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この広い空のどこかで今日もいい日旅立ち

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Apr 12, 2007
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カテゴリ:映画
THE LONG GRAY LINE つまりは陸軍士官学校の制服の凛々しきライン。
その威風堂々がシネスコ画面に映えて、ジョン・フォード流の伝記映画の典型パターンが「長い灰色の線」('54)。ヒッチコックに比べると数少ないジョン・フォードのDVD。

ジョン・フォードのような素朴ですがすがしい作品があまり受けない時代というのは、そういう気風がなくなっているからだろう。淋しいものだ。

もともと家庭描写の達人でもあったフォードだから、その見所はこの題材からすれば「わが谷は緑なりき」(’41)と同様、登場人物の家族とのあれこれのエピソードが軸となる。実在の人物とは言ってもあくまでフォード流、その磊落な筆致はアイルランド気質を標榜する作品とも変わりなし。

そんな眼で見ればフォード一家の面々は多く顔をそろえているし、なじみの誇らしきアメリカ音楽も終始奏でられ、古き良きアメリカの投影ではある。「荒鷲の翼」('56)が空軍の名物男の伝記で、ジョン・ウェインモーリン・オハラの夫婦像がイカしていた気がするが、これは客演のタイロン・パワーより父親役ドナルド・クリスプのほうに傾斜もかかっているようにも見える。

いずれにせよ士官学校ひとつ、日本にくらべて贅を尽くし明るい背景でよくぞ戦争の相手にしたものだと、改めて軍国主義の迷妄に眼を開かれるほどで、鬼畜米英と国民を正義の戦士にしたからくりも平和であればこそ気づくことなのである。アイゼンハワーもこのウェストポイントの士官学校を出たという。

西部劇もジョン・フォードの死とともに滅びたといっていいくらい、そこにたたえられた詩情や、この制服の凛々しきラインも遠くに飛び退ってはいるのである。





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Last updated  Apr 12, 2007 07:15:25 AM
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