2016/01/09(土)21:48
生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか
【楽天ブックスならいつでも送料無料】生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか [ 最相葉月 ]
本書は東工大で行われた講義をまとめたもの。
各章で一人づつ研究者が紹介されて、その人がどのように
研究テーマを選んだか紹介される。最相さんが一人で解説
する場合もあれば、ご本人がゲストで出て対談形式もある。
テーマの選び方というのは人それぞれで、決まったパターン
はほとんどないな、というのが読んでみての感想だ。
ただある分野で業績を残した人が、どのようにテーマを
選び、研究を進めてきたのかを知ることは、大変有意義と感じた。
変化の多い今の時代は、生きる上でのロールモデルがない。
いや、昔だって本当はそんなものなかったはずなのだ。
自分が子供のころは、何となく偏差値の高い大学に行って
おけば豊かに生きていけるという「ムード」があっただけだ。
いうまでもなく、人生にマニュアルなんてない。
人それぞれ、自分自身が自分のやり方で進路を決め、
研究や仕事のテーマを決め、人生を作っていくのだ。
だからこそ、他の人がどのような思考をし、どのように
人生の岐路となるような決定をしていったかを数多く知ること。
それは自分が何かを決めるうえで、大きなヒントになる。
例えば2008年にノーベル賞を受賞した下村先生は、
研究の初期段階は偶然のような形で、悪く言えば担当教授の
言われるがまま、流されるままという感じで始まった。
しかしその後でプリンストン大学へ行ったことや、恩師の
反対を押し切って研究を進めたことなどには強い意志を感じる。
そこで大きな決断をしたというより、意志の力が大きくて
当然のようにその道を進んでいったという印象だ。
自分としてはテーマの選び方よりも、その研究の進め方が
ノーベル賞へつながったのだと理解した。
大学生でなく社会人にもお勧めの一冊だ。
自分が学生のころに、こんな講義があったら参加したかったなー。
って当時この手の本は割と読んでいた気がするけど・・・