★☆★---♪キエフからムルカの日々(3)♪---★☆★
♪ 市場の周りはロータリーになっていて、 車が結構スピードを出して走っているから、 ここは気をつけないと危ないニャー。 隣のカジノ(ここはマフィアが経営してるのニャ)の横の駐車場は 野良猫の夜の集会所になっているのだけれど、今日は誰がいるのかニャ。 あっ!いた!古ぼけたベンツの下の暗闇で、目だけが光ってる。 野良猫のシュワルツだ。 こいつはこの辺で1番強い猫なのニャ。 大きくて真っ黒でまるで黒豹みたい。ああ!近くに来る…どうしよう。 ♪ 「ニャー!ムルカ、散歩かい?」 「そうよ。何か用?」 ちょっとドキドキしているけど、毅然と返事をしてやったニャン。 「相変わらずお高いな、美猫に挨拶しただけさ」 「私は純粋なロシアン・ブルーよ。 どこの何だか分からない貴方とは育ちが違うニャン」 「オレだって元はといえば、ボンベイの王家の出だぜ。 この漆黒の毛並みと、ゴールドの瞳はそうはいないだろ、 どうだいそのうち俺と付き合えよ」 「あら!私は去勢されてるからだめニャン、残念ね。 他の野良猫でも相手にニャさい」 「本当かよ!!そりゃ可哀想だニャ。 こんな美猫が子供も産めないなんて・・」 「余計なお世話!!!じゃあニャ」 ♪ なんて言いながらも、実は私は彼が好きなのニャー。 先週ナタリアが借りてきたビデオの「パイレーツ・オブ・カリビアン」 っていう映画を見たけれど、 その中に出てくる海賊船ブラックパールの船長ジョニーディップ みたいなのニャン。 ロシアンブルーの「ブルー」とボンベイの「黒」の間にできた子は どんな色になるのかニャなんて、去勢された私と彼との子なんて 有り得ない事をつい創造してしまったけれど、 いったい何匹彼の子供はいるのだろう、 この辺だけ黒猫がやけに多いのニャン。 ♪ シュワルツは太い尻尾をゆっくり揺らしながら、市場に向かって 歩いて行くニャン。雄の色気があるのよニャー。 あいつもマリヤおばちゃんの処でランチを貰うのだろうか。 いやいや、あいつは愚図な人間の隙を狙って、 自分の食べたい物を掠め取って来るのだろう。 ♪ さあて、そろそろ帰ろうかニャ、日本人ももう帰った頃だし… 「のほほォ~ん猫暮らし」