笹生陽子 「ぼくらのサイテーの夏」
[1] 読書日記 桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」は、「秋」の物語だった。 一方こちらは、タイトルが示すように、「夏」が舞台の、 笹生陽子 「ぼくらのサイテーの夏」(講談社文庫) を読了。 児童文学。 「砂糖菓子」と比較せずにはいられぬほど、似通った道具立てと、テーマ。 それでいて、季節が変わっただけで、こうも作品の明度が変わってくるものなのか、 と感じさせられる作品。 (ちなみに書かれたのは、「ぼくらのサイテーの夏」の方が10年近く早い) よく専門書の記述や、文章の書き方等で「難しい事を難しく書くことは誰でもできる、 難しい事を易しく書くことこそ難しい」とは、良く言われることではあるけれども、 「暗いテーマや、重いエピソードを、暗いまま、重いまま書くことは容易いが、それを 口当たりの良いものになおして提示する事こそ難しい」と言う事もできるのではないかとも、 読後一息ついて思ってみたり。 とにかく外れがない。 小学校各教室の学級文庫に、最低1冊は常備しておきたい作家。