2007/12/07(金)11:07
ひたすら大自然が美しいが……ドラマの方はちと、ねえ。
ホモ・セクシュアルのお話ということでイマイチ食指が動かなかった「ブロークバック・マウンテン」(2005)、一応観ておくかということで、見る。
もともと守備範囲でない題材で、最後まで我慢できるかという心配もあったが、なにしろアメリカ中西部の大自然が背景で、これが広く大きく勇壮で、しかもカメラはまことに美麗に仕上げてあって、室内の趣味でないシーンがあまりないので救われる。
役者たちも良く演じ、生活感もあるけれども、所詮感情移入のし難い素材、対岸の火事的にしか見ることはできずに終わった。これで普遍の人生の理を覚えるのはかえって切なかろう。
まあ、その趣味の方は違う感興もあるだろうけれども。
同じ浮気でも対象が同性と知って妻たちもひたすら困惑、怒りの持って行き場もないありさまや、新しい恋人も説明のない不思議を抱えて去っていくのも、むべなるかなと、そっちの方が身を即せる対象とあって、中心のふたりの男の人生にいささかのシンパシイも覚えない。
やはりこの題材では当方異邦人であるようで、この自然をバックに、むしろ本当に釣りでも楽しんだ方が、いかほど快適かとは思った。アン・リーにその嗜好があるのかないのかは知らぬが、どうも筆者とは相性も悪いようで、「楽園をください」('99)も「ハルク」(2003)も退屈、「グリーン・ディスティニー」(2000)くらいがやや触覚を向けられる作品で、あとはいつか「いつか晴れた日に」('95)をキャッチするくらいのところだろうか。
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