おすか否かを検討中。

  そういう意味において、物語だけではなく、「読書」的興味もかきたてられる。
  ただし、私の勝手な妄想である可能性大(web上のいくつかの書評に今、目を通してみた
 が、触れている人が全くといっていないので……)。

  「是非、読め!」とまでは薦めないけども、面白い作品だった。
  今回、他人の書評を見てみて、ああ人によって感じ方は様々なんだなぁ~、と改めて思っ
 たり。






最終更新日  2007年05月29日 04時46分37秒
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2007年05月22日
カテゴリ:2007年05月読書
[1] 読書日記


  一般に「都会」といわれている場所に住むことの理由であり、メリットでありを、
 改めて感じることとなった、

   


  を読了。 

  裁判傍聴記。

  当初は、読むのは結構しんどいかな~、とか思ったが、第4幕(40ページ過ぎ)あたり
 から、裁判を見る著者の目が肥えて行くのと相俟って、興が乗っていき、100ページ以降
 は一気に読むことのできた本。

  主観と客観、事実と真実を混ぜ合わせ、一面的な見方に事態を落とし込む作者の書き方
 は、いかがなものかとは思う。が、それはそれとして、

  裁判の傍聴に行ってみたくなる。

  競馬好きの身としては、田原成貴裁判(覚醒剤取締法違反、銃刀法違反)傍聴の顛末が
 語られていたのが、ボーナストラック的なサプライズ感覚で楽しかった。
  意外な人物と、絶対にあうと思っていなかった場所で、再会を果たした気分に近い。

   <「私の犯した罪は、罪は、許されることでは、ありません!」
    泣いた。タバラは泣きじゃくった。
    そして、あきれたように公判を終えようとする裁判官にだめ押しの叫び。
    「私を公判の、その、検事側証人として立たせてください!」
    もう誰にもタバラの言っている意味などわかりはしない。
>  






最終更新日  2007年05月30日 05時36分00秒
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2007年05月21日
カテゴリ:2007年05月読書
[1] 読書日記


   <「(略)あの娘には、人にはわからない因果が読める。
     そういう無意識レベルの明晰さを兼ね備えている、とでも言いますか。
     布置、隠された文脈、コンステレーション」

    「は?」

    「コンステレーション――もとの意味は『星座』です。
     脈絡もなく、ランダムに散らばるばかりの星屑でも、
     見る人が見れば座位を見出す。
     同じように、一見因果でもないような事象の群れに、
     因果を見出す人もいる」
> 

  小粒ながらもピリリと辛い、

   中井拓志 「獣の夢」(角川ホラー文庫)

  を、読了。

  九年前の、深夜の小学校において六年生の児童たちが引き起こした死体(バラバラ)
 損壊事件を、模倣したかのような死体損壊事件が、同じ小学校で発生する。
  時前後して、九年前の事件で「獣がみんなに彼を襲わせた」と語り、今なお病院に
 収容されている少女が、当時の担当刑事に、「『獣』が戻ってきます」と告げる。
  またもや、獣の仕業なのか?
  果たして、獣の正体とは?

  「獣」の正体も、話の展開も、オカルトとは無縁のミステリ。
  日本社会に対するパロディーや予見性は、SFでありホラーとも言える。  

  和製「羊たちの沈黙」。
  レクター博士役が美少女で、スターリング役が妻子もちの中年刑事。

  FBI式プロファイリングは、日本には馴染まないとして、日本ならではのかたちで、
 プロファイリングを応用するのは新鮮。
  日本に存在もしないシリアルキラーをでっちあげる、数々の粗悪なサイコスリラーもの
 とは、一線を画する作品。

  余計なお世話ではあるが、世で読まれていないのであれば、勿体のない話。
  でも、この本のテーマを考えると、読まれないことこそ、本懐とも言えそう。






最終更新日  2007年05月22日 03時01分20秒
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2007年05月17日
カテゴリ:2007年05月読書
[1] 読書日記


   
  これがシリーズものの宿命とはいえ、同作者の第3作「紅玉の火蜥蜴」の、裏表紙の
 作品解説が、

    
秋月涼介 「月長石の魔犬」(講談社ノベルス)

 の、思いっきり(80%程度)ネタバレになっているので、未読の人はくれぐれもご注意を。
 な、「月長石の魔犬」を読了。

  人間の頭部を切断し、犬の首を縫い付ける「月狂の魔犬」と名づけられた殺人鬼と、
  連続殺人事件の犯人と目される人物を殺害した上で、その左手を切断して持ち去る「見え
 ざる左手切断魔」と名づけられた殺人鬼。
  その殺人鬼たちの動機と、正体とは?

  ライトノベル系ミステリ。
  というか、悪乗りの過ぎた、笑えないギャグ漫画のようなミステリ。
  第二十回メフィスト賞受賞作品。

  受賞順番としては、

   第18回 石崎幸二「日曜日の沈黙」
   第19回 舞城王太郎「煙か土か食い物」
   
   本作

   第21回 佐藤友哉「フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人」
   第23回 西尾維新「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い」

  といった流れで、この並びを見ただけで「ああ、なるほどね」という感じ。
  メフィスト賞というものが、いかに系統発展している存在であるかが、窺い知れる。

  作品としては、まさに登場人物たちを「駒」として扱っている作品。
  こんなにまでも駒として扱われた人物たちは、他に類を見ない。

  因果関係の糸が綺麗に解きほぐされることを、ミステリを読む醍醐味としている人には
 お薦めの作品だと思う。

  ただ個人的な好みで、上記メフィスト賞5作品内で順位をつけるなら、1位は不動で、
 4位、5位は、まあ微妙ではあるけれどやっぱこうかなって感じ。

   1位 「煙か土か食い物」
   2位 「日曜日の沈黙」
   3位 「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い」
   4位 「フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人」
   5位 「月長石の魔犬」


      






最終更新日  2007年05月30日 06時02分21秒
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2007年05月14日
カテゴリ:2007年05月読書
[1] 読書日記


  某書の、

   <以上、「計画」の方はむろん全部ウソです。念のため。

  の一行がめちゃめちゃツボだったので、この文章の書き手である、

   綾辻行人 の 「びっくり館の殺人」(講談社)

  を、積み本の山から発掘してきて、読むことに。
 
  


  <かって子どもだったあなたと少年少女のための>ミステリ。
  「館」シリーズ第八作。
  建築家・中村青司の建てた館でまたもや起こった殺人事件の顛末を描く。

  勢いで読むに至ったものの、某サイトで以前目にした本書の一行書評<燃えるゴミ
 という評価が見事に刷り込まれていた為に、当初は全く期待していなかった。
  それは読み出した後も同じで、結構なめきって読んでいた。

  けども、さすがの一言。

  この手の「トリック」が大好きなので、解決編前には犯人および事件の真相はすぐに
 分かったものの、というか、分かったからこそ、「なめてました、すいません」という
 気持ちにさせられた。

  やっぱり上手いです。
  粗悪な、この手の「トリック」が巷に溢れているが故に、一際その手腕が光って見えて
 仕方がない。いや、まさに巧の仕事。
  言うまでもないですが、国内に並ぶところのない第一人者である、と改めて感じさせら
 れました。

  上記で、「トリック」面についてばかり誉めているが、「少年少女向け」の本としても
 よくできた構成であると、言い添えておく。
  物事を一方向でしか見れなかったり、画一的にしか解釈できない面白みの無い大人に、
 我が子は育って欲しくないという親御さん、お薦めです。

  「さあ、久々に綾辻行人の本を読もう」と思った時に、「びっくり館」と「暗黒館」を
 並べてその分量から、すかさず「びっくり館」を手に取った次第ですが、今なら「暗黒館」
 を是非読ませてください的な心持。

  <第九作「三色館の殺人」と第十作「九連館の殺人」>に、<「殺人鬼・改心篇」>、
 <「安楽椅子探偵と暴走おけいはん」>も当然、出れば読むし、観る所存です!

         






最終更新日  2007年05月15日 04時19分44秒
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