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ウォーク・オン・ザ・ワイルドサイド

2005.04.01-15

2005年04月01日
元気ですか


四月朔日と書いて「わたぬき」と読む友人がいます。
カレンダーを見て、ふと彼のことを思い出しました。

毎年今日になると嫌でも思い出すんだろうな。
どうしてる?


2005年04月02日
だから、どうしろと?


いただいた手紙の最後に
「花粉症の時期ですね。くれぐれもご注意下さい」とのお言葉。

気持ちだけいただいておきます。
今日は一日じゅう鼻水が止まらず、
一時は輸血が必要なのではないかと心配になったほどでした。


2005年04月03日
ロールモデル


昨日、うちに帰ったらNHKで『日本の、これから』をやっていました。ああ、ホリエモンが出るとか言ってたやつだなと、しばらくチャンネルを合わせていましたがでもダメ。30分ほどでスイッチを切りました。
だめだなあ、最近は本当に根気がない。

テーマは「格差社会」で、まあ討論番組の一回目としてはいい選択でしょう。
ワタシが見ていた時間は六本木ヒルズに住む成功者たちのキンピカライフを紹介していたんですが、・・・しんどいなあ。
いや贅沢な暮らしぶりがどうだとかいうわけではないですよ。若くして富を手に入れたベンチャー経営者たちの顔が、言いようもないほどイヤラシく見えたんです。何と言えばいいのか、品とか格とか徳とか、そういうものをまったく感じない。
ある経営者は「人間は生まれながらしにて格差がある」というようなことまで言っていました。そうかも知れません。でもそんなことを人前で言うか普通? 思っても言わないのが「たしなみ」ってものでしょう。

ホリエモンにしてもそう。正直に言うと彼のやんちゃ坊主ぶりに多少は痛快さを感じたこともありましたが、でもあの見識のなさにはがっかりです。そのことを恥じない厚顔さ。きっと世のオトナたちが彼に顔をしかめるのはその部分なのだろうと、勝手に納得してしまいました。

彼らは「お金儲けで成功する」見本にはなっても、人間として「あんなふうになりたい」というロールモデルにはとても見えません。むしろ滑稽にすら見えるなんて言ったら、やはりひがみとしか思われないでしょうけど。

番組はかなり長い時間やっていたので、後でもう一度テレビのスイッチを入れてみたら、「出場している一般人は座る場所によってギャラに格差がある」と怒っている女性がいました。司会者が「それは交通費の差です」と説明していましたが、これにはちょっとホッとしましたね。



2005年04月04日
フロム豪州


何となく遠い電話だなと思ったら、「こちらは○○と申しまして、オーストラリアにございます日本の非営利団体です」。気持ちアクセントがガイジンふうになまっているけれど、正しい謙譲語を使うところからすると電話の主は日本人のよう。ふへー、ダウンアンダーからの引き合いだよ。グッダイマイト。

話を聞くとその団体、日本のウェブサイトに広告を出したいのだとか。
これが国内だと話はしごく簡単なのですが、海外となるとちょっとややこしい。
先方の目的を聞くと成果報酬型の広告を薦めたいところなんですが・・・。
うーん、サーバまで海外にあるとなると媒体も即答できないと言うし。参ったな。

まあしかし、メールで日本語のやりとりができるのが救い。
内容しだいではちょっと面白い経験になりそうな予感です。


2005年04月04日
新入社員だより


ワタシの職場にも新人クンがやってきました。いいもんですね。彼自身もフレッシュですが、周囲まで気持ちにピンと張りが出ているようで、新人効果アリアリです。
とくに昨年入社した2年目クンは新人クンが可愛くてたまらないようで(ヘンな意味でなく)、頼まれもしないのに教育役を買って出て、ちょっと過保護すぎやしないかというくらいにかまいまくっています(ほどほどのところでブレーキをかけないとな)。

2年目クンが外出している合間に、ほっと一息ついた新人クンがワタシに話しかけてきました。
「仕事に役立つ本ってどんなのがありますか?」
なかなか熱心なやつだわいと、ワタシは20代前半のうちに読んだほうがいいと思う本を10冊ほどピックアップし、メールで送ってやりました。
「ヒマなときにでも読むといいよ」と。
すると夕方になってレスが。
「ありがとうございます!ヒマなときに読みます!」

いいけど、なんだかなあ。
決めた。これから君の行状を随時この日記で暴露するからな。
覚えてろよ。


2005年04月05日
かけにくい電話


先月プロモーションを受注した結婚式場のブライダルフェアがこの日曜。もうある程度の広告は打ち終わりました。
インターネットは広告のクリック数まではカウントできるんですが、申込みをクライアントが電話で受け付けているので最終的な成果は聞かなければ分からないんですよねー。
これを聞くのがドキドキものなんです。「すごく来てるよ、ありがとう!」と喜ばれることがあれば、「全然アカンやないか!」と怒鳴られることもあるし。

それで、その式場の経営者は女性なんですが性格キッツイのなんの。
受話器を取って、プッシュボタンを一つ二つ押して、はーっとため息をついてまた戻して。
知らない人が見たら、好きな女性に告白の電話をかけようとして躊躇しているように見えるかも知れません。


2005年04月06日
ウェルカムホーム


遺作だと知って読み始めたので、知らず知らずのうちに作品のどこかに「死の影」を探していたように思います。でも、そんなものは微塵もなくて。
ほっとしたようで、でもなんだかやりきれない思いも。こんな明るい作品を書き上げながら、作者は死ぬほどの絶望を抱えていたとは。

だいたいワタシはここ数年、ホームドラマというものがやたら苦手です。
嫌いじゃないんです。でも見ていられない。ないものねだりをしてしまう自分が情けないですから。自分で選んだ人生を、まだ受け入れきれていない自分を認めるのが辛いですから。

作品は、2つのストーリーからなります。
父子家庭に同居する男性の話。
2度の離婚を経て、血のつながらない前夫の娘と再会する女性の話。
「スリーメンアンドベイビー」もそうでしたが、擬似家族のほうが実の家族よりも家族らしいというのは、もはや家族モノの一ジャンルなわけで、ある意味古臭い。
この作品も下手をすれば設定に飲まれてしまうという、ありがちな落とし穴にはまってしまったかもしれません。ということははまっていないということで、それはなぜなのだろうと、読み終えてぼーっと考えました。

だぶんポイントは、1話目の男性が思わず語りかけてしまう「天の上のだれか」であり、2話目で女性が感じた「自分の肩の上に置かれた巨きな手」なのでしょう。自分を赦す巨きな暖かい存在。そして得られる形のある何か。
うーん、ワタシにないものばかりですわ。

それにしても、これが遺作。
帰ってこれないところに行ってしまって「ウェルカムホーム」なんて、しゃれにならないですよ鷺沢さん。


2005年04月06日
リサーチばやり


なんか最近インターネット会社がやたらとリサーチのサービスを立ち上げています。前からやっていたところは対抗してか、よりそちら方面を強化しているような。いわゆるネットリサーチというやつで、ネット会社が自社で持っているアドレスの持ち主にお望みのアンケートをしてあげますよ、というもの。
結構値段的にも手ごろなんです。たとえば営業マンが自分の小遣いで「見込み客探し」をやろうと思えば使えるような。

今年になって急ぐようにサービスを立ち上げているのを見ると、やっぱ個人情報保護法と関係しているんでしょう。でもリサーチって調査設計とか設問の文章とか上がってきた数字の読み方とか、そんなに簡単なもんじゃないんですけどね(ワタシがその道のプロって意味じゃないですよ)。
安易に走っている感も少々。


2005年04月07日
新入社員だより(その2)


クライアントのところに行こうとすると、上司が「新人を連れていってやれ」と。
まあいいか、今日はひとつ仕事が決まりそうだし。

新人クン「何か持っていくものはありますか?」
ワタシ 「うーん、資料はこっちで持つから名刺だけでいいよ」
新人クン「あ、じゃあカバン置いてっていいすか?」

キミ、手ぶらで客先に行く気か!?


2005年04月07日
ブログと広告


しょっちゅう新しいサービスや商品が発表されているインターネット業界ですが、最近ちょくちょく目にするのがブログを扱った商品です。ブログそのものではなくて、ブログ人気に便乗した広告商品といいましょうか。

たとえばブログの欄外に広告スペースが取ってあり、そこにブログの内容に即した広告が自動的に表示されるというもの。その会社の人の説明によれば、こうです。

「たとえばこの日記(パソコンの画面を指差して)、作者がお年寄りの介護のことについて書いているでしょう。そうすると欄外に○○老人ホームの広告が連動して出るんですよ。すごいと思いませんか?」

いや、技術的にどうかは知らないけれど、はっきり言って「ヤラシイ」と思いますね、それ。閉鎖前のこの日記で書いた「ミッシングチルドレンの写真の裏が保険会社の広告」というのと似たイヤな感じです。むしろ広告主に逆効果だと思うんですが、どうよ?

もう一つはもっと直接的なもの。ブロガーを運営会社が抱えていて、広告主様のお望みの内容で日記を書きますよ、と。これも「おいおい」です。そういうタイアップ広告みたいなのって雑誌でよくありますけど、個人色の強い(それだけに本音と思われがちな)日記でそれをやるか? それを広告商品にするってことは、どうせ操作して広告日記を目立つところに出したり、PV(ページビュー)を増やすためにいろいろやってくれるんでしょう。

いまだに検索エンジンのアルゴリズムはブログサイトを優先的に拾ってくれるみたいで、その辺も「ブログ広告」が出てくる背景にはあると思われます。しかしこんなことしてたら終わるぞ、ブログブームも。

いろんなブログ関連商品の説明を聞いていて気がついた共通点が一つ。
ブログを広告に使いたがる連中って、ブログを書いてない(書いたことない)やつばっか。


2005年04月08日
新入社員だより(その3)


「新人クン、B to Bって何のことか分かる?」
「知ってますよ!馬鹿にしないで下さい。ビジネストゥ、パーソン・・・かな?」

そんな屈折した間違え方、初めて聞いたわ!


2005年04月08日
定点観測


今日は「情熱の学校」学長エサキ氏と西梅田で打ち合わせ。本当はワタシの職場まで来てもらうはずだったんですが、面接だの何だの緊急の予定が入ってミーティングコーナーが埋まってしまい、外で会うことにしたわけで。

桜橋の交差点で落ち合い、すぐ近くのスターバックスへ。しかし入ってみると結構混んでいて、空いている席は隅っこに申し訳程度に作られたラウンドテーブルのみ。一瞬「出ましょうか」と目で訴えたワタシに「いいすよ、そこしましょう」と気取らないのがエサキ氏のいいところ。

スマートなイスにさほどスマートでないおっさん2人が腰掛けて、「情熱メルマガ」の読者をどうやって増やそうかと意見交換。なんだそれ?という方はこちらをクリックしてご登録いただけると大変うれしゅうございます。

いやしかし、面白かったです。打ち合わせが? …も、そうですが、それより窓外の風景が。ワタシたちが腰かけた席は桜橋交差点に面しており、そこから見える風景はちょっとした映画です。

クリップボードを持ってアンケートを取っている男性がいますが、ほとんどの通行人は無視。

携帯電話会社の紙袋を持ってティッシュを配っている女性もいます。この花粉症シーズン、ティッシュを拒む人はいません。

リクルートルックの女の子は行き先の場所が分からないのでしょう。地図らしき紙切れをもってきょろきょろしています。

警察官が若者をつかまえてメモを取っています。若者が2人いたところを見ると、自転車に2人乗りしているのを見つかったかな。その程度で、とは思いますがまあ運が悪かったですね。

交差点の向こう側では、ミニスカートのお姉さんが何かの商品の試供品を配っています。ほとんどの男性が小さなパッケージを受け取っているのは、やはりミニスカ効果でしょうか。

「気」などという言葉を軽々しく使うのはどうかと思いますが、交差点というところは他の場所とちょっと空気が違うのではないかと、そんなことを考えました。
いくつもの方向から流れてきたエネルギーがぶつかって、方向を変えたり、押し戻されたり、加速したりしながらまたどこかに去っていくという。

まあしかし、ミニスカは世の中を明るくしますね。
とか、そういうことが言いたかったわけではないんですが。


2005年04月09日
病人が病人を見舞う


父親が緊急入院したのはもう10日近く前。すぐに見舞いに行きたかったのですがなんだかんだと忙しく、病室に顔を出すのは今日が初めてになってしまいました。

ワタシが見舞いに行くことは知らせていなかったので、父親は少し驚いたようでした。一瞬「カッコ悪いところを見られたな」という顔をしたものの、すぐに「まあ仕方ないか」と観念した模様。この「エエカッコしい」の父親の思考は手に取るように分かります。
「エエカッコしい」といえば、もう会社に勤めているわけでもないのに髪はきちんと串を入れ、ひげもキレイに剃ってあごはツルツルというところもそうです。ワタシのほうが髪はボサボサ、ひげも剃っておらず、薄汚れたジージャンなど着て、よほど不健康ないでたちでした。

「どや、仕事はうまいこと言ってるんか?」
「まあまあ」
「インターネットいうたら、ホリエとかいうのと同じことやってるんか?」
「同じとちゃうけど、まあ世界は同じかな」
「嫁さんとは?」
「まあ、相変わらず」
「一緒に住んでへんのか?」
「…うん」
「浮気してるんか?」
「アホ言いな。そんなヒマもカネもないわ」
「お前はワシと似てるからな」
「そっちは似てへん」

これではどちらが見舞われているのか分かりません。ちょっとは立場を思い知らせてやろうと、こちらから質問を開始しました。

「大変やったらしいやんか。救急車呼んだんやて」
「まあな、運び込まれたところまでは覚えてるけど、それから目を覚ますまでのことは全く覚えてへん」
「一面に花が咲いてる風景とか見んかった?」
「おお、モリシゲが手振っとったわ」
「・・・生きてるって、モリシゲ」

どうもダメです。この口数の減らない老人には、いつの間にか会話の主導権を奪われてしまいます。

「それはそうと、お前、腰とか背中とかは大丈夫なんか」
「最近またやってもうた。でも大丈夫や」
「ほんまか。この病院にはそっちの専門家もおるで。診てもろたらええねん」
「そんなもん、急に言うて診てもらえるわけないやろ」
「ワシが頼んだら大丈夫や。待っとれ、すぐ呼んだるわ」
「ええて、カッコ悪いことやめてくれ」

一度会っただけの人間を自分の仲間みたいに思い込む。その悪い癖のせいで何度これまで恥ずかしい思いをしたか。厚かましい性格は一度死にかけたくらいでは治らないようです。

ところで父親がいるのは4人部屋。ですが、今のところ父親1人しかいないので個室状態。ワタシは空いたベッドに腰掛けて話していたところ、いつの間にかうとうとと眠りに落ちてしまいました。正直に言うとまだ腰は少々重く、病室のベッドは寝転んでいるとやたらと気持ちいいのでした。
目が覚めたら窓の外は薄暗くなっており、父親は寝息を立てています。起こさないように帰ろうとすると、父親に「またな」と声をかけられました。

「起きとったん?」
「嫁さんとうまいことやれや」
「こっちのことはええから。はよ退院しいや」

最後まで心配かけ通しのダメ息子です。見舞いに行ったのやら見舞われたのやら分からない土曜の午後でした。


2005年04月10日
初仕事は「場所取り」でした


南北に長い日本ですから一概には言えませんが、この週末が桜の一番の見ごろだったそうです。ニュースでは桜の木の下で乱痴気騒ぎをする迷惑な連中の姿も。まあ裸になったり街灯に登ったりするのは論外しにても、ワタシはダメです、ああいう屋外で騒ぐ宴会は。

花見の場所とりが社会人になって初めての仕事だったという人がいますが、ワタシもそうでした。最初に就職したのが東京の会社だったので、たしか金曜日の昼過ぎに「仕事はもういいから上野へ行け」と上司に指示されたのを覚えています。
しかしながら現地に着いてみると、陣取り合戦はすでに決着がついた後。「いい場所」はすでにロープで囲われており、見張りの人員がついています。
しかたなく公園を隅々まで歩き回ったところ、運よく比較的人の少ない、それでいて眺めのいい好ロケーションを発見。何かの銅像の台座のあたりでした。

とりあえず任務は果たしたという達成感を胸にブルーシートの上に寝転んでいると、4時頃だったでしょうか、制服を着た警察官に「こら、キミ」と突き刺すようなトーンで声をかけられました。
「は?ワタシですか」
「その銅像のところは立入禁止区域。外に出なさい」
「ええ~っ」

たしかにあたりを見まわしてみると、他は芋の子を洗うような状況なのに銅像のあたりでシートを広げているのはワタシだけ。その状況に気づかなかった自分もマヌケですが、そんなことを考えても後の祭です。ワタシはいきなり花見難民になってしまったのでした。

職場のみんながやってくるまで残された時間は1時間半。冷静にものごとを考える余裕もなく顔面蒼白で走り回っていると、運よく「場所を広く取りすぎたから半分あげるよ」という親切な団体が現われ、おかげでことなきを得ました。
「もうダメだ」というところで思わぬ幸運に救われるというのはその後もたびたびあったことで、花見の一件は見事にワタシの仕事人生を象徴していたなあと思うのです。

あれから20年。仕事関係のお花見のお誘いは遠慮し、ワタシの花見は自宅近くの神社のわずか2~3本ある桜の木を眺めるだけ。小ぢんまりしていますが美しいですよ。通りかかる参拝客以外はだれもいない、まあそれが一番なのですが。

気がつくと、ワタシの姿を見つけた野良猫がこっちを見ています。何度か餌をやったことがある猫で、むこうもワタシを覚えているのでしょう。その猫、じわりじわりと近づいてくるのですが、手を伸ばしても触れられない、ぎりぎりの距離を見事にキープしています。人間関係もそのくらいがいちばん心地いいのかもね、猫君。

でも、ごめんよ。今日は何にも持ってないんだ。


2005年04月11日
不思議体験


ワタシはだいたい7時30分には大阪市内の仕事場に入ります。定時は8時30分なので、朝遅いのが当然のこの業界では「あり得ない」行動パターンです。平均年齢28歳の同僚たちには「年をとると早く目が覚めるのじゃよ」とうそぶいていますが、ワタシはとにかく早く出て早く帰る主義なもので。

それで、今日もいつものように7時半ごろにオフィスに到着したわけなんですが、なんとなく、本当になんとなく、オフィスビルと隣の建物の間の路地に視線をやって、ギョッとしました。
地べたに女の子が座っているじゃないですか!ジーンズの上下を着た中学生くらいの女の子が、こっちを向いて三角座りしているんです。長い髪を真ん中で分けて、膝の上にあごをのせて、両腕は両足を抱くような格好で。

ワタシは驚きつつも、この子は近所の子だろうなと直感しました。ワタシの職場はオフィス街にありますが、大通りから一筋中に入ると民家もあり、子供がいること自体はヘンではないのです。それに朝から変質者もいないだろうし、まあ大丈夫だろうと勝手に決め付けて、声をかけることもなく自分のオフィスに入っていったんです。

そうして朝イチの日課のメールチェックをしているうちに同僚が一人二人と出てきたので、ワタシはさっきの女の子のことを聞いてみました。

「そこの路地に女の子がいなかった?」
「いえ、見ませんでしたよ」
「ああ、そう・・・」

良かった、うちに帰ったんだなと、ほっとしました。それでその女の子のことはワタシの短期記憶のメモリから消えた、・・・はずでした。ところがです。
10時前、今日は朝食をとっていなかったのでおなかが空いてしまい、近くのコンビニにパンを買いに行こうと外に出たんです。
そうしたらいるじゃないですか!さっきの女の子が、同じ場所で、同じ姿勢で。こんどはさっきより恨みがましい目をしています。思い切り目が合ってしまったワタシは、急いでオフィスに引き返して同僚に聞きました。

「いるじゃん!さっき言ってた女の子」
「えっ、僕もさっきコンビニに行きましたけど見ませんでしたよ」

じゃあ何か?ワタシにしか見えないとでもいうのか。他のスタッフに聞いても首を振るばかり。でも言っておきますが、その女の子が座っていた場所は何かの物陰というわけではないんです。路地とはいえ明るく、表通りから奥の突き当たりまで見通せるほどです。放置自転車なら風景に溶け込んで気がつかないかもしれませんが、人間みたいな「異物」があったら絶対に目につきます。
それに、もし同僚全員が気づかなかったとしても、2時間半も同じ姿勢で冷たいコンクリの上に座っていたならかなり辛いはずです。だいたい何のために?時間をつぶすならコンビニだってあるのに。

おそるおそるもう一度外に出て路地を見ると、もうだれもいませんでした。
何だったんでしょう。女の子には足もあったし、影もありました。
こういうの、初めてです。もしかして心霊デビュー?


2005年04月12日
ぼちぼちいこか


一度、すってんてんになったことがあります。
長年勤めたコンサルタント会社を辞めた後、ワタシは一つの事業を始めようと画策し、まあいろいろあったのですが、結局わずかの期間で木っ端微塵に吹っ飛んでしまいました。幸い借金そのものは大したことはなく、他人様に迷惑をかけることはありませんでしたが、女房が蓄えてくれた貯金を使い果たし、自分の生命保険を全部解約し、そして親にも助けてもらいました。

マンションも売り飛ばそうと考えたのですが、ローンがあとわずかだったのと、住む家だけは置いておこうという判断が働きました。でも現金預金はほぼゼロとなったわけでして。

当然、また人に雇ってもらうところから再スタートです。
とりあえず口だけはうまいので(笑)年のわりにはすぐに就職できたのですが、以前ほどの給料などすぐにはもらえません。食べていくのにぎりぎりです。
当時、まだ一緒に住んでいた女房が「今晩どうする?」と聞いてきたら、それは「今晩のおかずは何にする?」という意味ではなく「今晩食事はいる?(食べずにガマンできる?)」という意味でした。冗談でなく。

生活費を補填するために、一部屋埋まるほどあった本もほとんど売りました。
残った本は大事な本ではなく「古本屋で値段が付かなかった本」です。
新聞もやめました。NHKは、…前から払ってないので関係ないか。
新しい服は買わない。通勤定期の使えない場所はできるだけ自転車で移動。
本は図書館で借りて読む(だからワタシの文芸の情報は一年古い)。

おかげで、物欲というものがほとんどなくなりました。
服も時計も車もレストランでの食事も海外旅行も、別にどうでもいいんです。
そりゃあ「あげる」と言われたらもらいますよ(笑)。
でも「欲しいもののために何かする」という気持ちが全くなくなった。
じゃあ今の自分を動かす原動力は何かといえば、…何なのでしょう。
自分の内側にあることだけは間違いないのですが。

その後また何度か職場を替わり、給料は相変わらずですが、いくつかの会社や個人が臨時コンサルタントとして使ってくれるので生活は多少楽になっています。
今の会社をクビになったらいつでも来いよ、と言ってくれる社長さんもいます。
インターネットの知識もかなり充実してきましたし、その関連でいろいろな人脈もできました。敗者復活戦に向けて、準備は着々と整っています。

「人生は素晴らしい、戦う価値がある」

夜中に何言ってんだ自分。拳握りしめて(赤面)。


2005年04月13日
サービス良すぎたか


3月20日の日記で久しぶりにグラフィックデザイナーの仕事をしたことを書きましたが、一通り完成しまして、今日クライアントに納品しました。最初はロゴやタイプフェイスといったベーシック要素だけという話だったのですが、作っているうちに面白くなり名刺と封筒のフォーマット、そして事務所のドアを開けたときにバーンと目に入るサイン(下の写真)をオマケにおつけしまして。

業種は投資顧問です。「外資系企業ふうに」という社長のご要望を反映したつもりですが、どうでしょ。それと「今後新会社を立ち上げるのでグループとしてサマになるように」という指示もありました。これには、新会社ができたら下段を差し替えて黄色い渦巻きマークを別のカラーにする、といった形で対応します。結構考えてるんですよ。

このマークが世界的に知られるようになったり、・・・するかな・・・?
まあしかし、会社が発展すれば可能性がないわけじゃない。ナイキの「Swoooshマーク」だってデザイン学生が小遣い程度の報酬で作ったものらしいですしね。(何の関係があるの?なんて突っ込まないように)

※写真は都合により削除しました。


2005年04月14日
新入社員だより(その4)


コーヒーをなみなみ注いで自分の席まで持っていこうとするものだから、カップからこぼれたコーヒーがPタイル床に4、5滴ポタポタと。
気が付いた新人クン、しゅばばばばっとティッシュを10枚ほど箱から抜き出して拭き取りました。それを丸めてゴミ箱に放り込み、ワタシの視線に気がついて苦笑。
「あ、ちょっとティッシュ多かったスか?」

いや、なぜ雑巾を使わないのかと。


2005年04月14日
回っていない幸福


夕方に携帯に電話があって、だれかと思ったら昨日ロゴマークを納品した会社の社長から。
「お礼に寿司でもごちそうしたいんやけどな」。
そのような申し出に対して「よろこんで!」以外の返事はあり得ません。真面目に生きてりゃいいことあります。しかし0.1秒後に「ちょっと待てよ」とワタシの胸にわきあがる小さな猜疑心。まさか寿司でギャラをごまかす気じゃないだろうな。
すると「空気を読む」ことでは天才的な相場のプロ、一瞬の間に気づいたのか「デザイン料とは別やから安心してや」と優しい言葉をくださいました。
すみません社長!疑ったりして。ワタシは小さな男です。

先方のオフィスで落ち合って、一緒に仕事をすることが多いプログラマ氏も合流し、3人で梅田の寿司屋へ。
「舎路人さん、今日ご招待する寿司屋は回ってまへんで~」
「大丈夫です!寿司が回らないならワタシが回りますから!」
もはや意味不明。おそらくワタシの脳からは煙が出ていたはずです。だってほんと久しぶりなんですから。「普通の」寿司なんて。

カウンター数席だけの小さなその店に到着すると、まずはホタルイカを酢味噌で和えたものをいただきました。んまい!今が旬のホタルイカ、やわらかくてツルンとした舌ざわりが、そして控えめで上品な味噌の味が適度にからんで…。

味の描写など面白くもなんともないでしょうから以下割愛。
しばらく食って飲んでしていると、社長がおもむろに口を開きました。
「舎路人さん、カッコいいロゴマーク作ってくれてありがとうな。それで、もう一つ頼まれてくれへんかな」
「ええ、なんなりと」
「今のウチのホームページ、もう1年くらいデザイン変ってないし、そろそろリニューアルしようと思うんや。そっちのデザインも考えてくれるかな」
「ありがとうございます!」

いい仕事をすれば「次」は向こうからやってきます。ゴメンね、本業のウェブデザイナーの皆様。これからじゃんじゃん仕事奪っちゃうからね。
「よっしゃ、そろそろ出ようか。まだ早いし、どう?新地行く?」
「よろこんで!」
しかしそこでまたワタシの胸の中にはムラムラと猜疑心が。まさかこれから行くところの酒代をデザイン料だとか言うんじゃないだろうな。
「心配せんでもええ。デザイン料は別やから」
すみません社長!疑ったりして。ワタシは小さな男です。


2005年04月15日
好きな人と飯を食うのだ


今日は 「情熱の学校」 の月例ミーティング。みんなと顔を合わせるたびに「もう前のミーティングから一ヶ月たったのか」と思ってしまいます。早いなあ。正月に初めて参加したとき、本格稼動は4月からと聞いて「まだまだ先だな」と思ったものですが、すでにいろんな話が現在進行形なわけで(メルマガはこちら)。

ミーティングの内容はクライアントとの関係やリリース前の極秘情報もあるので書けないのが残念。でもみんな、それぞれの分野で自立してがんばっている人たちだけに持っている情報もすごい。いろいろなところで芽を出しつつあるニュービジネスの話を聞くだけでも刺激的です。

ミーティングの後は飲みながらの討論会になるのが常ですが、ワタシは会社の新人歓迎会があるので「しらふの部」だけで失礼。同じ方向に帰る すきめし さんと四ツ橋線で西梅田までごいっしょしました。ワタシが地下鉄車両の中でふと口にした「最近は五月病って聞かないですねえ」に賛同していただきうれしかったです。

まあしかし、です。機嫌よくいられたのはそこまで。
遅れて入った新人歓迎会は居酒屋の外からでも分かるほどの大盛り上がりだったのですが、その中心にいるのは大酒呑みで知られる某女性スタッフ。「主賓」のはずの新入社員は隅っこで小さくなっています。
これでは「新人歓迎会」という名の「普通の宴会」じゃないですか。
まあ新人クンは会費無料なんでしょうけど、歓迎会だったらみんなで彼に声をかけてあげたり、普段あまり接触のない人はこの機会に彼と話をしたり、場合によっては彼の悩みを聞いてあげたりするものじゃないの? 新人をほったらかしにして先輩社員だけで盛り上がって、一体ナニが歓迎会なのか。

しばらく黙って座っていたのですがあまりにムカムカきたので、幹事がトイレに立った際に自分もトイレに行くふりをして後を追い、会費を押し付けてそのまま店を出ました。
こんなことなら「情熱」のほうに行ってりゃ良かった。好きな人間と飲みなおそうと友人数人に電話したものの全員にフラれてバンザイ(何のこっちゃ)。

帰りの電車の駅で立ち食いうどんを食べて、これが今日の夕食(「歓迎会」ではほとんど何も食べてなかったので)。
昨日とのこの落差はナンだ?




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