翠 の 風

2005/09/25(日)10:24

「空中庭園」

今日読み終えた本(156)

題名:「空中庭園」 著者:角田光代 発行:文春文庫 頁数:281 読みやすさ:3/5 おすすめ度:3/5  「家族の中では何ごとも包み隠さず、秘密を作らない」 というのがモットーの家族が、それぞれとてつもなく深い 秘密を持っている、というほとんど崩壊した家族の、おか しくも悲しいストーリーでした。  東京の郊外にある「ダンチ」と呼ばれるニュータウン内 での人間模様・家族模様がテーマです。ありがちな核家 族の営みを描きながら、現代の淡々として薄っぺらい人 間関係が、実は家族という社会の最小単位から始まって いるのではないかという警鐘めいた意味合いも感じられ ました。  おもしろかったのは、登場人物一人一人が一人称にな って、それぞれの立場でお互いをどう見ているのか、とい う描き方です。短編のようにタイトルが6編あり、主人公が 6人いるって感じです。このような描き方をするには大変な エネルギーがいるんだろうなあ、と勝手に想像して感心し てしまいました。  帯に”10月映画化”と書いてあったので、映画化された らちょっと見に行ってみたいような気もしました。

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