クラシック輸入盤・新譜情報 by グッディーズ

2011/09/06(火)14:33

11-09 No.5-1

クラシック輸入盤(6092)

<ORFEO> =ザルツブルク音楽祭ドキュメント= ORFEOR 838112 2枚組(1枚価格) ¥2080 モノラル シューベルト:劇付随音楽「ロザムンデ」序曲Op. 26, D. 644 ベルク:ヴァイオリン協奏曲 ブルックナー:交響曲第9番ニ短調(原典版) クリスチャン・フェラス(Vn) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ヨーゼフ・カイルベルト(指揮) 録音:1960年8月17日ザルツブルク、祝祭大劇場(ライヴ・モノラル)[ORF収録] ドイツの名匠ヨーゼフ・カイルベルト(1908-1968)は、記録によると、戦後1957 年から1962年にかけて毎年ザルツブルク音楽祭に出演し、オペラとコンサート の双方でウィーン・フィルとの共演を重ね、おもにモーツァルトのオペラやシ ンフォニーの数々を演奏していますが、1959年からの3年間はオーケストラ・ コンサートにウィーン・フィルではなく、一年ごとにフランス国立放送管、 ベルリン・フィル、シュターツカペレ・ドレスデンを率いて登場しています。 このたびORFEOの「ザルツブルク音楽祭ドキュメント」に加わるアルバムは、 1960年8月17日にカイルベルトがザルツブルク音楽祭でただ一度きり、ベルリ ン・フィルを指揮した演奏会当日の模様を収めたもので、名手フェラスを迎え たアルバン・ベルクの協奏曲と並び、メイン・プログラムにブルックナーの 第9交響曲を取り上げているという、全篇ポイントだらけのものすごい内容と なっています。 カイルベルトによるブルックナーの交響曲録音では、1956年にハンブルク州立 フィルとセッション録音した第9番や、1963年にベルリン・フィルとセッショ ン録音した第6番がかねてより有名で、ORFEOからは1966年にケルン放送響を 指揮した第8番のライヴ・レコーディングもリリースされていますが、そのい ずれもがドイツ本流の伝統を汲んだ剛直なスタイルとスケールの大きさが特徴 的で、みごとな演奏内容を示していました。 ここでは、そうしたカイルベルトの指揮に加えて、カラヤン色に染まり切る以 前、古くからの響きをとどめた時期のベルリン・フィルが相手である点にも注 目したいところです。 いっぽう、前半に演奏されたベルクのヴァイオリン協奏曲は、プレートル指揮 パリ音楽院管とのセッション録音(1963年)をはじめ、アンセルメ指揮スイス・ ロマンド管とライヴ録音(1957年)、フレッチャ指揮ベルリン放送響とライヴ録 音(1964年)していることからもわかるように、フェラスがもっとも得意とする 作品として以前より知られるものです。 ORFEOR 839112 2枚組(1枚価格) ¥2080 モノラル ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調Op. 60 モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調KV. 488 R.シュトラウス:家庭交響曲Op. 53 フリードリヒ・グルダ(P) フランツ・コンヴィチュニー(指揮)  シュターツカペレ・ドレスデン 録音:1961年8月4日ザルツブルク、祝祭大劇場(ライヴ・モノラル)[ORF収録] 1961年のザルツブルク音楽祭のオーケストラ・コンサートでは、全11公演のう ち、レギュラーのウィーン・フィルが6公演を、残りの5公演をシュターツカペ レ・ドレスデンが演奏しています。シュターツカペレ・ドレスデンを指揮した 顔触れは、ジョージ・セルとミルティアディス・カリディスのほか、過去に同 オケの首席指揮者を務めた3人、カール・ベームとヨーゼフ・カイルベルト、 そしてフランツ・コンヴィチュニーというものでした。 ORFEO恒例の人気シリーズ「ザルツブルク音楽祭ドキュメント」よりリリース されるのは、コンヴィチュニー(1901-1962)が世を去る前年に、ザルツブルク 音楽祭にただ一度だけ登場して、かつての手兵を指揮した演奏会の模様を収め たものです。 【名盤『エロイカ』を彷彿とさせる手兵とのベートーヴェン】 コンヴィチュニーによるベートーヴェン演奏といえば、1949年より亡くなる時 点までカペルマイスターのポストにあったゲヴァントハウス管とのセッション によるステレオ全集録音(1959-1961)が、このドイツの名匠による代表的録音と して知られていますが、1954年に、首席指揮者在任中(1953-1955)のシュター ツカペレ・ドレスデンを指揮して、モノラル・セッション録音した「エロイカ」 もまたファンの間では高い人気があります。 そこでは、雄渾なアプローチと筋肉質のフォルムによる造詣がとにかく見事で、 このオケ独特の音色とともにマッシブな存在感を示していました。 それより7年後の同じ顔合わせによるベートーヴェンの第4交響曲は、コンヴィ チュニーにとって上記ゲヴァントハウス管とのシリーズ進行中という時期にも 重なることから、充実の内容を期待できるのではないかと思われます。 【『モーツァルト弾き』グルダによるピアノ協奏曲第23番】 モーツァルトの第23番でピアノを弾くのはフリードリヒ・グルダ(1930-2000)。 グルダといえばやはりモーツァルト。ザルツブルク音楽祭におけるオーケスト ラとの共演で、グルダはモーツァルトのピアノ協奏曲を弾く機会が多く、ほか にも1958年にサヴァリッシュ指揮コンセルトヘボウ管と第14番、1960年にミュ ンヒンガー指揮ウィーン・フィルと第25番、1968年にミュンヒンガー指揮シュ トゥットガルト・クラシック・フィルと第20番、1970年にアバド指揮ウィーン ・フィルと第20番、1974年にアバド指揮ウィーン・フィルと第27番という具合 に、コンスタントに取り上げています。 グルダの弾くモーツァルトの第23番では、のちのアーノンクールとのセッショ ン録音(1983年)や、ロスバウト指揮南西ドイツ放送響とのライヴ (1962年/ 93.129)などもありましたが、当時31歳のグルダのいきいきとした表 情や閃きをここでも確かめられるはずです。 <ACCENT> ACC 24241(SACD-Hybrid) ¥2580 ヴィヴァルディ:フルート協奏曲集 フルート協奏曲集Op.10 【ヘ長調「海の嵐」RV.433、ト短調「夜」RV.439、 ニ長調「ごしきひわ」RV.428、ト長調RV.435、ヘ長調RV.434、ト長調RV.437】 フルート協奏曲 ニ長調RV.783、2本のフルートのための協奏曲RV.533* バルトルド・クイケン(フルート・トラヴェルソ) シギスヴァルト・クイケン(指揮&ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ) ラ・プティット・バンド 【アンネリーズ・デコック(VnI) アン・コノップ(VnII) マルレーン・ティアーズ(Va) バンジャマン・アラール(cemb) フランク・トインズ(フルート・トラヴェルソII)*】 録音:2010年10月13-15日ベルギー 1972年に結成されたラ・プティット・バンドは2012年に40周年を迎えます。40 周年を目前にピリオド演奏の世界を牽引してきたシギスヴァルト・クイケンは、 近年ヴィオロンチェロ・ダ・スパラの復元・演奏に積極的に取り組みブランデ ンブルク協奏曲(KKC5138/ACC24224)やヴィヴァルディ「四季」 (KKC5140/ACC24179)など意欲的なリリースを続けてきました。今回発売される のはヴィヴァルディのフルート協奏曲。ソロはもちろん名手バルトルド・クイ ケン。 ヴィヴァルディのフルート協奏曲作品10は、音楽史上最初のフルート協奏曲と して大きな功績を残した作品。楽譜の出版は1729年アムステルダムの「ル・セ ーヌ」社から刊行されたと言われていますが、それまでの協奏曲はヴァイオリ ンなど弦楽器を中心としたのもで、ヴィヴァルディの意欲的かつ画期的な挑戦 であったといえるでしょう。この曲集は全曲フルート・トラヴェルソ用に作曲 され、1720年頃から普及し始めたフルート・トラヴェルソの需要に応えた形と なりました。 作品10の協奏曲集は全6曲からなり、前半の3曲には標題が付けられています。 ラ・プティト・バンドの軽快な演奏に乗って、バルトルド・クイケンの妙技が 冴えわたり、巨匠としての余裕が感じられる大きな演奏を聴かせてくれます。 <harmonia mundi> HMC 902093 ¥2450 20世紀の英国の歌 ハーバート・ハウエルズ(1892-1983): デイヴィッド王/やもめの鳥/迷子の小さな子 ロジャー・クィルター(1877-1953): それは愛する人とその恋人だった/来たれ、死よ/おお、僕の恋人 /吹けよ、吹け、冬の風/持って行け、あの唇を/ヘイホー、風と雨 アイヴァー・ガーニー(1890-1937):サリーの庭 レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958): 静かな午後/リンデン・リー/輝かしき言葉の輪 ジェラルド・フィンジ(1901-1956): 2月のミドル・フィールド・ゲート/ため息/私たちが愛したから レノックス・バークリー(1903-1989):馬術家 チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード(1852-1924): サン・メルシーの美しい貴婦人 ピーター・ウォーロック(1894-1930):ジリアン・オフ・ベリー ヴィクター・ヘリー=ハッチンソン(1901-1947):ヘンデル様式で パーセル/ブリテン編:Lord, what is man?/ヨブの災い パーセル/ティペット編:嘆きのうた ベジュン・メータ(カウンターテナー) ジュリアス・ドレイク(ピアノ) 録音:2010年9月 大陸席巻中の人気カウンターテナー、ベジュン・メータ最新盤はイギリスの作 品集。シェイクスピアの詞によるクィルター作品の魅力的な世界から、パーセ ル作品のブリテンやティペットによる編曲ものなど、メータは自由自在な表現 力で聴かせます。「カウンターテナー」ということを忘れさせる、中性的とも いえる不思議な魅力に満ちた声をご堪能下さい。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る