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カテゴリ:映画
![]() そこで探しだしたのがVHSではあるが「薄桜記」('59)、義士外伝・堀部安兵衛の巻という趣であるが安兵衛演じる勝新太郎の映画であるよりは、市川雷蔵の丹下典膳という剣士が雷蔵らしき孤影の蔭をいっぱいに塗り込めた、ある種耽美の映像。 それも安兵衛が見染めた女が典膳と一緒になるといういささかひねったからくりで、にもかかわらず、両者の互いに見せる友情というか見識もなかなかのもの、終局すさまじき純愛に殉じていく夫婦愛も出色なら、片腕をもぎ取られ、短銃で撃ち抜かれた体をかばいながらの決闘シーンもありきたりでないすぐれもの。 五味康祐得意の荒唐無稽の創作人物を伊藤大輔脚本+森一生監督が華も実もある人物像に昇華、雷蔵前期の代表作のひとつであるだろう。溝口健二亡きあと市川菎をエースとして、増村保造がデヴューして年3.4作を常態としていた大映にあって、なお中堅にこの森一生(脚本増村保造の「ある殺し屋」('67)という名作もある!)や池広一夫、三隅研次までいたことを考えると、現代日本映画でこの中の一人とでも比肩できる映画作家がいるだろうか。 裏方の充実をともなう撮影所システムが崩壊したせいもあるだろうけれども、お寒いところではないだろうか。 雷蔵のように早世したスターはそれだけでスターとしての天寿を全うしたと言えるし、「剣」('64)という三島由紀夫の早世の哲学を映画化した名作もある。生きながらえて役柄を変え、キャラクターを変えて生き延びる役者人生もひとつのありようだろうが、雷蔵のようなひっそりとした見定めたような孤影の印象は当然薄まっていくだろう。まこと天の思し召しは気まぐれでありながら必然なものなのかもしれない。 Copyright (C) 2008 Ryo Izaki,All rights reserved お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 15, 2008 12:32:51 PM
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