乙一と「麗しのシャーロットに捧ぐ」
[1] 読書日記 乙一の「小生物語」を読んだことで、別の乙一作品を読みたくなった。 かって乙一にはまっていた頃の再燃とまではいかなかったが、これまで読み落としていた 作品を読む切っ掛けにはなった。 そのおかげで、ちょっと前に再読する機会があった尾関修一「麗しのシャーロットに捧ぐ ―ヴァーテックテイルズ」(富士見ミステリー文庫)が、乙一の某短編の流用であったこと に、今更ながら気づかされた。 世間様の判断は知らないが、こと自分に関していえば、この流用はかなりアウトの部類に 入ってしまう。 まんま設定を使っていることを考えれば、意図的なオマージュと取れないこともないが、 作者自身が「あとがき」において井上雅彦の作品からの影響を言及している以上、同様に 「設定をまるまる借用しました」との言及はあって良いように思う。 それに、この作品が新人賞の応募作と考えれば、自分のオリジナルアイデアで勝負すべき だったのではないかとも思う。 そして他にも色々と思うことはあるのだが、以下割愛。 少なくとも自分の中で「麗しのシャーロットに捧ぐ」の株が大幅下落したことだけは、 確実である。 今回改めて、先行作品からの影響も知らずに本の評価をしてしまうことの難しさ、危うさ というものを、思い知らされた。 それを無視して評価することも可能なのかもしれないが、自分にはできない。 小生今後、無責任な本の評価を控えたいと思う。