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この広い空のどこかで今日もいい日旅立ち

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Jan 28, 2009
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カテゴリ:生活
女性はおよそかじったくらい以上はほとんど関心があっても、男性にとってはほとんど関心の外、というような場合がある。もちろん女性用ということではないにもかかわらず、暗黙のうちにそう見てしまわれる場合がある。ところが男性がそれを手に取り、感嘆、想いを新たにするどころか、そのすべてに挑戦してみようというくらいの魅力に溢れた、今回の筆者の場合。

なんのこっちゃ!であるが、昨年誕生100周年を迎えた「赤毛のアン」、それに連なるアン・ブックスのことである。きっかけはこの著者L.M.モンゴメリがそうとうな猫好きというにすぎなかったのだが、もはやそれさえ超えてこのヒロイン、圧倒的な魅力でわが念頭に定着したのである。手に取った男性は少数派かもしれないけれど、これがめっちゃおもしろい。

未読の女性がおられるなら、そのおんな力はこのアン・シャーリーを知るだけで、大いに高められてしまうであろう。この孤児院からマシュウとマリラの、独身兄妹にひきとられるゆくたて、さらにはこのグリン・ゲイブルズを中心とするアンの溌溂たる生活ぶり、その最初のアンを知っただけで、そのさらに行く末を知ろうと、連なるアン・ブックスを発注したばかりなのである。ゆうに「風と共に去りぬ」よりさらに長い、にもかかわらず、である。

そのイマジネーション、その向日性、時にはめげながらもその立ち直りの俊敏性、スカーレットもびっくりというくらいのものである。書物もまためぐり逢い、授業をそっちのけで世界の名作を耽読していたあの頃との再会のようなものである。その目こぼしの大いなる補てんである。孤児根性といえば川端康成、「みづうみ」に痛くしびれ、末期の眼で見られた幾多の短編にもいまだ記憶に残る名品がいくつもある。その静謐で透明な純度の濃い孤児根性。

なぜ孤児には透徹した視野があるのだろうと、改めて想いを深くしたアン・シャーリー、まだその短い生涯を「うずもれた希望の墓場」と自覚するアン、その想像力にとめどがなくおしゃべりもとめどがないアンの、しかし少しも観念にとりこまれない飛翔する歓びに、どれだけこれから浄化され、刺激され、あるいは圧倒されるかと思うと、これはめくるめく読書の昂揚のエキスなのではある。
赤毛のアン
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Last updated  Jan 28, 2009 11:36:20 AM
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