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May 24, 2020
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テーマ:三浦綾子(1988)
カテゴリ:三浦綾子
五月のゴールデン・ウィークが終ると、突如白い春が始まる。まるで、雪を十分に吸い取った大地が、その雪の精を地上に咲かせるかのように、白い花が一度に咲く。宗教的な清浄さを感じさせるまでのあのコブシの白、水仙の白、フクベラの白、雪柳の白、水芭蕉の白、チューリップの白、そしてこれら白い花々の歓声の中に、桜が咲き、木々が芽吹き、赤や黄のチューリップが咲き、青くうるむエゾエンゴサクが咲き、黄金色のヤチブキなどが次々に咲く。四月に北海道を旅した人と、五月に旅した人とは、全く別の北海道の春を旅したことになる。これが同じ春の季節かと驚くほどにちがうのだ。

そう言えば、あの真っ白い李の花を、嫁いだ翌朝、厨から眺めたのも五月だ。私は五月に花嫁になったのだ。純白のウェディングドレスを着て、私が三浦光世の妻になったのは、幼な馴染みの前川正が死んで五年後の五月二十四日であった。

中略

嫁いだ次の朝、私は厨に立った。厨の流し台は木造であった。その流し台は乾いていた。私はそこに僅かに水を流した。その乾いた流し台を静かに水がぬらしていくのを、言い様もない感動で眺めた。そして二重窓の内側の磨りガラスの窓をあけた時、私は隣家の庭に、真っ白に咲く李の花を見たのだった。私は嫁いだ翌朝始めて見たものが、この純白の花であることを、生涯忘れまいと思った。これが私の白い春である。


(三浦綾子 『それでも明日は来る』)










Last updated  May 24, 2020 08:05:46 PM
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Comments

ロン@ゴスペル@ Re:Re最近 行ってませんが(04/14) lavien10さんへ 書き込み有難う御座います…
lavien10@ Re最近 行ってませんが キレイですね。たまにはと。
ロン@ゴスペル@ Re[1]:第二次世界大戦(03/04) 背番号のないエース0829さんへ  有難う…
背番号のないエース0829@ Re:第二次世界大戦 映画〈ジョジョ・ラビット〉に、上記の内…
ロン@ゴスペル@ Re:三浦綾子の言葉(07/20) ゆきこさんへ 書き込み有難う御座います。…
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