カテゴリ:映画
谷崎が芦屋の上流階級を耽美的に描いたものと思っていたが
意外や安治川の工場地帯も出て来て驚いた。 岸惠子はあまり好きではなかったが船場の老舗の長女役は適役だった。 あれほど綺麗で巧い女優とは思わなかった。 次女を演じた佐久間良子も博多人形のように美しく着物もよく似合っていた。 三女の吉永小百合が一番大根だったが若さと美しさ、大人しいが芯は強い役柄には合っていたのかも知れない。 古手川祐子も、はねっ返りの末っ子を好演していた。 長女の婿養子を演じた伊丹十三はややヘタだったが、少し深みに欠ける人物像には合っていただろう。 秘かに吉永小百合を想う次女の婿養子を石坂浩二が巧く演じていた。 そして、末っ子と付き合い、やがて勘当される船場のアホぼんを演じた桂小米朝もなかなかの出来だった。 後、末っ子が本当に好きだった丁稚上がりの写真家で直ぐ死んでしまう岸部一徳の存在も光っていた。 映画の大筋は関西の上流階級に生まれた四姉妹の確執と姉妹愛だろうか。 特に、本家と分家との格式の違いがキーワードだったように思う。 映画は京都嵯峨野での花見に始まったが ラスト近く、長女が旦那の東京転勤に付いて汽車で行く時 見送りの人達に言う「今年は皆で花見によう行けへんなぁ」のセリフが利いていた。 ただ、末っ子が元丁稚の写真家である恋人が芦屋の家に訪ねるのを尻込みするのを「卑下したらあかん!」とたしなめたり 最後に末っ子が家出し転がり込んだ場末のバーのバーテンダーの恋人を石坂浩二が訪ね、姉妹達に「誠実な人柄だった」と言ったシーン等に、上流階級でも庶民を見下さない人物も居ると思えた。 それは、元華族との縁談が進んでいる吉永小百合が、末っ子の事を相手に告げ、相手も「妹さんと結婚する訳ではないですから」と承諾を得ていた事にも表れていた。 それまで、見合い相手を興信所を使って調べていた家族にとって画期的な事だったと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015/09/11 06:30:00 AM
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