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カテゴリ:映画
![]() ドパルデューのラヴ・ロマンスほど見たくないものは無いので、トリュフォーの「終電車」や「隣の女」すらドパルデューでなければ良かったのにと思うくらいなのだが、滅茶苦茶な大食漢で大ほら吹き、容貌魁偉、身に余る浪費グセ、生涯借金を山と積み上げていったある意味では破廉恥漢、その小説も字数を増やすためにありとあらゆる手管を使い、いずれもがシンプルさに欠けながら、それ自体が人間の欲望の諸相たる大小説と成り得た、あのバルザックならお似合いかも?というところで、一気呵成に見た。 一気呵成に見れたのはしかしドパルデューのせいというよりも、母親役を演じた年老いてなお存在感を見せつけるジャンヌ・モロー、やや老いを感じざるを得ない、かつて輝くばかりであったヴィルナ・リージの演じるロール・ベルニー夫人、後半はほぼ出ずっぱりに近いエーヴ・ハンスカ伯爵夫人のファニー・アルダン――この芸達者に囲まれ、なお輪をかけた芸達者ではあるドパルデューであるから、丁々発止と相成り、TV映画とは思えぬほど重量級の見応え。 フランス本国でこそ出来るバルザック実録名編ではあった。「人間喜劇が俺を支配している!」――言いえて妙の怪物自身の自己批評である。 ★★★バルザック「人間喜劇」セレクション★★★ 「デジタル・シネマ・ダイアリー」 「シネマ・ラビリンス」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 22, 2005 06:49:46 AM
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