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カテゴリ:SLP
今のところ私が特別興味を持っている分野は失語症、音声障害、それからAACです。
AACはAugmentative and Alternative Communication(拡大・代替コミュニケーション)の略。 私達の大多数は基本的に話すことでコミュニケーションをしています。 でも自分の声が相手に届かないようなうるさい場所にいる時、表情を大げさにしたりジェスチャーをいつもより多く使ったりして、いつものコミュニケーション方法を「代替」したり「拡大」したりします。 話すこと、以外の方法を使ってコミュニケーション能力を最大にあげること。 これがAACの目的です。 話すことに重度の障害がある人に効果的だったりします。 AACにはローテクとハイテクがあり、 ローテクの例はアルファベットボードを含むコミュニケーションボードなど。
ハイテクの例はタイプ型、タッチスクリーン型、電動式人工咽頭など。
一年前くらいだったかな、ある日私達はそれぞれ「これが今日の君のミッションだ。グッドラック(´∀`)」とAACの道具一つと封筒を手渡されました。 封筒の中には地図と簡単なアルファベッドボードと「ヒカルのミッション:この住所のこの人に会ってインタビューをしてくること。学校を出て帰ってくるまで一切声を出してはならず、AACでコミュニケーションをとること」と書いた紙が。 お、おもしろそう…でも知らない人とAACで話をするのはちょっとコワー… 私が渡されたのは写真左端のタイプ式コンピューター。 電動式人工咽頭とかでなくて助かったと思いました。 以前試した時に使いこなせなかったので。 アポイントメント前に近くのコーヒーショップで必死で使い方を覚えました。 文章をタイプして相手に読んでもらいます。読み上げ機能はなし。 「Thank you」や「Nice to meet you」のような絶対使うフレーズを登録しました。 生徒の相手に選ばれた人々は大学で働いている人達のご近所さんや知り合いで、SLPには全く関係ない人達だったそうです。 過去には市長も協力してくれたことがあるとか。 その人々はこれが大学の課題だと知っていますが、他の人々は全く知りません。 私が指定の住所に行くとイタリアの輸入会社でした。 受付の人に、スクリーンの「こんにちは。○○さんと2時にアポがあります」という文章を指差してにっこり笑うと、受付の人の態度がかすかに変わるのが分かりました。 他のたくさんのクラスメートも言ってたことですが、一瞬けげんな顔になり、次に目にかすかに憐みの色が入り、変にやさしくなるのです。 「あっ障害があるのね。かわいそうな人なのね」みたいな。 ちょっとひきました。私もこんな目をしたりするのかな、と思いました。 当人に会うとちょっと緊張気味。私も緊張気味。 受付で会ってオフィスまで案内してくれる間普通は天気の話などするんだけど、歩きながらタイプするわけにいかないので沈黙です。ちょっと気まずい。 挨拶をした後、私は必死で機械を操作してインタビューし、また受付の人の過剰な笑顔に見送られてその会社を出たのでした。 長くなってきたからつづく。 この後みんなでお互いの体験を話し合って、それぞれのAACの道具に対する印象が変わりました。 クラスメートがした体験でびっくりするようなこともあったし、私の相手をしてくれた人は教授に感想メールを送ってくれたりして為になりました。 将来自分のクライアントにAACを薦めたり、AACの方法を選ぶ時に参考になると思います。 その日は他のこともやらされたのですが、それはまた別の話…(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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