2005/09/25(日)10:24
「空中庭園」
題名:「空中庭園」
著者:角田光代
発行:文春文庫
頁数:281
読みやすさ:3/5
おすすめ度:3/5
「家族の中では何ごとも包み隠さず、秘密を作らない」
というのがモットーの家族が、それぞれとてつもなく深い
秘密を持っている、というほとんど崩壊した家族の、おか
しくも悲しいストーリーでした。
東京の郊外にある「ダンチ」と呼ばれるニュータウン内
での人間模様・家族模様がテーマです。ありがちな核家
族の営みを描きながら、現代の淡々として薄っぺらい人
間関係が、実は家族という社会の最小単位から始まって
いるのではないかという警鐘めいた意味合いも感じられ
ました。
おもしろかったのは、登場人物一人一人が一人称にな
って、それぞれの立場でお互いをどう見ているのか、とい
う描き方です。短編のようにタイトルが6編あり、主人公が
6人いるって感じです。このような描き方をするには大変な
エネルギーがいるんだろうなあ、と勝手に想像して感心し
てしまいました。
帯に”10月映画化”と書いてあったので、映画化された
らちょっと見に行ってみたいような気もしました。