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ビール片手に

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佐藤多佳子

June 7, 2007
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カテゴリ:佐藤多佳子

一瞬の風になれ 読了しました。

いやぁ~本当に面白かった。本を読めない時間がもどかしく、続きが読みたくてしょうがなかった。
新人の頃は試合前に必ずお腹をこわし精神的に脆かった新ニが、連という良きライバルとともに、いろいろな経験を積みアスリートとしても人間としても成長していく姿に素直に感動できた。
十代の子供達が若竹が伸びるかのごとく成長する姿は、中年の私から見て本当に眩しかった。羨ましく頼もしく、愛おしかった。
エリート選手を集める強豪私立とは違う、ごく普通の公立校春野台高校陸上部が、お互いの個性を尊重し全員でいい雰囲気を作り(そこまでくるのには本当にいろいろあるが)、その中でそれぞれの夢に向かっていく姿。
指導者である三輪先生の「夢は自分で見つけろよ。俺はお前らの夢までは面倒みきれんぞ。」と、自分の果たせなかった選手としての夢を彼らに無理やりに託すようなことはせず、おおらかに温かく長いスパンで見守る姿勢。欠点を責めることはせずに、選手にいいイメージを抱かせ、常に良いところをみつけ伸ばしていく教え方には、難しい思春期の子供を持つ私にも得ることが多い。親は子に過度の期待をし、自分の夢を託しすぎる。無理が生じてこじれる。若き可能性を伸ばしてやりたいし、野放しも出来ない。加減の難しさは常に感じている。

1.2.3巻と読み進み彼らとの付き合いが長くなるうちに、春高陸部の一人ひとりが自分の大事な子供みたいな錯覚に陥る。新ニも連も、根岸や桃内、守屋や浦木、鳥沢や谷口など、部活帰りにもし我が家に寄り道して来てくれたら、思わず必死で冷蔵庫あさってでもご飯を作ってあげたくなるような愛すべき存在だ。(笑)
目標に向かって「今何をすればいいか?」「チームの中で自分が出来ることは何か?」を常に意識し、ぎりぎりまで妥協せずに自分も人も励まし高めあっていく。とても謙虚で聡明な高校生達だ。

主人公の新ニや連以外の春野台高校陸上部の他メンバーにもきちんと光をあて、彼らの人間性や切磋琢磨する姿も手を抜かず、しっかり丁寧に綴る著者の工夫も上手い。
他校の選手の個性の描きかたも秀逸。仙波や高梨のクールさ格好良さは際立っていたし、キティ赤津には思わず吹きだす。するどいつっこみ&ボケ役(最高!)の桃内には笑わされた。そして、根岸には泣かされたなぁ。胸をぎゅっとつかまれた感じ。

一人称文体で進むので、新ニの心境が手に取るように読者も伝わり(自分も一緒に走っているような気になるし)とても臨場感もあり効果的だ。
その反面、一番肝心なレースの展開など、新ニの目線でしか表現されないために読者が試合状況を客観的に読みとれず不明瞭さがぬぐえない。レース結果や詳細は新ニが走り終えて、彼が落ち着くまでわからなくて読者は本当に心配でドキドキする。この作風、不安感・ドキドキ感は小説を盛り上げるのに効果的なのか?否かの判断は人によって様々だろう。

私には、陸上やってた子供を通しての経験と重なる部分が非常に多く(4継ではなくマイルリレーが主だったが)本当に身近に感じた小説だが、違った立場の人にも充分に楽しめるものだと思う。彼らが、アスリートとして今後どんな成長をとげるのか、また新ニと若菜の未来も覘いてみたいし、健一のその後も気になる。終わりのページが来るのが本当に辛く寂しかった。

人から人へ繋ぐバトン、そしてリレーは、人と人との心のこもった交流、先人の想いや伝統・世代を繋ぐ命のリレーも暗示してるような気がする。

この本を読み終えて、もうすぐ開催される世界陸上がますます楽しみになった。開幕後、大阪長居競技場にはしっかり新ニや連が駆けつけて、観客席で興奮しながら世界のトップアスリートの走りを見学してそうな気がしてならない。



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Last updated  June 8, 2007 07:07:23 PM
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June 4, 2007
カテゴリ:佐藤多佳子

以前は陸上と聞くと、サッカーや野球等のメジャースポーツに比べて幾分地味な印象があった。しかし上の子が、高校に入り陸上部に入部してから、その印象ががらりと変わった。純粋に「走る」ということが、こんなにも面白くて深いものだとは知らなかったからだ。

この本が昨年初秋に書店に並んでいるのを見つけた時、あまりに子供のいた世界と近すぎて本当はすぐにも手に取って読んでみたいんだけど、なんだか怖ろしくハマリそうで避けていた。子供にもその時、「今やっとインターハイも済んで部活引退して大事な受験勉強だけに専念できる時期になったんだから、この本はどうしても読みたくなるから買わないでくれ」と懇願された。

今ようやく読んでもいいなと思う時期になったので手に取った。読み終わったらこの春から無事東京の大学に通い始めた上の子にも送ってやるつもりだ。

サッカー熱狂一家に生まれ育った次男坊、神谷新ニの語り口調で進む青春物語。テンポの良い今時の若者言葉が爽やかで、主人公の体温がじかに感じられるヴィヴィッドな文体だ。

サッカーの天才的素質に恵まれた兄、健一には憧れと畏敬の念を持ちながらも、自分との違和感を感じる新二は、中学卒業と同時に自分のサッカーに見切りをつけ、高校では陸上部に入部する。同じく幼なじみの一ノ瀬 連も、同部に入部。自他共に認める天性のスプリンター素質に恵まれた連とまだ磨かれてない宝石の原石のような新二。彼らを取り巻く陸上部の仲間や顧問の先生、他校の選手との絡み等が、丁寧な心理描写を添えながら展開する。

著者が陸上関連の取材を丹念にこなされたことがよく分かる。地区予選を経て高校総体(インターハイ)まで競りあがっていく過程や細やかな練習内容、選手の試合前の心境やレース状況の描写がリアルで臨場感溢れている。この三年間、高校生の陸上の試合に可能な限り引率や応援に付き添った自分にも、思い出深く共感できる部分が多くちりばめられいる。

1巻~ イチニツイテ ~ では、
入部後間もない新二が練習や試合を積み重ねぐんぐん陸上経験値をあげていくところ(1年の秋まで)が描かれる。中でも真夏の県合同合宿の様子が興味深い。「猛烈な筋肉痛つき死体」になる地獄のような練習。「マジ死ぬって。キツ過ぎて吐いたし。」上の子も県陸連の合同合宿帰り(こちらの時期は極寒正月明けだったが)はそんな話してたなとふと思い出す。この苦しい合宿で寝食共にすることで、走ることの基礎を叩き込まれるとともに、陸上部員の友情が一気に高まる。

部員同士の才能や性格の違いによる葛藤や淡い恋心も織り込まれる。
 
「神様にもらったものを粗末にするな。もらえなかったヤツのことを一度でもいいから考えてみろ。」 顧問の三輪先生のおおらかな人間性も、他登場人物の一人ひとりの描き方も秀逸。

読みながら「リレーのバトンのタイミングがばっちり合った瞬間て、ほんま最高なんよね。」試合で好成績出せたときに本当に嬉しそうに話した上の子の顔を思い出した。陸上の楽しさ、リレーの面白さが見事に凝縮されてる小説だと思う。

この本は多くの大人に、過ぎ去った青春時代を彷彿させるものだと思う。と同時に私にとっては、子育ての一番の醍醐味を味わえた幸せな時期(一高校生の親として見守れた)を読みながらにして追体験してるような感じに思えた。

これからの展開がますます楽しみになる。(2巻に続く)

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Last updated  June 4, 2007 03:23:08 PM
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