2010/06/23(水)08:09
幽霊・・・
それは、どんよりと雲に覆われた初夏の事でした。
星も見えない夜で、かなり蒸し暑かった事を覚えています。
その公園は民家からかなり離れているので、深夜になると人気がなくなります。
僕ら友人達の格好の溜まり場になっていました。
その日の夜、彼女に振られた僕は、その公園で一人しょぼくれていました。
「くよくよ悩んでいてもしょうがない」
「早く諦めろ」
なぁんて事を考えながら、物思いにふけっていました。
どのくらい時間がたった頃でしょう。
公園の隅にあるブランコが揺れだしたんです。
ギーコ… ギーコ…… ギーコ………
「誰か来たのかな??」
僕はそう思い辺りを見渡しました。 辺りはしーんと静まり返って、人のいる気配はありません。
「風かぁ」
一人納得していました。
すると、僕とブランコの間にあるシーソーが ガタン ガタン ゆっくりと動き出しました。
誰もいません......。 だんだん僕に近づいてきます。
なんか蒸し暑かった筈なのに、みょーに肌寒く感じます。
怖くなった僕は、自転車に乗って猛ダッシュです。
やっとの思いで家に着き、落ち着こうと思いタバコを手に取りました。
ふぅーー。 と煙を吐いたその時、目の前で煙が真っ二つに割れました。
壁に向かって煙を吐き出した様に…。
「あれ???」
不思議に思った僕は、もう一度煙を吐いてみました。 ふぅーー。
煙が男の顔型に割れました。 僕の目の前10cm位の所で…。
「 け む い ん だよ 、オギワラ 」
その男が ぼそっ っと僕の目の前で囁きました。
僕の名前はハギワラです。
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