2009/12/31(木)10:04
「カラスの常識」
題名:「カラスの常識」
著者:柴田佳秀
発行:寺子屋新書
頁数:239
読みやすさ:4/5
おすすめ度:4/5
カラスといえば、誰もが嫌う生き物の一つになってしまっていますね。でも、かつ
ては神の使いであったり「七つの子」で歌われている慈しみの対象であったりした
はずなんですけどね。
なんといってもあの全身まっ黒い姿が受け入れられないものがあるんでしょう。カ
ラスに責任はなさそうですが・・・。カタツムリはかわいいけどナメクジは嫌だ、とい
うのと少し似てるのかもしれませんね。
そうはいいながら、他にもカラスが嫌われている原因はあって、例えば鳴き声や
食い散らかし、人への攻撃、それになんと言っても学習能力の高さからくる人馴れ
やカンに障る行動の数々ではないでしょうか。
カラスにすれば生きていくためにごく当たり前のことをしているだけなのですが、
その行動の結果が人間生活といろいろなあつれきをおこしていることは事実です。
何故カラスが来るのか、何故ゴミを食い散らかすのか、何故人に攻撃をしてくる
のか、カラスの側の視点で街を見れば容易に理解ができます。そうすれば被害を
減らすために、人間としてはどうすればよいか、ということが自ずと見えてくるという
ものです。
これはカラスに限ったことではありません。カラスを含めて野生動物と人間生活と
の間に起こっている様々なあつれきはこのような問題を抱えています。当たり前の
ことですが、人間に嫌がらせをするのを目的に行動している動物はいません。
それではどうしたらいいかということですが、動物のことを正しく知ることと、動物
が何を目的にその行動に至るのかを冷静に考えることです。その上でできること
から始めないとあつれきは終わりません。
いくらとっ捕まえて殺し続けても、一方でエサ(ゴミを含めて)やり放題の状況をほ
ったらかしていては、カラスたちは増え続け、最悪のエンドレスループに陥っていく
わけです。行政頼みも解決にはなりません。住民自らが考え、行動しなくてはダメ
なんだと思います。
なんだかんだいっても相手は動物です。いくら頭がいいったって人間より頭がいい
わけありません。違うのは、やつらは常に“命がかかっている”ということでしょうか。