航空用語集№3

ノンストップ便
特に長距離便で途中給油せずに目的地まで直行するルートに使われる。ヨーロッパやニューヨークなどの長距離船も、今日ではノンストップ便が主流である。さらに航続距離は伸びる方向にあり、そのような超長距離機材が完成すれば、インドから北米、南米から日本といったノンストップ便が実現するかもしれない。


ハイドランド
空港の貯蔵タンクからスポットまで、地下に送油管を引き、給油効率をあげるシステム。給油の際はサービサーと呼ばれる作業車が作業する。


ハイリフト・ローダー
ジャンボ機など、高い位置で貨物を搭載したり取り降ろしたりするための専用車。パレットを航空機の貨物室の床面まで持ち上げ、機内へ送り込むためなどに用いる。


パーキングブレーキ
駐機中の航空機が不意に動き出さないように、油圧で航空機を固定するためのブレーキ。


ハッシュキット
騒音の大きいエンジンを騒音規制に合致させるために装着する消音システム。エンジンナセルを改造して取り付けることが多い。ボーイング727やダグラスDC-9に装着されている機体がある。


パッセンジャー
乗客のこと。パックス(PAX)と省略して用いる
ことも多い。パッセンジャー・ボーディング(乗客数)などのように用いられる。パッセンジャーに対する言葉はクルー。



バードストライク
鳥が飛行機に衝突すること。


バルク・カーゴ
包装せずにバラのまま積み込まれるバラ貨物のこと。なお、一般に雑貨といわれる普通貨物のことはゼネラル・カーゴという。


パレット
薄板張りの合板またはファイバーボードの周囲にアルミ合金のフレームで縁取りをした規格サイズの板。個々の品物または貨物をその上に乗せ、搭載機械を使う程度の一つのまとまりにするためのもの。貨物専用機の場合、一機の搭載パレットは通常13~14枚で、その大きさは88インチ×108インチ、または88インチ×125インチ。108インチのパレットは多くコンビタイプに使われる。


ハンガー
飛行機の格納庫のこと。この中で主に飛行機の重整備を行う。日本では羽田にある日本エアシステム(現:日本航空システム)が最大。シンガポールのチャンギ空港にはボーイング747が3機はいる世界最大のハンガーがある。


P・A
機内アナウンスのこと。パブリック・アドレスの略。


PMS(パフォーマンス・マネジメント・システム)
パフォーマンス・マネジメント・システム(PMS=Performance Management System)は、コンピュータが飛行条件に応じて燃料効率を最適とするように計算を行い、そのデータを基に自動操縦装置と自動推力調整装置を介して航空機を自動的にコントロールするシステム。


飛行場標高
空港の標点の海面からの高さ。


飛行情報区
安全で効率的な航空機の運航を確保するために、世界各国が航空管制業務、航行援助業務を受け持つ空域としてICAOによって指定された空域。領空と航海上空を含んでおり、必ずしも領空とは一致しない。FIRと呼ばれる。


ビジネスクラス
もともと、正規のエコノミークラスの航空券を購入した個人客用に設けられたが、現在では旅客ニーズの多様化や需要増大により、エコノミークラスとは別の上級クラスとして新たに誕生した。最近ではパッケージツアーでの利用や割引運賃による地庸も可能な路線がある。ビジネスクラスは航空会社間でのサービス競争が最も激しいクラスで、ファーストクラス並のサービスを売り物にしたり、ファーストクラスを廃止してその分ビジネスクラスを充実させたり利益率の高い個人で利用するビジネスマンを取り込もうとしている。


ビジネスジェット
民間航空会社以外の会社や団体が保有している飛行機の総称。主に会社役員や出張社員の輸送に使用されるため、このように呼ばれる。ガルフストリームやファルコンなどの小型ジェット機が多く、日本にも毎年多数が飛来する。ビズジェットとも呼ばれる。


ピックアップ
タキシーウェイ(誘導路)に進入すること。『K-8をピックアップ、スポットへ向かう』のように使用する。


ビバレッジ
飲み物のこと。機内ではジュースなどのソフトドリンクや、アルコール類、お茶やコーヒーなどの飲み物の総称。


ファースト・エイド・キット
機内に必ず装備される救急箱。


ファースト・オフィサー
副操縦士のことを指す。日本では日本航空のパイロットの昇格過程で、副操縦士のことを指す。


ファーストクラス
最上級クラス。エコノミー運賃より、かなり高額ではあるが、機内はもとより地上においても素晴らしいサービスが受けられる。各航空会社は、少しでも質の高いサービスを提供するために競争を続けており、そのサービス内容は機内にとどまらず、市内へのアクセスやホテル無料宿泊サービスなどにまで及んでいる。


VFR
有視界飛行方式(Visual Flight Rules)のこと。管制官に管理されず、パイロット自身の責任において、自分の目で外を監視して飛ぶ方式。したがって、空域や気象等の制限がつく。


フィレット
翼の付け根の滑らかな二次曲面部分で、翼と胴体の接合部分の空気抵抗を減少させるため、ファイバーグラスや金属で滑らかに成型させられている。


フィンガー
ターミナルビルから浅橋のようにのびた搭乗旅客のための施設。航空機はこの周囲に駐機する。


フォローミー・カー
空港で着陸機をスポットまで先導する車。日本ではVIP特別機が飛来するときに航空局の車が先導するくらいで、ほとんど見られない。


フォワーダー・チャーター
航空機を使う人(この場合はフォワーダー)が、航空会社から航空機の全スペースを貸し切り、みずから運送人となって第三者と運送契約を結び運送を行うチャーター方式のこと。ただし米国の大手フォワーダーであるフェデラル・エクスプレス、DHLなどは自社で航空機を保有しており、自社機によりフォワーダー・チャーター数の取り決め枠内で縦横な貨物敏な貨物便の運行を行っている。


フォン・ブランド数
航空機エンジンの排気ガスの煙の濃度を表す数値。人間の目に見える限界は25。最近のターボファンエンジンは、ほとんどが20以下である。


プッシュバック
航空機がスポットから離れる際、後方へ走行する必要がある場合、トーイングカー(牽引車)によって押し出される。このことをプッシュバックと呼ぶ。プッシュバックを開始するときには、管制の許可を必要とする。


フライトタイム
車輪が滑走路面から離れてから、再び接地するまでの時間、飛行時間をいう。整備計画や稼働率を考える際には、このフライトタイムが使用される。ブロックタイムとは区別して用いられる。


フライ・バイ・ワイヤ
航空機の操縦系統を電気信号(電気ケーブル)によって動かすシステム。従来、操縦桿からの信号は油圧などにより伝えられていたが、装備が複雑でかつ重量も大きかった。そのため、電気を用いて簡単かつ軽量で、しかも最適制御ができるシステムが必要となり、FBWの登場となった。FBWでは電気信号とコンピュータの組み合わせにより、省力化できるシステムとなっている。


フラッグキャリア
その国を代表するエアライン。一般にはナショナルフラッグ・キャリアといって国営の航空会社を指す。


フラップ
航空機は、滑走路近くになると速度を落として所定の着陸速度にしようとするが、高速用に設計された翼では揚力係致が小さいために失速する可能性がある。そのために、翼の前縁または後縁に翼型状や面積を変化させる装置をつけている。これをフラップ、高揚力装置という。いろいろな種類があるが、最近の機体では特に大きな揚力を得るために、トリプル・スロテッド・フラップのような複雑なものを取り付けているものがある。単にフラップという場合には、後縁フラップを意味することもある。


ブリーフィング
航空機を目的地までに完全に、そして快適に飛行(サービス)するために行われる飛行前打ち合わせのこと。ディスパッチャーとパイロット、客室乗務員間、パイロットと客室乗務員などいくつかのブリーフィングが行われる。その内容は、そのブリーフィングによって異なるが、飛行計画、当日のサービス内容、非常時の体制などが綿密に打ち合わせられる。


フリート
航空会社が保有する飛行機の数のこと。購入した飛行機ばかりでなく、リースしている機数も含めていうのが一般的。『日本航空は世界最大のB747のフリーとを有する。』という風に使う。


フルパッセンジャー
機内の座席が満席の状態のこと。


フレイター
貨物専用機材のこと。貨物専用機では、客室の内装や乗客を想定した装備は一切ない。その代わり、貨物の搭載を簡単にするため、大型ドア(B747ではノーズドア)や貨物搭載・移動装置(PDU=パワー・ドライブ・ユニット)などが装備されている。


ブロックタイム
航空機がランプアウト(車止めを外して、動き出す時)してから、ランプイン(ランプに入って、停止する時)するまでの時間をいう。したがって、この時間にはトーイング中の時間、タキシング中の時間なども含まれる。時刻表に記入されている時間は、この時間が使用されている。実際に飛行している時の時間、すなわちフライトタイム(飛行時間)とは区別して用いられる。


ベッドキャリア
旅程の最初に利用するエアライン。全旅程の航空券の予約は、ヘッドキャリアを通じて行うのが原則。


ベリー
旅客機、貨物機の下部貨物室のこと。前方貨物室と後方貨物室がある。Lower Cargo Compartmentsともいう。


ベリースペース
航空機のキャビン部分の下のスペース。貨物室となっているものが多い。


補正燃料
消費燃料の計算値と実際に消費値との間の誤差を埋めるために、余分に搭載される燃料。通常は消費燃料の10%前後。コンティンジェンシンシー・フュエル。


保税
外国からの輸入貨物の対しては課税をすることが健全となっているが、その関税徴収を意地一時保留している未通関の状態をいう。


保冷コンテナ
生鮮食品を低温で輸送するために開発されたコンテナ。冷却方法はドライアイスにより、動力用の電源が必要ないためどこでも使用できる。保冷時間は約10時間。


ホットスタート
タービンエンジンで、始動中に出口のガス濃度が異常に上昇する現象。なんらかの原因で一時的に多量の燃料に点火された場合に発生する。


ホットミール
機内食の中で、オーブンで温めた食事をサービスするもの。国際線でサービスされる機内食(軽食を除く)が該当する。ホットミールを提供するためには、ギャレー(機内の台所)にオーブンや保温カート等の設備が必要である。


ホールディング
目的空港が離着陸で混雑している場合や天候が悪い場合など、管制機関からの指示により一時空中で待機することをいう。待機する位置、高度、出発可能時刻は管制機関から指示される。


ボックスミール
トレイなどにセットした機内食ではなく、箱に入った機内食のこと。サービスするのが簡単なのでフライト時間の短い路線などでサービスされる。


ボーディング
飛行機への搭乗のこと。ボーディング・ブリッジ(ターミナルビルと飛行機の搭乗口の間に設けられた可動式の通路)、ボーディング・パス(搭乗券)などの合成語も多い。また、『ボーディング開始』のようにも使われる。


ボルメット
短波を利用して地上から航空機へ気象情報を伝達する音声放送。欧州ではVHFを使った局地運用のボルメットも運用されている。


ポジションレポート
位置通報のこと。VFR機が空港周辺に近づいた時(レーダー管制下を除く)や管制官から要求された時には、自機のコールサイン・通報地点・時刻・高度・次の通報地点名と予定時刻、必要によっていは気象状態や残念量などを管制機関に通報することになっている。


ポーラールート
北極圏を飛行するルートのこと。東京/ヨーロッパ線であれば、アンカレジ経由便がこれにあたる。シベリアルート(モスクワ経由便やノンストップ便)が開設されるまでは、ヨーロッパへ行く最短ルートとして人気が高かった。現在の欧州線は、シベリア上空を通過するノンストップ便だが、貨物専用便ではいまだにメインルートになっている。


マイレージサービス(FFP)
優先顧客に自社便を繰り返し利用してもらうことを目的に始まったサービス。1981年にアメリカン航空が始めれ導入した。現在ではほとんどの大手航空会社が無料航空券やアップグレード券などを獲得できるマイレージサービスを行っている。


マルチクルー
キャプテン2名、コ・パイ1名、FE2名のクルー編成。長距離便で、コクピット・クルーが交替で休憩をとることを配慮した編成。FEの常務が必要のないハイテク機種では、キャプテン2名、コ・パイ1名の3名乗務でマルチクルーとなる。


水噴射
エンジンのコンプレッサー室または燃焼室に水を噴射すること。これによってタービンの入り口温度を下げ、燃料の燃焼を大きくすることができる。近年のターボファンエンジンでは、水噴射を行わなくても十分な推力が得られるため、最近はあまり用いられることがない。


ミール
英語で食べ物のことだが、機内では機内食を意味する。暖かい料理が含まれるものをホットミール、冷たいままで出されるものをコールドミールという。


メイン・デッキ・コンテナ
貨物専用機の上部貨物室搭載用コンテナ。


メカニック
航空機の整備作業を行う作業員のこと。運航前後の機体を点検するライン整備士と、機体からの取り外した部品等を工場内で整備する工場整備士がいる。外国では現場で作業を担当するメカニックと、技術開発をするエンジニアに分担されることが多いが、日本では一般に整備部門の人の総称として使われる。


モックアップ
客室乗務員の機内サービス訓練用に使われる機内の模型。


ライフベスト
救命胴衣。各座席の下に備えつけてあり、子供用のもの別にある。機内のエマージェンシーのデモンストレーションで使い方が説明される。


ライフラフト
救命いかだ。不時着水した場合、水面に投下して圧縮ガスで膨張させ、搭乗者を回収するためのもの。非常食、真水製造装置などが内蔵されている。ボーイング747、767などでは緊急脱出スライドがそのままライトラフトになり、重量の軽減が図られている。


ラウンジ
マイレージの上級会員や上級クラス(ファーストクラス、ビジネスクラスなど)を利用する旅客が利用できる空港の特別待合室。


ラダー
方向蛇。機体の左右方向を制御知るために垂直尾翼縁に取り付けられている操縦翼面。


ランウェイ
航空機が離着陸する為に設けられた道路。滑走路。日本国内においては、一本の滑走路しか持たない空港が多いが、横風の発生を考えると、主滑走路と横風用滑走路の2種類は必要である。滑走路の縁は白色灯(末端部を除く)で示されている。また、いくつかの航行援助設備が設けられている。


ランウェイエンド
滑走路の両端のこと。航空ファンの間では滑走路の端の部分で、航空機がよく見えるところをさすことが多い。ランウェイエンドには滑走路方向を指示する数字がペイントされている。


ランウェイへディング
ランウェイ方向と同じ方向を向いている状態。


ランプ
空港内において、航空機を駐機させ、旅客の乗降、貨物・荷物積み下ろし等出発準備を行うエリア。スポットがあるエリア全域をいう。同じ意味としてエプロンという言葉も使われる。


ランプアウト
航空機がスポットを離れる時(動き出す時)を示す。空港によっては、トーイングカー(牽引車)にひかれて動き出す時もあるが、その場合にはトーイング開始時を示す。


レベルオフ
巡航高度に達したこと。


リクエスト
英語本来の意味としても航空界でよく使われるが、特に客室サービス、管制用語で使われることが多い。客室サービスでは、乗客からの希望を意味することが多い。例えば『今日は冷たい飲み物のリクエストが多かった。』などのように使う。管制用語では、コントローラーに対して、自機から要求する時に使う。例えば、『Request Heading 200due to Cb(積乱雲を回避するため、機首を200度に向けて飛行したい)』など。この場合、管制からは、承認するかどうか、必ず応答があることになっている。


レジストレーション
飛行機の登録記号のこと。日本の航空会社は飛行機を購入すると国土交通省航空局に申請して、登録記号をもらう。


レンジ
航続距離を意味する。航続距離は、機上タンクに燃料を満載しても、気象条件やペイロードによっても変わってくる。ボーイング747で用いられているSR(ショートレンジ)、LR(ロングレンジ)はこの『レンジ』を用いて、短距離用、長距離用を表している。





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